自分達の音を、伝わる方法論でカマす。
―まず今作一聴していきなり1曲目からサウンドがブライトになっているのにぶっ飛びました。Large House Satisfaction(以下 “LHS”)がやる明るい楽曲っていうのが超斬新。何があったの(笑)?
小林 賢司(Ba. 以下”K”):だよね(笑) 断片的に音源聴いて、今回の音だったら驚くと思う。単純に見えて来た事があって、それ相応に自分達の音を出していったらこうなったんだよね。
小林 要司(Vo./Gt. 以下”Y”):前回のリリースツアーからいくつかフェスとかのデカいステージでやった事もあって、いろんなパターンの状況下でライブしていて考えが一周して思ったんですよね、今以上にもっとお客さんをノらせたいって。それを遂行する為の、よりキャッチーなものだったり、明るいものを自分達なりに出来るんならやってみたくなりました。昔はライブっていったらとにかく自分を客席にぶつける意識だったんですね。今ももちろんその気でいつもやってるけど、今までは自分からアウトプットして満足だったのが、今はもっと聴いてる人達との一体感を作りたいと思うようになりました。歌詞に関しても前作『in the dark room』までは言葉遊び的に字面を並べたり英語のフレーズが多かったりして、内容的にはクソッ!みたいな怒りの要素がほとんどだったけど、今回初めてラブソングを書いてみたんですよね、俺なりの。よりリアルな気持ちを込めてライブで歌わないと、これ以上深く伝えるのは困難だと思ったんです。だから語呂の良さより1曲を通しての意味合いを、自分の人間臭さを投入できる歌詞を、っていう気持ちで書いたのが今回の歌詞です。
-4年前、初めてeggmanに出演してもらった時なんかは「殺す!」的な殺気メインのステージだったなあ(笑)。まさかLHSのラブソングを聴ける時が来るとは。
Y:そんなにストレートなラブソングではないですけどね、あくまで俺なりの。
-確かに世界観崩れないですね。ヘイトまき散らす人が歌う愛、対比ハンパないのに(笑)。
Y:(笑)、結局は自分の事。今までバンドで出してた自分の側面があって、それ以外の恋愛感情だったり惨めさだったりする部分って、逆に今まで触って来なかったから可能性を感じたんですよね。 愛情とか恥ずかし過ぎてこのバンド始めた当初では絶対に扱いきれなかったものだけど、今はさんざん曲書いて、歌詞書いて、自在性が増して来たから手をつけられる。 案の定新しいことが今回出来たと思います。
-サウンドも前作は音のうねりが塊でぶつかって来る様な、ボトムスに重心を置いたヘヴィなものだったけど、今回は音域幅の中で重心が上がりましたね。
K:『in the dark room』はまさにグルーヴィーな重さを出したくてああいう音にしたんだけど、今回はズブズブの音楽マニアでなくてもアガれるものを自分達なりの音楽でやってみたくなってね。やっぱりデカい会場で若い子の手がすげー上がってる景色見たいし(笑)。要司の今回の歌詞にもきらびやかさがある音色が合ってるかな、って。
Y:その時書いた曲と歌詞、まとめあげた時に出てくるサウンド面でのディレクションも、いつもその都度やりたい事をやってるから、「POISON(M5)」とかはパンニング(音のL -Rの振り方)で遊んでみたり、初めてゲストコーラスっていうものをたねこ(アレックスたねこ from惑星アブノーマル)にやってもらったり、好き勝手やってますけど、今回も全体的な狙いとしては今までやってなかった事は出来てるかな。自分達のやり方で、今まで以上に伝わるものを作る、という事。
-ステージでのショーマンシップなんかも心持ちは変わって来てますか?
田中 秀作(Dr.):いつもステージの後ろからフロントマン2人を見て来てますけど、そうだな、基本昔から変わらないけどやっぱり、より伝わる為の演奏の集中力みたいなのは上がってる気がしますね。自分も含めて。
K:前に出るステージングってのは結局昔から今も客煽りたいしずっとやってる。ライブでの心持ちは今まで通りかな。でもそう言えばこの前要司初めてMCしたね。
Y:そうだね、ライブ中にがっつり喋ったのは初めてでしたね。まあ慣れない事もたまにやりますけど、基本ライブではいつも通り。ブチカマすって事ですね。
-今回のアルバムでこれだけ向きを変えて1ステップ上に進んだ音をドロップして、更に今後LHSがやっていく音楽ってどんなものですか?
Y:緻密に計画練って曲作ってないんで、その時にならないと分からないですけど、少なくてもその時の最上級をやるために、何か見えたものが合ったらそれは追求していくと思います。もしかしたら今回よりもっとストレートなラブソング書いてるかもしれないし。愛してるとか言えちゃってるかもしれないし(笑)。またヘヴィーなうねりのものをやってるかもしれない。発想は自由に突発的に、それがこのバンドらしいプライドの中でやれていれば、多分それは最高。