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テスラは泣かない。 interview
- SPECIAL -

テスラは泣かない。 interview

自分が認識する自分像と他人から見た自分の像のズレ、そこにコミュニケーションのカギがあると学者は言う。 本人達のまだ知り得ないバンドの可能性を暗示するような、一見難しそうでいて実は至極前向きなタイトルが付いたテスラは泣かない。のメジャー2枚目となるフルアルバム『ジョハリの窓』。 「このアルバムは最初から新しい事をやろうと思ってた」と、村上 学(Vo/Gt)は言う。 まだまだ広がる楽曲表現の豊かさと、それでも軸足ブレずに芯に据えるテスラらしさが共存するバランス感覚を以前よりも確信的に捉えたのが今作の力強さに繋がっているように思える。 制作の内部事情は、今回も作詞作曲を手掛けるフロントマンの村上に訊いた。

Interview & Text : 鞘師 至

好きな事やる、サビ3回、4部構成、あとは今を歌う。それがこのアルバム。

– 今作、テスラの第二期と言える様な真新しさが曲の細部にたくさんありました。 アイディアを蓄えるのに時間がかかったんじゃないかと思ったんですが、どのくらいのペースで作っていったアルバムですか?

■村上 学(Vo/Gt 以下M): 3ヶ月で作ったアルバムなんですよ。 3月にリリースした前作のミニアルバム『ONE』が出来上がったのが去年の12月で、その頃から8月頃には次作をフルアルバムで出そうという案が出ていて、リリースとツアーとかもあったんで結構タイトだなーと思ってたんですけど、制作期間が近づくに連れてどうやら本当にやる事になるぞ、と覚悟決めてました(笑)。 で、曲作りし始めてから3ヶ月。 1ヶ月で4曲仕上げるっていう目標を自分に課して作って行きました。

ー1ヶ月4曲を3ヶ月生み続けるのって大変な状況ですね。

■M: そうですね、周りの人からしたら結構追い込まれてるように写ってたみたいですけど、自分的には『ONE』の時の方が煮詰まってましたね。 『ONE』の制作の時は自分の中で色々と曲の合格基準があって、受け入れられるものになってるかどうか、とか”良いか悪いか”で判断する必要があって大変だったんですけど、今回はそういうのを全部取っ払って自分が”好きか嫌いか”の基準でOKだったら全部合格にしたんですよ。 もう始めからそのつもりで作ったから、気持ち的には自由にやれましたね。 外を歩いてるときに出て来た鼻歌が自分で気に入ったり、ギター弾きたくなってなんとなく弾いてる時のフレーズが気に入ったり。 好きだな、と思ったものはかたちにしようと思って作った曲ばっかりなんで、苦しくはなかったです。

ー 確かに『ONE』よりも曲構成がなめらかというか、メロディーラインやリフ展開のハマってる感じが強いと思いました。

■M: そうかもしれないですね。 大枠はスムーズに進みました。 最後だけ、アレンジ部分でピアノを載せる時には改めてこだわり始めちゃってけっこう苦戦しましたけどね。

ー 元の自分の要素以外のものとの掛け合わせで難航した、と。

■M: そう、多分最初にイメージしきれてなかった部分なんでしょうね。 実際セッションして繰り返し音鳴らしてやってみての作業で完成させたというか。 でも最終的にばっちりハマった時は達成感あってよかったです。

– これだけ多彩なアレンジメントをしてもキャッチーっていうのもこのアルバムの強みなんじゃないかと思います。

■M: 今回の曲、全部サビが3回出てくるんですよ。

ー 確かに! キャッチーのギミックはそれですか。

■M: それを最初から新しい試みとしてコンセプトにしてたから、軸があって作曲しやすかったんですよ。 今まではサビ2回でどうにか各曲展開をドラマティックに仕上げる必要があった分、3回サビがあれば他の部分の組み立て方が見え易い。 一番聴いてもらいたい部分をより一層アピールできますしね。 それが今回やってみたかった。

ー ちなみに今回の曲で一番の推し曲は?

