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OKAMOTO’S interview
- SPECIAL -

OKAMOTO’S interview

5枚目から6枚目へと進む道の途中、5.5枚目という地点にOKAMOTO’Sが残した足跡。
“いままで”が惜しみなく刻み込まれたそれは、新しい”これから”を予感させる。
純粋に音楽を楽しむという至極シンプルなスタンスでありながら、”面白いこと””カッコいいこと”への貪欲さは底知れない。
聴き手にとどまらず、同業者までをも魅了する所以がこの1枚に詰まっている。

interviewer:難波

―8月27日にコラボレーションミニアルバム『VXV』が発売されますね。前作『Let It V』との繋がりを感じさせるアルバムタイトルですが、その意味とは?

オカモトショウ(vox/以下=ショウ):これは「ファイブバイファイブ」という読みのとおり、いろいろな”5”と”5”が掛け合わされているという意味です。

ハマ・オカモト(bass/以下=ハマ):CDデビュー5周年、前作が5枚目、次のフルアルバムまでにワンクッション入れるという事を踏まえての5.5枚目、5曲入り、5組のアーティストとのコラボ、そしてOKAMOTO’S4人に1人または1組加えて5人になるという意味合いを詰め込みました。

-このタイミングでこういったコンセプトの作品を出そうと思った理由はあるのですか?

ハマ:数年前からライヴイベントやテレビ番組など、とにかくいろいろな人と様々なことをやってきたのが大きいですね。

ショウ:そういった経験を重ねるにつれて、せっかくこんなにたくさんの繋がりを作る事が出来たからそれを作品として面白く世に出せるんじゃないかという想いが確信に変わってきた。ただ作るだけではなく、内容として絶対に面白いアルバムが作れると。

ショウ:そんなときに、秋に5周年記念のツアーをやろうということになりまして。それに向けてまた何か出せたらいいな、と思っていたんです。ただ、大きく変化した部分は5周年が終わったあとの作品で見せるべきだと思っていたので、5枚目の世界観を活かしつつ、そこから1歩前に進んだ状況でパンチのある作品を作ろうということになったんです。

-だから5.5枚目なんですね。

オカモトレイジ(drums/以下=レイジ):俺らくらいの世代で、年齢に関係なくいろいろな人とコミュニケーションをとっているバンドってなかなか居ないと思うんです。だからこそ、俺らがやるべきなんじゃないかという使命感がありましたね。

ハマ:今回コラボさせて頂いたアーティストは総じてメンバー全員がちゃんと関わりのある人たちばかりなので、流れとしても自然なんですよね。

-説得力がありますよね。

オカモトコウキ(guitar/以下=コウキ):これまでの経験のおかげで、いろいろなタイプの曲作りができるようになりました。今回は特に、俺らの曲に合わせてレコーディングしてもらうだけではなく、新しいものを一緒に作りあげた感じがとてもよく出ている作品になったと思います。

ハマ:ここを経て次に何を作るのか、自分たちに対して発破を掛ける意味も持った作品です。

-コラボ相手はどういった理由でこのラインナップになったのでしょう?

ショウ:共演したことがあるの中で、自分たちがリスペクトしながら一緒に面白いことができると感じた方々ですね。あとは同世代を必ず入れたかった。

-そんな同世代の黒猫チェルシーとのコラボ曲ですが、意外で驚きました。もっと激しいものがくると想像してたので。

ショウ:そうですね。OKAMOTO’Sと黒猫チェルシーと聴いて、デビュー当時の様なガレージロックを想像する人が多いだろうとは思うけど、俺らのこれまでの王道の方向じゃなく、ライヴで聴いたら泣けてしまう曲に挑戦する方が、お互いの財産になると思ったんです。あんまりそんな話はしないのですが、同い年でデビュー日も一緒で、それぞれいろいろなことを経験して、辛いことも楽しいことも乗り越えてきた。同じ月日を過ごしてるからこそ歌える曲をやりたかったんですよ。

-黒猫チェルシーとだからこそ生まれた曲ですね。曲作りやレコーディングはどうでした?

