ー 今作、通して聴けばバンドのカラーが納得できるブランディングをデビュー作にして既に作った感じがしますが、バンド結成当時は、目指す音楽像があったというよりは、”集まったメンバーでどんな音楽ができるか?”というアプローチだったんですよね?
■真田 徹 ( Gt 以下 “真田” ): そうですね、初めた頃に音楽的な目標があって、という訳ではなかったですね。
ー サウンド的にはファンク, ジャズ, R&Bの匂いに若干混じってくるロックなテイストがこのバンドらしさになっている気がしますが、メンバーさんそれぞれの音楽的なバックグラウンドってどんなものなんですか?
■真田: メンバーそれぞれバラバラで、僕は古いブラックミュージックも好きだったり、大学ではジャズを専攻してました。 大枠で言えばルーツが見える音楽が全般的に好きですね。
■黒田 秋子( Vo/Key 以下 “黒田” ): 私が昔からずっと好きなのは『メリー・ポピンズ』とか『サウンド・オブ・ミュージック』とかみたいな映画音楽で、もちろん他にもJ-POPもいろいろ聴いてはきたんですけど、最終的にはキャロル・キングとか、エイミー・ワインハウスみたいにクセも含めてその人の人生が感じられる音楽が好きになっていきました。 色気がある音楽、というか。 声にもメロディーにもその人独特のクセがあるものに惹かれる傾向がありますね。
ー 黒田さんのボーカルスタイルにも影響がある?
■黒田: そうですね。
ー 彦坂さんは?
■彦坂 玄 ( Dr 以下 “彦坂” ): 僕は兄の影響でRIP SLYMEとかから音楽にハマっていって、学生時代にロックも聴いてきて、最終的に大学に入った段階でようやくこのバンドに通じるようなブラックミュージックに触り始めた感じです。 だから大学に入った時は全然ジャズが叩けないドラマーだったんですよ。 漠然とジャズがやれるようになりたい、と思って大学でジャズを専攻したんで、元々はJ-POP/ROCKの畑の人間ですね。
■村山 努 (Ba 以下 “村山” ): 自分は幼少の頃から家でクラシックが流れてたんで、そのままの流れでクラシックも聴いてましたし、モーニング娘。とかMONGOL800とか、ASIAN KUNG-FU GENERATION、なんでも聴いてましたね。
ー みなさんルーツにはバリバリJ-POP入ってますね。
■村山: それを踏まえて今このバンドでこういう音楽をやってるのがおもしろいですよね。
ー ブラックミュージックのテイストでもやっぱりそういうみなさんの音楽背景は音に現れてますね。 ドラムのフィルの突っ込み方なんかは完全に, ロックスピリット感じますし。
■彦坂: 高校の時は本当にJ-ROCKしか聴いてなかったですからね。
■真田: 僕もこのバンドの前はずっとロックバンドをやってたんで、生粋のジャズマンではないんですよ。 だからその時の手癖は今も出てるかもしれないです。 彦坂と同じく僕も大学でジャズを専攻してたんですけど、よく友達からは “何で真田がジャズなの?” って言われました。 元々ロックは自分である程度やったんで、独学では無理だと思ってたジャズを学校でちゃんと学ぼうと思って取ったジャズ専攻でした。
ー ロックギタリストが演奏するジャズ、確かにRAMMELLSの音楽を説明するのにしっくりきますね。 あと、歌詞では特に「authentic」(M5)とか「AMY」(M7)とか…けっこう反骨心に燃えてるんだな、と(笑)。 見た目とのギャップが(笑)。
■黒田: そんなにですかね(笑)。 まぁ、ディスられて火がついた事だったり、ここ1年で一番クソがっ‼︎って思った事を歌ってる曲だから、おのずとキリっとした言葉が出てきますよね(笑)。
■彦坂: あと、黒田は歌詞と普段の言語能力の差が激しいんですよ(笑)。 普段こんな感じで天然っぽいんですけど、歌詞を見た時に言語力にびっくりするっていうか。
■黒田: もともと私、人と話すのも苦手だし、コミュニケーション能力低いんですけど、歌詞書く時だけですね、集中して言葉に向き合うのは(笑)。
ー 話すの苦手なのに、人前で歌うようになったのは何がきっかけ?
