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Amelie interview
- SPECIAL -

Amelie interview

自ら飛躍の年にすると公言した2019年。

原点にもどった感覚はありつつ、しっかりと進化はしている今作にバンドとしてのその意思は明確に表れているように思う。

この1枚を持って踏み出す次の一歩はきっと大きなものであるだろう。

インタビュアー:ブッキングマネージャー窪田

―2019年は飛躍の年にすると公言してましたね。

mick:ツイッターにも書いたし、この前の東名阪企画ツアーのファイナル公演でも話しましたね。自分の中で2019年をそういう1年にしたい、というかしないといけないなって思っていて。自分自身を鼓舞する意味も含めて。

―髪型を変えたのもそれが理由ですか?

mick:まさにです。

―現状を変えたいという意思の表れ?

mick:髪型をガラッと変えたいなという想いは以前からあって、2019年をそういう年にするのであれば、今だなと思ってバッサリ切って色を変えました。

―トレードマークとも言える赤のロングという髪型から変えるのは結構勇気がいったんじゃないですか?

mick:自分の中では怖さはなかったんですけど、どういう反応をされるかなというドキドキワクワクな感じはありましたね。結果、すごく評判も良くて。イメージチェンジ大成功でした。

―そういう変化を求めたきっかけはなにかあったのですか?

mick:自分たちもそうだし、Amelieを好きでいてくれる方を飽きさせたくなかったっていうのはありますね。やっぱり何事も変化・進化って必要じゃないですか。あとはなんでもいいからAmelieを知ってもらうきっかけがほしかったというのもありますね。もしかしたらAmelieというバンドは知っていても、赤のロングの女の子ボーカルのバンドってだけで敬遠しているだけの人もいるかもしれないし。ボーイッシュな雰囲気のほうがいいかなって。

―そんなスタートを切った2019年は東名阪企画ツアーも行いましたね。年始から結構攻めるなという印象でした。

mick:会場のキャパシティも結構大きい場所だったのもあったので不安はありましたが、やってよかったと思える企画ツアーでしたね。
直人:飛躍の年にしたい2019年のスタートとしてはすごく良いタイミングだったと思います。改めてライブハウスという場所で自分たちの意思を示すことができたので。

―そんな2019年最初のリリースとなる今作『ノンフィクション』は久々のシングルという形態ですね。今までAmelieはあまりシングルという形態でのリリースをしてこなかったイメージがあるので、今回その形態でのリリースをすることに決めた意図など聞かせてもらいたいです。

直人:Amelieってこういうバンドですというのを打ち出したかったんです。シンプルにストレートにみなさんに届けたくて。今まで二面性とか多面性とか結構幅広い楽曲をやってきたんですけど、今改めてシンプルにAmelieらしさを追求するみたいな感覚ですかね。先ほどお話しさせてもらった2019を飛躍の年にしたいというのも、実はみんなで話し合いをして決めたというわけではなくて、メンバー全員心の中にその想いがあって、去年末からそれに向かって進んできていて、そういう意思を示すためにはシングルという凝縮した形態のほうが届きやすいかなという想いはありました。

―DVD付きというのもそういった想いからですか?

直人:そうですね。今回のDVDは前回の恵比寿LIQUIDROOMでのワンマンライブの様子が7曲収録されていいます。音源でAmelieというバンドを知ってもらいたいという気持ちはもちろんありますが、やはり僕たちは年間3桁レベルで常にライブをやっていて、ライブの僕たちを見てもらうのが一番伝わると思っています。でもまだAmelieの音は聴いたことがあっても、ライブは見たことがないという方もたくさんいると思うので、今回のシングルで音源でもAmelieらしさ、そしてDVDでライブの様子も体感してもらえたらなと思っています。
mick:改めて名刺代わり的な1枚というか、しっかりこの作品をみんなに届けたいなと思っています。

―今作『ノンフィクション』は“命”とか“続けていくこと”と“終わっていくこと”みたいなものが全体のテーマなのかなと感じました。事前に決めていたのですか?

直人:去年そういったことを感じる出来事が結構あったんです。でも事前にそういったことを決めて作品を作っていたわけではなく、作っていた曲たちを並べていったら自然に足並みが揃っていたという感じですね。
mick:本当に自然な感じでしたね。二人で制作会議とかをしたわけでもないし。私自身としてもそういったことを意識して曲作りをしていたわけではないですが、ずっと一緒にいるメンバーだし、きっと心のどこかではそういう直人さんモードみたいなものとかを感じ取っていたのかななんて思います。
直人:今作のタイトルにもあるようにその時の感情って曲に表れますからね。

―これは僕の勝手な印象なのですが、3曲とも曲を聴く前のタイトルだけ見たときに全曲バラードでもおかしくないなと思ったんです。おとなしい印象というか。タイトルで使っている言葉からくるイメージがなんとなく。

mick:あー、なるほど。言われてみたら確かにそうですね。バラードにありそうなタイトルかも。でも特に狙ってそういうタイトルにしたわけではないですよ。
直人:先ほどお話しにでていたように自然にこういった形になっていきましたね。

