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SUPER BEAVER interview
- SPECIAL -

SUPER BEAVER interview

10周年記念 Zepp DiverCity ワンマンライブ全曲収録DVD+Vo.渋谷初の書き下ろし小説というSUPER BEAVERの代名詞とも言える「ライブ」と「言葉」その二つを余すことなく堪能出来るスペシャルセットが10/12にリリースされる。その二つの発信者である二人、ボーカルを務める渋谷龍太とギターの柳沢亮太に話を伺った。

Interviewer : ブッキングマネージャー窪田

-今回初のライブ映像作品をリリースするに至った経緯から聞かせていただきたいです。

渋谷龍太(Vo 以下…渋):今までライブ映像を作品としてリリースしたことがなかったので、どこかのタイミングでリリースしてみたいというのは前から頭の中にはあって、そして今作に収録されている4月のZeppDiverCityでのワンマンライブがSUPER BEAVER10周年の節目のライブだったので、このライブを作品にして残すということに意味があるなと思って、リリースに至ります。

柳沢亮太(Gt 以下…柳):2015年4月に10周年を迎えて「愛する」というアルバムをリリースして、ツアーを回って、今年の1月~3月までシングルをリリースして、10周年というこのタイミングで、今一度SUPER BEAVERというものを知ってもらおうという空気感はチーム全体にあったんですね。今回のライブ映像作品リリースというのはそこの側面が大きいのかなと。僕たちのことをずっと応援してくれている方はもちろんいますが、ここ数年で知ってくれた方もすごく多くて、いままでどういう経緯があってビーバーが出来上がってきたのか。なぜシンプルな言葉で届けようとしているのか。もっともっと僕たちのことを知ってもらいたいという気持ちが強くあって、それをわかりやすくみなさんに届けるにはライブDVDという形がいいんじゃないかというところに辿り着きました。ライブでやった全曲が収録されているし、セットリストも新旧織り交ぜたものになっていてビーバーの歴史を紐解くような部分もあったので。

-非常にわかりやすいですよね。僕はビーバー=ライブというイメージもあるし、今作は本当にライブDVDとしての完成度が高い。語弊があるかもしれませんが、生のライブに映像が勝てないと思っている人にも見てほしい。作品としてすごく完成されていますよね。

渋:ありがとうございます。映像では生のライブの熱量とかに勝てない部分はあるのは事実だとは思うんですが、オフショットだったり、ライブでの様々なアングルだったり、逆にあの日にあの場所に居た人の一つの視点では見えない、ライブDVD作品として意味のあるものが作れたかなとは思います。

柳:しかも価格もかなり抑えて作ったので、今までビーバーのライブを見たことのない方の入門編としてもアリだと思います。

-今、価格の話がでましたが、3980円というのは非常に安いですよね。しかも渋谷さんによる書き下ろしの小説とセット。この珍しい形態ができるのは純粋にすごいなと思いました。

渋:去年10周年を迎えたタイミングでSUPER BEAVER振り返り的なものをブログで書いていたのですが、そのブログではメジャーデビューまでで止まっていて、そこから自主レーベルをやって、その後NOiDに入ってとかいろいろな出来事があって、ZeppDiverCityにたどり着くまでという物語を文章化して今作のDVDにつけたら、今一度SUPER BEAVERというものを知ってもらおうというのがよりわかりやすく届けることができるツールになるなと思ってこういった形態にしました。

-小説を読んで渋谷龍太という人間は本当にすごいなと感じました。これだけの作品をしっかり書ける人はそうそういないですよ。こうやって文章を書くのは以前からやっていたんですか?

