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FIVE NEW OLD interview
- SPECIAL -

FIVE NEW OLD interview

新メンバーSHUNを迎え4人になったFIVE NEW OLDとしての初の音源!
今までを大切にしながらもさらに新しいチャレンジを織り込んだ今回の作品。自分たちの音楽の最高点を常に目指し続けてきた彼らだからこそ届いた今回の作品。高いのはその音楽のクオリティーだけではなく、音楽への情熱や誠実さなんだというのが伝わるインタビューを拡大4ページで!!

Talking Partner : TATSUKI

—まずは本誌初登場ということで、自己紹介をお願い致します。

HIOSHI(以下;H):Vocal, GuitarのHIROSHIです。
WATARU(以下:W):Guitar, Keyboards, ChorusのWATARUです。
SHUN(以下:S): BassのSHUNです。
HAYATO(以下: HA):Drums, ChorusのHAYATOです。

—メジャー2nd EP「For A Lonely Heart」リリースおめでとうございます!

全員:ありがとうございます!

—音源を聴かせていただきましたが、今作も「FIVE NEW OLD節」を貫いてますね!

H:貫いてみました(笑)

—今回、エンジニアさんの人選だったり、また新しい形での完成形への道のりがあったようですが、率直にどのような作品になっているのでしょうか?

H:なかなか一言で表現するのは難しいんですが、前回のアルバムの制作の際に培ったものを、あくまでも自分たちらしさを無くさずにもう一歩踏み込んだ表現をできたんじゃないかと思っています。それは音楽的にもそうなんですが、前作の時にテーマとして掲げていた「One More Drip」という、“聴いてくれる人の日常や生活をもう一つ彩れるもの”というところへの表現がまた違う形でできたんじゃないかなと思っています。

-前作のアルバムタイトルの「Too Much Is Never Enough」=” ありすぎてもまだ足りない” という言葉に対し、今回のアルバムタイトルにはどんな思いが込められているんですか?

H:SNSだったりネットワークに囲まれた環境で、いろんなものに簡単に触れられるようになった世の中ではあるんですが、逆に身になるものが少なくなっていて、自分が欲しいものを買うときや映画や音楽を見たり聴いたりする時にレヴューを先に見てしまえる中で“自分の確固たる意志”みたいなものはどこへ行ってしまったんだろう、という疑問への回答が前回の作品だったんですよね。
それって結局一人では寂しいから何かのつながりを求めている世の中なんだろうなって。その孤独な部分を僕自身も感じることが多くて、どうすればそこから抜け出すことが出るんだろうって考えたんです。抜け出すというよりは向き合うという言葉が適切なのかもしれませんが、「諸行無常」という言葉が最初にイメージできたんですよね。世の中は変わって行くものだし人は一人で生まれて一人で死んでいくものなんだって思えたら「ひとりぼっち」という孤独感は感じないで済むんじゃないかって思ったんです。ちゃんと向き合うことができたら自分の軸を持って自分の人生を生きていくことができるんじゃないかっていう思いから今回のタイトル「For A Lonely Heart」という言葉に行き着きました。

—その収録曲についても伺わせてください。1曲目の「Gotta Find A Light」。

H:このアルバムで一番いいたかったことをぎゅっと詰め込んだ楽曲になっています。みんなが「FIVE NEW OLDってこうだよね」って思ってもらえるようなものを意識しました。そこに今までの“ハッピーな要素”を少し上回る“シリアスな要素”をいい塩梅で取り込めたかなと思っています。FIVE NEW OLDなんですが、僕たちがもともと持っていたエモーショナルな部分をブーストさせた曲になっています。

—今のFIVE NEW OLDを表現する上で今回特にサウンド面でこだわった部分を教えてもらえますか?

