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ジョゼ interview
- SPECIAL -

ジョゼ interview

透明度の高いガラス張りの部屋に差す、光の乱反射のような音像が創り出す音世界。 その無機質な清潔感の中に今回注がれたのは、対照的に人間じみたVo.羽深の心の内を綴る生身の言葉の羅列だ。 幻想の世界を創る方法論を以って表現する現実的な人の心の情景描写は、グレースケールに写る日常生活に彩度を与える癒しの力を持つ。

Interview & Text : 鞘師 至

自分とちゃんと向き合い続けるのが夢。

―ファーストフルアルバム、完成して手応えはどうですか?

羽深 創太 (Vo/Gt 以下 “H”): そうですね、とても満足してます。 今までも自分達らしさは引き出して曲を作ってこれてたとは思うんですけど、今回のアルバムでより方法論整理できた上で自分達らしさを出せた気がしました。 一人称だけでなく聴く人の側から自分達の音楽を客観視できた、というか。 そこが今までと一番違ったかな。 このバンド結成してから4年、ようやくフルアルバムだ!って感じです。 そうとう遠回りしました(笑)。

-4年前、メンバーとの最初の出会いは?

H: ジンジン(Dr中神伸允)と、以前のベーシストとは大学が一緒だったんですよ。 学年は違ったんですけど、同じサークルで一緒にいて、僕が大学3年でいよいよ本気でバンドで世に出てやろうと企んでた時にジンジンは就活中、これからの進路で葛藤しまくってた時期でした。 そんな中で彼が考えに考えた結果やっぱり音楽がやりたい!って見切った瞬間、俺が捕まえました(笑)。 よし、一緒にバンドやるぞ、って。

-就職活動ね、日本のこの風潮は狂ってる。

中神伸允 (Dr 以下 “N”): そう、マジで狂ってましたね。 どうやってもいくらやっても馴染めなくて、本当苦しかった時期です。 バンドを選んでよかったです。

H: 実は俺も暫く就活してたんですよ、周りの学生と同じ様に。 家庭の中での体裁的にかたちだけでも就活しなきゃいけない立場だったんで、ジンジンが就活諦めた後にお下がりで貰ったスーツと鞄持って。 でもやっぱりどうしてもバンドやりたくて、途中から全く就活しなくなりました。 みんな狂ってる様にしか見えなかったんですよね。 死んだ目で覇気なくどこへ向かってるかも分からずにずっと用意された生き方に添って進む毎日とか。 こいつら人間じゃないなって思ってました。 だからどんなに辛かったとしても自分は別の生き方を探さなきゃって。 それでこのバンドを始めたんです。

N: スーツと鞄懐かしいな(笑)、2人で使い回してもあれだけ使わなかった鞄は珍しいよ(笑)。 でもあのレールから早々に手を引いてよかったって思います。
味占めちゃいましたよ、もうみんなと同じは嫌だ。

-意気投合してこのバンドを組んだその時期、バンドで実現したい夢って何でした?

H: 進路を決める時に俺はバンドをやるって決心して、オヤジを説得する必要があったんですよ。 親は安定した職に就いて欲しいと願ってるし、息子がバンドの人生選ぶなんて簡単には納得してくれないですからね。 でもやっぱり社会人のベテランを前にして若者がプレゼンでそう容易く論破できる訳もなくて、オヤジ「お前何になりたいんだ?」、俺「俺は、俺になりたい!」、オヤジ「はい、意味分かんない。」みたいな口論が続くんですよ(笑)。 でも少し昔より成長して経験積んだ今なら胸張って言えますよ、自分と向き合うのが夢だ、って。 誰かの真似じゃない自分って何なんだっていうのを明確にしたくて音楽やってるんで、もちろん大きな野望として大勢の人達に受け入れられたい、曲気に入ってもらいたい、とかはありますけど、自分の好きな方法で自分と向き合えてる、常に、っていうのが夢だったんで、そういう意味では今その夢は叶え続けられてるかな。 ガキの頃は周囲に流されまくってた人間でしたからね、みんながポケモン買ってたら俺も買うとか、好きでもないゲームをやってみるとか。 クラスの友達ピラミッドの中で、その関係性の下層に行かないように周りに合わせて行動する、とか。 でも子供ながらになんとなく気付いてたんですよ、何かがおかしいって。 その反動もあってなんでしょうね、バンドと出会って純粋に自分が打ち込める事にハマって、これだ!っていうフィット感があったんですよね。 決定的に中学2年の夏、自分の中で悟って変わって自分で自分なりの生き方を作る様になっていきました。 音楽使って仲間を作っていったり、行動範囲を広げたり、学校で仲良しごっこしてる友達の輪より外に、自分の知らない世界が無限に広がってる気がして、いきなり人生楽しくなりましたね。 音楽のお陰で。