■M: 一番か…今回アルバムの流れが4部構成になっていて、ダンスロックコーナー、ミドルテンポコーナー、ロックンロールコーナー、ポップスコーナーに分けて曲を作っていったんですけど、自分的にはそのコーナーごとにそれぞれ代表曲があるんですよ。 ダンスロックコーナーだったら「Oh my God! (M1)」が出来上がって、よし、これでいけるっていう確信ができて、ミドルテンポコーナーでは「Let me know (M3)」が出来てこれだ!と思って、ロックコーナーでは「太陽 (M7)」、ポップスコーナーでは「世界が瞬きしている間に (M2)」で軸を掴んだ感じがしました。

ー なるほど。 その中でもロックコーナーでは「太陽」のイントロや「サバイバー (M9)」のイントロ、「Sunday night sunny (M5)」の2番Aメロ後ろで鳴ってるガンガン歪んだギターの音だったり、骨太なロックフレーズっていうのに新しさを感じました。

■M: そうなんですよ!「Sunday night sunny」のあのフレーズ、初めてハムバッカー(※1)で鳴らして録った部分なんですよ。 ここ今初めて話題に上げられました(笑)。

ー テスラのイメージだとシングルコイル(※2)でカラッとしたギターの音がいつもの定番だったから、何か意図的に入れたのかな、と。

■M: ええと、実は僕元々ロックなんですよ(笑)。 BLANKY JET CITYとかが好きでバンド始めてるし、そもそも僕の中にロックンロールはあるんで、そこをこのまま出さずに人生終わるのは嫌だな、と思って(笑)。 本当にね、”あ、ロックやらないと!”って思ったんですよね、『ONE』出した後に。 「太陽」ではチューニング半音下げしてたり、今作でやってやろうと。

ー テスラでダウンチューニング、意外性あってアツいですね(笑)。

■M: そう、低いんですよあの曲。 あと「サバイバー」でもギターもベースもドロップD(※3)だし。 作ってて楽しかった。

ー なんかこの先も持ってる楽器変えたりするだけでどんどん違うアプローチのフレーズ出てきそうですね。 マホガニーにハムバッカーでハイゲインアンプ鳴らしてみるとか(笑)。

■M: 本当そうなんですよね。 色々と試行錯誤したいと思います。


片寄さんは僕がどうしたいかを諭してくれる人。

ー 今回、プロデューサーに片寄 明人さん(GREAT3、Chocolat & Akito)が入ってますが、共同作業してみてどうでした?

■M: 以前ミト(clammbon)さんにプロデュースしてもらった時みたいに楽曲のアレンジが劇的に変わったりというのはなくて、今回アレンジや曲の尺は片寄さんが入る前にほぼ決まってる状態でした。 だから自分である程度見えてた部分というのはこれまでの作品の時よりあるのかもしれませんね。 それでもいろいろ方法があって最後まで迷ってる箇所はあって、平メロの後ろにオルガン入れようかな、とか、ギターのダビングをどうするかとか、そういう細かい部分が答えまで辿り着かない時に片寄さんが納得の答えを導いてくれました。 僕が出したい音をすごく深く分かってくれていて、それを考慮した上での方法論をアドバイスしてくれるんですよね。 「村上くんのやりたい事を具現化するんだったらこっちかもね」みたいな感じで僕が自分でも気付いていない目的意識を気付かせてくれる、というか。 自分のアウトプットの仕方を自分でまだまだ理解しきれてないんだな、というのを今回自覚するきっかけにもなりました。

ー 片寄さんはクリエイターとしてではなく、アドバイザーとしていてくれた感じ?

■M: 本当にそんな感じでしたね。 あくまで僕の頭の中を理解してくれて、メンバーとの間では通訳みたいな役割もしてくれてました。 僕がうまく自分のイメージをメンバーに伝えられてない時に何故か片寄さんがそれをすごく理解してくれていて、メンバーにもそれが伝わる方法で理解させてくれたりとか。 すごくありがたかったです。 あと、唯一「さなぎ (M8)」に関しては別で、アレンジまで片寄さんにも入ってもらって完成した曲です。 最初この曲はセルフプロデュースの曲だったんですけど、他の曲で作業を進めて行く中で、片寄さんが「この曲もやってみたい」って言ってくれたんですよ。 で、片寄さんがやられているGREAT3の雰囲気が好きだったし、あの要素がこの曲に入ったらいいなぁ、と思ったんでお願いしました。 この曲に関しては始めにあったテスラの要素だけじゃなく、片寄さんの音楽性が反映されて新しい形に変化した曲ですね。

ー 一方で「さなぎ」の歌詞に関しては、非常に村上さんらしいですよね。

■M: それどんなイメージですか(笑)!?

ー これだけバンドが前進してもまだ閉じてる部分もあるっていうのが変わらず謙虚でいいな、って(笑)。

■M: まぁ、そうかもしれないですね(笑)。


アルバム名にはまだ知らない自分への可能性を込めて。

ー アルバムタイトル『ジョハリの窓』というのは?