W:まずは、前作と同じく、今作もアナログテープで録音したことですかね。音質というものにこだわるととても深い話になりますが、自分たちの納得のいく音の温かみを出そうとすると、今作でも外せない要素になりましたね。曲ごとに新しい取り組みを行ったんですが、1曲目の「Gotta Find A Light」に関してはとにかくビート感にこだわりました。ここ最近取り入れている4つ打ち感のあるビート曲になっていて、ここから新しい曲や要素を見出していきたかったんです。2曲目の「Youth」でいうと、80年代のサウンドを少し取り入れて、ペラペラしているように聴こえはするんですが時代の音を出しながらも、録音時にアンプの空気感を出すよりもライン録音をして、より音を近く感じさせるようなおもしろいサウンドを目指しましたね。3曲目の「Melt」は僕らが持っているハネのリズムとジャジーな部分を落とし込んだものになっていますね。自分たちがあまりやってきてないコード感だったり音階だったりを取り込んでみました。話せば全ての曲の全てのセクションにこだわってるのできりがないですね(笑)
H:「Gotta Find A Light」は僕たちが持っているゴスペルの要素を、今までだったらハッピーに持って行ってたんですよね。それを今までだったらロックナンバーに織り込んでいたエモーショナルな部分をブラックミュージックに取り込んだんです。2曲目の「Youth」にはポストパンクのベーシックがあって、今までだったらここにシティーポップ的だった80’sの要素をこのロックナンバーに混ぜてるんです。今まで自分たちが自然にやってきたいろんな要素の組み合わせを新しく差し替え直してミックスできたなと思っているんです。今作の大きな成果はここにあると思っています。

—なるほど。FIVE NEW OLDって音楽偏差値が本当に高いバンドさんだなと思ってるんですが、どういう風に楽曲制作が進んでるんですか?

H:セッションでやるときもあるんですが、WATARUと僕がデモを擦り合わせて、HIPHOPみたいに同じコード進行でループしていくデモを作るんです。そこからメロディーまでいれたらメンバー全員でアレンジを作っていく感じですね。デモ制作はサンプラーを使っているのでHIP HOP感が強いんですが、メンバー全員で合わせた時にバンド感がぐっと生まれてきますね。
SHUN:その過程はすごくおもしろくて、みんなで合わせているとそれに乗っかるようにメロディーもどんどん変わっていくんですよね。
HA:そうだよね、めっちゃ変わっていくよね!
SHUN:もともとのでも曲の感じを忘れちゃうくらい変化していくんですよね。それも4人でセッションしたりしてるうちにメロが変わったりビートが変わったりと、スタジオじゃなくてそれぞれの家だったとしてもバンドで音のセッションができてしまうので本当にどんどん曲が進化していきます。なかなかそんな作り方をしているバンドに出会わないので、面白いバンドだなーって思います!
HA:HIROSHIとWATARUだからできるっていうのも大きいんじゃないんですかね。昔からずっと一緒にやってきてお互いの信頼関係がすごくしっかりできているし。オノマトペで互いが表現したいものを理解しあえるくらいの親密感が強みなのかなって思いますね。
H:WATARUが出してくるコードのボイシングに僕も影響を受けて新しいメロディーが出てくることも多いですね!それで変化もしていくんだと思います。その中でいい瞬間をHAYATOがキャッチしてくれるんですよね。何パターンもやるので僕が全然覚えられないので(笑)

—英詞だからこそ言葉を入れた時のメロディーのグルーヴも変わってきますもんね。

H:そうですね。僕のルーツが洋楽だというのもありますし、FIVE NEW OLDを始めた時のテーマとして海を超える音楽を作って行きたいという意思もありましたので、英詞の比重が大きくなってきますね。そんな中でも今回は日本語へのチャレンジも入れてみたんですけどね。

—そうなんですよね!日本語歌詞もそうですし、今回たくさんのチャレンジが詰め込めこまれていると思うんですが、パッと聴いただけではわからないようなこだわりまで聞かせて欲しいです!

