このサイトはJavaScriptがオンになっていないと正常に表示されません

吉田山田 interview
- SPECIAL -

吉田山田 interview

2013年12月に発売した『日々』がロングヒット中の吉田山田からシングルコレクション発売という嬉しいニュースが届いた。改めて彼らが素晴らしいユニットであることを実感させられる1枚となっている。デビュー5周年を迎えた今、なにを思いこの先になにを見ているのか。吉田山田をさまざまな角度から切り取ったロングインタビューをお届けします。

interviewer:ブッキングマネージャー窪田

―いきなりの余談になってしまいますが、テレビなどでの活躍色々と拝見させてもらっています。eggmanに出演していたアーティストがこうやって世の中に広まっているのを見ることができてスタッフみんな本当に嬉しいですね。

山田義孝(写真右 Vo 以下…山田):ありがとうございます!

吉田結威(写真左 Vo&Gt 以下…吉田):みんな僕らと一緒に緊張してくれたみたいです(笑)。

-僕もeggmanの事務所で緊張しながら見てました(笑)。まずはシングルコレクション発売おめでとうございます!こういった作品が出せるのはアーティストとして一つ勲章であるかなと思うのですが、リリースを控えての今のお気持ちをお聞かせください。

吉田:デビューの時に3曲だけしか持ち曲がなくて、それでライブをやっていたので30分持たせるためにどうしようって悩んでいたのがつい最近のことのようで、今こうやってシングルコレクションという形でCDを出せるのがすごく不思議な感じもありますが、まずは嬉しい気持ちでいっぱいですね。デビュー5周年を迎えて僕たちが歩いてきた軌跡の集大成かなとも思います。

山田:もう5年経ったんだなーと思いますね。まだまだやりたいこともたくさんありますし、このペースでいくと10周年まであっという間に経つんだろうなって感じます。テレビなどに出させていただくようになって、先ほど窪田さんも言ってくれましたが「見たよ!」と言ってくれる方々が本当にたくさんいて、僕らと同じ気持ちでそこに向かってくれているを感じて、かけがえのない宝物だなと思いました。5年間の間でいろいろな人に出会って歩いてきたからこそ出せる1枚なので幸せな気持ちです。

-ロングヒット中の『日々」で吉田山田を知った方もたくさんいるとは思うのですが、吉田山田はほかにもこんな良い曲があるんだ!というのを知ってもらえる良い機会になりそうですね。

吉田:吉田山田の入門編としてすごくわかりやすい1枚になっていると思います。そしてこの1枚で僕らのことをもっと知りたいな、ほかの部分も見てみたいなと思ってもらえたらアルバムとかも聴いてほしいですね。もっと深く1つのことを掘り下げている曲もたくさんあるので。

山田:ベスト盤と謳っていないのはそういった理由があるんです。吉田山田ベストアルバムという1枚であればシングル以外の曲も入ってきますからね。

-ベストアルバム発売が決まるのを楽しみにしています。改めて自分たちの書いてきた曲をこういった形でまとめてみて感じることはありますか?

吉田:昔の曲を聴くとここの歌い方下手だなとかここの歌詞もう少しうまく表現できたかなとか思いますね。ライブと同じでレコーディングもその時の感情でしか挑めないし、作ることはできないので音楽は生ものだなと改めて感じます。

-その当時の記憶が蘇ったりしますか?

吉田:しますね。一つは吉田山田を組んでから初めて自分ひとりで作詞した曲『メリーゴーランド』ですね。吉田山田を組む前は一人で楽曲制作をしていて、そこから山田と二人で作るようになって、ようやくそれが形になってきたタイミングでのことだったので、印象に残っています。二人で曲を作るときはあーでもないこーでもないと言いながらの山田とのキャッチボールですが、一人で作るのは自分の心のなかで壁にボールを投げてそれをキャッチしてなので、全然違うんですよね。思うように跳ね返ってこなかったりどこかにいってしまったり。それを超えて出来た曲なので個人的にはターニングポイントと言えると思います。もう一つがこのアルバムの最後に収録されている新曲『逢いたくて』です。この曲も僕が作詞作曲で、今自分が作れる一番良い物で、『メリーゴーランド』での経験がここに繋がっていて、それがあったから作れた曲なのかなと感じますね。

-山田さんはどうですか?

