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Awesome City Club interview
- SPECIAL -

Awesome City Club interview

シティーサイドミュージック的に形容される音楽全般がここ日本で目立つようになる当初、いくつかの前衛的な存在としてこのムーブメントの始まりを作っていったバンドの一つが、Awesome City Club。 ブラックミュージックのセオリーを持ちながらも、風合いは全く黒くない、むしろ透明度の高いイメージのサウンドプロダクション、容姿で、クールな印象の彼らは、新世代音楽の作り手として一躍全国区で注目の存在となった。 インディー時代から既に知る人の多い彼らが故に意外だが、最新作は記念すべきメジャー初のフルアルバム。 ファンクシーンの神、ジェームス・ブラウンの名言から取ったというアルバムタイトル『Catch The One』は、音楽的なブラックミュージックへのプロップスとも受け取れるが、同名の冒頭曲の歌詞へと繋がることで、またバンドでのこれからの歩みに見出す光も感じ取れる、深イイ作品名だ。 本作で特筆すべきは彼らの熱量。 さらりと中性的で体温低めなかっこよさが売りのイメージを覆す、想いの詰まった歌詞や、今見ているバンドの未来。 初期衝動から始まりメンバーで始めたこのバンドが、第三者のリスナー、ファンを巻き込んで社会性の中で音楽を磨いていったその先のレイヤーが、このアルバムから見えてくる。 彼らはいわば部活に集まった学生がその先で続けているプロ部活集団みたいだ。 ものづくりのたのしさにヤラれて今も創作続けながら、人の為になるやりがいにも魅せられ、仕事として成り立つ中でも芸術性を守り続けている、独立勢力みたいな集団。 しかも今も尚楽しそう。 バンドのパッケージ完成度の高さから、普段なかなか見えてこないバンドの内側、クールな側面とは逆の、人間味ある愛らしさが感じ取れた75分の取材では、フロントマンatagiとPORINの表情の柔らかさが一番印象深かった。

Interview & Text : 鞘師 至

10代に得た感覚で今も走り続けてる。

— 本作の完成度、まず自分たちの音楽を保ってるのがすごいな、と感じました。 周囲の音楽に自分たちの音楽が振り回されることってないですか?

■ atagi (Vo/Gt): 全然あると思いますね。 掘りまくってる、って程ではないですけど新しい音楽も常に聴いて勉強もしてますしね。 ただ、ポジション的に僕らと横並びになっているバンドに引っ張られるととはないかもしれないですね。 やろうと思ってもできないし(笑)。

— 逆にオーサムの音楽もですよね、テクニックとしてはブラックミュージックから引き出したものからできていても、アクより透明感が勝る感じ。 白人がやるブラックミュージックとはまた別の、J-POPブランドのブラックミュージックというか。 この音楽性ができたのは、それぞれメンバーのどんなバックグラウンドからだったんですか?

■ atagi: 僕は元々がっつりブラックミュージック聴いてる人間でしたね、しかもルーツ寄りのコテコテのやつ。
■ PORIN(Vo/Syn): 私はずっとPOPSが好きで、ブラックミュージック通って来てない派ですね。
■ atagi: メンバーそれぞれ全然違うんですよね、元々通って来た音楽が。

— 学生時代など、音楽を掘る作業はインターネット上で、ですか? 時代的には今や誰もが使ってるスマホやサブスクなんかが全くなかった時代ですよね。

■ atagi: そうですね、スマホなんてごく最近ですもんね。 僕の場合、小学6年生で初めてプリペイド式の携帯持って、中学生くらいの頃にはWindows 95の世代で、あのカチカチカチッてダイヤルアップ接続する回線、あれでインターネットにも触れてましたけど、その頃のそういう端末は音楽を掘る事に今程特化した用途では使ってなかったですね。 Youtubeもなかったし。 Amazonとかで地元のCDショップで買えないCDを買う為にネットを使ってたくらいかな。 中古CDとかを漁れるようなお店も地元に全然なかったんで、本当に今と比べたら数少ない情報から新しい音楽に出会いに行ってましたね。

