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OKAMOTO’S interview
- SPECIAL -

OKAMOTO’S interview

CDデビューから5年。酸いも甘いも様々なことを経験し、敏感すぎるほどに時代を見つめ、感じてきた。伝える、とは何かを考えた。悩んだと言ってもいいかもしれない。
そして、4人の底知れぬ音楽への愛と、色とりどりでリアルな想いが詰め込まれた作品が出来上がった。ロックとは何かを叫び続け、体現する。
OKAMOTO’Sというロックバンドの在り方。

―アルバムタイトルが『Let It V』ということで、元ネタはビートルズの『Let It Be』ですよね。最後が”Be”ではなく”V”になっていますが、それにはどういった意味が込められているんですか?

オカモトレイジ(drums/以下:レイジ):今年でCDデビュー5周年、メジャー通算5枚目のアルバム、ハマくんが加入してから5年目ということで、”5”というのがキーワードで。”5”はローマ数字で”V”だから、”V”で始まる英単語を調べたんですよ。そしたらいまのバンドの状況にかなり当てはまる単語がたくさんあった。1曲目に使われている英単語の中でVEER(方向転換する)、VENTURE(危険を冒す)、VANDALISM(破壊行為)とか。そこに”いままでのスタイルをぶっ壊す”という意味も持たせ、アルバム全体を通して見たときにけっこうメロディが立っている曲もあるから、VIVID(色鮮やか)、VIBRANT(活力的な)というワードも入れて。どうにかその”V”を使って文章っぽくしたいと考えているときに、”V”って発音は”Be”とも聞こえるな、と。そこでビートルズを知らない人でもなんとなく聞き馴染みの良い、割とポップな英文の『Let It Be』を思いついた。調べてみたら”なすがままに”とか”なるようになる”という意味があったから、”Be”の部分を”V”にしても、意味合いとしてはちょうどいいかなと思って、このタイトルにしました。

-1曲目を初めて聴いたとき、ただ”V”から始まる英単語を無作為に選んでいるだけではない、意味深なものを感じたのはそういうことだったんですね。

オカモトショウ(vox/以下:ショウ):去年セルフタイトルを付けるくらい納得のいくアルバムを作って、俺たちの気持ちや音楽が伝わったと思ったし、そう実感できるライヴを各地でできて、すごく充実していた。でも同時に全然届いていない人も居て、そういう人たちにはどうやって届けたら良いんだろうと思って。俺たちももう5年やってきて、大体みんなの好みはわかるし、どういったものが流行っているかわかる。それに対して俺たちは、自分たちのルーツにはあまり無いから、もっと違う形で作っていこうと反発していた部分もあった。でも、そこで逆にそのワザを使ったらどれだけ盛り上がるんだろう?と思って、『JOY JOY JOY』ではいわゆる四つ打ちのビートで、聴いたらみんながすぐ踊れちゃうような曲を狙って作ってみたんです。それをツアーで挑戦してみたら、新曲なのに一番盛り上がってるんじゃないかっていうくらい、みんな一斉に踊り出した。やっぱりこれは時代にマッチしているビートなんだ、と。自分たちとしてはそこでかなり変わったと言われると思っていたら、意外にもOKAMOTO’Sらしいって言う人の方が多くて、自分たちが思っている以上に自分たちの頭が堅かったんだと思いましたね。ここから越えたらダメだという、自分たちで引いていたラインが思ったよりも向こうにあった。それならもっと強烈に踊れる曲を作ろう、ということで作ったのが『SEXY BODY』。ライヴでやっていてもすごく反応が良い。

-盛り上がりますよね、間違いなく。
ショウ:自分たちがカッコいいと思っているものや、自分たちのルーツを聴かせるような、好きなことを好きなようにやるだけではない音楽を作れるようになった。

-確かにいままでとひと味違う印象はありますが、OKAMOTO’Sらしさはしっかり残っていますよね。アルバム全体的にアップテンポで踊る感じの曲が多いですが、全体的なコンセプトとして意図してのことですか?
ショウ:いや、今回に関しては4人で手探りしつつ作りました。俺たちの意識の中にある、いまの世間の音楽シーンに対する不満であったり、流行の曲じゃないとダメなのかという想いであったりを踏まえて。

オカモトコウキ(guitar/以下:コウキ):ひたすら流行のビートに乗っかって、とにかく踊れるということに意識を置くことももちろん考えたし、もっとその路線に寄せることも出来たけど。結果的に作り終えてみたら、割といままで出したような、メロディアスでみんなで歌えるような曲も入っていたり、ルーツの音楽にストレートな曲も入っていて。それはすごく良かったな、と思ってます。

-なるほど。かなり内容の濃い1枚ですよね。単純な耳で聴くとすごくハッピーだけど、ひと通り聴いた上で1曲目に還っていくと、ちょっとどこか皮肉っぽい。

レイジ:まさしく。悪ノリというか。
ハマ・オカモト(bass/以下:ハマ):シングルで気に入って聴き始めてくれた人がこのアルバムを聴いたときに、リズムも雰囲気も違うけど他の曲も良いと思ってくれたら勝ちだなと。コウ

キ:なかなかそういった提示ができるバンドもいないよね。

ハマ:だからこそ、それが自分たちに出来ることだと、ある種の使命感みたいなものも強かったです。だから今回のアルバムのインタビューは周りにこんなバンドいないでしょ!ってちゃんと伝えたいと思って。半分みんなに対して意識改革を呼びかけてるつもりなんですよね。言わないと伝わらないですから、何事も。

