―まずは、ニューミニアルバム「Anderson」発売おめでとうございます！
Vo.＆Gt村上学（以下：村上）、Ba.吉牟田直和（以下：吉牟田）：ありがとうございます！
－前作と比べて特にこだわった点はありますか？
村上：今回は前作の「High noble march」より全体的にドラマチックな曲が多いように思います。曲自体やサビ、メロディー１つなんかにもストーリー性があって、曲のバリエーションもアップテンポな曲から、その逆まで。１枚のアルバムとしてすごく色々なカラーが詰まった作品に仕上がってます。
吉牟田：あと今回初めてメンバーで一斉に録る「一発録り」という形でベーシックのレコーディングを行っていて、ライブのようにバンドのもつ熱量をストレートに届けられればなと。
村上：テスラはライブバンドなので、ライブ感を出すという意味で今回の一発録りは上手く行きましたね。
－一発録りって、バンドの演奏力も求められるし、大変ではなかったですか？
吉牟田：大変なこともありましたけど、それ以前に楽しかったですね！
その場の空気感によって自分のプレイも変わってくるので、ダイレクトに音が出せました。良かったライブの時のテンションを感じながら出来ましたね。「アンダーソン」は特に。
－じゃあ、吉牟田さんはそのレコーディングもライブのように立って演奏したんですか？暴れながら（笑）。
吉牟田：もちろん！
村上：全員立ってライブスタイルで演奏しました。
－一発録りでもきれいな音を残す為に、座って演奏する人たちもいますよね？
吉牟田：それダメでしょ!（笑）
そんな器用なバンドではないので。テスラはやっぱり”体で弾くバンド”だから、そこは立って演奏しましたね。
村上：おっ！体で弾くバンドだから（笑）。
－体で弾くバンド。「テスラは泣かない。」（笑）。
約一年ぶりのリリースですが出来上がった今の感想を教えてください。
村上：とにかく、良い作品が出来たという自信があるので、あとは聴いてもらわないとしょうがない！
吉牟田：リリースしてからがまた次へのスタートだなと。ここからなんで！
村上：ライブでみんなで歌えたら嬉しいですね。結構歌える部分もあるので。
－CDパッケージもとてもカッコイイですね。
吉牟田：歌詞カードを広げると、前作に引き続き、画家の郷治竜之介さんの描いた１枚の絵になるんです。実際はかなり大きな絵なんですが、それをあえて四つ折りにして向きを変えて、違う見方をすると、海の中にいるみたいだなぁと思って。海の中でまさに力を蓄えているような、今のバンドの状況とちょうど重なっているように感じました。
実は、最初このアルバムは「アンダーソンは水の中」という仮タイトルをつけていて、そのあたりでもシンパシーを感じてますね。
－今作の曲の制作はいつ頃から始めたんですか？
村上：曲は常に作っていて、前作がリリースされた後に出来た新曲も含めて、7曲を選曲してレコーディングに臨みました。
－ニューアルバムのタイトルにもなっている、〈M1／アンダーソン〉はどんな想いで作られたんですか？
村上：この歌詞は赤ん坊が生まれてくる歌で、赤ん坊はお腹の中で母親から栄養をもらって生きているけれど、お腹の中から出てきて生きている自分達も、もしかしたらまだへその緒でつながれて。誰かからか、どこからか栄養を貰って生きているのかもしれない。一人で生きている訳ではないという。
もしまだここがお腹の中だとしたら、次の世界が待っているのかも知れないな、という僕の勝手な想像の歌です。
－アルバムタイトルは、英語で「Anderson」、曲タイトルはカタカナで「アンダーソン」ですが、この表記にした意図はありますか？
吉牟田：やっぱりCDってジャケットにも物語があって、全てパッケージされた状態で1つの作品じゃないですか。だから作品名と曲が同じ表記だったらおかしいかなって。
－今回Clammbonのミトさんがプロデュースに入った事によってこの曲はどう変化しましたか？
村上：基本的に今回は、サウンド面を中心としたプロデュースをしていただいたので、こんな音が鳴らせるんだ！という勉強をさせてもらって。
あとは、Vo.の歌い方についてのアドバイスを沢山していただきました。
歌詞の世界観と歌い方をマッチさせた表現を教えていただいて、Vo.のレコーディングがとても気持ちよく出来ましたね。最近はそれをライブでもとても意識するように歌っています。それは自分の中で大きな変化でしたね。
自分の歌詞をしっかり伝えるにはどのようにすれば良いかというのも今回のレコーディングで学びました。
吉牟田：やっぱりすごい方でした。
僕はレコーディング中にわりと感覚的な伝え方をしてしまうんですけど、ミトさんはそれをしっかり理解してくれて形にしてくれました。僕の要望が常に見えているというか。
－アーティスッティックなやり取りだったんですね。
吉牟田：アーティスティックかつ、スピーディーに適切な判断をしていただいてスムーズに進行することが出来ました。これが一流の仕事なんだなと。