■黒田: 私、小さい時から自分の声も嫌いだし、喋るのも嫌いだし、学校の音楽の時間なんてみんなに紛れて基本口パクだったんですけど、高校の時にたまたま軽音楽部でバンドで歌ったことがきっかけだったかな。 歌って自分のからだを使ってるのに、全然うまく操れねえ!ってムカついたんですけど、それが悔しくて突き詰めたくなって、音楽大学のボーカルコースに進んで、そこからちゃんと歌をやり始めました。
— なるほど。 ちなみに本作収録曲は前作以降に作ったものばかりですか?
■彦坂: そうですね、ここ1年以内で作りました。
ー 作曲ペースが半端ないですね! 聞いたところによると、メンバー全員が作曲できるとか?
■彦坂: とは言っても例えば自分なんかは、このアルバムまで一度も作曲したことがなかったんで、今回のアルバムの制作時にになって初めて曲を書いたんですよ。
ー 彦坂さん作曲は「AMY」(M7)ですよね、ドラマーで作曲経験ゼロでいきなりこんな曲作るとは…。
■彦坂: 理論は学校で習得してたんですけど、やっぱり使ってない知識を掘り起こしてやっていったんで大変でした。
ー 既存のソングライターがメンバーにいる状態で、自分の曲を初めて持っていく時って、緊張しなかったですか?
■彦坂: めちゃくちゃしましたね(笑)。 実は昨日も1曲新しくできたんですけど、恥ずかしくてメンバーに送ってないです。
■黒田: え〜いいじゃん!送ってよ(笑)。
■彦坂: いろいろ言われるかな、とか考えるとなかなか勇気が出ないんですよ(笑)。
■真田: 自分も今でも曲を提出する時は緊張しますよ、毎回曲ができると3人にメールで送るんですけど、その次のスタジオでその曲について誰かから触れられた時は採用、誰からも何も触れられなかった時はボツ、って決めてます(笑)。
ー 誰にも触れられない時があるんですね…(笑)。 て事は、このアルバムに収録されなかった曲も?
■真田: 25~30曲位の中から、絞りに絞って今回の10曲を収録してます。 ボツ曲の中にも数曲すごく気に入ってる曲もあるんですけどね(笑)。
ー その5曲、もったいないし、1年で25曲ってやっぱり凄いですね。 今後そういう曲もどこかのタイミングで、その時の感覚でリアレンジして日の目を浴びる可能性を考えると、今はこれからの下準備も並行してやっていけてる感じですね。
■彦坂: 確かにこれまでに例えば「image」(M1)とかは前回のツアー中に作ってそのツアーのファイナル公演では収録も決まってもないのに演奏してたし、そういう曲はたくさんあるんで、この先も何かしらのかたちで出せる楽曲が多いのは今のアドバンテージとしてはいい状態ですね。 ストックというよりは、どんどんアップデートして出していくための素材が今出来上がってる感じです。
— ここからメジャーの舞台での活動が始まりますが、今までのこのバンドのキャリアを背負ってこの先、どんなバンドでいたいですか?
■ 彦坂: 周りに在る音楽が変化していっても、RAMMELLSって分かる自分たちらしい音楽であり続けたいっていうのはありますね。 芯は通したい。 あとは単純にデカいところでやりたいですね。
■真田: 武道館、もう押さえちゃうか(笑)。
■黒田: そうだね、2年後で(笑)。 でも本当に最初にこのバンドを真田とやろうって言い始めた時からずっと、全部計画した通りの順序を追ってきてるんで、掲げたものがあったら多分やれますし、やるっきゃないですね。