このサイトはJavaScriptがオンになっていないと正常に表示されません

徒然書簡 interview
- SPECIAL -

徒然書簡 interview

結成当初から、コンポーザー2人が手掛ける緻密な楽曲制作と、5人のバンドメンバーが魅せるライブパフォーマンスによって独自の音楽性を磨いてきた徒然書簡。3作品目となるフルアルバム『詩歌』のリリース、そしてそのアルバムを引っ提げたリリースライブ”視歌”を目前に控えた彼らに、今作に込めた想いを語ってもらった。


徒然書簡:Vo.kuu / Gt.shion / Key.hayato / Ba.米内丈瑠 / Dr.古都子 / Composer.天笠凪, 頌生

Interview&Text:古川誠人

ーeggmanマガジン初登場ありがとうございます!まずは、バンド結成の経緯から教えてください。

天笠凪(Composer):自分と頌生が同じ大学の同じゼミで、音楽の話をしているうちに、「一緒に何か作ってみたいよね」という話になりました。最初は軽い気持ちの一歩だったんですが、気付けば本気で作品を作りたいと思うようになっていきました。

頌生(Composer):元々はバンドでやる明確な構想があったわけではなかったんです。天笠の「バンド形態でやりたい」という提案で、そこからメンバーを集めていって今の構成になりました。

ー「徒然書簡」というバンド名はどのように生まれたのでしょうか?

天笠:当初はバンド名に強い意味を込めていたわけではないんです。響きや文字の佇まいなどの印象がしっくりきた名前で、後から「書簡」や「手紙」というモチーフが楽曲と自然に結びついていきました。別の名前だったとしても、やっていることはそんなに変わらなかったかもしれません!

 ー 楽曲制作はコンポーザー2人が進めているとのことですが、どのような流れで作っているのでしょうか?

天笠:楽曲によって、”曲先””詞先”は様々ですが、タイトルだけ先に決まっている曲が多いです。EPやアルバムの制作時期にタイトルや構想を練って、そのタイトルの景色に沿って曲を作っていきます。

頌生:天笠から「こういう曲がほしい」と具体的なオーダーをもらうことが多いです。そのイメージに沿いながらデモ段階でかなり細かく作り込んでいます。一部のギターは自分で実際に弾きながら作っていて、表現のニュアンスを大事にしています。

ー12月に3rd full album 『詩歌』 が配信されます。今作のテーマやコンセプトについて教えてください。

天笠:前作『文藝シネマ』は徒然書簡のこれまでを総括するようなアルバムでした。一方で今作は、新しいフェーズの第一歩という意識があります。『文藝シネマ』は多くの方達に受け入れられるように制作したのですが、今回の『詩歌』は更に多くの方々に届けられるように間口を広げるために「大衆性」をテーマとしてより意識して制作しました。

 ーアルバム全体を通して、“徒然書簡らしさ”を感じられる所を教えてください。

kuu(vo):今回のアルバムはシンセサイザーが強く感じることができる曲が多いですが、それが新鮮で、とても作品の魅力になっていると思います。でも、根本の”詞”や”メロディー”の世界観は変わらずコンポーザー2人の色が出ているので、どれだけトラック数が増えても新しい音像に挑んでも自然と”書簡らしさ”を実感できると思います。

天笠:より大きな「大衆性」という新しいコンセプトでアルバムを作りましたが、曲を作るのはコンポーザーの自分たち2人であり、歌うのはkuuであり、どの曲を聴いても”書簡らしさ”は感じ取ることができるのは、誰が作っているか・歌っているかが変わらない限り、バンドの芯は揺らがないと改めて確信したアルバムになりました。

 ー11月には「予定調和不協和音」が配信、12月にMVも公開されます。この曲はどのように作っていきましたか?

