―『kodomo to otona』、まずは完成おめでとうございます!7枚目という節目で、非常に挑戦的なコンセプトですが、手応えはいかがですか?
藤森元生(Vocal/Guitar): ありがとうございます。自分でも「まだまだアイディアって溢れてくるもんだな」と驚いています。長くやってきましたけど、今が一番曲を作っていて面白いかもしれません。
―作曲のアイディアは、相変わらず「水場」で生まれることが多いそうですね。
藤森: そうなんです。基本的には家のお風呂とか、サウナとか、とにかく水を浴びている時が一番変なことを思いつくんですよ。今作も核となる部分は風呂場で「あ、これだ」と。そこから一気に広げていきました。
―今作の『kotomo to otona』というタイトルとコンセプトは、どこから出てきて制作が始まったんでしょうか?
藤森: 今年の頭ぐらいから次どんな作品にしようって話はしていたんですけど、「シナぷしゅ」のつきうたとして作った『すきなきもちもち』という曲ができたのをキッカケに、今作のコンセプトに進み始めた感覚ですね。
―言葉遊びをコンセプトにした前作『言葉と音楽』の第二弾的構想もあったとか。
藤森: はい。最初はそれを極めた路線の続編にしようかとも思ったんです。でも、普通に続編を作るだけじゃ自分の中で「前作を超えられないんじゃないか」という不安や懸念があって。そこで試行錯誤していくうちに、ただの言葉遊びではなく、「子供向け」という極端なポップさと、「大人」というシリアスな深みを1枚に落とし込むスプリットアルバムのような形式に行き着きました。
―「二面性」という言葉自体はよく使われますけど、ここまであからさまに曲順で交互に見せていくのは、SAKANAMONならではの潔さだなと感じました。
木村浩大(Drums):最初にコンセプトを聞いた時は「また無茶なことを……」と思いましたけど(笑)、上がってきたデモを聴いたら「なるほど、これはSAKANAMONにしかできないな」と納得しました。
――M-1『ありありあり』から衝撃的でした。言葉遊びのフレーズから始まりつつ、最後には深いメッセージ。そして何より、語りが「波平さん」の声でお馴染みの茶風林さんという。
藤森: これは今作で一番最初にできた曲で、ずっと温めていた大事な曲です。説得力のある「声」が欲しくて、ことわざや格言を語るのに一番しっくりくるのは誰かと考えたら、もう「波平さん」しかいないと。
森野光晴(Bass): 最初にその話を聞いた時は耳を疑いました(笑)でも、実際に声が入った音源を聴いたら「これしかない」っていう説得力で。
――M-2『ただそれだけ』は一転して、非常に攻撃的でソリッドな楽曲ですね。
藤森: 最近、リリースが温かい曲続きだったので、その反動で少し刺々しい曲をやりたかったんです。あんまりメロディックに歌わず、ミクスチャー的な要素を入れて、その時の攻撃的な欲求を詰め込みました。
森野: これ、マスタリングでキック(バスドラム)の音がめちゃくちゃ変わってるんですよ。より重心が低くなっていてかっこいいので、アルバムバージョンぐらいの感じで聴いて欲しいですね。
木村: ドラム的にも、このリズムにどうノリを出していくか、かなり試行錯誤しました。シンプルですけど、一番パワーを使う曲でしたね。
―『すきなきもちもち』(M-3)は、赤ちゃん向け番組番組『シナぷしゅ』への提供曲として制作された曲ですね。
藤森: 僕自身元々『シナぷしゅ』の楽曲のファンでリスペクトしていたので、この話が来て嬉しかったです。ただ実は、ファンだからこその「もっとこうなったらいいんじゃないかな」っていう僕なりの勝手な想いがあって(笑)。それを形にしたというか、詰め込んだ楽曲です。おもちゃ屋さんでおもちゃを買ってみたり、フラッシュアイデアをどんどん曲に詰め込んでいって、分かりやすいポップさを優先しつつ、いろんな挑戦ができた曲になりました。
――『アオイ』(M-4)この曲は非常に潔いアレンジです。ギター1本で、音数も少ないですよね。
藤森: この曲は基本の3つの音だけで構成して、ギターも重ねませんでした。その代わり、間奏がめちゃくちゃ長いんです。歌わないパートでどれだけ聴かせられるか、というのを一度やってみたかった。
森野: ここのベースラインは、僕もかなり遊ばせてもらいました。歌がない分、ベースでストーリーを作るような感覚で弾きました。
― M-5『うちゅうのかいぶつ』、M-6『jellyfish』と、バンドサウンドとはまた別のアプローチの楽曲ですが、こういった楽曲をキャッチーに仕上げられるのは、ある意味実力が発揮されている部分なのかなと思います。
藤森: 「うちゅうのかいぶつ」は、ちょっとおしゃれで、言葉遊び的な要素も入れつつ…何がしたかったんだろうなぁ(笑)
森野:「かわいさ」+「ちょいおしゃれ」みたいな構成が本当に好きだよね(笑)
藤森:その感じで、ちょっと風刺きいているメッセージ、というところにはこだわりました。
木村:この曲、僕はドラムじゃないですからね。コンガとかギロ、トライグルも使うし…今作は全体的に、「ライブどうしよう?」って曲が多いんです(笑)
――M-6『jellyfish』はどのようにできたんでしょうか?
