－4月27日発売のシングル『ギブミー』について聞かせてください。

いちろー：今回のシングルは最終的な形に持っていくまでアレンジを相当迷いました。リリースまでにライブで演奏する機会もあったので試行錯誤を重ねましたね。
もともと、ライブで盛り上げようとする曲ではなくてライブで映える曲・セットリストにこれからもずっと入れていけるような曲にしたいと考えながら作ったんです。カランコロンの曲ってテンポのゆっくりした曲だとしっとりしちゃうことが多いので、明るくてテンポ感はあるんだけど、勢いだけじゃないバランスのいい曲が欲しいなって思ってました。お客さんとノリを共有できて尚且つちゃんといい歌が歌える曲にしないとって考えて、イントロは聴きやすく入りやすいもの、アウトロは重たくなりすぎないようにサックリ終わるってイメージです。
せんせい：見てもらいたい・楽しんでもらいたい気持ちをどうやって曲にして伝えられるかなって悩みました。でもわかりやすく盛り上げる曲じゃないから、どうしたらいいかって分からなくもなって。そんな時に原点に戻って本当に伝えたいことは何か考えることができて、RECするまでに何度もみんなで話し合えました。

－ディスカッションしながらいろんなことをクリアにして完成に持っていけたっていうのはある意味一番ベストなプロセスですよね。それもあってか、今までのカランコロンの楽曲と確実に違うなという印象があったんですが、意識的に変えた部分はありますか？

いちろー：この位のミドルテンポの曲ってちょっと変わった要素を入れてくるとノリにくくなってしまうので、そこはなるべくシンプルにすることを心がけました。ある程度土台を聴く人に作ってもらってから、遊べることは遊ぼうって意識で。当初、遊びはもっとあったんですけど最終的には減らしましたね。
せんせい：５人が常に何かをするっていうよりかは、どれだけいろんな要素を削ぎ落としてそれでもカランコロンでいられるか、みたいなところですね。先日『ギブミー』の一番最初の段階の鍵盤のフレーズをたまたま聴いていたら、今のものと全く違っていたんですよ。今までだったらそれでOKってしてたかもしれないフレーズだったけど、「違うかもな」って思えたのは、多分自分たちの思いが変わっていけているということなのかもしれません。
いちろー：極論、３人が演奏してる上でせんせいと僕が歌ってれば演奏がどんな感じだったとしても東京カランコロンになるんだろうなって最近は思ってるんです。その上でバンド側のエゴにも近いような面白いチャレンジポイントを、どこまで組み込むかってバランスを考えてます。

－すごい境地に来たシングルですね。以前のアルバムやシングルとは違うというか、新しい。ポップな表現の仕方をしているのに、その裏にはすごい深いものがありますよね。

いちろー：僕は本当に根が暗いんで、なんの影もない音楽を聴くと逆に元気なくなっちゃったりするんです。そこに苦労とか感動がないって言ってる訳じゃなくて、僕が好きなポップミュージックっていうのはどんなにポップだったとしてもどこかに影だったり闇だったりがあるので、そういう音楽が好きな僕がアウトプットする音楽はポップスなんですけど影があるんだろうなって。

－歌詞はどのような内容になっていますか？

いちろー：メロディーを作った時に「ギブミー」って言う言葉がすぐにハマったのでここのフレーズは決めていました。僕は歌詞書こうとすると説明っぽくなっちゃいがちで『トーキョーダイブ』とか『ビビディバビディ』とかはまさにその感じだったんですが、今回はもうちょっと詞とメロディーの組み合わせでできる感動を起こすようなミラクルみたいなのを探りました。そういうものを表現したいんです。あと、TALTOに入ったことが大きなきっかけだと思うんですが、ここ最近バンドの芯が共有できるようになったなって思います。今までいろんな音楽の要素やエゴがありすぎて自分たちが崩しちゃった部分もあったんですが、わざわざライブ会場まで足を運んで聴きに来てくれる人がいるってことを実感するべきだと思ってます。会場限定CDってライブで僕らに会えた人だけが手にできるわけじゃないですか。自分たちが色んなものを欲していたり色んなエゴもあったけど、そうじゃなくて、ライブハウスってところにあるものが全てだなって。色んな時期を越えて一番大事なものが見えました。
せんせい：ホントに変わった。ホントに。なんかTALTOには入ってホントにバンドが変わった。歳なんかもしらんけど（笑）

－今回のカップリングに関してですが、スピッツさんのカバーですね！

いちろー：元々スピッツさんめちゃくちゃ好きなんです。前に大阪でスピッツさん主催のイベントに出させてもらった時にこの曲をカバーしたんですけど、すごく盛り上がったんですよ、ドカン！って。あの時自分たち的にすごく良い形でスピッツさんの曲を東京カランコロンで出来たから、それをいつか音源という形にしたいってずっと思っていました。
この曲は『ハヤブサ』ってアルバムに入ってるんですけど、このアルバムをスピッツさんが作った時のバンドの状況のお話を伺ったことがあって、今の東京カランコロンにとってぴったりかもしれないっていう思いがありました。スピッツさんが『ハヤブサ』を出した時の気持ちと今の自分たちの気持ちが重なって。

—なるほど。そして、今回なんといってもジャケットがとても印象的ですよね。

いちろー：今回のジャケットは僕の大好きな売野機子さんに書いていただきました。アッサリしているんだけどパンチがある絵を描く人だなと思っていて、今回の『ギブミー』の主人公はこういう人なんですっていう話をしていたら、その良さもイメージも両方出してもらえたと思います。
せんせい：あまりにもぴったりで即OKでした。ああすごい！これ最高です！て感じやった。素敵な絵やったのもあって、今回は缶バッチも作ってCDに特典としてつけます。

－そして４月から開催中の２ヶ月連続東名阪ツアーへの意気込みをお願いします！

いちろー： TALTOに入ってから僕たちは毎回いろんなことにチャレンジして、どれが一番自分たちにハマるかっていうのを探り続けてました。よくなってるのは確実だって思えてるんで来てくださる人たちにジャッジして欲しいです。是非来てください。
せんせい：大事に心を込めて作ったこの曲を、ライブを見に来て受け止めてもらいたいし楽しんでもらいたいなって思います。

－最後にいつものやつをやらせて下さい！

いちろー：漢字のやつですね、今回は、「愛」！！

－はやい！

いちろー：今回本当に、愛です。いろんな愛ですね、自分たちが音楽好きな愛もありますし、お客さんに対する愛もあるし、ライブ会場に来てくれて買ってくれるお客さんの愛も、いろんな愛で成り立ってるCDだと思います。

－今のカランコロンの思いを収縮した言葉ってことですね。

2人：その通りです。

—ありがとうございました！