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avengers in sci-fi
- SPECIAL -

avengers in sci-fi

―–良く有る「グレイテスト・ヒッツ」的なものはつまらない、珍しいセレクトの仕方で、バンドの現在進行形を伝えられる様な物にしたかった―–
いまやフェスに引っ張りだこのavengers in sci-fiが6月19日に初のベスト盤【Selected Ancient Works】をリリースする。その心境を探るべく木幡太郎(Gt、Vo、Syn)にインタビューを敢行しました。

interviewer:Shoko Ishikawa

–ベスト盤リリースおめでとうございます!今の気持ちを教えてください。

–木幡太郎(Gt、Vo、Syn)以下木幡:まさかのベスト盤という言葉しかでないですね。

–今回、このタイミングでベスト盤をリリースする事になった経緯を教えてください。

木幡:僕等はいつまでも若手のつもりでいるのですが、意外とアルバムは4枚とミニアルバムは2枚、その他にもシングルを出していたりして、僕等の名前を知っている人が増えてきたような気がします。でも、知っているだけで、どこから手を付けて良いかわからないお客さんが多い気がしているので、次のオリジナルアルバムを作る前に今までの作品をまとめておきたかったという感じです。

–やはりベスト盤というのは一つの区切りなのかなと思っているんですが、どうですか?

木幡:良く活動してきたな〜という感じです。

–結成の経緯はあるんですか?

木幡:一応2002年に結成した感じなんですけど、ドラムの先生(長谷川正法)にオファーした覚えとかないんですけどね(笑)。ずるずる叩かせてきた感じです。

–気づいたらこのメンバーだったのですね。

木幡:最初はコピーとかをしていました。で、だんだんオリジナルもやりはじめました。今はやりたくてやっているというよりは、辞める理由がなくてやっている感じです(笑)。アルバムを出すたびに〈これで終わりにしよう〉と思っていたので、そんな中でベスト盤をリリースできるのは感慨深いですね。

–Selected Ancient Worksという名前のベスト盤の由来を教えてください。

木幡:このタイトルは”Aphex Twin”の[Selected Ambient Works]のパロディなんですけど、”Ancient”は古代という意味を持っているのでアンティーク的な要素も入れてこのタイトルにしました。

–収録曲が過去3年のライブでのプレイ回数を算出して作られたアルバムということですが、どうしてライブ上位の曲をベスト盤にしたのですか?

木幡:単純にシングルを集めたものだったり、年代別に分けた物であったり、良く有る「グレイテスト・ヒッツ」的なものはつまらないなと思いました。リリースするなら珍しいセレクトの仕方で、バンドの現在進行形を伝えられる様な物にしたかったのでライブの算出でセレクトしました。後、切実に新たな層にアピールして、広げていきたいと常に思っていて、ライブを重視したいと思っているのでこういうセレクトになりました。

–1枚のアルバムを通して聴いてみて、初期の頃の曲から最近の曲までバランス良く収録されているなと思ったのですが、選曲で意識したことはありますか?

木幡:基本的に僕等は最新のリリースしたものが一番好きで、もし今普通にベスト盤を出すとなったら、4枚目のフルアルバムの〈Disc 4 The Seasons〉をそのまま出したいなと思っています。それだと偏ってしまうので、各リリースした作品からライブでやっている曲を抜粋したという感じです。

–ベスト盤なので、もちろんどれも思入れのある曲ばかりだと思うんですが、特にターニングポイントになった曲はありますか?

木幡:もちろん全部聴いてくれというのがセオリーなんですが、その中でも聴いて欲しいのは、M:4[Sonic Fireworks]ですね。

–それはどうしてですか?

木幡:最初は単純に大きなスピーカーで聴いていて、綺麗な曲だなと絶賛していたので(笑)。あとは、やはり昔の曲を聴いていると、昔の写真を見ているような気分で、〈どうしてこんなことしているんだろう?〉と思う事が常なんですけど、この曲に関してはいつ聴いても良い曲だなとため息が思わず漏れてしまうので(笑)。

–今回、M:3[Homosapiens Experience]/M:5[Nayutanized]/M:8[Beats For Jealous pluto]/M:9[Starmine Sister]は2013Mixになっていますが、その意図を教えてください。

木幡:単純に担当してくれたエンジニアさんが違ったので、やはり1枚のアルバムとしてテイストを近づけたかったというのがあります。やはり新しくミックスし直すと新しい気持ちになりますね。

–新曲のM16:[Crusaders]は約7分に及ぶ壮大な曲ですね。この曲は今回のベスト盤の為に書いたのですか?

木幡:そうですね。どうしてもライブベスト盤となるとアグレッシブな曲が多くなってしまうので、こういう曲を一曲入れたいなと思いました。

–この曲の世界観はどういうものですか?

