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ラックライフ interview
- SPECIAL -

ラックライフ interview

大阪北摂出身の4人組”ラックライフ”。
等身大で真っ直ぐな声と音で、僕達に温かくて楽しい場所をつくりだしていく。
シンプルに真っ直ぐに”ラックライフ”らしく、毎日を切り取って伝える今作について、ボーカルギターのPONさんにロングインタビュー。
interviewer:森村俊夫

―リリースおめでとうございます!

PON(Vo.Gt.):ありがとうございます!

―早速、4月22日にリリースされた今作『アイトユウ』に関して聞かせて頂きたいのですが、今作のタイトルの『アイトユウ』。これはどういった意味があるのでしょうか。

PON:”愛というモノ”という意味と、”僕(I)とあなた(You)”という意味と、この曲を書くにあたってキッカケとなった結婚を控える友達2人のイニシャル”I”と”Y”でもあります。

―なるほど。では表題曲でもあるこの楽曲は、友人2人に関する現実の出来事から、歌詞の世界を制作していったのでしょうか。

PON:そうですね。結婚する2人は、高校の同級生なんですが、彼らが8年付き合ってやっと結婚するってなったのを聞いて、すごく嬉しかったんですよ。
それで、なにか2人にできたら良いなって、元々は結婚式で歌うように、2人だけに聞いてもらうウエディングソングのような気持ちで作り出しました。でも、自分の事とも重ね合わせながら制作していく内に、すごく思い入れができてしまって、これはちょっといろんな人に聞いて欲しいなという気持ちが大きくなってきました。結婚するって事は、家族になるって事は、そんな神秘的な事他には無いんじゃないんかなと思って。こんな気持ちがたくさんの人に届いたら良いなと思いながら制作した曲です。

―結婚式だけで披露する予定が、CDにまで収録されてしまったんですね笑。

PON:そうなんです笑。自分自身でもすごく感動しちゃって。

―人生の中の1つの場面を、シンプルに等身大に切り取って表現している楽曲で、すごく真っ直ぐに気持ちが伝わってきました。

PON:結婚って行事はすごく華やかなものかも知れないですけど、それまで培ってきたものっていうのはすごく地味で、山あり谷ありの日常を繰り返した上での行事に行き着いたものかなと思っていて、華やかでありながらもすごくシンプルで素朴なイメージがあります。だからこの楽曲も派手にしたい意識は全く無く、シンプルに構成していきました。

―なるほど。今の音楽業界は奇をてらう音楽も多い中、シンプルに何度も同じフレーズを繰り返すような構成になっていますね。
それこそ人生じゃないですが、何回も同じ事に出会ったり、何回も同じ事を考えたり、そうやって生きている毎日みたいにこの楽曲を感じる事ができました。

PON:ありがとうございます。まさにそういう楽曲だと思っています。
やっぱり僕達の曲は”歌もの”で、歌が真ん中にあるバンドなので、シンプルにメッセージに沿った楽曲にはしていきたいですね。

―シンプルな分、言葉に重みがあって、誠実さを感じました。この楽曲で歌われている事は全く1つも嘘が無い本心なのだろうなと。だからこそ、こんなにもシンプルにまとめる事ができるんだろうと思います。

PON:ありがとうございます。

―今作は3曲入りのシングルですが、2曲目の「ラングレット」は、1曲目からガラッと雰囲気を変えた楽曲ですね。

PON:タイトルの「ラングレット」というのは造語なんですが、”run”と”regret”で”後悔しながらも前を向いて走る”という意味を持たせています。

―1曲目の「アイトユウ」からの流れというのもありますが、楽曲の中に様々な場面を持たせている印象があります。Aメロの心地良い音域の声とファルセットとの混ざり具合はとても気持ちいいです。

PON:静かに気付く事がたくさんあって、すごく冷静な時に、ふと物事について考える、みたいな部分です。夜中、静かな街を自転車で走っているイメージで、自分の力が足りなかった事だとか、いろんな過去の事だとかを振り返りながら、今自分はどう生きているんだろうなって考えた時に制作した楽曲です。

―なるほど。対して、Bメロでは一気に場面が転換して、結構キツめの言葉を使って、言葉をリスナーに刺していくイメージもあります。

PON:そうですね。この楽曲は、後悔について深く歌った楽曲なんですが、過去の事を思い出した際の感情の起伏を表現したくて、感情が荒いところは荒く表現できるようにしてメリハリを付けています。

―その後のサビはとてもキャッチーで、聴いている人が口ずさみやすく、共感しやすいメロディーですね。

PON:サビがこの楽曲のトータル的なものを表現している部分になっています。
何度も同じフレーズが出てくるんですが、聴く人それぞれの今までの道のりで聴こえ方が変わるような楽曲であってほしいと思っています。