サウンド面でも目指すべき音を提示していただけたのは大きかったですね。
－じゃあ、テスラとミトさんは相性バッチリだと。
村上：そうですね。大リスペクトです！みんな大好きなんで。
－アンダーソンのMVもすごくスタイリッシュですね。
ジャケットイメージの流れからか足元が水浸しで、すごくこだわりが感じられました。どんなMVにしたいとかは考えていたんですか？
吉牟田：水浸しにするアイディアは当初から出ていて、演奏と一緒に水がはじけて動きのある映像が撮れればなと。
村上：他にスーパースローカメラで撮影したりもしたんですけど、そこは全部カットになったという（笑）。
ライブ感を徹底的に意識して、ズピーディーなカメラワークの流れを損なわな
いように監督の意向でそうなりました。
吉牟田：今作の伝えたいイメージに「沸騰」「水の中」「グルーヴ感」という３つがあって、打ち合わせ段階から色々とお話をさせていただきました。
－〈M2/Shake your hands saying good bye〉は後半になるにつれてどんどん激しさを増しますね。これは何についての曲なんですが？
村上：「Shake your hands」というのは脳神経と脳神経が手を結んでいること。頭の神経を手に例えていて、忘れたことでも神経と神経が手を結んで記憶として成り立っているから、香りとか景色とか、ふとしたきっかけでその記憶を思い出したりするので、忘れることはないよという曲です。
－神経と神経が…。
村上：要するに、忘れたように思っていることでも、実は覚えていて、またどこかで思い出すことがきっとあるから寂しくなんかないよという曲です！
－ありがとうございます！（笑）
村上さんは前作でのインタビュー時に、歌詞で「A」とは言っているけれども、本当は「B」と捉えてほしいと答えていましたが、今回もそういう部分はあったりするんですか？
村上：少しはあるんですけど、昔よりシンプルに伝わって欲しいという気持ちが今回は強いですね。
－何か自分の中で変化があったんですか？
村上：最近ドラマチックな曲が出来ることが多くなったので、歌詞も曲にマッチした説得力のあるものを考えようとしていて。そしたらストーリーを意識して作るようになりましたね。
吉牟田：これまではメンバー4人が納得すれば良かったものが、バンドに関わるチームや、聴いてくれる人が沢山増えて、より伝わりやすいように意識はしているのかなと。
－村上さんの作詞の曲は考えさせられる物が多いのですが、歌詞はどういう時に書いているんですか？
村上：歌詞は、ホント書こうと思って書いてるんですよ。
曲に関しては突然降ってくることが多いんですけど、歌詞はホント書こうとして書くみたいな。自分の中でその曲にあったイメージを決めて、それについて書いていきます。
－11月から、リリースツアーが始まりますね。意気込み等はありますか？
吉牟田：すごく月並みですけど、早くお客さんに会いたいし、ライブしたいし。
バンドが沸騰しているところを観てもらいたですね！
－ツアーファイナルとなる鹿児島公演はキャパ500人（！）の、CAPARVO HALLで行われますね！
村上：今までずっとテスラを応援してくれた人たちには、バンドの新しい一面を。今回の作品で僕らを知ってくれた人達には、ここで新しい友達を作ってもらえれば嬉しいです！
吉牟田：村上さんと重なる部分はあるんですけど、ずっと僕らは鹿児島で活動してきて、流通はしていないけれど自主制作音源を含めると、結構な枚数になるんですね。なので、これまで応援してくれている人も、これらから出会う人も、みんな一緒に巻き込んで特別な空間にしたいですね。
村上：そしてみんな鹿児島に来てみてくれと！
－ツアー会場となっている東京、大阪、福岡でのライブもすごく楽しみです！
吉牟田：バンドをやっていなければ、みんなに会えなかっただろうし。
本当に「一期一会」という言葉かぴったりですね。僕らも本気で臨みますので！
村上：みんなも本気で来て下さい！
吉牟田：次はいつ会えるかわからないからじゃないですけど、それぐらいの気持ちで思いっきり楽しみたいですね。
－今後のバンドとしての目標とかはありますか？
「Anderson」をリリースして、テスラはこれからどんな歩みをみせてくれるのかなと。
吉牟田：いつも言っているのですが、マイペースに続けていくことが目標ですね。ずっと続けていくことはとても大変な事だと思うので。
村上：僕は、、、良い曲が書けるように頑張ります（笑）。
－最後に読者の方々に一言お願いします！
村上：これはもうアルバムを聴いてもらわないとわからないので、ぜひ聴いてほしいです！
吉牟田：このフリーペーパーでコラムを書いていますので、そちらも読んでください（笑）。
村上：コラムを書いている人が、歌詞も書いていると思っている人が多いかもしれませんが。。歌詞は僕の仕事なんで！（笑）