–今回リリースされる『ぶっとびぱなし』という2nd albumですが、このタイトルにか妙に納得させられました。このタイトルはどういった意味を込めてつけたんですか?
▶カタヤマ:これは俺が決めたんですが、80年代の日本のパンクというのがテーマにあったので、そういうのを感じられるタイトルにしたいなと、アルバムが出来上がった後に考えて思い浮かんで、さらに”これからも続いていく”という感じにしたかったので単に『ぶっとび』ではなく『ぶっとびぱなし』にしました。
-タイトルで既にインパクトがあるなと思いながらCDを聴き始めたらそれ以上のインパクトがガツンときました。初期衝動に近いというか、ぶっ飛んでる感じと、メジャーデビューしてから今日までリリースを重ねたからこその完成度が増している感じのバランスが絶妙ですよね。初期衝動だけでもなく、大人になった完成度だけでもない。そこは作品を作るときに気にしていたんでしょうか?
▶荒金:前回の作品に『ロックンロール以外は全部嘘』という曲があって、いままではアイデアを持って行って曲が出来るという感じだったんですが、『ロックンロール~』は作った!という感じで。衝動をただ放出するんじゃなくて意図的に出せるようになった部分もあるかと思います。どんな曲でもやるときの4人の気持ち次第かなって。そういう部分を忘れずにやりました。
―今回セルフプロデュースということで、いままでの作品と何か違ったりしました?
▶カタヤマ:特に変わってないです。
▶荒金:僕らの気持ち的にはいままで通りでしたね。
カタヤマ:前回が佐藤タイジさんのプロデュースだったので、その辺のプレッシャーはありました(笑)。でもそこで教わることもたくさんあったのでセルフプロデュースに関して大きな変化というのはないと思います。
―変な気負いは無かったということですね。セルフプロデュースということは、自分たちの魅力を自分たちで伝えなければならないわけですが、Droogの魅力って自分たちで客観視した場合にどういう部分だと思いますか?
▶荒金:衝動的な部分というか、エネルギッシュな部分かなと思います。だからそういった部分は絶対に無くしたくなかったですね。『ロックンロール~』を作ったときに感覚は掴んだので、今回も絶対出来るという自信はあったんです。
-今作はいつもよりコンセプトがはっきりしているなとも思いました。
▶荒金:今回は夜というテーマがあって、そのキラキラした感じや、ちょっとずつ視界が開けて世界観が変わっていくような感じはあるかなと思います。
―今回のアルバムの中で、これがお気に入り的な1曲を敢えて選ぶとしたら?
▶カタヤマ:難しい事言いますねー(笑)。選べないですよ(笑)。
▶荒金:僕もカタヤマと同じで全部時間をかけて作ったので1曲選ぶのは難しいんですが、全体的にヒロキ(カタヤマ)の歌が主役になるように曲作りしていて、特にそれを意識して作ったのは『太陽の目を盗んで』という曲ですね。既にライブでもちょくちょくやっているんですが、フィットしているなという感じはします。
▶カタヤマ:詞に関しても『太陽の~』だけはちょっと変えていますね。先ほども話したように基本的には夜がテーマなんですが、その夜を少し違った言い方にしていたり。だからジャケットも夜の雰囲気にしているんです。例えばネオンサインは夜にならないと光っているのがわからないじゃないですか。夜にぼんやりとある灯りみたいなものを意識しました。
―そのテーマにした理由は?
▶荒金:なんとなくみんなが共通して感じているものがあって、それを言葉にしたときにキラキラや夜というキーワードが出て来たんです。あときっかけといえば以前に2マンツアーをやったときに、1曲カバーをやろうということになって、デビッド•ボウイのジギー・スターダストに入っている『Hang Onto Yourself』という曲をやったことですかね。その流れでジギー・スターダストのDVDを買ったんですけど、それの冒頭でネオンがキラキラしている夜の会場の映像がありまして。いま思えば、知らず知らずの内に少なからず影響されていたのかもしれないですね。
▶カタヤマ:ちょうど地元の大分から上京してくるタイミングだったというのもあるかもですね。だから、どこか東京の灯り、光に吸い寄せられるような気持ちもあったのかも。
―なるほど。先程荒金さんが言っていた、メンバー同士でなんとなくの共通意識が持てるというのは、幼馴染みだからこその部分も大きいのかなと思います。
▶荒金:そうですね。なんとなくだけどみんな同じ方向を向いていられているとは思っています。
▶カヤタマ:長年のフィーリングですかね。
-今作のレコーディングで苦労したことなどありますか?
▶荒金:今作に限らずですけど、レコーディングというのはどうしてもかしこまってしまうんですよね。ヘッドフォン着けたり外したり、自然に肩に力が入って身構えてしまう。
―確かにライブとは全く違った状況ですよね。
▶荒金:だから割といつも、みんなでジャカジャカやりながら「よし、いこう!」って、その数分間だけは絶対集中する!という感じでいつも録っています。
―みんなで一緒に音を録っているわけではないですよね?