―『ノンフィクション』というCDタイトルについてですが、シングルで2曲目に収録されている楽曲タイトルがCDタイトルになっているのってちょっと珍しいかなと感じました。

直人:ここは純粋に曲を並べて聴いた時の流れを考えたらこういう曲順になったという感じですね。1曲目は「手と手」だけど、CDタイトルとしてはやっぱり『ノンフィクション』というのが一番今作には合うかなと思いました。過去作で『ドラマチック』とか『ビューティフルライフ』とか、どちらかというとキラキラした印象を持つようなCDタイトルのものがここ最近は多かったんですが、ちゃんとリアルな部分というか、人間として根底にある部分みたいなものもちゃんとあった上で、そういうキラキラした部分ってあると思うんです。ただ楽しくいこうぜとか笑おうぜだけじゃ説得力に欠けるというか。いろいろ嫌なこととかあるけど、それでも楽しくいこうぜ、笑っていこうぜというメッセージを込めています。楽曲は創作物だから結局はフィクションだけども、それを作った僕たちの人間としての部分、感情とか取り巻く環境とかはノンフィクションですから。ありのままを出した3曲だから曲順どうこうに左右されるのではなくCDタイトルとしても『ノンフィクション』にしたかったんです。

―そんな今作の収録曲について1曲ずつ聞いていきたいと思います。
1曲目は「手と手」。この曲はmick作ですね。制作コンセプトなど伺いたいです。

mick:今まで作ってきて歌ってきた楽曲たちと込めているメッセージは同じだと思うんですが、先ほど直人さんも言っていたように前向きな曲が多かったので、原点回帰というか自分の根っこにあるモノと向き合ってみて作った曲ですね。

―mickは明るくて天真爛漫でというイメージを持っている人が多いでしょうしね。

mick:それはそうですね。もちろんそういう側面はありますし、それも私なんですが、でもそれだけじゃない。普通に落ち込むことだってあるし、悩むことだってたくさんあります。そういう人間らしさというかありのままの私を描いた曲と言えるかもしれないですね。

―今までの作品と通ずる内容だとは思いますがもっと内面な感じはしました。

mick:やっぱり改めて思うのは対誰かがいるから自分が成立するんだなってことですね。ライブもそう。ライブ中ももちろん感じますが、物販とかで直接話を聞いて握手した瞬間とかまさに手と手だなって。他者に触れたから自分の手のことがわかる。落ち込んだりしている時にそんなことを思い出したりするとこんなんじゃダメだ、頑張らなきゃって思えるんです。

―そういった気持ちが歌詞にもしっかりと表れていますよね。

mick:この曲では比喩をたくさん使いましたね。こんなに比喩を入れた歌詞は初めてだと思います。

―あとはこの曲の歌詞で言うとサビで“手と手”ではなく“点と点”になっているところがあるのはポイントかなと思いました。

mick:そうですね。どちらも“手と手”と聴こえるような歌い方をしていて、歌詞を読まないとわからないかもしれないです。「手と手」という楽曲タイトルですが“点と点”が繋がるというのもこの曲において大事なキーワードです。

―そして2曲目は「ノンフィクション」。

直人:冒頭でもお話させてもらいましたが、“命”とか“続けていくこと”と“終わっていくこと”を感じる出来事が去年結構あって、ただ単にその気持ちを曲にしたいというところからスタートしていて、この曲に関してはAmelieどうこうとかmickが歌うとかを意識していなかったんです。今までで一番自分が歌っている感覚で作れた曲ですね。特にラストサビの部分とか。でもやっぱり完成してみたらmickが歌える曲にもなっていて、結局はAmelieのことを考えているんだなとも改めて感じた楽曲制作でした。すごく月並みな言葉にはなってしまいますが、失ってから気付くことってやっぱりたくさんあって、なにか大きな出来事がないとこうやって言葉にすることとか、形にできないんだなって。でも自分自身の実体験がきっかけでこの曲を押しつけるつもりは一切なくて、難しい言葉も使っていないでし、この曲を聴いてくれる人それぞれにとっての捉え方でこの曲を受け止めてもらえたらとは思っています。

―直人君の大きな想いが詰まったこの曲を歌うmickはある種使命感というか、しっかりこの曲を伝えなければというプレッシャーはありそうな気がしました。

mick:もちろんそれはありますね。責任感みたいなものは。レコーディングより前に1月の東名阪企画ツアーのファイナルのアンコールで初披露したんです。感情が溢れてしまいましたね。自分の中にこの曲をどうやって落とし込んで、私なりに歌うかどうか。でも直人さんの気持ちもしっかり背負ってという難しさはありますね。