―「アイトユウ」は手に届く位置や目に見える距離くらいの世界の歌に感じたのですが、「ラングレット」はもっと広い世界を見て制作されているような気がします。

PON:そうですね。曲を作る時は何も考えずに曲作りに入るので、この曲はこう、あの曲はどう、とかは余り無いですね。「ラングレット」は10月に出した前作の『正しい僕の作り方。』というアルバムで、自分の事や自分の周りにある”自分を作ってくれているもの”に対して、たくさんの歌を作ったアルバムでした。今ならこのアルバムに、もう1曲足せるんじゃないかなと思って作った曲が「ラングレット」なんですよ。

―なるほど。

PON:俺達の力が足りないばっかりに、ライブハウスから離れていってしまう人だとか、仲間のバンドが居なくなってしまったりだとか、そういった事がすごくたくさんあって。あの時、こうしてれば良かったと後悔する事はたくさんあるんですが、それをしなかった、出来なかったけど、それでも今自分はこの道を走っているという事を認めないとダメだなと思ったんですよね。自分は後悔なんて全然しないよって言うんじゃなくて、俺は後悔してる、しながらもこの道をしっかり走る、その後悔の分までしっかり走るっていう決意の曲かなと思います。”後悔してる事を忘れて今日は楽しもう”じゃなくて、”嫌な事も辛い事もちゃんと覚えていたい”とも思っています。覚えているからこそ、見えてくるものがきっとたくさんあるなと思っています。”いろんなものを背負っている”じゃないですけど、自分の一部にしながら泣きながらでも、喚きながらでも、自分はこの道を選んで走っているんだという、思いの強い曲です。

―3曲目に収録されている「シネマ」は、イントロから壮大なイメージを持たせるようなフレーズから始まりますが、そこから一気にギターを重ねて激しく場面を変えて駆け抜けていく楽曲ですね。今話していて言葉の部分だったり、世界観の話もしましたが、やっぱり中心となる部分は言葉だったり、ボーカルだと思っています。ですが、楽器の音がその世界観を支えている部分がすごく大きいなと思っています。こんなにもボーカルの芯が通って聴こえるというのは、逆にちゃんとボーカルを支える楽器の音が固まっていないとできないなと。

PON:そうですね。そこはみんな意識してくれていると思います。「シネマ」は特に、みんなで攻めようという気持ちでどんどん勢いを出していきたいというところで、もっともっとと、みんなで突き詰めていった結果ですね。

―「シネマ」というタイトルを付けた意味はなんでしょうか。

PON:この楽曲は、”誰もが主人公”だから、自分自身の映画の中で駆け抜けて欲しい。という意味を込めています。歳もとって、大人になって責任感も変わってきていて、ステージ上で簡単に”大丈夫だよ”って言えなくなってきました。全然相手の事を知らずに”大丈夫だよ”って言っても、もしかしたらその人は本当は大丈夫じゃないかも知れないですし。でも、きっと相手の事を理解できる身近な大事な人に対しては、”大丈夫だよ”って言えると思うんです。俺があんまり知らなくて理解できていない相手でも、その人にとって身近な人はその人を理解してくれていて、俺が身近の人を理解できているように、その人にとってもそういった人が居ると思うんです。そう考えたら、思いっ切り”大丈夫!頑張れ!”って言える気がしました。昔は何も考えずに言っていましたが、今はそういった理解の仕方で放出できているなと思います。

―今作は3曲それぞれで全く違うアプローチをしていますね。

PON:そうですね。この3曲のアプローチのどれもが好きなんですよね。自分達のスタンスとして”バラードやラブソング”も歌いたいし、”自分と戦う曲”も歌いたいし、”聞いてくれる人の背中をバンと叩けるような曲”も”ラックライフ”だと思うんですよ。どれが本当の気持ちなのか迷った時もあったんですが、どれも嘘を付いていないし、どれも本気でやっているし、この3曲が一枚になったら面白いんじゃないかと思っています。

―今作のジャケットも、とてもシンプルでPOPなジャケットですね。

PON:そうですね。前作と同じデザイナーの方が制作してくれたんですが、”アイトユウ”っていうカタカナのタイトルの中に”I”と”You”が入っているんです。

―本当ですね!気付かなかったです。すごい。

PON:今回のデザイナーさんのデザインがすごく好きで、制作時にはカタカナで”アイトユウ”いうタイトルと楽曲しか伝えていなかったんですが、このデザインが上がってきて・・・なんでわかるんですか!って、ビックリしましたね!