▶カタヤマ:いや、歌以外は全部一緒に録ってます。
―いつもですか?
▶カタヤマ:いつもそうですね。
―なかなか珍しいですね。
▶カタヤマ:逆にそうじゃないとかしこまっちゃって出来ないです(笑)。
―だからこそ、4人での空気感やパワーが込められている感じはしますね。
▶荒金:とにかく生の感じを出したいんです。ライブをしていても感じることがありますが、もっと伝わっても良いのになと思う瞬間があって。ヒロキの声も嗄れていない生の声を、ギターも歪みを抑えた生の音を入れたかった。
▶カタヤマ:いままではけっこうずっと叫んでいたんですが、敢えて囁いてみたりとか変化も付けています。
―変化と言えばメジャーデビューしてから1年半ほど経って、その間に10代から20代になったわけですが、そこでの変化はありますか?
▶カタヤマ:10代のときに天然でやっていたことを今の自分たちが超えるためにはどうしたらいいのかということを考えるようになりました。その天然に勝つにはもっと考えなきゃいけないんだなというのがわかった。でもライブではそういったことを考えていたら面白くないので、ライブ以外の考えなきゃいけないところで考える。何も考えないで爆発するときは爆発する。そういうことを考えるようになりましたね。
―確かに。天然で完成できるのはファーストアルバムくらいまでですよね。よく巷で言われるファーストが一番良いというのはあながち間違いではないと思います。ファースト以降は試行錯誤が必要。
▶カタヤマ:そうなんです。”それ以上”が求められますからね。
―20代になって10代の頃を超えることを考えるようになったということですね。
▶荒金:前は漠然としていたというか、あんまりよくわかっていなかった。目が覚めたら相当すごくなってるんじゃないかな、明日起きたらヤバくなってるんじゃないかな、みたいな(笑)。そんな感じだったけど、最近は今やるべきことが明確に見えている。それを1つずつクリアしていったら絶対これからもっと良くなると思えますし。
―やはり上京したのがタイミングとして大きいですか?
▶カタヤマ:そうですね、大きいですね。
―上京したのはいつ頃でしたっけ?
▶カタヤマ:半年前くらいですね。それまでは1ヵ月は東京、あと1ヵ月は大分という行ったり来たりの生活でした。
―どうしても地元に帰っている間にリセットされてしまう部分もありますよね、気持ち的な面で。
▶カタヤマ:そうですね、リラックスしてしまいます。温泉浸かって(笑)
―大分は温泉地ですもんね(笑)。東京での生活はどうですか?
▶カタヤマ:とにかく刺激的ですね。いろんなものがある。欲しいと思ったら何でも売っているし。好きです。
―より集中できるんでしょうね。バンドのために上京しているのもあって、バンドで成功しなきゃという気持ちも強いでしょうし。
▶荒金:そういった覚悟もあって上京しました。その方がより伝わるのかなと。
―様々な心境の変化もあって、これからまたツアーが始まりますが、どんなツアーにしたいですか?
▶カタヤマ:はしゃいでいるような、ワーワーした感じにしたいですね。いままでは投げっぱなしのライブだったんですよ。どうだ!みたいな。でも今回はもうちょっとやりとりしたい。もちろん投げる速度は変わらないですが、捕りやすいところに投げるというか、もっとキャッチボールが出来たらいいなと思います。
▶荒金:前回のツアーではライブでやるのが不安な曲とかもあって、各地を回って、みんながそれを良い感じに受け取ってくれて、ファイナルのときに確信を持てたんですよ。今回の作品はCDでしか出来ないこととかもやっているので、ライブで演奏するとなると、また全く違った感じになると思うんです。ライブで完結する曲もあると思うし。それがすごく楽しみですね。
―同じ曲でも、ツアーの最初と最後ではかなり違っているでしょうね。それがツアーの楽しみだったりしますしね。ツアーの最後の3本はワンマンですが、何か意気込みはありますか?
▶カタヤマ:やはりワンマンだと持ち時間が長いので、たくさん伝えられるような気はしています。もちろん短いライブでも気持ちは変わらないですが。俺たちのリアルな想いを詰め込みたい。
―今後どんなバンドになっていきたいですか?
▶カタヤマ:ちゃんと一本筋を通したバンドになりたい。バンドに嘘をつかず、誠実に、素直に在りたい。
▶荒金:この4人の雰囲気がもっと伝わるようなバンドにしたいですね。
―最後にDroogってどんなバンド?と聞かれたときにどう答えますか?
▶カタヤマ:ロックンロールを知らない人の、ロックンロールの入り口になれるバンドだと思ってます。俺たちがロックンロールを好きになるキッカケになったバンドたちみたいに。
―確かに良い意味でわかりやすくてシンプルですよね。ロックンロールだということが誰でもわかる。皆さんも是非手に取ってみてください。また、これからツアーも始まりますので是非足を運んでください。ありがとうございました!