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osage Interview
- SPECIAL -

osage Interview

murffin discs audition 2018のグランプリ獲得から早1年。徐々にだが確実にその名前が世に広がりつつあるosage。今作は一つのテーマはありつつも新たな色が入っている印象で、バンドとして確かな成長を感じた。これからどんどん伸びていくはず。見逃せませんよ。カバーアーティストとして6ページの大特集!

インタビュアー:ブッキングマネージャー窪田

―早いものでmurffin discs audition 2018のグランプリを獲得してから約1年が経ちました。振り返ってみてどうですか?

山口ケンタ(Vo/Ba 写真中央右 以下…山):月並みな言葉になってしまいますが、あっという間の1年でしたね。いろいろな事を経験させてもらって、とても濃密だったので気付いたら1年経っていたというのが正直なところです。

―環境の変化など感じますか?

田中勇希(Dr 写真左端 以下…田):CDやYou Tubeで事前に曲を聴いてそれからライブに来てくれるという方が多くなった印象はありますね。
金廣洸輝(Gt/Cho 写真中央左 以下…金):自分たちの音楽が以前よりはみなさんに知ってもらえるようになってきているんだなというのは実感しますね。それこそYou TubeにMVを載せた時の初動の再生回数とかは以前とは全く違いますしね。
松永祐太朗(Gt 写真右端 以下…松):1年前ではありえなかった状況ではありますね。
山:ちょうど1年前くらいにグランプリを獲得しましたっていう連絡をもらったから、そう考えるとこの1年の早さと濃さはとんでもないね。
金:実はグランプリを獲得しましたって連絡がきた日にライブがあって、その日のライブはすごくフワフワした状態だった気がします(笑)。
山:まだ発表はできないけど、でもめちゃくちゃ嬉しいし。
松:俺確か張り切って新しいギターを使った気がする。

―わかりやすくちょっと舞い上がってるじゃないですか(笑)。

~一同爆笑~

―まぁでもそこから一気にいろいろ動き始めるとなったらそりゃあ若干浮き足立つのもわかります。

松:バンド名の表記も変わりましたしね。

―確かに。それも大きな変化ですね。1年で人生はガラリと変わることがあるんですね。そんなタイミングでリリースとなる新作は『October.』。これは10月リリースだからというシンプルな理由ですか?

山:もちろんそれもあるんですが、本当の出会いや別れって10月くらいの時期なのかなって。いわゆる一般的な出会いや別れって春というイメージがあるとは思うんですが、夏って行事も多いし、運動部だったら最後の大会とかあとは学園祭とか、そういった物が終わって、季節の変わり目を肌で感じながらここから離れ離れになっていくこと多いんじゃないかなって。そんな季節の歌を表現できたらと思ってこのタイトルにしました。夏で目一杯盛り上がった、その後って実は一番寂しい時期という感じですかね。
松:終わりを実感し始めるのもこのくらいのタイミングだと思いますしね。
山:さぁ行くぞと前にガンガン進んでいくことや行く末を見てというよりも、ちょっと哀愁があったり、歩いてきた道を振り返るようなノスタルジックな楽曲が多かったので、このタイトルがぴったりだなと。

―ではそんな本作の収録曲について1曲ずつお話しを伺えたらと思います。まずは作品のスタートとなる1曲目の「アナログ」。 

山:“変われない”自分と“変わらない”でいてくれた人たちが周りにいて、その“変わらない”でいてくれた人たちのために歌える歌があるのではないかなと思って作った曲です。

―ということは実体験というか実話ということですか?

山:僕のリアルな部分ですね。今までは表面をなぞるような曲が多かったんですが、自分と向き合ってというか、自分の内面を絞り出して書いたことがあまりないなって思ったんです。歌詞もそうですし、メロディーラインや曲の雰囲気など含めてちょうど1年くらい前に僕が思っていた事や僕自身かなと思えますね。

―ということは1年前にはこの曲の原型があったということですか?