山田:僕は「魔法のような」ですね。よっちゃんと同じで僕一人で作詞作曲したものが世に出た曲なので。この曲を作っていた時が人生で一番と言えるくらい落ち込んだり悩んでもがき苦しんでいた時期で、ひたすら走ってみたりとか、お酒ほとんど飲めないのにゴールデン街に飲みに出てそこでいろいろな人と話をしたり、なにをしたらここから脱出できるか模索していてそれを乗り越えて完成した曲なので、今思えばその時の自分が出した答えがこの曲なのかなと。

-今作は「日々」から始まり、デビュー曲の『ガムシャランナー』まで吉田山田の歴史を逆行するような曲順になっていますがその理由などあれば教えてください。

吉田:先ほど入門編としての1枚という話をしましたが、もう一つの側面にデビューから応援してくれているファンの方々にも改めて恩返しをしたいという気持ちがあるので、そういった人たちにはこの曲順で聴いてもらえると色々振り返ったりできるのかなと思い、こういった曲順にしました。

-僕も以前から吉田山田を応援させてもらっている一人なのでこの曲順で色々感じることがありました。徐々に一番初期に戻っていく感じで、その後一番新しい曲が聴けるという。

山田:いろいろな方々にそういった感想を持ってもらえたら嬉しいですね。

-収録曲の中で「日々」の二人での歌い分けがほかの楽曲と違うと感じました。以前からお二人は曲中の歌い分けについてこだわりを持っていましたがこの歌い分けの意図を聞かせてもらいたいです。

山田:この曲が出来たときの状態からあまり色々付け加えたくないという想いがあって、物語を読み聞かせるような曲にしたかったのでシンプルに僕が1番、よっちゃんが2番という形にしました。

吉田:僕らの今までの曲が「演劇」だとすると、この曲は「読み聞かせる」ものなんですよね。吉田山田の二人が曲を魅せるのではなくおじいさんとおばあさんの物語を僕らが伝えるだけというか。だからこの曲に関してはこう思ってほしいとかこう感じてほしいという僕たちからの固定のメッセージ性は込めていないので、この曲を聴いたそれぞれの人がそれぞれの感想を持ってほしいのであくまでも物語を「読み聞かせる」という曲です。

-固定のメッセージ性を込めない楽曲というのは珍しいですよね。

山田:最初戸惑いはありましたね。めちゃくちゃ良い曲ができたという実感はあったんですが、果たしてこれがシングル曲として成立するのかなと。今までの楽曲とは一線を画すものだったので。この曲がどんな風に伝わっていくのか全然予想できていませんでした。

-シングルっぽい曲かと言われてらそうではないイメージもありますもんね。

吉田:デビュー当時にこの曲ができていたらこういう形にはならなかったかなと思います。

-でもその曲がたくさんの方々に受け入れられていきましたね。

山田:今までいろいろ考えて曲を作ったりしてきましたが、この曲のおかげで感性を大事にするということを実感できたので大きかったですね。

-それを実感して曲作りに変化はでてきましたか?

山田:恐れずに作るようになってきました。まずは形にしてみようと思うようになりました。

吉田:僕は大きな変化があるわけではないですね。それは僕はまだ山田のように実感できていないからかもしれないです。『日々』という曲に対しての反響の大きさに驚いている最中なんですよね。まだ消化できていないというか。吉田山田にとって大きな出来事だし経験なのでそれが活きてくるのはこれからなのかなと思います。

-そんな中で吉田さんが書いた新曲「逢いたくて」は原案があっての曲だということですが、そこに基づいた歌詞ですか?

吉田:原案はあったんですが、それに寄り添い過ぎない物にしようという意識はありました。その原案をそのまま歌詞にするだけでは吉田山田として曲を書き下ろす意味合いが薄れてしまうかなと思ったので。だから僕なりの感性で話を噛み砕いて、スパイスを加えたものにしました。

-完成した曲を聴いてみて山田さんはどう感じましたか?

山田:ジワリジワリとくる曲だなと思いましたね。ホッカイロみたいに熱を発する物ではなくてマフラーみたいに自分の体温を種火にして温まるみたいなそんな感覚ですね。心の温かみを改めて考えることができました。

-冒頭でもお話がありましたが、デビュー5周年を迎えて変化したこと、逆に変化していないことありますか?