藤森:この曲は結構前に、江ノ島水族館でアコースティックライブをした時にBGMとして作った曲なんです。ずっと録りたいと思ってたんですけど、出しどころがなくて。今作の「大人パート」にはこれしかないとはめ込みました。
――M-7「殿様とファラオ」タイトルからしてカオスですが、中身はもっとカオスでした(笑)。音楽的にかなり複雑なことをしているとか。
藤森:ワールドワイドな曲を作りたくて作りました(笑)演奏が本当に大変で、日本の「殿様」のパートと、アラビアの「ファラオ」のパートで、使っている音階(スケール)を全部変えているんです。日本の音階4種類、アラビアの音階4種類、っていう。正直、覚えられないです(笑)。
森野: 1行ごとにスケールが変わるんですよ。「次は沖縄音階」「次はアラビア音階」って。ベースラインもそれに合わせて全部違う動きをしなきゃいけない。これから頑張って覚えます。
木村: 本当にドラムで良かったなって心から思いました(笑)。
――M-8『unique』はアルバムを締めくくるにふさわしい、ドラマチックな楽曲ですね。これだけ自由にやってるSAKANAMONだからこそ、歌詞1つ1つのメッセージに説得力があるなと。
藤森: ここまで散々遊ばせてもらったお礼に作った曲ですね(笑)SAKANAMONのど真ん中でありつつ、ここまでの進化が詰まったような曲になりました。
森野:この曲があるから、前の7曲のめちゃくちゃな遊びが全部肯定される、みたいな。アルバムとして最後にバシッと締まる、最高の終着点になりました。
藤森:15周年を過ぎて、ようやくこういう素直な歌詞を書けるようになりました。昔の自分なら「恥ずかしい」とか「もっとひねらなきゃ」と思って書けなかったんです。今の自分たちが、これだけ好き勝手に自由に音楽をやっているからこそ、この『unique』という言葉に魂が宿るのかなと。
― そして東名阪福4箇所を回るツアーも発表されています!意気込みを聞かせてください。
森野:完全再現は難しいと思うんで、ライブならではのアレンジを考えられたらと思ってます。これはこれで、「音源」と「ライブ」っていう二面性も楽しんでもらえればと。
木村:セットリスト、みなさんはもちろん僕らもまだ想像つかないので(笑)ツアーを楽しみにしててください!
― また3/20には初の主催サーキットの開催が決定しています。
藤森: ずっと自分たち主催のサーキットをやりたいって話はしていたんです。それが20周年に向けてようやく形にできました。まずは第一弾として、とにかく僕らのことを好きでいてくれる人、そして純粋に「友達」と呼べる信頼できる仲間を集めました。
木村: ラインナップを見ていただければ分かる通り、本当に「SAKANAMON愛」に溢れたイベントになると思います。僕らも気合が入っています。
―2026年のSAKANAMONも楽しみです!最後に読者のみなさんにメッセージをお願いします!
森野:今作を作って、僕らまだまだ落ち着くつもりはないなと確信しました。むしろ、もっとピリついていきたいので楽しみにしていてください。
木村:このアルバムをライブでどう再現するかはこれからの課題ですけど(笑)これからも音源ならではの遊びも、ライブならではのアレンジも両方楽しんでもらえるように頑張ります。
藤森:最近、本当にバンドの状態がいいんです。ストレスなく、かつお互いに刺激を与え合いながら活動ができています。20周年に向けて頑張っていきますので、ついてきてもらえたらと思います!
リリース情報
7th Mini Album
kodomo to otona
【完全生産限定盤】
2026.01.21 RELEASE
1.ありありあり
2.ただそれだけ
3.すきなきもちもち
4.アオイ
5.うちゅうのかいぶつ
6.jellyfish
7.とのさまとファラオ
8.unique
ライブ情報
【SAKANAMON TOUR 2026 “kodomo mo otona mo”】
02.11( 水・祝 ) 愛知 池下 CLUB UPSET
02.28( 土 ) 福岡 INSA
03.01( 日 ) 大阪 Music Club JANUS
03.06( 金 ) 東京 Veats Shibuya
【初主催サーキットフェス「UOOO!! 2026」】
3/20( 金・祝 ) 東京 shibuya eggman / murffin STUDIO
出演:SAKANAMON / osage/hozzy&田中ユウイチ / ヨネダ2000 / meiyo / いちろーとせんせい(ex.東京カランコロン) / 千也茶丸 / なきごと