レイジ:和気あいあいと楽しくやれましたよ。

ハマ:しかも、たまたまお互いのデビュー記念日の5月26日に一緒にスタジオに入ってた。そんな奇跡的なこともありつつ進んだレコーディングでした。

レイジ:終始すごく良い空気でしたね。同世代でこういうことを一緒にやれるのは彼らしかいないと思います。

-この曲からはそういう雰囲気の中で作られたからこその温かみが感じられますよね。歌詞もそうですし、歌を2人が交互に歌っているところも。

ショウ:そうですね。今回は曲のアレンジも含め、ガっちゃん(宮田岳)が力を発揮してくれました。ベースも弾けてピアノも弾けるから、俺らの中には無い、音楽理論に基づいたアレンジがパパッと出来る。

ハマ:頭が柔軟なんだろうなと思います。去年一緒に企画したイベントで、8人で合同バンドを組んだときに初めて弾いてもらったんですが、それを今回しっかりと活かしました。本当に意味があると思えるコラボでしたね。

-さて、次にRIP SLYMEですが、彼らとのコラボのキッカケは?

ハマ:少し前に映画で共演したんですが、それが楽しくて楽しくて。今度はオリジナル曲作りましょう!っていう話をしていて、それとほぼ同時にこのコラボアルバムが企画されたんです。

-ナイスタイミングですね。第一印象ではRIP SLYME色が強いように感じますが、聴けば聴くほどしっかりロックな部分も残っていて、程よくマッチングしている曲ですよね。

ハマ:元々RIP SLYMEはそんなにロック色が強いサウンドではないんですよ。もっとオシャレというか。それで、レコーディングでは僕らが先に録音した音源をFUMIYAさんがお互いのサウンドがさらに溶け合うようにエディティングもしてくれたんです。

ショウ:歌詞も基本の部分は俺が書いたんですが、そこにRYO-Zさんが新しい提案を加えてくれたり。それがまた俺らには無いメロディだったりして面白かったですね。

ハマ:RIP SLYMEは個々のキャラクターが独特で、全体的な雰囲気が僕らと似てるんですよ。一緒に居てもそれぞれ気ままなんだけど、集まるとサラッとあんなにカッコいいものを作れてしまう。それがとても心地良いんですよね。RIP SLYMEも僕らのことをそういう風に想ってくれていたようで、だからこそ心から楽しく作れました。

-事務所の大先輩にあたる奥田民生さんとのコラボはどうでしたか?

ハマ:民生さんには今回プロデューサーという立ち位置で参加していただきました。

レイジ:これ、まさかの一発OKだったよね。

ハマ:そうそう。はい、OK!終わり~!みたいな(笑)。

レイジ:空気感のプロデュースがすごく良くて、俺らも終始リラックス出来たので良いものが録れたんだと思います。

-大先輩だからこその安心感ですね。作詞作曲は主にコウキくんが担当したんですか?

コウキ:歌詞はショウとの共作です。この曲は民生さんが歌ってる画が想像できるような、如何にも”ぽい”方向でいくか、そうじゃない方向でいくかですごく悩みました。

ショウ:最初はもっと民生さんの持つユーモアな世界観に寄った曲だったのですが、それよりも肩の力は抜けているけど真剣な部分が垣間見れるような楽曲がいいねということになって書き直したんですよ。それで、これは中学生の頃から民生さんが好きだと言っていたコウキが書くのが一番良いと思って、電話でコウキなら絶対良い曲が書けるから頑張って!と伝えました(笑)。そしたら本当に良い作品を書いてくれて、コウキに頼んで良かったと思いましたね。

-初めてこの曲を聴いたとき、民生さんのエッセンスを自然に感じたんですよ。さすがです。

コウキ:民生さんの音がカラダに染み込んでますからね(笑)。一緒にレコーディング出来てとても感慨深いです。

-それだけ民生さんへの愛とリスペクトが詰まってるということですね。東京スカパラダイスオーケストラですが、彼らとのコラボ曲はザ・スカパラといった感じがとても強く出てますね。