―Amelieの面白さでもありますよね。直人君の書いた曲をmickが歌うというのは。絶対これからのライブで核となるポジションの曲ですしね。

mick:しっかりライブでやっていって、お客さんと一緒に作っていけたらと思います。シンガロング部分とか特に。

―ラスト部分のシンガロングは今までのAmelieにはあまりなかったところかなと思いました。

直人:もっと聴いてほしい、もっと一緒にAmelieの音楽を体感してほしいなと思って。でもこれは思いつきでとってつけた感じではなく、実は僕もmickもシンガロングとかは好きで、Amelieでもやってみたいなと思っては以前から考えていたんです。この曲ができてようやくそういった事もできるバンドになれてきたかなって。

―そして今作のラストを飾るのは「愛とか恋とか君との証」。

直人:この曲も「ノンフィクション」と同タイミング、同じきっかけで出来た曲なので、内容としては近いものがあるんですけど、この曲はもっとライトというか、別の角度からの曲ですね。今までのAmelieの二面性、多面性みたいなものを1曲の中に閉じ込めてみようというのがコンセプトとしてはあって、1曲目の「手と手」もそうなんですけど、マイナーコードで始まって、サビで一気に開けるようなイメージで。

―この曲は前曲の「ノンフィクション」とは違ってmickが歌うことが前提だったのかなという印象を持ちました。

直人:まさにこの曲はAmelieでやる、mickが歌うという事が大前提でした。その中でラストの方で僕が歌うところがあるのがこの曲のポイントでもあるかなと思います。「ノンフィクション」とこの曲に関しては直人節、直人感満載でいったほうがいいってレコーディングエンジニアの兼重さんにも言っていただいたので。

―いつもの伊豆スタジオでのやり取りですね。

直人:兼重さんと伊豆スタジオで曲の最終形態を作っていくというのはもうAmelieの制作の定番になっています。

―ここ最近でもAmelieの仲間たちのバンドの活動休止や解散の発表などもあったので、この3曲が持つ意味合い、今Amelieがこの作品を作った意味合いが期せずして高まったようなイメージがあります。

直人:確かにそうですね。もちろんタイミング的に狙ったわけではないですが、この3曲、この作品を持って僕らはいろんな想いを背負いながらも前に進んでいかなければと思っています。

―そしてリリースツアーも決まっていますね。去年から始まった鐘フェスではじまる。

mick:鐘フェスのメンツ相当すごくないですか!?

―越谷という土地にこれだけのバンドが揃うというのは本当にすごいですよ。

直人:ジャンルもめちゃくちゃですからね笑。

―ですね笑。僕は普段ライブハウスのブッキングとして働いていますが、このメンツを集めるのは無理だと思います。Amelieというバンドが主催だからこそですよ。

直人:ありがたいことですよね。みんなすぐに返事もくれて。

―もうある種の町おこしですよね。

直人:去年やってみてそういう側面もあるなと思いました。あの日、すごく街が活気づいていた気がして。

―それは僕も思いました。ライブを楽しみにしている方がたくさんあの街を歩いていていたのは活気がありましたよ。

直人:だからこそ続けていかなきゃとも思っています。これも今作に繋がる部分ですが続けていくことは絶対に必要だし、大事ですからね。Amelieというバンドとしても始まった場所を大事にしたいし、根底にある想いの一つです。
mick:そして今のAmelieがあるためには絶対外すことができないeggmanでのワンマンライブでツアーファイナルですね。

―久しぶりのeggmanでのワンマンですね。

mick:2016年6月だから約3年ぶりですね。
直人:今年が勝負の年だからこそ改めて仕切り直しという感覚です。だから今回のツアーは越谷で始まってeggmanで終わる。どちらもAmelieにとってとても大切な場所。ここを足がかりにして2019年の下半期に向かっていきたいなと思っています。

―そんな勝負の年と位置づけている2019年今後の展望を聞かせてもらえますか?

mick:体育会系の泥臭さは忘れずに、今よりもっとアーティスティックなバンドになっていきたいなと思っています。芸術をしっかり作りたい。心の内側をちゃんと表現できるバンドになりたいなって。

―ちょっと意外な答えでした。Amelieってライブハウスで泥臭く頑張ってきたイメージがあったので。

mick:もちろんそれはそうで、それがあったから今があるのも紛れもない事実だし、絶対必要なことではあったんですけど、もっと根底にあるものというか、初期衝動で、誰に聴かせるとかもまだ決まってないような時に鼻歌口ずさみながら曲を作っていた感覚を今改めて大事にしたいなって思っています。ここ最近伝わりやすくするにはどうしようとか、いろいろ考えすぎていたかなって。あとは大人になるにつれて、感受性が少し鈍くなってしまっていたような気もするので、原点回帰の気持ち。

―バンドを進めていくために伝わりやすさとかを気にしなければいけないことってありますもんね。

mick:もちろんそれは大事だし、伝わらなければ意味はないんですが、もう少し自分の根底、自分の内面をちゃんと表現していきたいなって思っています。
直人:僕も同じような答えになってしまいますが、自分たちがやりたいことを自分たちでしっかり考えて、自分たちで進めていけたらと思っています。すごくシンプル。今までと同じように一歩ずつちゃんと進めつつ今までよりもっと先に進んでいきたいです。

―そういう1年にしていきましょう。