H:仲のいい友達に聴いてもらった時に、「え、日本語どこに入ってた?」って言われることもあったんです(笑)。日本語として入れたというよりも言葉遊びとして入れた部分も大きいのでパッと聴いただけじゃわかりにくいのかな。例えば、「出たくない」という日本語ワードなんですが、その言葉の前に出てくる「I Hate the call(電話は嫌い)」とそのあとの「Rabbit hole」っていう「不思議の国のアリス」のウサギが飛び込んで行く不思議の国への入口への穴の二つに掛かっていて、“電話に出たくない”と”Rabbit holeから出たくない=現実世界に出たくない“というダブルミーニングになってるんです。そのあとの「ただ酔って drifting apart」の部分も「ただ酔って=漂って」の表現にもなっていますしなおかつ「drift」に漂うという意味も含まれているのでこの辺の表現は本当に言葉遊びですね。意味を通しつつも前後の英語で遊び感覚を込めた感じですね。

—なるほど!日本語を使おうと思ったきっかけはあったんですか?

H:前から日本語を使ってみるかどうかの会話はあったんです。その中で自分たちが使いたいと思う日本語、使うべき日本語はどういうものなんだろうかっていう疑問に対して、語呂がいいものというところに行き着きましたね。英詞をいままで選んでいたのは語呂の良さだったりしていたので、今までの耳障りの良さを殺さずに母国語を入れられたらリスナーの幅も自分たちの表現の幅も広がるなって思っていたんですよね。とりあえず一度試してみて難しそうなら英詞に戻そうって感じで試しに書いてみたら1発オッケーがでました(笑)

—そうなんですね!メンバーさんはどういう印象を受けましたか?

HA:僕気づかなかったですね!いい意味で(笑)。聴いていて違和感がなかったので、歌詞カード見てやっと気づけた感じです。
H:歌い方も英語の発音も意識して歌ったので余計に気づかなかったのかもしれないですね。その分気付いた時に面白くなればいいなと思っています。

—なるほど!他にも一押しのこだわり部分も教えてください!

W:そもそもこうしたいっていうこだわりはどの曲にもあったのですが、今まで自分がやったことないことにチャレンジしてみたかったので「Melt」の間奏あたりでかなり崩した感じを表現してみました。今までこんなに崩したボイシングやコードの使い方をしたことがなかったんです。自分の中では一番やらないだろうなと今まで避けてきたものだったのですが、いざやってみたらものすごくしっくりきたんですよね。それが他のセクションにも散りばめていけるようになって、今回のレコーディングの中で一番印象に残りましたね。
H:あそこだけエクスペリメンタルジャズの感じがあったのでまた引き出しが増えたなって感じですね。
S:僕は「Gotta Find A Light」に関していうと、今回アレンジの部分で自分がストリングスやホーンを入れたんですが、もともとFIVE NEW OLDのファンとして、いちサポートメンバーとして、「こういう音があったらいいな、こうだったらいいな」という希望的な音を、今回メンバーになったことで具現化することができたなと思っています。生楽器の演奏やグルーヴがしっかりしているからこそ上物で世界観を引き出すような表現をすることができましたね。もともと僕がポップスのフィールドにいる人間なので、その部分をもってどれだけFIVE NEW OLDというフィルターを通せるかなっていう闘いでもありましたね。
H:歌い手としてのこだわりがあって、最後のサビに向かうファルセットなんかはとにかく頑張ったところですね。気持ちよくレコーディングできましたし、曲が持ってる悩みや不安がぱーんと解決して行くようなものを表現できているとも思いますので是非聴いて欲しいですね。
HA:ドラマー的に特に考えを持ってレコーディングに挑んだのは「Melt」ですね。今までのFIVE NEW OLDだったら「ハネ」をもって解決していた曲だと思うんですが、今回はドラムはあえてあまりハネずに、メロディーやギターがハネてグルーヴを作って行く感じだったので、とにかく引き算のドラムを意識しましたね。そして間奏でいきなりハネるという、今までなかったんですよね。いろんな観点からアプローチできたと思います。さっき話にもあったんですが、「Melt」の間奏でかなり崩している部分なんですが、フィンガードラムのようなアプローチを生ドラムで表現する新しいチャレンジもありましたしね!今までだったら“NGテイク”と認識していたものを今回OKテイクの認識にするという新しい感覚でした。
H:あと一つ!ジャケットの写真はぜひ見て欲しいです!ごちゃごちゃっと線が絡み合ってるのが4本に解けて行くデザインが、今回の作品のメッセージがここにとても込められてるんです。よく見ると文字にもなってる部分もあるので読み明かして欲しいです。「絡み合ったものが解けて現在の解答をもって進んで行く」という意味が込められていてとても気に入っているんです。
あとは今回レコードも出しているんですが、マスタリングも全く別のものになっているので、ぜひ両方聴き比べて欲しいですね。

