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SAKANAMON interview
- SPECIAL -

SAKANAMON interview

SAKANAMON。独特の世界観を持っている彼らの最新作が到着した。ポップセンスと少しのシュールさは今まで通り持ち合わせ、その上に更にバンドとしてのセンスを取り入れた最高の一枚が出来上がったと思う。普段何気なく生活している自分たちの中にある当たり前の一片を歌詞にし、それとは驚くほどにギャップのある才能に満ちあふれた楽曲はつい何度も聴いてしまう。そして共感もしてしまう。そんな今作について(Vo&Gt)藤森元生にインタビューを行った。

interviewer:Shoko Ishikawa

―前作から8ヶ月ぶりのリリースですが、なにか心境の変化等ありましたか?

藤森:セカンドアルバムを出してすぐ、今年の頭から次のリリースに向けて制作をしていたのですが、その時はどういう物にしようとか全く考えていなくて。でも、前作【INSUROCK】をリリースして、ツアーを回っていくと共にもっとライブや楽曲とかも含めて攻めたいなと思うようになって、次回作は攻撃的なアルバムを作ろうと思って今作が出来ました。

-本当に踊れる作品というか、現代のロックとはまた違った観点から素晴らしいものが出来たと思うのですが、特に【M2:アリカナシカ】はデジタルナンバーでとても新鮮でした。

藤森:この曲の制作はあまり何も考えずに曲も歌詞も出来た感じでしたね。気づいたら曲になっていたというか。今回の作品はなるべくシンプルに良いと思ってもらえるようなミニアルバムを作れたらなという感覚があったので、全体を通してリスナーの皆さんに伝わりやすい作品になったのではないかなと思います。

-PVもすごく世界観があって面白いなというのと、メンバーが楽器を持っていないとこにもすごく新鮮さを持ちました。

藤森:アニメーションとのコラボということもあって、楽器は持たない方がいいなと思って持たなかったのですが、楽器があっても面白かったのかなとも思いました。あの絵の世界に自分たちがいるのが凄く違和感でしたね(笑)。異次元というか。

-PV撮影はどうでした?

藤森:歩道橋でぐーっとカメラがよって離れるカットがあるのですが、あの撮影が結構大変でしたね。1時間くらい動かずにずっと同じ体勢でカメラが動いて撮影する感じだったので、じっとしているのに必至でした。あと雨が降っていて寒かったですね(笑)。

-PVのメイキングで雨男というワードが出てきたのですが、SAKANAMONは雨バンドなんですか?

藤森:ライブでは雨率かなり高いですね。前回のPV撮影の時も雨で、セカンドアルバムのリリースの日は大雪で、ワンマンツアーの時もほぼ全部雨で、台風が来たりかなり破天荒バンドですね(笑)。今年の夏のイベントでOTODAMAに出演した時も雨が降りそうな気候で、いざ僕たちが始まって少し小雨が降っていたんですが、キムさん(Drum)が「雨、ヤメーっ!」って言った瞬間に雨がザーッと降り始めてある意味持ってるなと思いましたね(笑)。

-【M1:幼気な少女】 はすでにライブでも披露しているかと思うのですが、新曲を披露してみてどうでしたか?
藤森:お客さんも初めて聴く曲でどんな反応になるかなと思っていたんですが、いつもの新曲より和気藹々としているイメージがありましたね。

-楽曲自体は結構前から有るんですか?

藤森:今年頭くらいに制作しました。前作のツアーの時から新曲として披露していて、ライブで温めてきた新曲という感じでしたね。歌詞とかも初めてライブで演奏した時と今出来上がった時とでは全然違うし、ライブで進化した曲という感じですね。

-最初からこの曲を知っている人は、変化に気づくんですかね?(笑)。

藤森:どうでしょうね。でも多分全然覚えてないと思いますよ(笑)。

-ライブで新曲を披露してレコーディングすることっていうのは多いんですか?

藤森:今回が初めてかもしれないですね。積極的に新曲をライブで披露するっていうのは。

-それは何か心境の変化とかがあったんですか?