渋:高校3年生の時ですかね。急に書けるようになったんですよ(笑)。それまで読書感想文とか本当に苦手で書けなかったのに。本を読んでいたら文章の組み立て方とかが急に理解できるようになりました。

-改めてSUPER BEAVERすごいなと、感心してしまいました。この形態での作品が作れるバンドっていないんじゃないかと思います。

渋:「言葉」という物を武器に、個性にしているバンドだから「言葉」を音楽に乗せてではない別の形でも表現することができて、「言葉」というものを大切にしているバンドということが改めて感じてもらえたら嬉しいですね。

-しかもこの小説を書いているのがメインで作詞を担当している柳沢さんではなく、渋谷さんというところも面白さかなと感じました。

柳:そこは確かに面白いかもしれないですね。でも普段書いている歌詞と渋谷が書いた小説には整合性があって。

-そこなんですよね。ライブDVDで歌っている内容・MCと小説には同じ芯がある。発信者が違うのに芯は同じ。不思議な感覚もありました。

渋:バンドを続けてきて僕と柳沢の感性がどんどん近づいているという側面はあるかもしれないですね。すごく良いバランスで2人の視点が成立しているのかなと。SUPER BEAVERが発信する作品の形として新しいところに辿り着いた感覚はあります。

-今後SUPER BEAVERがCDをリリースする際に小説とセットになっていても全く違和感ないですもん。今作の「未来の続けかた」というタイトルにも繋がっているのですか?

渋:タイトルかなり悩んだよね。

-ライブDVDって大体そのライブのタイトルをそのままつけるのが多い中で、別のタイトルがついているのも珍しいですよね。

柳:アルバムとかはそれぞれにテーマやコンセプトがあってそこに入っている曲たちのことを考えてタイトルをつけますが、今回のライブDVDだとさまざまなタイミング、さまざまな感情で書いた曲たちがあって、しかも小説という形でぼくらの歴史を振り返っていて、このひとくくりの作品のことをなんという言葉で表現するかというところですごく悩みました。自主レーベルを立ち上げてから最初に作ったアルバムに「未来の始めかた」というタイトルをつけていて、バンドをこうやって続けてきて、続けてきたことで見えてきた景色、経験が少しずつ増えてきて、それってバンドにとっての一つのテーマかなと思って、このタイトルにしました。10周年というものを掲げていろいろやりましたが、ここは区切りや締めくくりではなく、あくまで一つの節目なだけで、ビーバーはここからさらに続いていくので。今後の伏線にもしたかったんです。4月のあのライブから5ヵ月近くが経って、次に回っている今ツアーも終盤戦に差し掛かっているタイミングで、今の時点ですでに未来に進んでいますからね。

渋:MCや小説の中でも触れていますが、僕本当にバンドの10周年というものを本当に意識していなかったんですよね。年数数え間違えていたくらいだし。だから10周年を迎えてもちろんみなさんへの感謝などはありますが、あくまで節目の一つかなと。

-10周年をあくまで節目、10周年というものを意識していなかったと言えるのはバンドとしての強みに思いました。

渋:年数を区切りと考えてしまうと、その時に一旦休憩してしまうような感覚になりそうで嫌だったんですよね。

-DVDの内容になっている公演を改めて振り返ってみて、あの日はどんな1日でしたか?

渋:とにかく嬉しかったですね。なんの意識もせず挑んだ10周年というものをふと意識してしまったというか、今まで歩いてきた道のりを一瞬俯瞰的に見てしまった瞬間にエモーショナルな気持ちになりました。あの日は本当に自分たちの力だけでは成立していなくて、会場入りした段階からいろんなスタッフさんの顔が見えて、そんな人たちが「頑張れよ」って俺たちを送りだしてくれて、ステージに立った瞬間にはお客さんはもちろん、お世話になった方々や身内などたくさんの方々が迎えてくれて。本当に感動的でした。音楽を続ける意義が改めて見えたような感覚もありましたし。

-僕も最後のほうの渋谷さんのMCではかなりグッときました。

渋:あれは自分でも予期せぬ出来事でした。あんな感じになるのは卑怯だと思っていたので。

-意外でした。それほど感情が高まったということですね。柳沢さんはあの日を振り返ってみてどうでしたか?