— 情報稀有な方がハングリーになりますよね。 ちょっとの情報にアツくなれる、みたいな。

■ atagi: 確かににそれはありますね。 その時の音楽に対する知識欲は半端なかったもんなぁ。
■ PORIN: 飢えてたんだね(笑)。

— 今はバンド活動があるからアウトプットが忙しいですからね。 インプットの情熱とか実際それに割く時間とかは、その頃には勝てないっていうのは悲しいかな現実かもしれないですね。

■ atagi: 本当にあの頃の余熱で今も走り続けてますもん(笑)。 10代の頃蓄えた知識でなんとか頑張ってる…みたいな。
■ PORIN: 松本隆さん(ex-はっぴいえんど・ドラマー)とかもそう言いますもんね、今の自分は中学生くらいまでの自分で成り立ってる、って。

その後メンバーで集る位の時期は、そういう確立した自分の好みを、すり合わせたり、うまく引き出せるような技術を磨いていったりする段階なのかもしれないですね。 若き頃に熱心に音楽にハマった人だからこそ、バンド組んだ後の音楽性がブレない、って事かもしれないですね。

多面的バランス感覚。

— 「愛とからさわぎ」(M4): では真部脩一さんと作詞でコラボしていますが、真部さんとはどんな出会いでこのコラボに発展したんですか?

■ atagi: 真部さんのやってるバンド、集団行動がレーベルメイトになった事がきっかけでライブで対バンする事があって、僕は一方的に知ってたんですけど、その時初めてお会いして、っていうところからですね。 元々この曲の歌詞を担当してるユキエちゃんが ”今までこのバンドが歌ったことのないようなものを書きたい” って言っていたんですけど、それを具現化する為に、このバンド以外の表現の幅を持ってる人と一緒に作ってみるのがいいんじゃないかって話になってたんですよ。ユキエちゃん、 “パンチ効いた人と共作してみたい”ってずっと言ってて(笑)。 それで僕の方から真部さんがぴったりなんじゃないか、って提案したんです。 人間性的にもユキエちゃんと似てる感じもしてたし。 (良い意味で)ちょっと変な人じゃないですか(笑)、二人とも。 物事の見方とか、表現に独特のロジックを持ってる、っていうか。 そこが絶対合うな、と思って。

— 確かにスムーズに真部さんワールドのメロドラマチックな世界観がこのバンドの雰囲気に溶け込んでる感じですね、この歌詞。 こういう自分以外の人が作った詞を歌うことって、抵抗なくさらっといけるタイプですか?

■ atagi: 僕の場合は正直に言うと、うまく演じきれるような、柔軟に対応できる器量がないから、大変な時もありますね。 でもこの曲はすごいよかった、すんなり歌えました。 表現の幅に関して言えば、こういう違う要素とコラボするのは絶対に正義なんですよ。 このバンドって歌詞に揺るぎない主軸があって成立してるって訳ではないから、これまでもいろんな作詞家さんとコラボする歌詞もやってきて、それはすごく有意義なものとして、これまでの作品の中でいい風合いを出してると思います。
■ PORIN: 作詞家のいしわたり淳治さんとか、チャットモンチーの高橋久美子さん、あとレオさん(LEO今井)。 いろんな人とコラボしてきましたね、どれも実際すごくいい作品になりました。

— 楽曲面では、この曲で言えばボーカルのパンが左右に振られてくフレーズとか、UFOが飛んでくみたいな効果音とか、音の遊びの部分に音源制作現場のクリエイティブ性の高さを感じる部分が沢山ありました。 こういう遊びの音響効果って、どうしても曲のアレンジ、歌詞の変更とか、全部が全部確定して、スタジオで録音終えた後にそれでも時間が余った時でしか生まれにくいような発想だったりしませんか? 心の余裕がないと生まれない自由度、的な。

■ atagi: レコーディングはね…そんなに余裕なかったですね(笑)。 そういう音響効果に関しては、僕らの場合デモ制作段階から入れ込んでる事が多いんですよ。 本レコーディングはもう、デモで持ち込んだ楽曲をそのまま演奏して録るだけ!くらいの感じで構想練り終えた状態で挑んでます。 今回、それでも時間カツカツでしたけどね。 なるべくレコーディングであたふたしないように、デモの段階で色々試してフレーズを練り直して、色々遊ぶようにしてます。 デモ段階では今回も満足いく調整ができたんで、そう言う意味ではクリエイティブでしたね。

— デモ制作はDTMで完結ですか?

