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Ivy to Fraudulent Game interview
- SPECIAL -

Ivy to Fraudulent Game interview

バンドの原点と最新がそれぞれブラッシュアップされ混ざり合った、今のIvy to Fraudulent Gameの等身大という言葉が相応しいMini Album「inside = RED」が完成した。真っ赤な感情を抱き、改めてロックバンドとして彼らはここからどこへ向かうのか。今作への想い、そして全国10ヶ所に渡るワンマンツアーに向けてメンバーに語ってもらった。

Interview&Text:渡邊直人

ー「inside = RED」リリースおめでとうございます!「inside = RED」というタイトルにはどんな意味が? 

寺口 宣明 (Gt&Vo): 前作の「RE:BIRTH」の時含め、ここ2年ぐらいは、どのシチュエーションでも聴きやすい曲というか、POPS寄りな作品をみんなで作り出すモードでやっていたんですけど、その上改めて、自分たちのバンドとしての性質の1つである”エグさ”みたいな部分を改めて表現したいと思ったんです。思い切って、もう聴きやすいかどうかもわからないけど「やりたいことやろうぜ」っていうところで、自分たちの中にある、赤黒い部分、真っ赤に燃えている部分を表すタイトルにしました。

― M-1「平常」から、まさのその”エグさ”を感じる楽曲ですね。

寺口:人間って自分の意思で生まれてきているわけではなくて、気付いたら生まれて生活しているっていう状況だと思うんですけど、そう考えたら、おかしくなっちゃうことすら当たり前だし、苦しむことも当然のように思えてしまって。人生の正解を導くのって何なんだろう、その正解の定義がないから、いろんなところでもがき続けるんだろうなって思って。だからなんだろう、、、”狂ってて普通”じゃないですけど、そんなことを思って曲にしました。

― この曲に限らず原点回帰ではないですけど、5月にリリースした「行間にて」の再録も良い方向に影響しているように感じました。

カワイリョウタロウ (Ba):そうですね。今作はいわゆる”Ivy to Fraudulent Gameらしい“作品で、元々あった性質を発揮できたと思うんですけど、元々はフクちゃん(福島)が1人で作詞作曲してたものが、みんなが作るようになってよりブラッシュアップされて、原点回帰にプラスアルファでかなり濃厚な作品になっていると思います。

ー M-2「bug」はまさにそのIvyがブラッシュアップされた楽曲だと感じました。

福島 由也 (Dr):今回のアルバムを作るにあたって「平常」が先に完成したんですけど、これが今作の軸になってくる感触があって。さっきノブ(寺口)が言ったように前作までは”日常の中でどれだけ溶け込めるか”みたいな意識があったんですけど、「平常」を聴いて、僕らがこれまでやってきたえぐるような部分が、今回のアルバムを象徴付けるなと思ったんです。さらにそのイメージを強められるところを書きたいと思って形にした曲ですね。

― M-3「void」は今作の中でも変化球ではないですけど、フックの効いた楽曲ですね。

カワイ:どっちかっていうと、音色だったりギターのちょっと変なリフだったり、今まであまり使わなかったようなもの、やらなかったことを取り入れたいと思って。1曲通して、ちょっと変というか不思議な感じにしたくて作った曲です。構成もサビ以外は、同じようなところがないようにしていたり、僕なりに細かいこだわりを散りばめて作った1曲ですね。

― M-4「vent」ストリングスアレンジもあり、今作にさらに深みを持たせている楽曲に感じました。

寺口:去年、声があまり出なくなっちゃって心身ともにバランスを崩しちゃった時期があったんですけど、そのどうしようもない時期に書いた曲なんです。去年末ぐらいに弾き語りで作っていて、最初作った時はバンドでやろうと思ってなかったんですけど、後からバンドでやりたいっていう気持ちが芽生えてきて、今回形にすることができました。「vent」っていう言葉には、”心を吐き出す”みたいな意味があるんですけど、この曲自体が自分の中でそういった役割をしてくれていたんです。全然うまくいっていない時期でも、曲を作ってなんとかその気持ちを形にすることによって、少しだけど救いのような存在になっていた曲なので。正直全然ハッピーエンドじゃないし、聴く人の心を選ぶような曲ではあると思うんですけど、変に最後に前を向くこともせず終わっていくところに、共感・共鳴してくれる人もいるんじゃないかと思って、バンドでも歌っていきたいと思いました。

― M-5「(night)/light」この曲は4月に配信リリースされたものですね。タイトルからも2面性のようなところを感じますし、Ivyの今と昔の雰囲気が混ざり合ったような楽曲ですね。

福島:まさにこの曲を書いてる時に「行間にて_2024”」のリリースが既に決定していたので、当時のサウンド感を踏襲しつつ新しさを見せられるような新曲をというテーマで書き上げました。

