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Footstamp  5th. stamp
- SPECIAL -

Footstamp  5th. stamp

ロック新世代 日本発、世界と交信するバンドHeavenstamp
前作「Waterfall – E.P. + REMIXES」リリース後、バンド史上初となる全国ワンマンツアーを、SOLD OUT公演を含め大成功に収め、ひとつひとつ、着実に階段を駆け上がるHeavenstamp。3/28には早くもメジャー第3弾E.P「Decadence-E.P.+REMIXES」がリリースされる。2月都内某所、待望のファーストアルバムの制作に既に取りかかり、スタジオワーク最中のSally#Cinnamon(Vo / Gt)に話を聞いた。ツアー、リリース、曲作り、とめまぐるしく日々を過ごしながらも、彼女の表情は明るい。

text:鞘師至

「いいバランスで冷静と情熱が混ざり合ってます。」
シンフォニックな空間系サウンドと、四つ打ちビートに乗るカッティングギターリフ、J-POP的旋律。Heavenstampの音像トリニティーは、何とも異質なコアが互いを引き寄せて成立している。インディーズ時代、世に出るきっかけとなった楽曲Hype、メジャーデビュー作Stand by you、前作のWaterfallと、リリースする曲中で、都度新しい側面を見せてきた彼らの、最新E.P「Decadence-E.P.+REMIXES」は、冷静と情熱が混ざり合っている、と話すSallyの言葉のように、これまでのリリースリード曲の総括のような、彼らの多彩な”静と動”のサウンドバランスの”軸の部分”を捉えた作品だ。右に振れて、左に振れて、最後に中心部分を見せられた僕らリスナーが、バンドの全貌を再認識することとなるであろう、この作品。ツアーで全国を回り、またひとまわり高いシンクロ率を身につけた彼らのライブでの表現力が、このE.Pの説得力に拍車をかける。
実はこのE.Pに収録されているリード曲「Decedence」は、Heavenstamp結成以前にTomoyaが作っていた曲で、2曲目の「My doll」は、バンドが結成されてすぐに作られた曲だそうだ。「Heavenstampを結成した時に一番最初に作った曲がMy dollなんですよ。初めてTomoyaがスタジオにこの曲を持って来た時は、ずいぶん激しい曲だなーと思ったんですけど、音を鳴らしてやってみたら、すごくしっくりハマって。このバンドの初期衝動が詰まった曲ですね。Decadenceは、昔にTomoyaが書いた曲で、これは詞もTomoyaが書いてて。でも、今Heavenstampとして私が歌って違和感がない、というのが不思議な感覚です。」
毎作品、毎ライブで感じるのは、作り上げる音に対してのメンバー間の信頼度の高さ。Tomoyaが表現する世界を用意すれば、Mikaは地となる土台を敷き詰め、壇上で踊るはSally。互いの存在に対しての信頼が、ちょっとやそってでは崩れない、Heavenstampの世界を毎度具現化しているのだろう。「Decadence」も然り、Sallyのフィルターを通して代弁されるTomoyaの歌詞も自然と、バンドの持つ世界観の一部と化す。 元来彼らが持つ音のイメージ、Heavenstampはブレない。
「私、最近気づいたんですよ。リアリティーよりも、ファンタジーが好きだって。」
「歌詞を書くときは、一曲一曲ごとにその主人公を作って、その人にストーリーを与えて、「よし、行ってこい!」ってその世界に放つ感じ。」
Sallyの書き上げる歌詞の儚げな空気感も、Heavenstampを代名する特質だ。
それは日常にある風景から拾う言葉ではなく、頭の中に湧いて広がる世界を、現実世界に投影する、翻訳のための言語のよう。フランスには”Celeste(セレステ)”、「雲の上に存在する、天の声や光」という言葉があって、彼女の静かで深い言葉の表現は、いつもそれをイメージさせる。
天からの音は、海を越えて、世界の音楽とも交信を続けている。
デビュー当時から、作品制作を共にしている英国「Block Party」のラッセルとは、今作も共同プロデュース、彼のギタープレイも収録されている。「ラッセルは曲作り以外でも、日本のゲームの話しでアツくなったりとか(笑) 本当に友達みたいに接してくれてますね。DecadenceのMusic Videoも、すごいかわいいんですよ。あの途中で出てくる前髪が斜めのキャラクター、ラッセルなんです。 本人に伝えたらすごく喜んでました。」 加えて、今作は表題曲Decadenceのリミックスを、米国はメリーランドのエレクトロニカ ポストロックバンド「Animal Collective」が手掛けている。
去年の英国でのライブや、映像クリエイター集団「tomato」とのコラボレーションなども含め、海外音楽マーケットでの日本産バンドの活躍が難しいとされているロックの分野で一歩ずつ、足跡を残し続けるHeavenstamp。 今作のリリースの先にも、アルバムリリースや、その後の海外での活動、描く未来には限りがなく、見せられた新しい未来に共鳴する賛同者は、これからも尚、世界各地に飛び火していくのだろう。
次回Footstampでは、ワンマンツアー後の勢い止まる事なく、3/28に発売するメジャー3枚目のEP「Decadence -E.P.+REMIXES」のリリースインタビューをお届けします。”eggman” 3月号は、3/1全国タワーレコード主要店、ライブハウス、スタジオなどで配布開始!