■ atagi: 基本そうですね。

— サウンド的には、パキッとしたDTMならではの透明感が全体像としてある中で、ドラムの音が唯一柔らかいアナログっぽい音。 この絶妙なバランス感覚がすごいな、と思ったんですが、これは何か狙いがあっての仕上がりですか?

■ atagi: これ、突っ込んだ話をすると、制作ディレクターがこれまでと変わったんですよ、その影響ですね。 そのディレクターが元々ドラマーなんです。

— そのディレクターの方が生ドラム的なサウンドにこだわる提案を?

■ atagi: ですね、それとそのディレクターと話し合って今回レコーディングエンジニアを遠藤さんという方にお願いしたんですけど、そのエンジニアの方も、生っぽい音像が得意な方だった、っていうのもあって、今回のこの感じのドラムサウンドになりました。 デモ段階ではもっとバッキバキで作っていったんですけどね(笑)。 この部分はレコーディングで変わった大きな部分です。

— 元々デジタルな音像のイメージがあるところからの、このミックスは新鮮で完全にイケてますね。 デジタル感、アナログ感の側面でもうひとつ、ベースですが、シンセベースと生のベースの音、楽曲によって結構使い分けが成されてますが、これはどういう判断基準で?

■ atagi: これは完全にその楽曲のグルーヴ感がどっちに寄ってるかの感覚です。 単純にグルーヴがオンタイムかどうか、あとはベース音のリリースの長さとか、音の減衰具合がどうかとか、そういう音の特色的に、生とシンセどちらのベースが楽曲の雰囲気に合うかで決めていきました。

— シンセベースは生で演奏録音したベースを、音源のシンセベースに差し替えてるんですか?

■ atagi: シンベはイメージをデモ段階のままでいきたいんで、デモで使った音源をそのまま起用してます。

— なんだかレコーディングが楽しそうですね、ひたすら一つの楽器弾くとかじゃなくて、いろいろやる事があって。

■ atagi &PORIN: いや、そうでもないです!(笑)。
■ PORIN: 割とデモで完成してる設計図に沿って演奏して録音していく、っていうことが多かったので。
■ atagi: そう、だからデモ作りの段階の方が楽しいですね。

— なんだか音楽の構築の仕方がプレイヤーというより、プロデューサーっぽい感じですね。 やれることをやるんじゃなく、やりたことを実現する為に進めていってる感じ。 例えばギタリストのスタイルとしてソロをバリバリ弾き倒したい!みたいな固執はなくて、楽曲やフレーズに見合う音とかグルーヴを常に考えてる、というか。

■ atagi: うちのバンドメンバー、プレイヤー的な我の強い人が一人もいないんですよ(笑)。 おもしろいですよね、バンドなのに。 自分の楽器のプレイを第一に主張する感じは基本ないんですよね。
■ PORIN: バランサーの人が集まった感じ、っていうのかな。 みんな調和を意識して組み立てていく人ですね。

— その感じ、作風にも出てると思います。 自由な解釈。

■ atagi: そうですね、いいのか悪いのか(笑)。

— ちゃんとこのバンドらしい要素だと思います。

■ PORIN: オーサムっぽいですよね、この感じ。

— そういえば「燃える星」(M5)には、あたまにオリエンタルな感じの弦楽器の音が入ってましたね。

■ atagi: シタールですね。 これは電子音源ではなくて、ギターのモリシーが持ってた実際のシタールを彼自身が演奏したものを録音しました。

— そういう違う楽器弾いて入れちゃうところにもこのバンドらしさがありますよね。 自分の所属楽器に囚われない、っていう。

■ PORIN: 確かにね、例えばモリシーに関してはサポートとして別のバンドで今ベース弾いてたりシンセ弾いてたりするんですよ。 しかもベースすごい上手いっていう(笑)。 マルチプレーヤーなんですよね。

— atagiさんは別の楽器弾いたりするんですか?