木幡:この曲=愛憎というんですかね…</>

–具体的に言うと?

木幡:アルバムを4枚も制作してくると、時に幻滅したりする事があるんです。例えば、音楽を取り巻くビジネス的なものであったりだとか、大人の事情であったりだとか。その反面で、自分の変わらない音楽への愛情もあったりだとか。歌詞を深読みしてもらって想像してもらえると少しはこの曲の理解に繋がるかなと思います。

–前作の〈Disc 4 The Seasons〉はそれまでの作品とは違い、宇宙的とか、未来的なことを全く意識せずに、コンセプチュアルなものにしたくなかったとそうですが、今回の新曲に関してはどうですか?

木幡:前作の延長上にあると思います。歌詞の面でもはじめて〈僕等/僕〉という単語を使いました。今までは意識的に避けていたんですけど。

–避けていたというのは?

木幡:昔は〈僕等/僕〉という単語が気恥ずかしいなと思っていたんです。かといって、〈俺等/俺〉という単語を使ってしまうと曲の主人公の幅が狭まってしまう気がするんですよね。〈僕等/僕〉だと読み手によってはいろいろな主人公像が見えてくるのかなと思っているので、使ってみました。

–木幡さんの歌詞はメロディーに沿っていますよね。

木幡:普段自分の聴く音楽は洋楽ばかりなので、日本語の曲に違和感があります。なんだか日本語の曲はメロディーが解らないことが多いなと思います。歌詞の内容を伝えようとするあまり、メロディーと歌詞の区切りがマッチしないなと音楽を聴き始めたころから思っていたんです。

–そういう具体的な歌詞にはしたくないと思ったんですか?

木幡:メロディーに合わせて日本語を削らない様に制作時は考えています。あくまでその歌詞の理解がしづらくとも解釈は人それぞれなので、あえて具体化しないという部分はありますね。メロディーを生かす事によって歌詞が破綻してしまっていてもそれはそれで面白いと思っているので。

–DISC 2【Selected Ancient Mixes】はセルフプロデュースのMix CDですね!完成してみてどうですか?

木幡:ベストなのでなにかボーナス的な物を作りたいと思っていたので今回自らミックスを担当したんですが、本格的に自分でミックスしたものが作品になるのは初めてだったので、作ってみて意外と出来たな(笑)。と思いました。

–2枚目のラインナップはどのような経緯で選曲されたんですか。

木幡:わざと似たような素材の曲を組み合わせました。コンセプチュアルなものにしたかったので、今まで色々な作品で使っていた素材をバランスよく入れてストーリー性を持った作品にしました。ミックスというよりリミックスに近いかもしれないです。

–木村カエラさんに楽曲提供、プロデュースした「BANZAI」のリミックス音源も収録されていますね。

木幡:自分でリミックスしてみたかったのと、周りからの提案もあったので今回実現させました。

–2枚目ラストの「Pulsar A」は何かの逆再生ですか?

木幡:とある曲の逆再生です。過去の曲のリミックスと言えばそうなんですが、新曲とも捉えられるかなと思います。

–先ほどの楽曲提供された「BANZAI」は一度、大阪のRADIO CRAZYで実際に木村カエラさんをステージに招いて披露していましたね。

木幡:すごく気持ちが良かったです。次のアルバムは女の子ボーカルを入れて作りたいと思ったくらい(笑)。いつもライブはもちろん自分たちが主役なんですけど、その時はカリスマ的なボーカルさんがいて、自分はあくまでバックに徹するという日陰の立場が意外と性に合っていたのでこういう事もこれから出来る機会があればいいなと思っています。

–ライブで特に意識していることなどありますか?

木幡:素になったら負けだと思っているので、脳内で常に酔っぱらっています(笑)。

–確かに今とのテンション感は違うなと思ってました(笑)。

木幡:MCとかも自分であとから聴くと怖いなと思います。自分的にはファニーで良いやつだと自負しているんですけどね(笑)。

–6月からツアーも控えていますね!

木幡:固定で何バンドかと一緒にツアーを回る事が久々なのでとても楽しみですね。ワンマンだと本当に純粋にライブをしにいくっていう感覚なんですが、何バンドかで回って打ち上げとかもしてなんかライブ+旅行っていうイメージです。

–次の作品のことはもう考えていたりしますか?

木幡:基本的にその時マイブームなことをしているだけなんですけど、今まで封印してきたことをやりたいという気持ちはあります。今まで閉じていた引き出しを開けていきたいですね。

–最後にこのインタビューを読んでいる方々にメッセージをお願いします!!

木幡:もし退屈なインタビューだったらすいません。皆さん宜しくお願いします(笑)。

–十分面白いインタビューになったと思います!!(笑)本日はありがとうございました!

木幡:ありがとうございました!