山:ちゃんとした形にはなっていなかったですが、モヤモヤした想いがずっとあって、それが吐き出してこの形になったのがたまたま1年後の今だったという感じですかね。

―ということは山口さんは“変われた”ということなんですかね?

山:厳密に言うと根本的なところでは“変わっていない”んですけど、でもその“変わらない”ということを誰かに肯定してもらえたような感覚にはなれたんです。周りはどんどん変化していく中で自分だけが取り残されているような想いがあって、変わらなきゃって思っていたんですが、でも変わらずに同じメンバーで音を出せていて、変わらずに濃くなっていったので、それでもいいのかなって思えるようになっていきました。ようやくそう思えたという意味では“変われた”のかもしれないですね。

―アナログというのがまたちょっと懐かしさというか温もりを感じるタイトルですね

山:今どんどんデジタル化されてきていて、デジタル化されたものってちょっと美化されているような印象があるんです。それがいいとか悪いとかではないんですが、アナログの持つ根っこの部分とか、例えば歌詞にもでてきている部分はありますが、一昔前はCDの貸し借りをしたりだとか、好きな人からメールがきてないかなと受信を何回もしちゃったりだとか、そういうのアナログなことって“変わらない”ものあるのかなって。それを主人公の心情とリンクさせて、歌詞を作っていきました。

―歌詞にでてくる下書きのメールという言葉は今の若い世代には聞き慣れないかもしれないですね。

山:そうですね。今だと連絡手段のメインはきっとLINEだと思うんですが、僕らはいわゆるガラケーでメールをしていた時代もあって、そのアナログさって人間味があって、良いなと思う部分もあって、歌詞に入れました。
松:僕らの青春時代、大学時代くらいの雰囲気、その時の感情という感じですね。

―その雰囲気や懐かしさというか人間味の部分はMVの世界観にも繋がっていますね。

山:思わずわかるー!って言ってしまうような内容ですよね。
金:まさに青春。しかもその青さは高校生ほどの真っ青ではなく、ちょっと大人になった青さ。

―大学時代っての青春ってまたちょっと違った独特の良さがありますよね。

山:自由な部分もあるし、物理的に成人を迎えたらお酒も飲めるし、でもまだまだ子供な部分もあって。
松:あとは一気にたくさんの人と出会うから新しい感性に触れるタイミングでもありますしね。
山:そんな絶妙な青春感もこの曲には詰め込めたかなと思います。
田:今話があったようにこの曲の青春感に合わせてドラムは自分が学生時代に衝撃を受けたバンドのニュアンスを入れたりしつつ、自分の感性も混ぜて構成したのでそういった部分も注目してもらえたら嬉しいですね。
松:この曲って瞬間風速が高い曲ではなくて、1曲を通してジワッと心に染みる感じが魅力だなと思っているので、1曲まるっと全部を聴いて味わってほしいなと思います。
金:そういった中でもちょっと細かいギミック的なものはあって、個人的にはラストサビの直前のドラムロールでシンバルの音を逆再生した音が入っているんですが、そこは聴きどころかなと思いますね。

―そしてそんな曲に続くのは「Greenback」。

山:この曲は「アナログ」とは逆に強風がずっと吹いているような曲ですね。

―この曲は松永さんが作曲だから、The osageという楽曲とはちょっと違うテイストなんですかね。

松:僕が元々インストで作っていた曲を山口が気に入ってくれて、メロディーと歌詞を乗せて完成した曲なんですよね。osageとしてまた違ったアプローチができた曲かなと思いますね。

―それができたのはバンドとしては大きなことなのかなと思います。

山:違った色が入ることによって全体の色味はまた変わりますしね。
金:イントロのリフとかサビが3回でてくる曲って僕らはあまりないですからね。
田:やっぱ山口が作るのとは違った形だよね。

―先ほど元々インストだったと言っていましたがosageでやる曲として作ったわけではないということですか?