■M: これは心理学用語なんですけど、自分の人格を”自分も他人も知る自分”、
”自分しか知らない自分”、”他人しか知らない自分”、”自分も他人も知らない自分”の4つに分類して捉える考え方を解いた説で、そういう未開の自分の部分、みたいのを表す事のできる言葉だな、と思って付けたものです。 実はこの学説の話し、『ONE』のインタビューの時にこの冊子で話してましたよね。

ー 4つの窓の話し、しましたね! 覚えてます。 ちなみに曲はそのコンセプトありきでそれぞれ作って行った? それともタイトルが後?

■M: タイトルは後で付けました。 「ワンダーランダー (M6)」がジョハリの窓の事を歌ってる曲なんですよ。 僕は僕の事を分かってるつもりだけど本当は分かってない、っていう。 で、いつも自分が歌う歌詞カードに、この曲は何について歌ってる、っていうのをメモ書きしてるんですけど、それでこの曲の歌詞に(ジョハリの窓について)、って書いておいたらスタッフがそれを見つけて、この言葉いいね、っていうことになって最終的に作品のタイトルになった、という流れです。

ー それでも得てして曲を並べてみると歌詞では、君と僕との関係性、みたいなものがテーマになっているものが多いですね。

■M: 確かに、おもしろいもので結果的にそうなりましたね。 最初に決めていたコンセプトは3回サビが来る事、ダンスロック、ミドルテンポ、ロックンロール、ポップスの4コーナー構成、っていう事だけだったんですけどね。 あとは前作から変わってる面で言えば歌詞では、今の事を歌うようになった事ですね。 今まではいつも未来はきっと明るい、っていうことを歌ってたんですけど、今回は今をもっと大事にしよう、っていう現実の場にフォーカスした考えを書いてます。

ー 自分たちの表現っていうものを掴んで来ている感覚は以前より強い?

■M: そうですね…でも本当につい最近です、そういう自覚が出てきたのは。 このアルバムを作りながらツアーを廻っていろんなバンドと対バンしてきて今、9/1に控えてる全曲ライブ(【ジョハリの窓】全曲再現ライブ)のリハーサルでスタジオで曲を演奏しててようやく実感してます。 俺達ってやっぱりこうだよね、っていう確信というか。

ー テスラらしい音楽性の軸の部分を譲らずに、切り替えが効く外的要素を新たにどんどん取り入れてる感じのアルバムだな、と感じたんですよね。

■M: なるほど。 そう言われて思いつく芯っていう部分でいえば曲展開のストーリー性がマストって事かもしれないですね。 サビに繋がっていく前の煽る感じとか、耳で聴いてるんだけど情景が目で見えるような展開というか。
ダンスロックと謳われても踊れるだけじゃダメというか。

ー そういえば抑揚のある展開っていうのは「アンダーソン」の時からずっとあった部分ですね。 それってビートのコンビネーションの沙汰だと思うんですが、今作ではドラムのリズムのバリエーションも広がってますね。 「ワンダーランダー」のイントロが自分的に一番革新的でした。

■M: そうですね、元々サネ(實吉祐一 / Dr)はストレートなロックとかパンクのビートがハマる男だったんですけど、最近はクリックに合わせて練習してたり、自分でPCでトラックを作ったり、いろんな音楽を聴いてインスピレーション養ったりしてプレイの引き出しを増やしてきてるのを感じてたんで、今ならやれるんじゃないか、と思って作ったのがこの「ワンダーランダー」です。 1年前ではここまでもってこれなかった曲ですね。 昔に作ってたら全然格好悪かったかもしれない(笑)。


ツアータイトルはジャケットの注釈から。

ー ジャケット写真の話しを少し聞きたいんですが、これには何かコンセプトがあったんですか?

■M: これ、あり得ない現象が起こってるんですよね。 水の中にコンセント突っ込んでるけど放電しきってないし、何かが炸裂した後みたいにコップからは水が漏れてるし、おかしな事が起こっている、っていう描写。 何か想像力を喚起させるものを、という依頼をデザイナーさんに出していくつか出してもらったアイディアからメンバー全員一致で、このジャケットの危なっかしさとか、なんだかよく分からないけど色々連想してしまう感じが良いって事でこのジャケットになりました。 で、このジャケット関連で名前を取ったのが今回のリリースツアータイトルなんですけど、このジャケット、裏に「このイメージは、作品の世界観をビジュアル化した架空の表現であり〜大変危険ですので絶対に真似しないで下さい」っていう注釈を入れないと行けないという事になって、書いてあるんですよ。 そのネタを後で一生懸命説明するみたいな状況が僕的に笑いのツボに入ってしまって、ツアータイトルにしちゃいました。