柳:渋谷がライブ終わったときに今日はどうでしたか?という質問に対して「すごく美しい日でした」と言っていたんです。それを聞いて、なるほどって思いました。すべての条件が揃うことって稀にあると思うんです。ある種の完成形と言うか。この言葉ってこれからのビーバーを象徴するものなんじゃないかなって。これが次作のテーマになるかもしれないなと思っています。

-その一つの言葉を言える渋谷さんもそれをキャッチできる柳沢さんもすごいです。その発信力と感受性は素晴らしい。すごく素人のような質問になってしまうのですが、ライブハウスで働く1スタッフとしての興味で聞きたいことがあります。ライブの時になにを考えてライブをやっているんでしょうか?

渋:人と話しているのと同じ感覚ですね。そのツールが音楽なだけ。手を挙げたりとか声を出したりとか、僕らの音楽を受け止めるだけでなく、お客さんも感情を発信していると思うんですよ。だから会話みたいなもんだなって思います。人と話すときにどうやったら伝わるかなとかこう言ったらこういう反応かなとか、こういう反応が返ってきたからじゃあこうしようとか。コミュニケーションの一つですかね。

-ありがとうございます。今のお話しを聞いてすごくしっくりきました。だからこそSUPER BEAVERのライブは心に響くんだなと。ライブ時のゲン担ぎなどはあるんですか?

柳:逆にそういったものを作らないように意識していることですかね。ゲン担ぎをして失敗した時のダメージって計り知れないじゃないですか(笑)。

渋:確かにそれはあるね。ゲン担ぎを持ってしまってそれが出来なかったときとか焦ってしまいそうで。

柳:できるだけそういった痕跡を残さないようにしています。ツアーファイナルの前の日だから早く寝るとか、そういう意識はなるべく持たないようにっていう意識で動いてしまっているのでそれがすでにゲン担ぎ的なものになっているかもしれないですね(笑)。

-渋谷さんはどうですか?

渋:ゲン担ぎ的なものはないですが、ライブ前にコーヒーを飲んでその日のセットリストを自分の字で書きだすということは毎回やっています。そしてその日歌う曲の歌詞をできるだけ多く書き出すという作業をすると、その日流れも頭の中に入ってくるんです。こんなこと言っていますが先日セットリスト間違えてしまいましたけど(笑)。しかもこの作業をすると自分の心境・精神状態が把握できるんですよね。

柳:その日に雑念が多いと歪んでるって言ってるよね。

渋:そうなんだよ。字が小さくなってたりとか行間が空いてたりとか。字の状態で自分の状況がわかるので、それに従って本番までの過ごし方を変えています。例えば対バンライブで自分たちの前にやっているバンドさんがいたとしたら、そのバンドのライブを長く見るのか短く見るのかとか。

-その日書いた字が渋谷さんのバロメーターになっているんですね。先ほどお話しもでてきましたが、現在絶賛ツアー中ですが、手ごたえはどうですか?4月のZeppDiverCity公演を経ての変化などありますか?

柳:ZeppDiverCity公演があったからということでの自分たちの変化はないですかね。

渋:自分たちの変化はあまりないですが、みなさんからの期待値の高さ、求めらている嬉しさみたいなものは感じています。

柳:先日リリースした『27』というアルバムが今まで以上にみなさんに届いているという感覚もありますね。それと10周年や各地でのフェスの参加などさせてもらって、その甲斐あって全会場ソールドアウトという結果にはなって、その結果に対して各会場蓋を開けてみると今まで見たことのないような熱気というのは感じます。僕らの熱量に対してさらに大きい熱量で返ってくる。それが本当に楽しいし、もっともっと作り上げていきたいですね。きっと11月のZeppDiverCityでのライブは4月とはまた違った雰囲気になるとは思います。この各地の熱量がZeppDiverCityに集まったらとんでもないことになりそうです。

渋:一番楽しかったと思えるような日を作りたいですね。ツアーファイナルというスペシャル感はありますが、それ以外のスペシャル感を持たせたくなくて。純粋に楽しみたい。

-すごいことになりそうですよね。

渋:やったらやり返されるみたいなライブの感覚。さきほども話したようにライブって会話だと思っているので、やっぱ反応が大きいと嬉しいですよね。

-楽しみにしています!