松:そうですね。メロディーは乗せていなくて、osage用に作った曲ではなかったんです。
山:僕がこの曲がとても気に入っていて、そこに半ば無理矢理僕がメロディーと歌詞をつけた感じです(笑)。この曲に関しては本当にサウンドありきというか、サウンドが気に入ってというスタートだったので、歌詞もサウンドに対してそれが活きるように書くという感覚でした。普段の作詞作曲とはまた違った感覚だったので面白かったです。走り出したら止まらないような疾走感、それこそ真っ青な青春感をイメージしました。

―それもあってか、僕はこの曲はライブでの印象が特に強いです。

山:osageの楽曲の中でも特に攻撃力が高い曲だからですかね。
金:憂いのある感じがある曲がosageは多い中で、このくらいエネルギー感がある曲はなかなかないのでまさにライブ向きな曲かなと思います。
田:ギターソロもめっちゃカッコいいんですよね。音源でも聴いてほしいのはもちろんですが、ライブでぜひ体感してもらいた1曲です。

―3曲目の「1954」はまた違ったテイストの曲ですね。

山:サウンド感は違ったテイストにはしつつも、憂いのある感じというかosageの世界観というものも併せ持った感じですかね。

―面白い楽曲ですよね。チャイニーズテイストな雰囲気が僕は好きで、二本のギターのオルタナ感とかはまさにそうで。だから歌詞に中国語を入れてみて、ちょっと遊びも入れてみたりとか。

松:三カ国語が入る曲ってなかなかないし、山口が歌詞を書いてきたとき結構衝撃でしたね。
今作の中で特にエッセンスになる曲かなと思います。
田:普段の曲作りだと山口がドラムの音も仮で入れた状態で聞かせてくれるんですが、この曲に関しては弾き語りだったんです。そこにまずはドラムを入れて、そこにエレキギターやベースを重ねていって、曲のイメージが出来上がってからさらにいろいろ試行錯誤をして。
松:俺の家で作ったよね。今までにない制作進行だったから面白かったね。

―そしてこちらもエッセンス的な要素が強そうな4曲目の「ginger air」に繋がっていくわけですね。一般的なジンジャーエールとはスペルが違いますよね。

山:造語ですね。歌詞にも出てくるんですが、甘いだけじゃなく苦さもあって、ちょっとピリっとするような雰囲気・空気感を持つ人という意味合いですね。抽象的な感じ、そのフワッとした空気感も含めてairという言葉合うなと思ってこのタイトルにしました。

―なるほど。今の話を聞いてタイトルがしっくりきました。

松:タイトルでどんな曲かなと思わせて、さらに冒頭の歌詞で結構ドキッとするかなと。“あなたは最後の砦”ってなかなか歌詞に使わない言葉だと思うので。でもここの歌詞のパンチとメロディーラインはすごく気に入っていますね。
田:あとは個人的にはドラムのリズムが前半と後半で変わるところとあとタンバリンを入れたところが注目してほしいポイントです。シャカシャカと鳴っている音がジンジャーエールのシュワシュワ感と似てるかなと思って入れてみたので、そういった細かい音にも耳を傾けてくれたら嬉しいですね。
金:ハンドクラップを初めて入れたりとか、この曲も今までのosageになかったニュアンスが入っている曲ですね。
山:でも3曲目の「1954」もそうなんですが、最近作った曲なのに初期osageの雰囲気というか懐かしさを自分たち自身で感じているんですよね。
田:言葉は悪いかもですが、綺麗じゃないというかちょっと泥臭さを感じる部分が懐かしさの所以ですかね。

―3,4曲目がミニアルバムの中で良い味だしてますよね。そして5曲目はライブでもおなじみの「セトモノ」。

山:この曲はまさにライブでもずっとやっていて、MVも作りましたし、この曲がosageの定番曲の一つと言っても過言ではないかなと思います。こんなにBPMが早いのはosageの楽曲ではとても珍しくて、ライブでも一番盛り上がりますし、この曲ができてからライブでやらなかったことはないかもしれないです。
田:確実に一番ライブでやってるよね。
松:バンドとして何度救われただろうって感じだよ。
山:この曲と一緒osageはに成長してきたと言っても過言じゃないですね。
田:osageってどういうバンド?って今聞かれたらこの曲を聴かせると思います。
金:今後フェスとかに出演できた時も絶対この曲はやりたいですね。

―そんな思い入れのあるこの曲はどんな時にできた曲なんですか?