■ agati: 僕は全くできないです。

— でも、言うてもギター、ベース、鍵盤と歌はやりますもんね。 すでにマルチじゃないですか(笑)。

■ atagi: それ以外は全然分かんないですよ。 だから僕はもうあれですよ、楽器の勝手を知らずにデモの段階でいろんな変な音入れるもんだから、よく分からなくなるんですよ(笑)。
■ PORIN: でもそういう感覚で作った方が楽しいと思うんですよね。
■ atagi: この前も「サーツェン」って何だ…?ってなって(笑)。

— …なんですかそれ(笑)。

■ atagi: 笛の一種らしいです(笑)、また分からず入れてしまいました。

— 他に今作の曲中に入れたバンドベーシックの楽器以外の音で、入れた音はどんなものですか?

■ atagi: 分かりやすいものでは、ストリングスとホーンセクション。 ホーンは生演奏したものを録音しました。 あとはティンパニーとか、他にも色々。

考えるのはメンバーのこと。

— 音要素の部分で言えば「クリエイティブオールナイト」(M6)にはRAPパートも入ってきますね。 普段HIPHOPとかは聴いたりしますか?

■ atagi: 僕はそんなに通ってきてなくて、この曲を作ったマツザカ(マツザカタクミ/Ba)が元々好きなんですよ。 僕らメンバーの共通項で言えばどちらかと言うとR&Bかな。 この曲の裏テーマが “ゆるく聴けるラップ” で、このアルバムの箸休め的に機能する曲にしよう、って話して作っていたんで、R&Bにも通じる感覚でユルくリラックスして聴けるものを目指しました。

— J-POPとして成立するラップソング、これはこれで今の日本のバンドがやる音楽のリアルのひとつかもですね。 サウンド以外には歌詞でも多面的にメンバーそれぞれが書いたりしてますが、「ワンシーン」(M8)は本作では唯一PORINの作詞。 これはどんなシチュエーションで書いたもの?

■ PORIN: 実体験って訳ではないんですけど、その時見ていたシーンは入ってます。 お家にいて見えてたものいろいろ。

— 本人作詞で本人ボーカルだとリアルっぽく聴き取れますね。

■ PORIN: そうですよね、しかも私いつも別れの恋ばっかり書いてるから、すごい恋多き人でしかも可哀想な人みたいに思われてるかも(笑)。 私、幸せな歌詞も書けなければ、幸せだと曲自体書けないんですよ…。

— もうそういう星の下に生まれたんですね(笑)。

■ PORIN: 私、普通の女の子のように順風満帆に幸せになることはもう無理なんだろうな…と思ってます(笑)。 どうしても創造性のほうを選んでしまう、というか。

— 恋よりも音楽を選んだんですね…

■ PORIN: なりたいですけどね、幸せに…(笑)。

— これは冬の歌ですが、最後の曲「8月とモラトリー」は逆に夏の歌ですね。 なんでしょう、季語が出てくると急にリアリティーを感じますね。

■ atagi: 僕に関しては今回の作品の歌詞、全部自分の気持ちに忠実に書いた、いわばノンフィクションものですね。 実話っていうのもあるし、実際に思ってることを書いた、っていうのもあるし。

— 「Catch The One」(M1)はそう考えると、この歌詞のテーマはバンド活動自体のこと?

■ atagi: まさにそうですね。 僕ある一時、メンバーに対してイラっとしてた時期があって、その時期を過ぎたタイミングで思ったことを書いた歌です。 そういうメンバー間の関係性のバイオリズムってどこのバンドにもあるじゃないですか、時期によって。 僕も結構そういう浮き沈みがあったんですよね、今はもう平気なんですけど。 でもめっちゃ腹立つことがあっても、次の日起きて冷静に考えてみたら、やっぱり大切な仲間やな、って思えたり、ライブ終わってみたら、あぁ、やっぱりこいつらしかいないな、って思えたり。 そういうこと総合的に考えると、結局俺ってメンバーのことどう思ってるんだろうなー、ってずっと考えてたんですよ。 その考えた末に最後、メンバーに伝えたいことを、手紙を書くような感じで書いてみたのがこの曲の歌詞です。

— 一緒に夢見て行けるところまで行こうぜ、っていうことですね。 いつ頃かいたものですか?

■ atagi: これが一番最近書いた歌詞ですね。

— なぜこのタイミングだったんでしょう?

