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Footstamp  4th. stamp
- SPECIAL -

Footstamp  4th. stamp

前回記事に引き続き、メジャー3枚目となるE.P「Decadence-E.P.+REMIXES」のリリースが発表され、活動速度を増すHeavenstamp、年末に行われた初の全国ワンマンツアー「Killer Killer」の後編をレポート!

12/22、彼らにとって初のワンマンライブツアーとなる今ツアー、折り返しに差し掛かる大阪公演を終えて中一日、移動を挟み、この日は名古屋公演、会場は「ell.FITS ALL」。10月のN’夙川BOYSとのイベント以来となる名古屋は、SallyがZIP-FMのレギュラー番組を担当している事もあり、デビュー当時からLIVEで度々訪れている場所だ。前回もアポロシアターでの2マンライブはSOLD OUT、今回もワンマンライブにてまたもSOLD OUTとなった。東京以外の土地でも確実にファンは増えている。
ライブスタート。照明が落ち、メンバーが登場。最後にSallyが登場しさらに大きな歓声で埋め尽くされる中、Killer killer–Hellfly–Hype–Wake upと続き、序盤にから大きな盛り上がりを見せる。曲間の言葉も少なく、淡々と演奏する様、会場を覆い観客の聴覚をロックするディレイがかったギターサウンド、それぞれのパーツが折り重なって、ドラマティックな風景画がゆっくりと動く。世界観に包まれて傍観する観客。この異様に張りつめた空間が、Heavenstampの作るショウの中毒性の所以だ。この日のMCでは「名古屋をホームだと思っています」とSally。何か神秘的な雰囲気を持つ彼らのライブ中に、最近ではこういうほっとするような言葉を聞けるようになった。都度、会場は湧く。終盤には未発表の『Magic』という楽曲が演奏され、そのまま『Stand by you』になだれ込み、ギターをかき鳴らし観客を煽るSally、この日のハイライトを迎えた。
翌日12/23は、Heavenstampにとって初となる九州、福岡公演。メンバー間でも当初から行ってみたい土地として名が上がっていた福岡でのライブ、リハーサルはギリギリまで行われ、一つ一つの楽曲を念入りにチェックし、スタートを待つ。SEが流れ、Tomoyaのギター音からライブがスタート。ステージ中を動き踊るSallyに、客席からは声が上がり、多くの手が上がった。「こうやって福岡でライブをできたことが本当に嬉しい」とSallyのMC。この日のファンはツアーの中でも特に、思い思いのスタイルで音を楽しんでいるように見えた。ひとの熱量は飛び火する。演者から観客へ、また観客から演者へ、会場内でこの作用が一巡すれば、その熱量は無限ループで加速を増す。この日もラストに演奏された『Stand by you』、フロアの盛り上がりと連鎖して、プレイはいつもより尖って、所見の福岡のファンへも、鮮明に記憶に残るライブになったに違いない。
地方公演を全て終え、残るは今ツアーの集大成となる、12/26ツアーファイナル@渋谷WWW。そしてなんとこの公演もSOLD OUTだ。デビュー前、もちろん都内であっても100人規模のライブハウスでイベントに出演していた時期もあるHeavenstamp。デビューからの約半年をリリースとライブ、怒濤のアクションで駆け抜けた彼らの前傾姿勢なマインドは、これほど多くの人達を全国規模で惹き付けた。
オープンの18:30。会場に並ぶファンの列で渋谷スペイン坂頂上付近が埋め尽くされた。Heavenstampのライブには、ライブ慣れしたファン以外にも、メディアやCD店舗などで彼らのことを知り、初めてライブ会場に足を運ぶようになったようなファンも少なくないようだ。ゆえにライブでの”定型のノリ方”で身体を激しく動かすファンは少ないが、その分彼らはステージに食い入るように目を離さず、その時に目の前で起きている沙汰を把握することに全てを注いでいる。この日のライブも然り、曲中、音が会場を包めば包むほど、音に圧倒される心地よさでフロアは静かに、それでいて感覚が過敏に音と交差するような、異様な空間と化す。その空気感、Heavenstampのショウの最たる瞬間が、この日は本編終盤に現れた。
ライブがスタートし、SEが流れて凱旋したメンバーがステージに立つと、帰りを迎えるようなあたたかい声援が起こり、赤いベロアのカーテンで覆われたステージから客席に向かって逆光のライトが炊かれた。序盤はHypeなどの代表曲と、昨年10月にリリースされた「Waterfall – E.P. + REMIXES」収録のHellfly, I don’t wanna dieなどの新曲群を織り交ぜてガンガン進んだ。ファンのシンクロする小刻みな体の揺れをフロア後方から見渡した時の、会場の一体感が半端ない。1曲目からフロアをロックオンしてMCもそこそこに、10曲以上演奏が進んだ後半、Waterfallが鳴り始める。か細いギターのアルペジオと、やさしい歌声から入り、サビから一気にボーカルとコーラスワークで音を広く解き放つこの曲、この日に今までで最大規模の存在感と広がり、説得力を放った。ホールは元々映画館だった場所を改築した構造で、無論天井も高い。またコロシアム風に段状に作られた客席からは、どこからでもその大きなステージを見渡せる。その広い空間の中で、曲後半からの畳み掛けるビートに載せて、Sallyの突き抜けるボーカル、Tomoyaのギター反響音、Shikichinが先導するルート音、踏む度に音圧がフロアを揺らし残響が響き渡るMikaのバスドラム、全開で炊かれる逆光照明、全てが折り重なって、会場の壁を押し広げているような空間の広がりをもたらす。この時の音と視覚のショックは、会場が5、6倍の規模はあろうかと感じる程のものだった。曲終わりで放心、脱力状態にも見えたフロアを、その後数曲、この時未発表曲であった次作「Decadence」を含むロックナンバー数曲で最後に盛り上げ、アンコールラストをメロウナンバーMorning glowで締め括り、全17曲に渡る、初ワンマンツアーのファイナルを終えた。
この日のWaterfallで感じた説得力とは「塊で押し寄せてくる」イメージの力だった。デビュー前からここまで、1年間彼らを追って今感じるメンバーの変化は、メンバー同士、ファン、スタッフなど、「携わる全ての人達との一体感を束ねる、イメージの力」を手に入れ始めたことかもしれない。
次回Footstampでは、ワンマンツアー後の勢い止まる事なく、3/28に発売するメジャー3枚目のEP「Decadence -E.P.+REMIXES」のリリースインタビューをお届けします。”eggman” 3月号は、3/1全国タワーレコード主要店、ライブハウス、スタジオなどで配布開始!