山:失恋した金廣から夜中に電話がかかってきたことがきっかけで。別れってどうやってもギトギトすることが多いと思うんですが、逆に高らかに笑いながら大嫌いって言って去ることってできないのかなって思って書いた曲です。夜中3時に電話もらってから6時くらいにはメンバーに送って。
金:驚きましたよね。電話した3時間後に自分の体験を元にした曲ができあがってきて。でも純粋に曲がカッコよくて。

―確かに驚きますよね。

山:別れの歌で“嫌い”とか“キライ”とか“きらい”という言葉を使ってはいるのですが、“何より大事なあなたが 誰より愛されますように”という言葉も使っていて、別れの瞬間の複雑で曖昧な心境はありつつも、サウンドは明るくテンポも早い曲なので、勢いで踏ん切りをつけて吹っ切ることができるようなイメージで書きました。
金:ツインギターによるリフの掛け合いとかサウンドだけ聴くと別れの曲とは思わないようなサウンド感ですよね。
田:あとは重心が低めというか高音が結構少なめで、でもガンッというインパクトもあって。
松:テンポは早いけど音色はちょっと渋くてそこはこの曲の面白さかもしれないですね。

―そして今作のラストを飾るのは「スープ」。

山:この曲も「セトモノ」と同様に僕らを何度も救ってくれた曲です。こういったミディアムテンポのバラード調の曲が少なくて、ライブでこの曲を聴きながら泣いている方もいたりして。スープという物に重ねた今はもう目の前にいない人の曲。実在する自由通りという道やスープという具体的な言葉を用いているので距離感が近い歌詞かなと思います。

―想像がつきやすいですよね。

松:実体験と架空のバランスが良くて、ちょうど良い距離感の曲なんですよね。近すぎず遠すぎず。誰もが経験したことがあるような生活感は感じつつちょっと架空の物語のような雰囲気もあって。
金:実はこの曲は以前発売したデモCDの時とはアレンジが変わっていて、曲の分数も2分近く伸びていて、スケールアップした仕上がりになっているのでもしデモCDを持っている方がいたら聞き比べてみても面白いかなと思います。
田:この曲はとにかく歌を真っ正面から聴いてほしいなと思います。

―5,6曲目は過去作にも収録されていた楽曲なので、今このタイミングで改めてみなさんに届けたい、聴いてほしいという想いがあっての収録ということですか?

山:まさにそうですね。osageと一緒に歩いてきた2曲です。もうそのデモCDは廃盤になってしまっていて、ライブでこの2曲を聴いた方から音源がほしいという要望も多かったので、ようやくそういった方に届けることができて嬉しいです。

―他にも何曲かMVになっている曲がいつ再音源化されるんだろうってワクワクしているんですよね。

山:どこかのタイミングで音源化したいですね。楽しみにしていてください。

―そして今作をひっさげてのリリースツアーがあって、ツアーファイナルはeggmanでのワンマンライブ。

山:バンド史上初となるワンマンライブですからね。

―それが結構意外でした。てっきりワンマンライブは既にやっているかと思っていたので。

山:普段の30分とかのライブだとやりたくてもできない曲も結構あって、そういった曲たちも含めてosageの今すべてを味わうことができるライブになるんじゃないかなと思います。とにかく楽しみですね。前回東名阪と三カ所のツアーを経て、成長できた部分がたくさんあったので、今回のツアーでもしっかりと、ファイナルを最高な空間にしたいと思います。

―冒頭でもありましたが、この1年で環境がガラリと変わりましたが、次の1年の展望を聞かせてもらいたいです。

山:osageってこういうバンドだよねってみんなが思う共通認識を作れたらなと思います。絶対的な何か。それこそ一つのジャンルになれるような。それに向けてCDを2枚リリースした後のこれからの1年はとても大切だなと思いますし、これまで以上に加速して進んでいきたいなと思っています。

―期待していますね。