—ありがとうございます!そしてこのアルバムを引っさげてのワンマンツアーが始まりますね!意気込みを聞かせてください!

W:全公演ワンマンって初めてなんですよね。過去に行かせてもらっていた土地でも今までよりもキャパをワンランク上げたツアーになっています。新しい曲たちを披露しに行くんですが、音源とは違うライブアレンジもバンバン出していきますので、CD聴くだけでは感じられない僕たちの良さも楽しみに来てもらえたらと思っています。
S:僕にとってもFIVE NEW OLDに加入して初のワンマンツアーになります。ツアーってみんなの成長度合いが1ツアーごとに感じられるものだと思うので、今回でどのくらいみんなが成長できるのかがとにかく楽しみです。数か所見にこられる方はそこまで楽しんでももらえたらいいなと思います。
H:今まではツアー名が常にその時リリースする作品名になっていたんですが、今回は自分たちのテーマの「ONE MORE DRIP」がツアータイトルになっています。人生にもう一滴の彩りを与えられるようにという思いで回りたいですね。きてくれた人がライブを見てライブハウスを出た時にいつもよりも自分のことを好きになれて明日から頑張ろうと思えるツアーにしたいです。
HA:初めてのワンマンツアーなので意気込むんですが、今後見ているビジョンの通過点だと思うので、自分たちに課せられたノルマをしっかりクリアして成長していきたいですね。

—ファイナルは過去最大規模の恵比寿リキッドルームですね!

H:最初は不安にも似たような驚きもあったんですが、自分たちがここまでくる過程を振り返った時に決して遠い場所じゃないんだなと素直に思えるんですよね。今はとてもワクワクしています。
先日、地元の先輩バンドをリキッドルームに見に行ったんですが、すごく勇気をもらいました。僕が感じたその思いを、今度は僕たちがお客さんにしっかり届けられるようにしたいです。

—今回の作品を手にとってくださる方々へメッセージをお願いします!

W:レコード盤とCD盤で違うものになっているので、2枚とも買ってくれとは言わないですが、オススメは2枚とも買うことなので、、、えー、、、2枚買ってください(笑)FIVE NEW OLDの新境地がたくさん入っている作品なので聴き応えもあると思います!
S:自分がメンバー加入して初のCDになるので、思い入れも強いですし、たくさんの人に聴いてもらいたいので、CDもレコードも2枚とも買ってください!(笑)
H:この4人になって初めての作品になるので、今までのものよりも新しいものをみんなに楽しんで欲しいです。辛いことがあった時にこの作品のメッセージに気づいてもらえたらいいなと思います。レコード盤は部屋に飾ったらかっこいいと思うので、、、、2枚とも買ってください(笑)
HA:2枚ずつ4枚買って親御さんにも聴かせてあげてください(笑)
全員:笑

—じゃあ最後になります。今回の作品をあえて漢字1文字で表現するとしたら何でしょうか?

H:「解」ですね。ジャケットのデザインの時にも話したんですが、“絡まったものが解けて自分の解答を出して進んで行く”という意味合いで!

—ありがとうございます!ツアー応援しております!