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稚菜 interview
- SPECIAL -

稚菜 interview

生活の中でしたためた本当の気持ちをクリアに綴るのが彼女の歌。 取り巻き変化する環境に揺らがず、大事な事を忘れぬ様に歌に込め続ける。 癒えるのは聴き手の心だったり、自身の心だったり。 特定の結果を狙うより歌う過程で生まれる人との繋がりやふれあいを大切に活動を続けるシンガーソングライター”稚菜”のデビュー2部作後半盤『歌唄いの詩 2』は、人々への願いやパーソナルな記憶など、彼女の多角的な感受性が伺える全6曲収録。 言葉と歌声。 シンプルなこの2つを軸に彼女の想いがすっと浸透するハイコンテクストな作品。

Interview & Text : 鞘師 至

―前回のデビュー作『歌唄いの詩』から半年経たないうちのリリースですが、今作『歌唄いの詩 2』収録曲は最近書いたものですか?

稚菜(以下 “W”): いくつかはつい最近書いた曲ですけど、今までライブで歌ってきたものもあります。

-前回の取材では「ラブソングはあまり書かない」と言っていましたが、今回はラスト2曲ばっちりラブソングですね(笑)。

W: そうですね。。。(笑)。 幸せ!みたいなラブソングはなかなか書けないんですけどね、今回の『for you(M6)』とか『今日の言葉(M5)』みたいな失恋ソングはけっこう書けるかも。 何でなんでしょうね(笑)、作詞する時間帯も影響してるのかな。 私、基本夜中に物書きするんで、何かこう深く考える内容の詩になるんですよね。 もうそれだけに没頭してて気付くと朝になってたり。 でも『今日の言葉』に関しては、その当時の気持ちで割とリアルタイムにさらっと書けたかな。 『言葉の要らぬ世界へと(M3)』に関してはもっと早かったですね。 当時サポートしてくれていたドラマーにスタジオで「何か叩いて!」って即興ビートを叩いてもらってそこに歌を載せてその場で出来た曲。 歌詞はそのスタジオの後、曲から浮かぶ情景を想像してそのイメージに沿って書いたものです。

-『言葉の要らぬ世界へと(M3)』の歌詞は世界の在り方への願いみたいな歌詞が印象的でした。 題材になった出来事って何かありました?

W: うーん、単純に大人に対しての反発ですかね(笑)。 当時自分の歌のスタイルと別のものを執拗に要求された事があって、「それは私のやりたい音楽じゃない」って思って書いた曲です。 一様に大人が嫌いな訳じゃないですよ! その時はいろいろ悩んでてそんな気分だったんです。

-『夢心(ユメグクル)』は今までeggmanでもよく歌われてましたよね。

W: そう、これは沖縄にいる友人の歌なんですよ。 「自分はこうなりたい、なるんだ」っていう夢をはっきり口に出して話すその友人を見てたら、私自身もすごく勇気をもらって、自分の夢も叶える為にがんばろう、って思えた事があって。 自分のその気持ちを表現する為にも、友人の夢が叶う事を願う為にも、歌にしよう、と思って書きました。

-稚菜さんの場合、普段は寡黙ですもんね。

W: そうですね、だから音楽があってよかったです。 自分の想いを普段口にしないからこそ曲に出来るっていうのはありますね。 歌ってなかったら今頃は精神的に潰れてました(笑)。

-世間では前作リリースからのここ数ヶ月でも国内外問わずいくつか深刻な問題も騒がれていて、感受性豊かな人達にとっては頭が痛いと思いますが、何か気に留めている事柄ってありますか?

W: ついこの前、用事があって池袋から移動する時に僅かな時間差で、私が通った道で脱法ハーブ事件が起きたのを直後に知ってハッとしたんですよね。 その場にいなかったから良かったとかじゃなくて、そういうニュースを知る度に世の中のいろんな人達が物事を簡単に考え過ぎじゃないか、って思う事があるんです。 他にも色んな事に共通してますけど、何かが起きてからそれに対応する。 事件が明るみになってから反省する。 もっと先に考えられる事ってないのかな、って憤りを感じたりします。 自分の傾向として、見たもの聞いたもの、自分以外の人の事柄であっても、人一倍自分の事の様に考えてしまうんですよ。 人の苦しみはそのまま自分の苦しみになってしまったり、身も心も生命力削られて辛く思う事もよくあるんですけど、でもそういう時にそれを歌にできて、その人達の気持ちが少しでも楽になったり、自分自身の辛さが浄化できたりするんで、耳の痛いニュースも入って来ますけど、自分なりに音楽に変えてそれを出せてるんで、バランスは保てている気がします。

-今年は2枚のCDリリースに4月の日比谷野音のライブ出演、初のワンマンライブと一大行事が沢山ありましたね。

W: 去年の活動と比べると全然違いますね。 身体は大変ですけど音楽やってて忙しいって幸せな事だなって思います。 今「100本ライブ」っていう企画をやってるんですよ。 2014年で100回ステージに立つっていう。 今60本くらい、今年はまだまだライブします。 カンボジアにも今年も行きたいと思ってますし。

-「夢はカンボジアに学校を作って音楽をする事」って、前回のインタビューでも伺いました。 今もその夢は変わらず?

W: そうですね。 夢は変わってないですし、まずは早く去年会った現地のこども達にまた会いたいです。 去年、ボランティアでカンボジアに行って現地の学校で音楽の先生をしてきた時に熱心に歌ってくれていた子達の中には、私が日本に帰った後の今でも一所懸命歌を歌ってる子がいるらしいんです。 そういう子にまた会えて一緒に歌えたり、その子が将来音楽をやってたりしたらすごく嬉しいですね。

-今作で一番伝えたい事ってどんな事?

W: 今一番気持ちとして強く思ってるのが『今日の言葉』の歌詞で書いている事なんですけど、思ってる事を後回しにしないで、その日のうちに大切な人に伝えるっていうのが本当に大事なんだって事。 今の時代っていろんな悲惨な事が起きていて、ひとの命が軽く捉えられてしまっている時代だと思うんです。 だから生きてる事って当たり前じゃない。 いつ何が起きるか分からないから、謝りたい気持ちとか、感謝したい気持ちとかがあったら後悔する前にちゃんと伝えなきゃいけない、って思うんです。 自分も口下手なりに大事な人には歌で伝えられたらいいな、と思っていつも歌ってます。