「東京は”夢見る全ての人を許容する街”」
デビューからわずか1年半、通算シングル5枚、アルバム1枚と、怒濤のリリースラッシュと共に、この時代を代表するシンガーソングライターのひとりとして多くのファンのこころを掴み続ける”高橋優”。今回6枚目となるニューシングル”卒業”をリリースする彼の足は、止まることなく、まだ先を向いている。
秋田で生まれ札幌へ、音楽人生のスタートを切って上京し、東京から全国、また海外まで活動を広げ、経験値を積んでなお、自分や周囲の人たちにとっての希望の光を絶やすことなく見つけ、拾い集め、皆で共有する。これはデビュー前、札幌で活動する時代から今まで、変わらずずっと続いている彼の作業だ。情報過多と、人々の慌ただしさから、ネガティブなイメージがどこかに影を落とす今の東京という街ですら、彼は「夢見る全ての人を許容する街」と、捉える。
活動初期に発売されたCDの数々。中でも”こどものうた”、 “素晴らしき日常”などのように、世間の理不尽をやっつけるような歌詞が、リスナーのうずうずしたこころをスカッとさせた、攻めの歌も多くあった。しかしそんな怒りの鉄拳も、守りたいひとたちがあるからこそのことばであるような、やさしさの産物と感じる人は少なくはないだろう。
時代の声の代弁者、高橋優。彼の歌は昔も今も、彼の口から発せられた後、共感者全ての声となって、誰かの背中を押し続けている。
前作の”福笑い”は、ファンから寄せられた”世界の共通言語は英語じゃなくて笑顔 “ということばから、今の時代を生きる人たちのこころを代弁した楽曲として書き下ろされた。今回リリースされるシングル”卒業”もまた然り。2011年4月、震災直後の不安感から、言いたいことをなかなか言い出せない世間のムードが残る中、当時彼が出演したラジオ番組がきっかけとなり生まれた、とのこと。「リスナーの皆さんから、今の”ほんとのきもち”を教えて、というテーマでメッセージを募集した時に、集まったものを全て読ませて頂いてからこの曲を作りました。(高橋)」そうして生まれたこの”卒業”、歌詞からも、歌声からも、周囲の環境に打ちひしがれても、強く前を見て進んでいくことを決心する、前向きなエネルギーをリスナーに与えてくれる作品となった。
「自分と、自分の歌を聴いてくれる人のために唄っています。」
そんな自分を取り巻く環境を捉える感覚に富んだ彼も、インディーズ時代の活動からデビューを経て最近の活躍に伴った、生活の変化の速度には、多少の戸惑いもあるのかもしれない。「出会いの数や初めて見る景色や経験の数が増えてます。”色々な人がいる” 、”色々なシチュエーションがある”という一見当たり前の真理に拍車がかかっているような気がします。(高橋)」しかし彼のブログなどでも伺えるように、目まぐるしい生活の中でも、彼は”歌を作ること”を欠かさない。それが故のこれまでの、この密度でのリリースの数々。なにが彼を押し進めているんだろう?今回のインタビューのやりとりの中で、その答えらしきことばがいくつか見つけられた気がした。次のことばがそのひとつ。5月から始まる初の全国ホールツアーに向けて、高橋優からファンへのメッセージ。
「CDリリースや楽曲制作、その他の活動も、全てはLiveで皆さんとお会い出来る瞬間をゴール地点と決めて日々を生きてます。皆さんと一緒に最高の時間を過ごせるときを、僕は心から楽しみにしてます。」
人との出会いがちからを生んで、ちからが出会いを生む。彼の活躍はその体現のようだ。
やさしさと感受性豊かなアンテナでこの時代を描く
リアルタイムシンガーソングライター