山田:変化したことは無理をしなくなったことですかね。自分にできることできないことがハッキリしてきたというか、できないことは無視するようになりましたね。楽観的になって生きるのが楽になった感覚はあります。逆に変化していないことはMCとか(笑)。というかあまり変化していないと思います。

吉田:僕はまず髪型と口髭ですかね(笑)。

-ビジュアルの変化ですか!?(笑)。内面ではどうですか?

吉田:心境の面などはもう全く別人レベルで変化していますね。変わりすぎていて特にこれがというのを挙げられないです。

-全く逆の答えですね。山田さんはあまり変化がなく、吉田さんは非常に変化しているということでしたがお互いを見てきてそれに対してはどうですか?

吉田:僕は山田が言ったことはすごく頷けます。肩の力を抜けるようになってきましたね。不得意だなと感じるところや欠けていると思うところを気にしなくなってきたというか。お互い30歳になって、吉田個人、山田個人としてではなく、吉田山田として歩んでいる時間が長ければ長いほどお互いを補完し合うようになってそれで成立するようになってきて、吉田山田としての人生を進んでいるんだなと感じることがすごく増えてきました。

-すごく良い言葉ですね。山田さんから見て吉田さんの変化を感じるところはありますか?

山田:一緒に居すぎてあまり感じないのですが、物理的なところで言うとよっちゃんは遅刻をしなくなりましたね。そこが劇的に変わった(笑)。なんでなのかわからないんですけど最近急に時間通りに来るようになりましたね。

吉田:僕にも理由がわからなくて急にしっかり起きれるようになったんです(笑)。以前は目覚ましの音聞こえないとかザラだったんですけどね。

山田:あとは磨きがかかったなと思います。一つ一つに対して。着実にしっかりと一歩一歩上っていくタイプなのでそれをしっかりやれていてすごいなと思います。

-この5年を振り返ってみて自分が5年前に思い描いていた自身の未来と比べてどうですか?

吉田:まったく違いますね。

山田:正直なところで言えばデビューして3年くらいして武道館に立っているイメージでした。今思えば甘かったんですけどね。

吉田:デビューしてテレビのエンディングテーマになったりしたときに「これはいけたな」と思っていて、当時の自分たちは勘違いしていました。

山田:色々な場所で年間250本以上のライブをやって、その間に制作をして取材なども受けて、めちゃくちゃひたすらガムシャラに頑張ったのに全然売れないという時期が続いて。こんなにやったのに。。。みたいな気持ちになった時もありましたね。

吉田:1年ごとに自分たちが描いている未来像を全部消して、その都度描き直しての繰り返しですよね。今ようやく少しずつ自分たちが描くものと現実が近づいてきた感じですかね。

-これからの5年10年が楽しみですね。5年後って想像つきますか?

山田:ハチャメチャであってほしいなと思います。今描いている5年後をポンッと超えちゃって、そんなことやってるんですか!?って思えるような状態になっていたい。

吉田:人生の計画表を書いたほうが実現しやすいってよく言うと思うんですけど、音楽って本当に生ものだから、なにがどうなるかがわからないなって思いますね。

山田:6年目を迎えられることってすごいことだと思うんですよ。ずっと応援してくれているファンやスタッフの方々に本当に感謝したいです。自分たちは今幸せだなという気持ちは常に上向きでいられているのでその気持ちは忘れずしっかり歩いていきたいですね。

-そんな今だから話せる過去の話などありますか?

吉田:山ほどありますけど、話せないことばかりですね(笑)。

-そこをなんとか(笑)。

山田:デビュー当時のプロデューサーさんがチャレンジ精神が旺盛な方で、お笑いコンテストに出てみないかとかラップをやってみないかとか、すごく思い出に残っています。あとはよっちゃんが口髭を剃りたくないって断固拒否していたのもすごく覚えていますね。

吉田:本当に嫌で、内心は口髭を剃るくらいなら事務所辞めてやると思うくらいで(笑)。ずっと口髭がある状態だったのでなんか恥ずかしくて。事務所の大人たちに囲まれて説得されて、しかもチーフマネージャーが「俺も剃るから」という約束をしてお互い剃ったんですけど、そのチーフマネージャーは今ガッツリ口髭生やしてるんですよね。