天笠:タイトルはかなり早い段階で決まって、8文字の漢字という強い造形を生かすべく、曲そのものに説得力と迫力を持たせたいと思っていました。アルバムの色にも合うと感じていたので、アルバムの顔としての存在感を意識して作りました。

頌生:この曲は天笠が1番の歌詞を書き、それを受けて自分がメロディをつけ、その後続きの歌詞を天笠が仕上げるというパスが多めの制作となり新鮮でした。

― タイトルに込めた思いを教えてください。

天笠:人と人が向き合うと、価値観の”ズレ”は必ず生じます。その“ズレ”を「予定調和」と「不協和音」という相反する言葉で包み込み、反対の概念が同居する面白さを表現しました。”起こるべくして起こったズレ”というニュアンスを、8文字の漢字で強く表現したかったんです。言葉遊びでありながら、人生の価値観にも触れる壮大なタイトルになっています。

 ー初めて「予定調和不協和音」を聴いた時、壮大かつ繊細で緊張感のある印象を受けました。

kuu:デモの段階で頌生が作り込んでくれているのですが、そこに更にhayatoくん(key)がアレンジを加えてくれて、今までになかった壮大な音が生まれました。
今回のアルバムにおけるhayatoくんのアレンジ力の存在感はかなり大きいです。

hayato(Key.)(コメント):オーケストラアレンジを試みました。今までの楽曲ではあまりなかったので、新しい質感の曲になったと思います。楽曲全体のスケール感も持ち上げられたのではないでしょうか。

天笠:この曲は特にベースにスポットを当てたくて、スラップを入れてほしいと指示出すなど、ベースの魅せ方には強くこだわりました。

米内丈瑠(Ba.)(コメント):デモの段階でベースを含めて曲の全体像は出来上がっていて、その世界観を壊さないようなアレンジを心がけました。

 ー制作中の印象的だった出来事やエピソードがあれば教えてください。

天笠:今回は本当にただただしんどかったですね。歌詞に苦戦した曲も多く、何度も書き直しながら、アルバムにより一層向きあっていきました。

頌生:自分は逆に後半になるにつれて調子が上がってきたというか、1日で2曲の歌詞を書くことが出来て、それが1発OKのこともあってゾーンに入れた感じですね。また今回のアルバムは、コンポーザー2人の共作・天笠作詞作曲・頌生作詞作曲の曲がちょうど3等分ぐらいの構成の配分になってて、良いバランスで制作出来て、やりきれた実感があります。

kuu:結成当初から相変わらず本当に曲が難しいのですが、M5「キルステン」が特に難しかったです。キーが高く、しかも「全部地声でいってほしい」というディレクションだったので、気合の地声でレコーディングに挑みました。歌っていて、喉が痛くなったのは初めての経験で、ライブでどう歌うかは今も試行錯誤しています。

shion(Gt.)(コメント):コンポーザー二人から送られてくるデモの段階でイメージしていたギターアレンジがあったのですが、提出直前にkuuさんの歌唱デモが届き、「この歌の感じなら、もっと良いアレンジができる」と思い直して作り直したことが印象に残っています(笑)。

古都子(Dr.)(コメント):M6「悩める美徳」やM5.「キルステン」、M.14「青の句点」など、割とツインペダルを使う機会が多かったこと!レコーディングの時にツインペダルを組み立てて準備している時、まさか「プリュイ」(『文藝シネマ』M8)とか聴いてた時には徒然書簡でツインペダルを使うことになるなんて思ってもいなかったなあと思いを馳せたりしました。

 ー特に思い入れのある楽曲を挙げるとしたらどれでしょう?

天笠:M8「アバランチ」一択ですね。既に配信されていて、配信した時点でも自分の中で相当完成度の高い曲だったのですが、時間が経っても「ここはこうすれば良かった」と思う部分がほとんど無いほぼパーフェクトの曲です。
歌詞もメロも構成も展開も含めて、アルバムのコンセプト通りでもあるし、”今の徒然書簡”を体現した、全部を背負ってくれている曲だと思っています。
ライブで初披露した5月のeggmanでも完成度が高くてそれも合間って良い曲だなと感じています。

kuu:私はM9「絶唱」です。歌詞の情景が思い浮かべやすく、感情の置き所が自然に見つかる曲で、大切に歌いました。
M2「スティグマ」も印象的で、この曲はラップパートが大変で、難しい言葉もいっぱい使われていて、無表情に歌うところは無表情に歌うし、感情的になるところは感情を込めて歌いました。今回のラップは情熱的に歌う部分も多かったから、ライブでどうなるかも楽しみで、改めてバンドのボーカリストとしての実感を得ました。