藤森:ライブでなかなか新曲をやるっていう一歩を踏み出すのが難しかったというのはありますね。今までは未完成のまま、お客さんに披露するのはどうなのかなと思っていたんですが、結果ライブで成長した楽曲なので前作のツアーで演奏できて良かったですね。

-楽曲が凄くポップな分、歌詞ではネガティブなワードが入っていたり、楽曲と歌詞が相反している感じがしてこれも面白いなと思うのですが、歌詞と楽曲はどうやって制作しているのですか?

藤森:僕は曲が先に出来て、後から歌詞を書くんですけど、あまり楽曲がポップだから歌詞はこうだ!という方程式のようなものは無いし、連想出来る様な歌詞っていうのを書くのがあまり好きではなくて。歌詞を書くときにギャップを意識して制作していますね。良い曲に良い歌詞を書くのではなくて、良い曲だしポップな楽曲だけど、ネガティブなワードが入っていて、曲と歌詞が対極にいるようなものを作りたいと常に思っています。

-楽曲に関しても少し懐かしい歌謡感という物を感じているんですが、どんな音楽に影響を受けて来たんですか?

藤森:子どものことはやっぱり王道のアーティストとかが好きでしたね。ゆずやGLAY、BUMP OF CHICKENだったりとか。高校に入ってから邦楽ロックをしっかり聴き始めたっていう感じですね。

-ギターはかなり前からやられていたんですよね?

藤森:そうですね。初めてアコギを持ったのは小学生の頃でしたね。皆がやってなかったから、やろうと思ったんですよね(笑)。個性の為に。

-そこから曲を作り始めたのはいつぐらいからなんですか?

藤森:小学生の頃から、なんとなく曲は作ったりしていましたね。ひどい曲ばかりですけど(笑)。そこから中学生になって、中学の間に30曲くらい曲を作っていたんですが、全然やっぱりピンとこなくて。ちゃんとバンドを始めたのは高校生の時ですね。

-中学、高校の頃ってバンドやってるとモテませんでした?(笑)。

藤森:高校の時はあまりモテなかったですね・・・(笑)。中学の頃は少しモテました(笑)。でもバンドはあんまり関係なかったみたいです(笑)。

-【M3:マザーラインナップ】ですが、ついつい共感してしまいますね。私納豆苦手なんですけど、母親がいつも買ってくるんですよね。なんで買ってくるの!!って思っています(笑)。

藤森:不思議ですよね。親が食べないのになんで買ってくるんだっていつも思ってます。

-このコンセプトも斬新ですよね。

藤森:いつかこのコンセプトで曲を書こうと思っていたんですよね。それを今回作った曲で歌詞を書きました。

-【家庭のミステリー】という歌詞になんだか凄く共感してしまうというか。

藤森:買ってくるものがなんだか面白いんですよね。不思議というか。例えば「アマンド」とか「エリーゼ」とか(笑)。今食べたら美味しいんですけど、その時の自分は、またか!と思っていましたね(笑)。あと、最近のミステリーは最近母親がいつもと違うお洒落なシャンプーを買ってきた事ですね(笑)。パッケージのなんか可愛いやつを今母親は使っています(笑)。

-我が家もそんな感じですよ(笑)。【マザーラインナップ】という単語は造語ですか?

藤森:これは、僕の好きな【ラーメンズ】というグループの特別ライブみたいなときに出てきた単語でそこから曲名にしました。

-【M4:AGEINST】ですが4曲目にしてついにアゲソングができたという感じですが。

藤森:そうですね。ついに作ってしまった感がありますが、この曲は良くスタジオとかで練習するときに、ギターのコードで【A/G/E】で【AGE】になるのでこの曲を作ろうよっていう事になりました。なので楽曲自体、ギターのコードの【A/G/E】で作られているんです。それを今回レコーディングして、最初はボーナストラック感覚でいたんですけど、収録曲に組み込んでも面白いかなと思って入れました。

-最後の台詞なんかもユニークですね。

藤森:「トホホ、もうやってらんないよ」っていうのが採用されたんですが、これ実は色々なバージョンで録ってみたんです。そのなかで1番しっくりきたのがこの台詞でした。舌打ちとかありましたよ(笑)。

-台詞がネガティブな事には何か意味があるんですか?