-裏切られてますね(笑)。

吉田:どうなってんだって話ですよ(笑)。あっ!チーフマネージャーの話で思い出したことがあります!『カケラ』という曲を制作しているときに、歌詞制作が本当に難航していて次の日がレコーディングなのに歌詞が完成していない状況だったんです。そんなときに彼が自主的にフルコーラス分歌詞を書いてきたんですよ。「すごいのができた」という自信と共に。読んでみたら中1の作文レベルで(笑)。

山田:ひどかったですね(笑)。大爆笑でしたね。

吉田:本人は本気で良いと思っていたみたいなんですけどね。ただ、歌詞のクオリティはさて置いて、その行動に僕は本気で涙が出そうになったんですよ。だって普通アーティストが歌詞に悩んでいるからって変わりに歌詞を書こうとしてくれるマネージャーなんていないじゃないですか。そうやってアーティストが苦しいときには一緒に悩んでくれて、少しでも助けようとしてくれる彼と二人三脚だったからこそこうやって吉田山田を続けてこれているんだなと感じますよね。

-素晴らしい関係性ですね。ちなみにですが最終的にその歌詞は採用されたんですか?

吉田:まったく使いませんでしたね(笑)。

山田:彼の書いた歌詞がひどすぎて、自分たちの書く物に逆に自信持てたんです(笑)。

-結果的には歌詞が完成するきっかけにはなったと。こういう話ができるのも今があるからですね。ちなみにeggmanでの思い出などありますか?

吉田:僕はとにかく憧れのライブハウスだったので初めて出演が決まった時にすごく嬉しかったのを覚えています。先輩バンドのライブを観にeggmanに行ったことあったので自分があのステージに立てるんだなと感慨深かったですね。

山田:僕にとってはすごく親しみのあるライブハウスで、散歩している途中にフラッと寄ることができる場所です。近くを通ると今日なにしてるかな?と思ってついつい階段下りちゃうんですよね。そんなライブハウスなかなかないですからね。そのくらい心を開いていられる特別な場所です。

-お二人にそう言ってもらえると嬉しいです。そんなeggmanの目の前渋谷公会堂にて吉田山田史上、最大規模でのワンマンが5月にありますが、どんな1日にしたいですか?

山田:先の話ではあるので、セットリストなどはまだ決めてはいないので、どんなライブになるかはまだ想像つかない部分もありますが、見に来てくれた方全員を満足させられるライブをやりたいと思っています。最近、ライブに来てくれる方の年齢層がすごく広くなっていて、それこそ3代で見に来てくれる方とかいるんですよ。

-3代すべてを楽しませるライブをやるのは大変そうですね。

山田:でもそれを強く意識しなくてもきっと楽しい物になるんだろうなという予感はあります。あとはせっかくの過去最大規模ライブなのでアッと驚かせるようなことをやりたいなとは思っています。期待してほしいですね。

-まだ準備期間もありますし、どんなサプライズがあるのか今から楽しみですね。

吉田:とにかく前だけ見てここまで走ってきていて、今の自分にできることをやり切ってきたのでこの日も特別なことは意識せずやりたいなと思っています。とにかく必死にガムシャラにやること。そうやって吉田山田は成長したユニットなので、最大規模だからと言ってそこを忘れちゃいけないと思うんですよね。

-最後になりますが、今年1年振り返ってみてどんな1年でしたか?そして来年はどんな1年にしたいですか?

吉田:今年1年は「こんにちは30代」という感じですね。色々発見することや新たに経験したこともたくさんあったのでそれをしっかり固めて自分の物にしていきたいです。まぁでもそれは今年に限ったことではなくて毎年の繰り返しだとは思います。毎年毎年なにかしら発見があって、それを自分の物にして。そうやって吉田山田として成長していきたいです。先ほど山田も言ってましたが今が一番幸せだと思えているので、それを常に更新し続けられたらいいですね。

山田:今初めて今年を振り返っているんですが、『日々』という曲で僕らを知ってくれた、出会ってくれた方が非常に多かったので、そのイメージが強いと思うんですけど、来年はもっと違う角度で見る吉田山田を知ってもらいたいなと思っています。『日々』という曲はあくまでも僕たちの1部分であってそれがすべてではないので、「吉田山田」を世の中に広めていきたいです。そしてこの5年間で出会ってくれた人たちのように末永くお付き合いして次の5年を一緒に歩んでいけたらと思います。

-eggmanとしてもこれからも是非応援させてください。

吉田山田:ありがとうございます!