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The Coastguards interview
- SPECIAL -

The Coastguards interview

各フィールドでの膨大なキャリアとセンスを蓄えたメンバーが集まり、原点回帰から生まれたインディペンデントシーンの亜種。 エモロックとするには余りにも強力で、ハードコアとするには余りにも透き通ったクロスオーバーサウンドを武器に投下された初音源『I REFUSE』は、垣根なく多様なリスナーを惹き付ける新しいエクストリームミュージックのフラッグシップモデルだ。

Interview & Text : 鞘師 至

―これまで経験している各メンバーのバンド遍歴を経て、それでも形を変えてバンドを組んで新しいものを生み続けるっていう事自体に今作『I REFUSE』の一番の熱量を感じました。今このバンドの原動力になっているものって何ですか?

■ HAJIME TAKEI (Vo 以下”H”):確かに自分と同世代、下の世代を見渡したら今でも続けてるバンドマンってなかなか見当たらないかもしれないですね。

■ MASASHI “MARCY” SHIMADA(Dr. 以下”M”):このバンドを始めるきっかけはほんとただのノリだったよね。そもそも会った時からハジメとはパンクとかハードコアみたいな同じ音楽畑で青春期を過ごしてたから、半分冗談で「いつか遊びでバンドやりたいよね」みたい事は言ってたっけな。

H:最初、Further Seems Foreverのカバーを録ってみようっていう話しになって、当時柏のスタジオに行って録ってみたらそれが自分達が予想してたよりもいいものになったから、その手応えきっかけで「バンドやろうか」って実質動き始めたんですよ。

-HAJIMEさん、吉祥寺なのに集まるのはやっぱり柏なんですね(笑)。

M:そう、俺が居る限りは集合場所は柏だからさ(笑)。でも確かにすげーよかったよね、そのデモ。

H:うん、それからノってきたんでオリジナルのデモも録ろうということになって、2011年からあっという間に曲は出来ていきました。

M:ノリでね、楽しみながら始められてそのままスラスラ曲書きまくったから良いスタート切れたよ、このバンドは。

-曲はMARCYさんが?

M:そう俺が書いて、それにハジメが歌を載せると、すげーいい曲に仕上がるっていうね。それの繰り返しだよ。

-アルバム全編通して、それぞれのフレーズにそれぞれのメンバーらしさが全部感じられたのが凄いバランス感覚だな、と。

M:曲は俺が作ってるけど歌を載せた時点でやっぱりハジメの良さってすぐに出て来るし、ゴリ(Gt/Cho YASUHIRO HORISAKI)らしい泣きのアルペジオとか、ユウスケ(Ba/Cho YUSUKE YANO)のPOPな感じとか、あとやっぱりヤバいのがガネ(Gt/Cho FUMITO SHIROGANE)のゴツさね(笑)。もうコーラスがおっかないもん、怒号そのもの的な(笑)。このメンバーは変に小細工しなくてもちゃんと出るんだよね、そういうそれぞれの個性が。それがこのバンドの良い部分だと思うな。メンバー今まで色んなバンドの経験を蓄えて来てるから、その上で自分達の好きな事が出来るバンドをやりたくてこのバンドを始めたんだよね。だからそれが出来たこのアルバムは最高。

-インディーミュージック、自分達の手の届く範囲で自分の管理下でやれる自分達の音楽っていう醍醐味を考えると、オリジナリティーの価値って絶対的ですからね。今若い世代にそういう意味で心掴まれるバンドが今少なくて。。。

H:俺はパンク、ハードコアと同時期に同じ位The Stone Rosesみたいなブリッドポップも好きで聴いてたから、アウトプットする時にその両方が交わるのは事実としてあると思う。で、そういう音をやってたバンドが前のバンドを始めた当時周りに居なかったから、自分でも面白がってやれたんだと思います。 その自然に自分から出せてる感じと、ひとつじゃなく複数のジャンルから受けた影響を自分なりに落とし込んで出せてる感じ、これは自分がかっこいいと思えるバンドに共通項として必ずある感覚かもしれないですね。

-確かに前身バンドは当時インディーロックとハードコアパンクの架け橋みたいな存在でしたよね。

H:ただ面白いのが、普通若い時に激しい音楽やって、飽きて静かな音楽やるパターンが多いのに俺の場合は周りがハードコアバリバリやってる時にゆったりした音楽やって、今になってこのバンドみたいなハードコア感出してるっていう逆行してるってところ(笑)。

M:それがハジメなりの反骨精神だったんだと思うよ。前身バンドで最後まで100%やりたい事をできてたか、って問われるとそうでもなくて、やっぱり活動していく中で生まれてくる体裁もあって垣根のある活動だったからね。表現ややりたい音、見え方とか。だからThe Coastguardsでは前のバンドのお客さんが来てくれた時に同じ様に涙してもらいたい訳じゃなくて、もっと分かりやすく揉みくちゃになって楽しめるライブをやりたいと思ってる。もう自由にシンガロング!モッシュ!ダイブ!みたいな。涙しにライブに来る人お断り、的なね(笑)。

H:とにかく今やりたいことを自由にやるバンドだね、これは。その上でこのバンドを聴いて「あぁ、こんな音楽あるんだ」って単純に音楽に興味を持ってくれる人が増えたらそれが一番嬉しいかな。自分がそうだったように好きな音楽見つけて、その周辺や裏側に隠れてる音楽を漁るようになってまた新しいかっこいい音楽に出会うっていう。これを自分の音楽きっかけでする人が増えていく事が、今音楽やる上で一番の原動力だと思う。