ショウ:もっとバラードみたいな曲を作るという考えもあったのですが、せっかく一緒にやるんだったら、スカパラの尖った部分がグイグイ出てくるような曲の方が良いなと。歌詞も谷中さんに全面的にお願いして書いてもらいました。

ハマ:スカパラとはテレビ番組でも共演したり、4枚目のアルバムで1レコーディングに参加してもらったり、最近交流が多い中で、みんないつまでも音楽を愛してる感じがすごく素敵だな、といつも思うんですよね。なんだかヒーローみたい。

ショウ:キャラが濃いよね。そしてミュージシャンとして、ものすごくカッコいいことを誰もが楽しめる音楽としてあれだけたくさんの人に伝えられているところがすごい。

-時代とか世代とか関係なく、いつ聴いても良いですよね。サウンドが確立されている。

ショウ:そう、スカパラを嫌いな人なんて居るの?とさえ思いますね。純粋に尊敬するし憧れます。

ハマ:世界一カッコいいスカバンドだと思います。

-そういう相手とコラボできるのはなかなか貴重なことですよね。最後はTHE BAWDIESのROYさんですが、彼とはどういった繋がりが?

コウキ:付き合い自体はすごく古いんですよ。高2のときに、新宿の紅布というライヴハウスで、一番最初に俺らが出演したのがTHE PRIVATESとTHE BAWDIESの2マンだったんですよ。

ショウ:シークレットオープニングアクトだったので誰も俺らのこと知らない状況で(笑)。

レイジ:そんなの聞いたこと無いよね(笑)。

ショウ:双方よくOKしてくれたよなあ…。

-随分前からそういった繋がりがあったんですね。

コウキ:THE BAWDIESもスカパラと同じで、濃い部分を持ちつつも、日本で成功しているっていう面で言うと、唯一のアーティストだと思うんですよね。

-確かに、音楽シーンにTHE BAWDIESが現れたときの衝撃は大きかったですね。

ショウ:日本ではなかなか英語の曲は売れないと言われてる中で、いまみたいに英語詞が流行るもっと前から彼らは注目されていたし流行っていた。まともに歌ったらROYくんには勝てないと思いますね。別の攻め方をしないと。

ハマ:でも、ショウは口の構造もそうだし、脳内構造としても半分は外国人なんで。これは武器ですよね。英語を歌わせたときと日本語を歌わせたときのコントラストがあるから面白い。だから今回、ROYくんと一緒にやっても大丈夫だと思ったんです。純粋に、そういったいろいろな人との交流を1枚のCDにできるなんて最高ですよね。

ショウ:コラボ相手のファンの人にも楽しんでもらえる内容になっていると思うので、絶対聴いてほしい。そして、ライヴに来てくれたらもしかしたらコラボを生で観られるかも、という伏線にもなっています。

ハマ:リリースしてすぐにツアーも始まりますしね。

-初日の札幌から東京ファイナルまで全国8箇所をまわるとのことですが、どんなツアーになりそうですか?

ハマ:5周年アニヴァーサリーツアーなので、古い曲、最近やってない曲もふんだんに盛り込みつつ、新しいものにもチャレンジできたらいいなと思ってます。

-ファイナルは初めての日比谷野音ですね。野音でやるにあたってどうですか?

ハマ:アルバムツアーじゃないからこそ、全然知らない人もむしろ観に来てほしい。

レイジ:そうそう、入門編みたいな感じで。

ショウ:ツアーをまわって更に大きくなって帰ってきたいですね。

コウキ:また新しい形で、お!そっちに行ったか!と感じてもらえると思う。

-それは期待大ですね!とても楽しみです。それでは最後に、読者の皆さんにひと言どうぞ。

レイジ:KEEP ON ROCKIN’!ROCK’N ROLL!

-ありがとうございました(笑)。コラボが生で観られるかもしれません!