吉田春人 (Ba 以下 “Y”): 自分の場合はすごく単純で、バンドでモテるのが夢でした(笑)。 広く言えばひとに認めてもらう事ですね。 自分から見て、あぁくだんねえな、とか思う奴らって当時いたけど、彼等から見れば俺も同じだったんですよね。 何目標に何やってる奴か分かんない、ただ生きてる奴。 そういう自分が情けなかったから、周りのやつらに、おぉあいつがんばってるじゃん、って認めてもらうのが夢だったかな。

H: そっか、おまえモテたくてこのバンド始めたのか。。。

Y: そうだよ、最初はほんとそれ(笑) 十分過ぎる理由だ(笑)

H: なんか安心したよ、逆に何か重いもの背負ってる訳じゃなくて(笑)

-吉田さんとの出会いはいつ頃?

H: 去年の夏前に前任のベーシストが抜けた時に、すぐ頭に浮かんだのが春人(吉田 春人)だったんです。 以前は別のバンドをやっていてジョゼとよく対バンしたりする仲だったのもあって、春人はよくライブを見に来てくれたんですよ。 打ち上げにも自然にいるし、何度飲み明かしたかっていうくらい一緒にいたんですよね。 だから割と必然的に春人とやる事がイメージできてました。 前のメンバーが抜けてピンチだ、でも俺達止まる事なんて全く考えてない、、、もう直ぐに春人に電話してました。 でも電話口ではなかなかバシっと入ってくれって言えなくて。

Y: すごい回りくどかったの覚えてるよ(笑)。 BUMP OF CHIKENの新譜聴いた?みたいな話しから始まってね。 ベース弾くバンド探してるんでしょ?いいバンド知ってるよ、って(笑)。 でも何故かなんとなく予感してたんですよね、誘われるのを。 だから話しが早かったですね。

H: BUMP OF CHIKENもそうだし、春人とは音楽の好みが合ってたんですよね。 ジョゼのライブも見てくれてるし、あとは何より曲を知っていてくれてて好きでいてくれていた事。 要素が揃いまくってたんで、誘うのに迷いは無かったです。

-加入してまだ1年目ですけど、ライブを見る限り今はもうしっかりバンドに馴染んでそうですね。

Y: 去年のShelterワンマン終わりくらいでちゃんと馴染んだ感じがしましたね。 あとはやっぱり今作のアルバムを一緒に作れた事。 これが自分のバンドって自信持って言える一番の要員になったかも。

H: こんなに気の合う奴らと自分がかっこいいと思える音楽やれてる時点で既にひとつ夢叶ってますよね。 言いたい事を作品にできて、好きな音楽やれて、ほんと今良い状態です。
もっとみんなのことが知りたくなった。

-本作「Sekirara」、歌詞では世の中を斜めから見るような皮肉も込められてたりしてますが、メンバーがそうやって純粋にバンド楽しんでるテンション感が歌詞とか楽曲の遊びの部分から伺えるのがこのアルバムの良い部分だなって思いました。 気持ちが出てる、というか。