ー そういう経緯ですか(笑)。 このタイトルなんだろうな、って思ってました(笑)。 しかし今回の楽曲、ライブで臨場感増す感じのアプローチが多いと思うんで、ドカーン!とライブハウスの大音量の環境で聴きたいですね。

■M: 今作、今少しずついろんな人に聴いてもらって感想貰ってるところなんですけど、けっこうポップになったと言われるんですよ。 でも自分的にはライブで聴いてもらったら今までのどのアルバムよりもロックに聴こえるんじゃないかと思ってるんですよね。 早くその感覚を聴いてくれる人とも共有したいと思ってます。 CDではいなたい感じには仕上げたくなかったんで割とロックンロールなリフでも極端にヘヴィーにならないようなイコライジングだったり、仕上がりをエンジニアさんに依頼して作ったんですけど、やっぱりそのへんのダイナミクスはライブでは出ますからね。

ー ライブとはまた別ですが、「サラバ (M4)」のMVも拝見しました。 音楽もそうだし、着てる服とか、そういうもの全部に意識って宿るじゃないですか。 先程村上さんが言っていた今、っていう現代感がファッション面とかも含めて反映されてる感じがして、テスラってこういうバンド、っていうオリジナリティーにちゃんと精通してるMVだと思いました。 こういう音楽を、今の時代にこのメンバーでやってるオリジナリティーが視覚でも分かる、というか。

■M: これは正に衣装を2種類使ってるんですけど、タイトルの「サラバ」っていうのが昔の自分にさらば、っていう意味でそれに乗っ取って昔バージョンの自分と現代バージョンの自分、という2つの衣装で撮ったMVなんですよ。 新しい感覚、出せてたら良いですね。

ー 今、当面の照準はどこに?

■M: 夏には色々楽しみにしているライブも決まってるんですけど、9月にはこのアルバム全曲再現ライブ、そのあとレコ発のツアーもあるので、そこ目掛けてリハーサルしてます。 もう早くライブで新曲やりたいし聴いて欲しいですね。


※1… ギターのピックアップの種類。 一般的に通常村上の使用するものに比べて骨太なサウンドが得られると言われている。
※2… ギターのピックアップの種類。 通常村上が使用しているもの。
※3… チューニングの方法。 低い設定にしてサウンドに重さを出す目的で用いられる事が多い。

【リリース情報】
Major 2nd. full album
「ジョハリの窓」
2015/8/26 on sale
Universal Music / Virgin Records
品番:TYCT-60070 価格:¥2,600+tax
[ 曲順 ]
1.Oh my God !
2.世界が瞬きしている間に
3.Let me know
4.サラバ
5.Sunday night sunny
6.ワンダーランダー
7.太陽
8.さなぎ
9.サバイバー
10.Tonight
11.セントロメア
【ライブ情報】
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【Special Event】
2015.09.01(火)東京・下北沢Daisy Bar
【ジョハリの窓】全曲再現ライブ
前売:¥2,000 / 当日:¥2,300 (D代別)
※このイベントはチケット1枚につき、2名までご入場頂けます。
(ドリンク代は個別にいただきます。ご了承下さい。)
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【Tour Schedule】
「ジョハリの窓」 release tour 2015-2016
”感電”
-大変危険ですので真似しないでください-
■2015.10.25(日) 東京・shibuya eggman《ゲストあり》
■2015.10.26(月) 宮城・仙台 enn 2nd《ゲストあり》
■2015.11.27(金) 兵庫・神戸 MUSIC ZOO KOBE 太陽と虎《ゲストあり》
■2015.11.28(土) 岡山・ PEPPERLAND《ゲストあり》
■2015.2.22(火) 鹿児島・CAPARVO HALL (ONE-MAN LIVE)
…..今後も各地追加予定!
~FINAL SERIES~
■2016.01.30(土) 大阪・LIVE SQUARE 2nd LINE 《ゲストあり》
■2016.01.31(日) 名古屋・池下 CLUB UPSET《ゲストあり》
■2016.02.13(土) 東京・shibuya eggman (ONE-MAN LIVE)
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【Live Event】
・2015.08.06(木) 福岡・Queblick
《四星球方向性会議》w/ 四星球
・2015.08.22(土)東京・ライブサーキット
《DISK GARAGE MUSIC MONSTERS -2015 summer-》
・2015.08.25(水)栃木・HEAVEN’S ROCK 宇都宮 VJ-2
《RADIO BERRY ベリテンライブ 2015》 w/シナリオアート / ヒトリエ
・2015.08.29(土)名古屋・DIAMOND HALL & APOLLO BASE
《Re:mix 2015》
・2015.08.30(日)大阪・泉大津フェニックス
《RUSH BALL 2015》