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テクマ! interview
- SPECIAL -

テクマ!  interview

本来ならばこのページは自社レーベルの記事を載せなければいけなかった。しかし、テクマ!の新作リリースの報を聞いて、彼をピックアップしなければならないという思いで、居ても立ってもいられなくなり、急遽取材をオファーさせてもらった。まず読者に彼の事を説明すると、1996年からキャリアをスタートし、ニューウェーブと歌謡曲を融合させた独自の世界観を展開。高円寺、下北沢を中心にライブを行っていたが、国内では飽き足らず、ニューヨーク、カナダなどをツアーで回り、現在では俳優としても活躍中のアーティストである。前作リリースの2006年11月から早5年半、最新音源を聴いて最先端のミュージックシーンを静かに見守り、採取してどんどんアップデートしていっているのでは?と筆者は仮説を立てて質問をぶつけてみた。ところがインタビューをして、そんな仮説は払拭された。それどころか、一本筋の通った彼の「野望」を聞く事となった。そこがルックスだけではない「ハンサム」所以の業なのかもしれない。やりたいことへの軸がまったくブレていないテクマ!の生の声を聞け!

interviewer:志賀

志賀(以下S):前作から5年半経ちますよね?結構曲があったと思うのですが、何故今回この6曲をリリースしようと思ったのですか?

テクマ!(以下T):「ミニアルバムぐらいの方が結構売れるんですよ」というレーベルの意向があったんです。で、一昨年配信リリースしたベスト盤のCDでのリリースもその時にレーベルから提案されまして、ならばキャリア仕切り直しじゃないんだけど、紹介みたいな感じで、「テクマ!」ってなんだろうというのが分かるコンパクトなものをリリースして、それからベスト盤がくるという形にしたかったんです。

S:今回の作品を聴いてて思ったのが、もちろん今までの系譜は継承しつつも、より新しいハイブリットな「テクマ!」を見せようという意図を感じたのですが、それはなんでですか?

T:単純に仕切り直したいという意図ですかね。ベスト盤を出した時点でライヴなどの活動の上でのスタンスは仕切り直せたし、今まで割とサブカルとか、変な芸人とか思われてることもあったんだけど、2、3年前から普通に「テクマ!かっこいい」と言われるようにもなってきた自信があるんですね。この今の状態でのリリース、としたかったんです。

S:テクマ!って、ルーツを辿ると「ソフトバレエ」が好きというのがありますよね?ただ、今の音楽シーンも取り入れてたりして、より新しい提示をしているなと感じたんですが、それはどう思いますか?

T:友達のDJに「Black Devil Disco Club」という最近活動を再開したバンドを教えてもらって、彼等は「ソフトバレエ」のような、けっこうまんまなエレクトロなニューロマをやっていたんですね。で、僕も原点でやってきたものをそのままやっていってもいいんじゃないか、と。逆に言うと、僕の前作とかより今の方がより初期衝動に近いんです。だから、時代が俺に追いついたというか、リバイバルのサイクルが今ぴったり時代と合ったということだと思います。

S:今回の歌詞を見ると、とてもリアリティーがあって、今までの歌詞とは全く違うと思うのですが。

T:そう。結構ディスってます(笑)。感情も生々しいし、しゃべり口調のところもありますし。

S:これからの展望を教えてほしいんですけど。

T:来年、東京以外でもワンマンライブをしたいですね。今居るお客さんとより強い関係を結んで、より良い環境を作って観てもらいたいんです。最近生歌でライブもやっていますよ(笑)。システム的に最低限の機材があればライブができるので、誰もやっていない場所とかでライブをしたいですね。テクマ!は「工夫が出来るから凄いんだよ」ということで世に実力を示したいんですよね。あと僕のワンマンのやり方って、前半ソロ、中盤にアコースティック、後半もソロ、とつなげていくんですけど、中盤の所はその土地の子たちとセッションしていく形にしたいですね。こちらが無理矢理予算やりくりして人を連れていくのではなくて、その土地の人と演奏するというのがより良いかなと思っています。そのアイディアはトモフスキーさんからいただきました(笑)でもブルースマンとかそういうことする人多いですよね?

S:そうですね!確かに!

T:だからもっともっと、音楽にしてもライブにしても、もっとオーソドックスに、もともとどうだったの?という形に戻したいと。それって実は楽しいぜっていう。音楽の楽しさもより出ると思うし。

S:まさに今回の音源ってそんな感じですよね?音数も意図的に少なくしているし。それにゲストミュージシャンがセッションしている感じがして。

T:よりシンプル化はしていますね。

S:ホントに音源もライブのやり方も繋がっているなという感じがします。

T:人と演奏するときも一個抜けたところはありますよね。前は自分の形があって、そこにゲストの演奏をはめ込んでいく方法だったんですけど、今はより自由にしてもらっているという感じですね。

S:テクマ!さんってブルースマンみたいですね(笑)

T:そう。一人でツアー回っていくとか。俺は一人でいた方がいいと思うんですよね。旅先の店とかに何人かでたむろして、現場の人が近付きにくいのとかやだし、一緒に吞んだりしちゃうようなトラブルがあった方が楽しいんじゃないかなって。だから今年は月一で遠くでライブやりたいとも思ってますね。

S:原点回帰というよりは、ロックの原点を探っていく旅に出る感じですね?

T:そう、より一層シンプルにして、出来るだけ分かりやすくしようというのがテーマなのかもしれませんね。