藤森:そもそも【アゲ】っていうのも、キムさん(Drum)が言いはじめてライブとかでも良く言うんですが、他のメンバーは少し冷めた目で見ているんです(笑)。そういう空気感を曲でも伝えられたらなと言うところからこの台詞になりました。

-この【M4:AGEINST】から曲間0秒ですぐ【M5:害虫】のイントロに入るのがすごくギャップが有り、格好良いなと思ったのですが。

藤森:普通曲間って2秒くらいなんですが、ここだけは0秒にしたら面白いかもねって話をメンバーともしていて、試してみたら凄く良くて。曲の境目が一見わかりづらいようなユーモアも良いなと思いました。

-この【M5:害虫】ですが、これも絶対に普通の人は歌詞にしないような要素だと思いました。

藤森:そうですね。だからあえて害虫をテーマにしました。あくまでも唯一無二の存在でありたいという執念というのもあってこのコンセプトにしました。

-曲がすごく格好良い分、本当にこの曲はインパクトが強いというか。別に良い歌詞でも全然違和感無いというか。

藤森:この曲も1番まで作って、ゴキブリにしようと思って書きましたね。良い歌詞でも確かに違和感は無いと思うんですけど、やっぱりギャップを大事にしたいなと思って。

-レコーディングや制作は今回どうでしたか?

藤森:なかなか煮詰まりましたね。降ってこないときは本当に降ってこないし、出来る時はすぐ出来るんですけどね(笑)。

-制作が行き詰まったときにする事ってありますか?

藤森:とりあえず放棄です(笑)。曲を忘れた頃にまた引っぱりだして考えますね。考えすぎると浮かんでこないので、あまり考えすぎないようにはしています。

-【M6:君の○○を××したい】 スペシャのドラマにも出演したということで。

藤森:そうですね。その最初の顔合わせの時に、監督さんから主題歌を作ってほしいと言われて。ドラマの僕の役で好きな女の子にポエムを書くシーンがあって、そこのポエムとこの楽曲をリンクさせました。そのポエムに出てくるワードを歌詞で使ったりと。

-ドラマということで、演奏している普段とはまた違う藤森さんが見れたかと思うんですが、演技難しかったですか?

藤森:そうですね。難しかったです(笑)。実際苦手でした。ライブの時もあまり普段とキャラが変わらないというか、素に近い状態なんですが、演技となると上手く行かない部分も有りましたね。他の共演者の皆さんの演技の上手さにびっくりしました。

-ステージに立っている時と普段での変化はあまりないんですね。

藤森:歌っている時と歌っていない時のギャップとかは意識しているんですが、でもキャラとかは何もかわらないですね。

-ライブも独特の世界観ですよね。意識していることはありますか?

藤森:僕等の曲ってややこしい展開が多いので、結構コア向けな部分もあるんですけど、ノって盛り上がるというより聴いて楽しめる音楽、ライブを作る事を意識していますね。

-今後、SAKANAMONはどんなバンドになりたいですか?

藤森:良い意味で期待を裏切り、裏切らない、みなさんに間違いなく次の作品を楽しみにしてもらえるバンドになりたいです!

-SAKANAMONのメンバーのアリな所とナシな所を教えてください!

藤森:森野さん(Ba)のアリな所は真面目なところで、ナシな所はいじけやすい所です(笑)。キムさん(Drum)のアリなところはいつも元気な所でナシな所は元気なだけなところですかね。良い意味で何も考えていないというか(笑)。

-最後に読者にひと言お願いします!

藤森:今日の朝ご飯はパンでした!(笑)。

-本日はありがとうございました!

藤森:ありがとうございました!