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9mm Parabellum Bullet interview
- SPECIAL -

9mm Parabellum Bullet interview

半端ない情報量のバンドアンサンブルと乗っかるキャッチーなメロディーラインが代名詞。9mm Parabellum Bulletは間違いなく、アイドル大国のここ日本でエクストリームミュージックが世間からフォーカスされるきっかけを作ったバンドのひとつだろう。大学のバンドサークルで出会った彼らは、他のアマチュアバンドと同じように、街のライブハウスでステージに立ち、デモを作って、全て自分達でバンドの運営を回して来た、いわゆるアンダーグラウンド出身。人伝の口コミが物を言うリアルタイムな現場で、当時結成間もない彼らの噂を多方面から耳にしたのをよく覚えている。

Interviewer : 鞘師 至 / shibuya eggman

「気持ちは昔も今も変わらない」

デビュー前後、ライブハウスで噂を聞いたと思った次の瞬間には、TVでPVが流れていたような、めまぐるしい飛躍を見せていた9mm。演奏する会場も次第に大きくなり、今では全国各地の夏フェスにもガンガン出演する第一線での活躍が続く。 支持者が増えて、周囲を取り巻く環境も変化する中であっても、彼らは根本の意識が変わらずに活動しているようだ。

■ 菅原卓郎(Vo/Gt 以下、菅原):横浜でこのバンドをやり始めて、数年活動を続けてから初ワンマンをやった時にチケットがSOLD OUTして、そのくらいからライブにお客さんがどっと来てくれるようになったんですよ。いきなりの事だったんでびっくりしてたんですが、その当時感じた「大勢の人の前でやれる高揚感」みたいなものに引っ張られて、今も同じ気持ちでやってきてます。デビュー前はツアーで各地方を廻っていても、やっぱり自分達のことを知っていてくれる人も少なかった訳で、最初から大勢が盛り上がる前で演奏出来ていたんではなかったんですが、メジャーでのリリース前に、「Discommunication」(デビュー作『Discommunication e.p.』リード曲)を新曲としてライブでやって、お客さんがグワッと盛り上がった時はすごい嬉しかったですね。その時に感じたテンション感というか、そういう純粋な気持ちが今でも自分達を動かしてると思います。

幕張メッセやSTUDIO COAST等の会場で大衆を湧かせる中、彼らはもっとステージと客席の距離感が近い、横須賀PUMPKINや新宿LOFT等の各地会場でもライブを行っている。デビュー前からのファンや、当時同じフィールドで活動していたバンド達にとっては、原点を忘れずにいてくれる希有な存在。全国で活躍する彼らに勇気をもらう地元の人間の声を今もよく聞く。一方でバンドとしては、群れを成さずにひたすら前進してきた孤高のバンドでもある。

■ 滝 善充(Gt 以下、滝):僕らは元々インディーで活動していた時から、横の繋がりが少なくて、ずっと一緒に対バンしてきているような仲間のバンドというのが実はあまりいないんですよ。対個人ではQomolangma Tomatoとか、mynameisとか仲良いですけどね。ただここ数年は、THE BACK HORNや、THE BAWDIESと一緒にツアーを廻ったり、BRAHMANの企画に呼んでもらえたり、昔は接点がなかったバンドの方々と少しずつ一緒にやれる機会が増えて来ているんで、それは嬉しいですね。

そう話す滝がインタビュー中に着ていたのは、地元バンドのTシャツ。最近のヘビーローテーションCDはPrefuse 73。アーティストとの直接的な繋がりの有無に関係なく、ローカルからマスな音楽まで、またサウンドスタイルもロックからヒップホップ、エレクトロニカまで、この世の中どんな所にでも彼のアンテナにひっかかる音楽は散在している。

「あいつとやりたいな、っていうメンバーを集めてこのバンドを始めた」

尖った個性が耳に残る9mmの音楽。 結成時に元々コンセプトがあったのではなく、集まったメンバーで出した音が、たまたま今の彼らの原型を作ったそうだ。

■ 滝:大学のサークルを通して知り合って、一緒にバンドやりたいと思った人を集めていったんですよ。で、和彦(中村和彦(Ba))が入った時に皆共通してTHEE MICHEL GUN ELEPHANTが好きだったりして。一番最初に作った曲はけっこうロックンロールな曲で「このバンド、ミッシェルとかブランキー(THE BLANKY JET CITY)みたいになるのかな」と思ってたら、全然そうならなかったっていう(笑)。

■ かみじょうちひろ(Dr 以下、かみじょう):俺もデビューの時は今みたいなツーバス仕様じゃなく、3点セット1バスでがんばってたしね。「技術をひけらかすような曲なんて音楽じゃない」っていう気持ちが強かったんで。

■ 滝:それでも当初から各メンバーそれぞれ、演奏のテクニックもある程度あっていろんなことが試せたんで、スタジオにリフだけ持っていって、皆でアイディア出し合って曲作りをどんどん続けていったら、今みたいなサウンドになったんですよ。

■ 菅原:今となっては最初のガレージ感はどこへやらだよね(笑)。

■ 中村和彦(Ba):僕で言えばブランキー、ミッシェル以外だとRAGE AGAINST THE MACHINEとかにも影響は受けたけど、それがこのバンドに反映されてるかどうかは、自分でも定かではないですしね。

それぞれメンバーの多彩な引き出しが混ざり合って生まれる楽曲。 例えば当時から時折曲中に見せるスカのリズムも、9mmが鳴らせば単なるレベルミュージックに留まらない。 今回の4thシングルのタイトル曲「ハートに火をつけて」も然り。他にも「カチカチ山みたいなイメージの音入れたいね、っていう漠然としたアイディアから」と語る「R.I.N.O」(3曲目)冒頭のリムショット乱打のドラムフレーズや、「ラストラウンド」(4曲目)ギターソロパートでビートダウンするメタリックなフレーズも、全ては何かのジャンルとして振り切ったコテコテのセンスではなく、あくまで音として捉えて曲中にはめ込んでいく彼等独特の解釈。今作もやはり一環して感じるのは、既存の音楽ジャンルに頼り切らない「新しい音楽」としての9mmの楽曲だ。
最新鋭の音楽を鳴らし、その自身のセンスと高い演奏力で単身メジャーシーンへ乗り込み風穴を空けた彼らの進路は、この先どこを向いているんだろう?

■ 菅原:特別な事でなく、とにかく新曲を作って、ツアーして、それが毎回新たな気持ちで取り組める作業だから、この流れを続けていたい。バンドが好きなんですよね。だからやっぱりそれが一番楽しい。今も新曲はどんどん作ってる。ちょうど来年の2013年が9mmの9周年なんですよ。そこで次のアルバムを出せるといいな、と思ってます。10周年には着眼してないっていうね(笑)。

■ 滝:あとは、過去に海外公演で韓国と台湾に行ったんですが、その後、日本では買えないアジア限定のベストアルバムもリリースされたんですよ。で、今年も11月に2度目の台湾公演が控えてるんで、リリース後の変化として現地でどんな反響があるかも楽しみです。どうなるのか分からないですけど、海外にもどんどん出て行きたいですね。

◉‪Scream For The Future‬