― M-6「空洞」は、不安や葛藤を受け入れながら前に進むような歌詞が印象的でした。

福島:タイトルの「空洞」っていうワードに紐づいて言葉遊びみたいな感覚で書きました。空洞ってなんていうか、”存在はしているけど認識できないもの”としてあるじゃないですか。でもなんだろうな、、、例えばサビに「トンネル」というワードがあるんですけど、トンネルって空洞自体が役割を示すものとして存在していて、人間の心の穴だとかも、その穴自体が役割を担っているっていう。そんなメッセージを込めて、自分でもけっこう歌詞が気に入っています。

― M-7「hero」は「I’m your HERO」と言い切ってますが、歌詞から伝わる決意とも言える思いが印象的でした。

寺口:音楽の役割ってなんだろうってずっと考えていて。例えば「音楽がないと生きていけない」って思う人がいて、もちろんそれが悪いわけではないんですけど、でもやっぱりそれって、ある程度自分が豊かな国に生まれて、家族がいて家もあって友達もいて、みたいな基本的な水準の上にあるからそう言えるというか。実際いろんなものが環境としてなかったらそんなことまず思わないと思うんですよね。そんな感覚が自分の中にずっとあって。音楽やってる人間だからこそ、やる側からそれを言うのは傲慢だし、あくまで音楽は娯楽の1つで、俺たちは好きだからやってるだけだし、それを一生懸命やって伝わればいいなっていうことを、バンド組んでオリジナルやって、20代前半ぐらいからずっと同じようなことを思って言い続けてたんです。でも、そういう言葉を発信するたびに「それでもIvyはヒーローです」とか「そういう言葉に私は本当に救われてます」ってことをファンの方がいろんなタイミングで言ってくれて。さすがにそこまで言ってくれるなら、それを否定するだけじゃなくて、そうあり続けたいと思えるようになってきたんです。なんかこう、救えないだとかって理屈っぽく言ってますけど、やっぱりそういう存在になってみたい部分はあったんですよね、どっかで。「ヒーローになれるような人間じゃない」って、自分でちょっと角度をずらしながら避けてきた部分、、、赤レンジャーを避けるみたいな(笑)でも、本当は憧れがあるからこそ、やっとそうなりたいと思えて、思い切って曲にすることができました。

― 他に、今作のレコーディングでのエピソードやこだわったところなどあれば教えてください。

カワイ:このレコーディングの直前に新しいベースを買ったんですけど、ギリギリ間に合って。で、実際レコーディングで弾いてみたら結構良くて、多分今までのメインベースと半々ぐらいとかで使って、自分の中でも新しい表現ができたかなと思ってます。

福島:あと「空洞」のキーを変えたよね。

寺口:そう!もうギターとベースも録り終わってたんですけど、高めのキーで透き通った声で歌うイメージで元々のキーで歌ったら「なんか違う。もっとゴリゴリ男らしく歌った方が多分かっこいいぞ」ってなってしまって。完パケしていたギターとベースを呼び戻して(笑)それはちょっとこだわったというか、さすがに大変な思いをさせちゃったなぁと。

カワイ:でも本当これはやってよかったです。ベースはチューニングも変わって弦のテンションが変わったりもして、弾き方も変わったので表現が変わって全然違う印象ですね。

― そしてワンマンツアーが11月から始まります!初日eggmanはソールドアウト!即完でしたね。

一同:ありがとうございます!

― ファイナルの渋谷WWW Xまで全国10公演。今回のツアーへの意気込みを教えてください。

寺口:この「inside = RED」の新しい7曲がセットリストに入ってくると、割と完成が見えてきてしまうというか、俺の中で今までこう悩んできたところが払拭されるだろうなということを感じていて。セットリスト作るのを毎回俺ら悩むんですけど、今後そこはかなり払拭されてくるだろうなと思ってます。だから今回のツアーでもし本当に今想像してるように「もうこれで完成かも」って思ったら、次の作品は何を作りたくなるんだろうとか、どうそれを未完成にしていくんだろうとか、そんなことすら考えてしまっていますね。今回のツアー、間違いなくロックバンドの要素が強くなるところはどうしてもあると思うんですけど、様々な色を持った曲たちでどんな物語にしていくか、1か所1か所が本当に楽しみです。

― 最後に読者の皆さんへメッセージをお願いします!

寺口:いつでもそうなんですけど、今俺たちは最高に楽しいので、一緒になって騒いで楽しんでくれたら嬉しいです。

カワイ:今回アートワークを地元の友達にお願いしていて、ジャケットデザインも攻めた作品になってるんでぜひチェックしてください。細かいところまで濃厚な、ぎゅっと凝縮された1枚になってるんで、たくさん聴いて、手に取って、楽しんでほしいなって思います。

福島:ライブの熱量が想像できるアルバムというか、こうなるだろうなっていう予感みたいなものを感じられるアルバムが出来たと思うので、ぜひライブまでセットで来てもらえたら嬉しいです。