―今作の収録曲「アイトユウ」のMVも公開になっておりますが、楽曲の世界観そのままのすごく温かいMVですね。

PON:ありがとうございます。今作のMVでは、初めて役者のちびっ子さん2人にも出演頂きました。この2人のラブラブな仕草が可愛くて、可愛くて笑。ちびっ子達の疑似結婚式みたいなシーンがあるんですが、落ちサビの一番大事なところは男の子が女の子と向き合って歌っているシーンになっています。曲の中ではボーカルの声だけになる部分なのですが、その部分をメンバー以外の方に委ねるのは、正直始めはちょっと反対でした。だけど、やってみたらすごく良かったんですよね。男の子が照れて、モジモジしている感じとか可愛くて、可愛くて笑。

―先日、なんばHatchで開催されました『GOOD LUCK vol.33』に関しても、お聞かせ頂きたいのですが、あの大きな会場で自身の企画を開催するというのは相当プレッシャーがあっただろうと思います。

PON:そうですね。プレッシャーはありました。それでもやっぱり、誰もやらない事にチャレンジしていきたいですね。自分達の仲間達だけでそれをやっていけるというのがすごく幸せな話だと思っています。僕らは大阪の高槻という場所で育って、地元の仲間のバンドもたくさんいて、このみんなで音楽シーンを盛り上げていきたいなとすごく思っています。

―そうですね。すごく熱い話ですね。

PON:そしてそれがみんなの先に繋がって、そうやって盛り上げていってくれるバンドが増えれば、大阪はもっと面白くなると思うし、大阪どころじゃなくて日本中でどんどん面白い日が増えれば、僕らも楽しいし、お客さんも楽しいし、ワイワイできるんじゃないかなと思います。今の僕らの音楽シーン丸ごとで上に行きたいんですよね。やっぱり、夢はでっかくというか。自分らが筆頭に出てやれるのは、仲間のバンドがいるからで、こんなこと仲間の力なしじゃ絶対できないイベントですし、信頼している仲間がいるからこそ、そういう場所に呼びたいと思うバンドがいるからこそ、できるイベントだと思うので、すごく誇り高いイベントだと思っています。

―そうですね。このイベントは、この先ずっと一年に一回なんばHatchで開催していくイベントになっていくのでしょうか。

PON:そうですね。でも今年、本当はやるつもりじゃなかったんです。去年で燃え尽きた感がすごくて。
でも去年の公演後、周りの反響もすごく大きくて、先輩や仲間からこんな面白い事をやっているんだったら、どんどんやっていけよ!と後押しを頂いて、今年も開催を決意しました。

―先日、このイベントのイベンターさんとも話しましたが、”このシーン全部を盛り上げていきたいんですよ!!!”ってすごく熱く伝えられました。すごく酔っぱらいながら笑。

PON:あの人、熱さだけが取り柄ですからね笑。バンドだけじゃなく、スタッフにも同じ気持ちを持ってくれる仲間がいて、そんな方々にも力を借りてやらせてもらってます。
そんな全ての人の一番最先端で発信するのが自分達なので、もっとしっかりしなきゃなという気持ちがすごくあります。

―”ラックライフ”の音楽に、”アーティスト””スタッフ”そして”お客さん”と、これだけ多くの方々が付いてきているという状況は本当に素敵な事ですよね。

PON:そうですね。僕達が、上に上がれれば大阪城ホールであったり、ドームであったり、どんどん舞台も大きくしていく事ができるし、そんな大きな夢を見て、生きていきたいですね。

―このバンドのシーンが上がっていけば全然夢じゃないと思いますし、だからこそ、みんなで共に戦っていきたいと思いますよね。
そうやって上がっていきながら、”ラックライフ”というバンドはどうなっていきたいですか。

PON:できる限り変わらないでいたいですよね。でも、変わらないって不可能だとも思っています。だから、どんどん変化を遂げながらも、今の”ラックライフ”と変わらないメッセージをちゃんと持ったバンドでいたいというか、いろいろなものを繋ぎ止める事のできる存在でありたいというか、ずっと理想なんですが”ライブハウス”みたいなバンドになりたいなと思っています。

―ライブハウスみたいな?

PON:そこに行けばいつも誰かがいるし、そこに行けば絶対的な何かを得られるような、”ズン”と、変わらずずっとあり続けるものになれたらなと。

―なるほど。ライブハウスは素敵な場所ですからね。

PON:あんなハッピーな場所は他には無いと思うし、僕らの地元のライブハウスがすごくそんな場所で。

―高槻の”RASPBERRY”ですね。

PON:そうです。あの場所に行けば誰かがいるし、楽しいことが起きるし、ワクワクする場所だったので、誰かのそういう存在になれたらなと思いますね。

―”ラックライフ”は、そんな”場所”に成りつつあるのではないでしょうか。お時間頂きまして、ありがとうございました。

PON:ありがとうございました!


▼CD情報
タイトル:アイトユウ
XQML-1003
NOW ON SALE
1000円(税抜)
1.アイトユウ
2.ラングレット
3.シネマ
(3曲入り)
▼LIVE info
●Bob is Sick3ヶ月連続配信リリース記念企画「その先へ」
5/20(水) 名古屋APOLLO BASE
●topics vol.165
5/23(土) 千葉LOOK
●共鳴レンサ 番外編 vol.1「初夏の共鳴」
6/12(金) 渋谷GARRET
●宇宙フェス 2015
6/13(土) 大阪 服部緑地野外音楽堂
●「パンゲアで君が見たんだ」
7/3(金) 心斎橋pangea