頌生:自分はM12「ミオソティス」です。この曲は天笠から要望が来たわけではなくて、俺が自発的にこれやりたいって言って、歌詞も好き勝手に書きました。M6「悩める美徳」も思い入れの強い一曲です。サウンド面で好き勝手やって、今までの書簡にない音でアルバムの中でも異彩を放つ曲になったと思います。

shion(コメント):M9「絶唱」です。歌詞では「未来、現在、過去は同時に存在していて」というフレーズに特に心を動かされました。時間は直線ではなく、気持ち次第で何度でも触れられるという解釈が美しく、とても好きです。サウンド面では、シンプルながら完成度が高く、満足感のある曲になりました。徒然書簡は複雑な構成の楽曲が多いですが、こうした曲もすごくアリだと感じています。

hayato(コメント):今回のアルバム制作で一番最初に取りかかった曲です。音色としてはピアノしか使っていないのですが、エフェクティブな加工を取り入れて色々な展開を作ってみました。自分でも表現の幅が大きく広がった気がします。歌詞も、暗闇から駆け上がってくるような雰囲気やテンポ感があって、とても印象に残っています。

古都子(コメント):M15「光源」です。歌詞は、これまでの徒然書簡の楽曲の主人公にはあまりなかった未来や先を見つめる姿があって、優しさがあって、とにかく温かさを感じれる人物像で、それこそ徒然書簡として新しい1曲だと思いました。
これまでの曲の主人公は自分のことを憂いていたけれど、この曲では、主人公は人の憂いを拭おうとしている、、 どこか大人な感じがするというか、他の曲より少し抜けた良さがあるなと感じています。

 ーここ数ヶ月コンスタントにライブを重ねていますが、ライブ”にはどのような気持ちで臨んでいますか?

kuu:私は、音源を聴いて好きになったら絶対ライブに行きたくなるんです。だからこそ、自分たちのライブを観た時に「音源でいいじゃん」って思われちゃったら終わりだと思っています。
徒然書簡の音楽は、拳を突き上げたり、ジャンプしたりなどではないからこそ、精神的に、心で音楽を楽しんでもらえるように心がけています。

ー歌い方とかも進化しているように感じます。

kuu:初期の頃と比べると歌声の質も変わったし、パフォーマンスも大きく成長出来たと自分でも感じています。変えたことによって、より純粋に音楽を聴いてもらえる感覚があるので嬉しいです。

 ーライブを通じて、“お客さんの変化”や“自分たちの変化”を感じる瞬間はありますか?

kuu:10月から12月にかけてライブが続いておりますが、その分メンバーと過ごす時間が増えて、話す機会も増えたので団結していく実感がありました。対バンの方とも親和性のあるイベントが増えたり、横の繋がりも増えてきたりして、私たちのことを初めて観てくれる方に、しっかりライブを観てもらえてるんだと感じる場面が多くなりました。

 ーバンドとして、来年に向けての目標を教えてください。

天笠:『詩歌』のリリースは年末ですが、来年に向けてのスタートラインになる作品です。特に来年上半期は、アルバムのコンセプト通りにたくさんの方に届けられるように活動していきたいです。

kuu:まずは「視歌」を大成功させてることです。来年に向けて走り出すためにもちゃんと11月、12月全てを完璧にこなせたらなと思っています。

頌生:とにかく曲が広まってほしい!

 ー最後に、リスナーの皆さまへメッセージをお願いします!

kuu:徒然書簡は来年で5年目を迎えます。今まで着実に1歩ずつ前に進んでいっていますが、これからも目と耳を離さず見守っていただきたいです。そしてファンの皆様の存在が私たちの背中を強く押してくれるので、応援よろしくお願いします!
作品が出るたびに毎回言ってますが、今回のアルバムも史上最高の作品になっておりますので、全て聞き逃さずお願いいたします!


【リリース情報】

2025.12.8  RELEASE
3rd full album「詩歌」

1.暗中模索
2.スティグマ

3 .さよなら宿望
4.フレネミー
5.悩める美徳

6.キルステン
7.予定調和不協和音
8.アバランチ
9.絶唱
10.花の鎖
11.オークワード
12.ミオソティス
13.飾燈慕情
14.青の句点
15.光源

【主なライブ情報】

RO JACK for COUNTDOWN JAPAN 25/26 「RO JACK WINTER FINAL 2025」
◾️12/7(日) 池袋harevutai 
<開場/開演> 15:30 / 16:00
<前売り/当日> TICKET FREE(1ドリンク別)

徒然書簡 3rd full album “詩歌” release Live『視歌』
◾️12/15(月) shibuya eggman
<開場/開演> 18:00 / 18:30
<前売り/当日> 3,500円/3,500円(+1Drink)
w/ アンドネコズ / 海月にさされたら