-アルバムを聴いただけではわからないこともありますしね。

ショウ:単純に意識が違いすぎる部分があるから、そこがうまく伝わるのか不安。

ハマ:きちんと伝えたら絶対伝わるはず。受け取る側も発信する側も間口が狭すぎるのかな、と思います。俺たちはそれが人より広かったから、学生の頃から音楽のことしか考えていなかったし、それ故の葛藤もあったし、だからこそどうやったら伝えられるんだろうという気持ちは人一倍強かった。デビュー当時からを振り返ると、その気持ちは年々強くなっているし、今回のアルバムを作ったことで、そういう部分を意識してやっていこうというのが自分の中で確立されました。

-今回のアルバムを聴いて、いままで以上にOKAMOTO’Sという音楽が絶対もっといろんな人たちに伝わる、という希望を感じました。この1枚の中でいしわたり淳治さんやくるりの岸田さんなどと一緒に作品を作っているのも魅力的ですよね。それはどういったキッカケだったのでしょう?

ショウ:ゲストを迎えて作るというのは前作でもやっていて、バンド内に4人以外の風が吹くというのは音楽がすごく良くなる。今回も自然に、淳治さんと歌詞を作ったらバカなだけじゃない、もっと賢さと光るものがある歌詞にできるかな、と考えたり。岸田さんも元々交流があって、いつか一緒に曲を作ろう、と話していたのが『HAPPY BIRTHDAY』で叶いました。基のメロディーや曲の構成は4人で作って、そこに岸田さんがスパイスを加える。メロディーだけじゃなく、その後ろの部分で魅せるやり方というのを教わりましたね。これからまだまだ一緒にやる機会があるんじゃないかな、と思ってます。

-レコーディングもそうですし、他でもメンバー以外の人と一緒に活動する機会も多々あると思うのですが、そういった場での経験はOKAMOTO’Sに生かされていますか?

ハマ:もちろん。それぞれが一ミュージシャンとして呼ばれている現場もあって、ホームグラウンドもあるバンドってなかなか居ないと思うんです。

レイジ:正統派ロックバンドですね。

ハマ:そうですよ。意外とビッグネームのアーティストの活動にも呼んでもらって、そっちのファンの方で「CD買いました」とか「今度ライヴに行きます」とか言ってくれる人も居て。そういった影響もあるし、演奏や精神面にもすごく影響がある。メンバーとは1年のほとんど一緒に居ますから、音楽的な違う要素を取り入れられることはなかなか無いことだし。刺激があって面白い。

-自分たちだけでやっていると気付かない部分もありますしね。
ハマ:そうなんです。他を見て初めてうちにはうちのルールがあるんだな、と思いますし。俺たち、リハでほとんど休憩しないんですよ。

レイジ:ストイックですよ〜(笑)。平気で6時間やっちゃう。

ショウ:トイレに行くと舌打ち(笑)。

-大事なときに抜けるなよ、と(笑)。

ショウ:早めに戻らないと申し訳なくなる。

ハマ:それが普通だと思ってたら、周りは意外とそうじゃなかった。そういうのも面白いですよね。良い経験になる。だからこの5周年もいろんな人たちを絡めていきたいなと思ってますし、去年以上のことをもっとやっていけたら良いな、と。

ショウ:普通にアルバム出してツアーをやるだけじゃなく、派手なことをしたい。せっかく俺たちにも仲間が居るんだから、その繋がりを生かして。

-5年に一度のアニバーサリーイヤーですからね。

ハマ:言わないと伝わらない部分をこの4人なら面白く見せることが出来ると思っているんですよ。ただのやっかみにならずに。この節目のタイミングでそこに意識を置いてやりつつ、基本的には楽しんでもらうことを大前提にしています。自ら5周年ですよ!とか言い出して祝ってもらおうとしてるし(笑)。

-まさに満を持して発売された5枚目のアルバムというわけですね。それでは最後に、これを読んでいる皆さんにひと言ずつお願いします。

レイジ:ロックバンドをナメんなよ、と。ナメられちゃってるから、最近。呼び捨てするなよ、と。

ハマ:それ個人的なやつじゃん(笑)。

ショウ:レイジ!はい、これ!って感じだもんね(笑)。

レイジ:良かったな、俺でって思うもん(笑)。もっと先輩だったら絶対怒られちゃうよ?ナメんなよっていうオーラでいこうかな。不良っぽく。

ハマ:そうらしいので、会ったときには「あ、コイツがんばって不良っぽくしてるんだな」って思ってやってください(笑)。

-次回からそう思うことにします(笑)。

ハマ:読んでいる人がいる事は本当に嬉しいですね。この記事を見つけて読んでくれて、それが伝わって、ライヴに来てもらえると良いな、と思います。これだけ数ある情報が飛び交う中で、俺たちのことを好きって言ってくれる人には無条件で、ナイス!って思ってる。尊敬してます、逆に。

コウキ:俺はバンドマンに対してもっといろんな音楽を聴いてほしいなって伝えたい。

レイジ:たぶん俺たちが音楽を好きすぎるんだよ。好きだからリハもストイックにできるし。中学生が8時間くらいぶっ通しでゲームやっちゃう感覚(笑)。

コウキ:そういう感覚がみんなに無いのが寂しい。仲間が欲しいです。

ハマ:同業者にその発信をキャッチしてもらいたいですね、お客さんだけじゃなく。

コウキ:仲間募集中。

ハマ:それ良いね(笑)。

ショウ:これからも立ち止まらずに進んで行くんで、楽しみにしていてください。

ハマ:あとは祝ってもらうつもりでいるので、街を歩いてるときも祝ってください。

-それは是非祝ってもらいましょう(笑)。今後の活動からも目が離せないですね。ありがとうございました!