H: このアルバム、コンセプトが元々あった訳ではなく、タイトルの『Sekirara』っていうのもなんかしっくり来て最後に付けたんですよ。 でも自然と表現できたのは自分達の素の人間味なのかな、と思います。 前作まではどちらかというとカッコつけた世界観を提示しようとしてた気がする。 それはそれで狙いとしてOKなんですけどね。 ただ次のステップに上がる為にはどうしたらいいか、って考えたらもう生身の自分を描写するしかないな、って思ったんですよね。 MP使って魔法使ってても最後はやっぱり肉弾戦でHP削るみたいな(笑)。 お客さんと真に向き合う為には自分がまず生身にならないといけない。 本当に心の通ったやり取りができるのはその方法しかない、って思ったんですよ。 昔はね、自己啓発で手一杯だったけど、今は気持ちが外へ向き始めたんだと思う。 お客さんの立場から見える音楽を意識できた上で自分の好きな表現を創り上げていく作業が今は楽しい。

-今回羽深さん自身が描いたジャケットに使われている絵も、これまでのジャケットと違った生身のやわらかさが出てますよね。

H: 前から絵は好きでよく落書きしてたり、なんとなく描くようなゆるい絵が好きだったんですよ。 で、いつかこういうエッセンスもバンドで使いたいなって思ってたんで、使うなら初のフルアルバムになる今回だ!と思って描いてみました。

-今作のアルバム通してのメッセージってありますか?

H: 意思表明ですね。 前のメンバーが抜けて、やべえもう後がないぞ、っていう状況で決め込んだ自分なりの意思表明。 俺は昔からねじ曲がった性格なんで、いろんな事からカッコつけて逃げたがる癖があるんですよ。 自分の美学だから、とか何とかキレイ事言って、その場から逃げるっていう。 でもメンバーも変わって今、次のステップ上がらなきゃって事を考えたらそんな事してられなくて、ハダカになって赤裸裸でもいいから生身の自分で表現するのが必須だなって、思って作った今回のアルバム。 今の自分の決意を背負った生の想いを込めたアルバムです。 だからこんなにあまのじゃくで卑怯な人間の俺でも覚悟決めて向き合った生身の作品、聴いてみて触れてみてリスナーの人にも同じ様に自分と向き合ってもらえたら嬉しいです。


<Release 情報>
2015年1月21日(水)発売 DQC-1429(KSF-012)
ジョゼ 1st Full Album 「Sekirara」 ¥2,500(税別)
収録曲
1.Gravity Sky (リード曲:MV曲)
2.Moment  (ONAIR推奨曲)
3.Friendless Friend
4.ルサンチマン
5.硝子の漂流記
6.Adolescence
7.アンドロメダに願いを
8.雨邪鬼マーチ
9.36F View
10.Biographer (ONAIR推奨曲)
MUSIC VIDEO 「Gravity Sky」

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<TOUR情報>
ジョゼ 1st Full Album 「Sekirara」Release Tour
ONLY (Y)OURS TOUR 2015
2015.1.27(火)下北沢SHELTER
2015.1.30(金)福岡graf
2015.2.01(日)広島4.14
2015.2.02(月)神戸 太陽と虎
2015.2.04(水)名古屋CLUB UPSET
2015.2.11(水・祝)千葉LOOK
2015.2.14(土)渋谷club乙&渋谷DESEO
2015.2.18(水)水戸LIGHT HOUSE
2015.2.21(土)心斎橋pangea
2015.3.01(日)仙台Flying Son
2015.3.03(火)下北沢251
2015.3.08(日)札幌COLONY
2015.3.13(金)広島CAVE-BE
2015.3.14(土)TENJIN ONTAQ(天神音たく)
2015.3.23(月)大阪LIVESQUARE 2nd LINE
2015.3.24(火)名古屋ell SIZE
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ジョゼ 1st Full Album 「Sekirara」Release One-man
ONLY (Y)OURS TOUR 2015
2015.4.4(土)shibuya eggman
open 18:00 / start18:30 オールスタンディング 2,500円(税込)drink代別
info. shibuya eggman 03-3496-1561
*http://jozeband.comにて先行販売中