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赤と嘘 interview
- SPECIAL -

赤と嘘 interview

「君に歌っているんだよ。」
そう簡単に言い切れないこの言葉を、圧倒的な想いと説得力で表現し歌いきった新作『日常マイノリティー』。
「赤と嘘」Voの森翼が語る、素直な言葉を聞かせてもらいました。

Talking Partner : TATSUKI

—-まずは『日常マイノリティ』10月12日発売おめでとうございます!

森翼(以下:翼):ありがとうございます。

—-今回のミニアルバムの話はいつ頃からあったんですか?

翼:今年の3月に流通盤第一弾の7曲入りミニアルバム『衝動ノスタルジア』を出した時です。それを録り終えたときには、もう「次作を年内に作りたい」って話をしていて。それから水面下では次のアルバムの曲を練って練って、「あぁでもない、こうでもない」って言ながら、ずっと作り続けてたんです。そんな中で実際にGOが出たのは、やっぱり5月3日に渋谷duo MUSIC EXCHANGEで行ったワンマンライブの後ですね。その時に沢山の人が来てくれていて「あぁ、こんなに待ってくれてたんや。」って思えて。

—-聴かせていただいたんですが、ザ!ポップ!ですね!

翼:ライブハウス中心で活動するようになってから、ポップスってメジャーシーンじゃないとできないものだと思ってしまっていたんです。自分がポップスでデビューしたっていうのもあったんですけど、ライブハウスでウケるものっていったらロックな方が多い…。
キラキラしていて「満たされている」ような音楽って、人によっては受け付けない事もあると思っていて。僕は不満とかネガティブなことを歌詞にすることが多いので、「じゃあ、ライブハウスの天井突き抜けてお茶の間に届く為にはどうしたら良いか?」僕が目指したいのはライブハウスと言っているけど、今やっている音楽性を一生やり続けるのか?と思ったらそうじゃない気もしていて。じゃあその自分が今まで得意やったポップスにライブハウスで培ってきたものを混ぜてみるっていうのはどうなんかな?って。
ちょっと中性的な声質なので歌詞でヘビーなことを言っても嫌味なく聞こえるっていうのは武器やと思うんです、結構刺さるような言葉とかを言っても中和されるというか。それでいてそれをポップスのなかで、「実はこんな風な気持ちでこんな風に歌ってるんだ!」っていう裏テーマがある方がよっぽどロックなんじゃないかなって思って。

歌詞をグッと減らしてロックサウンドで攻めるっていうパターンも考えたんですけど、自分から歌詞取ったらなんも残らへんと思って、歌詞が活きるようなサウンドでって考えたら、全体のバランスとしてアレンジやサウンド感はポップス寄りにしようと。
「デビューしてテレビとかに出たら音楽性とか変えちゃう訳?さみしいよ」っていう意見もあると思うんですけど、そうならない為にというか、自分が一つ絶対にブレないでいようと思っているのは、【常に一人に対して歌っている】と言うこと。今回のアルバムも7曲全部一人に向けての曲を入れました。「君たちはどうなの?僕たちはこういう事だからね」っていうのじゃなくて、「俺、お前に歌ってる」っていう曲を7曲入れて。
『「1」について』という曲でも出てくるんですけど、100人に僕が夢を語って、100人中99人に伝わらなくても、1人が頷いてくれれば…もう、その”1”っていうのは俺の中で99よりも全然大きくて。そのマイノリティな「1」について歌っている7曲なんです。

—-今回森翼的に「これやろっ!」とか、思い入れがある曲はありますか?

翼:超個人的なんですけど、今回のアルバムの曲は、どの曲を聴いても、その次に7曲目の『アンダーグラウンド』って曲が来る感じなんですよね。この曲が今自分のライブ活動の等身大で、きっと今自分のことを評価してくれている自分の目に見えている人たちなんですよ。僕の事を応援してくれているのは、ライブで会える人たちやから。その人たちがいいねって言ってくれている世界で僕が表現している等身大のもの。じゃあもっともっとライブハウス色を出してしまうと7曲目に入れることは出来なかったかもしれないし、だからプレイヤーとしてはこの曲が一番ぐっと来るものがあります。

—-なるほど。そして10月から初の全国ツアーがきまってますね!どんなツアーにしたいですか?

翼:今回、次の約束ができると思ったから会いに行きたいな思ったんですね。これで終わらへんって言う自信が絶対にあるし、さらに企んでる事があるんだよっていうのをブログとか文面でも勿論伝えられるんですけど、実際にその土地に行って、一緒の空間の中で伝えたい、そして喜んでもらいたいと思ったんですよね。久しぶりの全国ネットのタイアップもついて、こうやって取材もしていただいて、色んな人の目に触れる機会もありがたいことにまた少しずつ増えてきて。僕がずっとCDを出せなかった時期から比べたら、あり得ないくらい幸せな環境で今やらせてもらえるから。そういう感謝とか嬉しい気持ちを直接伝えに行きたいと思ったんです。
ファイナルの12月25日に大きな発表をしたいと思ってます。まだ言われへんしまだ決まってないからあれやけど(笑)。したいって思っているんです!!!

—-今作を聴いて下さる方々にメッセージをお願いします。

翼:一言でいうと、いっぱいある音楽の中から見つけてくれてありがとう。手に取って聴いてくれているってことは、もうすでに出会ってるってことやから、「見つけてくれてありがとう。」に尽きますね。音源は聴かへんけど、今この冊子で僕のことを見てくれている人に対して言えるのは「ライブを見てくれ!」。俺は、【君たちに歌っているんじゃなくて”君”に歌ってる、あなたたちじゃなくて”あなた”に歌ってる】。僕のことを知らなかった人が今、この冊子で知ってくれたんやったら、頼むからもう少しだけ知って欲しいと思ってます。

—-最後に今回のあえて漢字一文字で表すとしたらなんでしょう?

翼:漢字一文字で表すならば…、難しいなー(笑)!まぁでも…『苦』っていう字ですかね。
苦い経験をしてきたり、振り幅やと思うんです。一貫して言っている「ポップスの要素を取り入れた」っていうのも、キレイなもの・キラキラしたもの・明るいものをするにも、やっぱりその反対を知らへんとそれは出来ないし、やったらアカン。音源やったり配信やったり、実際目の前で直接歌わへんのやったらいいんですけど、やっぱりシンガーソングライターとして歌っているわけですから、やっぱ真逆の事も知ってないと表現できないし、表現したらいけないような気がしていて。逆に言ったらネガティブな曲歌う人はホンマの幸せ知っとかないと、今不幸なんです!っていうのは歌っても響かないと思うんです。
 今の僕は、そういう苦い経験とか苦節十何年っていうのがあって初めてたどり着いたものなので、ちょっと一見、「ん?」って思われるかも知らへんけど僕の中で漢字一文字はこれですね。