■ atagi: 今が一番メンバーの関係性が健全で良いんですよね。 全員がバンドに頼るだけじゃなく、何かでリードしていくことを踏まえた関係性になってるっていうか。 PORINがアパレルブランドを立ち上げたり、モリシーが外現場でサポートをガンガンやってたり。 これって個人の動きですけど、結果としてバンドにいいインスピレーションを持ち帰ってくれるような活動になってると思ってて、そういう良い状態で外を向いているメンバーに対しても、”大事な何かを一緒に掴んでいこうよ” って伝えたくなった、というか。

— こういう熱量高いメッセージの歌って意外でした。 これまで表向きには体温低めのクールさがイメージとしてあったので。

■ atagi: 今まではこういう歌詞はなかったんじゃないかな。 これまではもうちょっと世間が何を求めてるかにフォーカスして書いてたかもしれないですね。 それはそれでその時のやり方として間違いだとは思ってないですけど、今最新の心境としてはこの曲みたいに、思ったことを伝えるっていう表現が自分にハマってるタイミングなんだと思います。

— 今じゃなきゃ出来なかった歌、ってことですね。

■ atagi: そうですね、世間にどういう言葉を打っていけば響くか、ということより、今は内々のことが気になってたり、心配だったり、嬉しかったりで、そっちの方に意識がいってるんで、今の等身大の目線なのかな、これが。

続けていって、みんなで幸せになりたい。

— ちなみにこれまで積み上げてきたこの音楽性、元々は狙った目標ってあったんですか?

■ atagi: ざっくり言ってしまえば、音楽的な目標が明確にあった訳ではないと思いますね。 自分たちの感覚に忠実にやってきたら、こうなったというか。 でも結果的にそのふわっとしたやり方が自分たちが得意で、自分たちらしいやり方なんだろうな、という気が今はしてますね。

— と言うのも、今って近しいポジションに同じような音を鳴らすバンドが下からどんどん出てきてるじゃないですか。 いち先駆者はどう思うのかな、と。

■ atagi: 先駆者と自分たちで全然思ってないこと前提ですけどね(笑)、良いバンド見つけて嬉しいこともあれば、寄せに来てるな〜と切なくなることもありますよ、実際。 音楽については多様性があって良いと思うし、ちゃんと自分のバックボーンにあるものをやったほうが良いと思ってるんですよ。 たまたま僕らはブラックミュージックが背景にあって、時代的に流行りに乗ったと括られたこともありましたけど、でも自分たちのバックボーンに忠実であればそれを肯定していけばいいし、もし流行りに乗っかる目的が自分のバックボーンよりも先行してしまっていたら、それはもろい。

— もろく消えゆくバンドも実際多いですしね、ライブ現場でも同じことを感じます。 逆に今これからの目標は?

■ atagi: やっぱり、バンドを続けていくことなのかな。 例えば売れることが続けるために必要なプロセスであれば、そこにチャレンジするし、この先をどう続けて進んでいくかっていうことを常に考えてますね。

— その続けたい、と思う一番の原動力は何ですか?

■ atagi: ビジネスパートナーでもなく、家族でもなく、ただの友達でもない、このメンバーとの何とも形容しがたい関係性、こうなった今、もう他のメンバー放っておけないし、一緒に進んで生きていくしかないと思ってるんですよ。 ここまで作ってきたものだから、やっぱり大切で続けたいですよ。 僕ね、フラワーカンパニーズの「ハイエース」って言う曲の歌詞が大好きなんですけど、”いつまで続けるんだこんなこと、いつまでやれるんだこんなこと” みたいな歌詞があって、もう涙なしでは見れないですね(笑)。 多くのバンドマンに突き刺さる歌詞だと思うんですよね。 結局そういうことなのかな、と思うんですよ。 一生業を背負って生きていくじゃないですけど、願わくばみんなでそう思って、楽しくバンドをやりながら、みんなで幸せになれたら良いな、って。
■ PORIN: 私もバンドがなかったら生きられないですからね。 基本人生って寂しいじゃないですか(笑)、でもバンドやってれば明日スタジオいけばメンバーに会えるとか、生活が成り立ってるんですよね。
■ atagi: なんだかんだ言って楽しいんですよ、バンドやること自体が。 だからやっぱりやめられないですよね。 これが続けば良いなと思うし、そうしていくのが今やりたいことかな。