このサイトはJavaScriptがオンになっていないと正常に表示されません

the quiet room 「Where is the stone?」
- SPECIAL -

the quiet room 「Where is the stone?」

Stone in the “グレイトエスケイプ” #3

ハッピーエンドには程遠い映画を観ることは僕にとってはかなり根気のいる作業だった。決して映画が面白くない訳ではないけど、何かと感情移入してしまう僕にとって主人公は最早自分自身。思い切り幸せになってもらわないと困るのだ。

「例えばこの長い夜が終わってしまうとして、二人は二人のまま朝を迎えられるだろうか」
ああ、迎えてよ。思う存分迎えて頂戴。誰も咎めはしないから、二人は二人のまま朝を迎えたらいいのに。見えない何かと闘って自分たちの気持ちに嘘をつく必要なんてないのよ。泣いちゃうから、やめて。

それでも物語の最後まで二人は自分たちの関係に向き合い、葛藤し、そして終止符を打つのだ。二人が誰に迷惑をかけたというのだ。いったい誰がこの結末を望んだのだろうか。こんなことって、ある?やっぱり泣いちゃう。泣いちゃうわ。

こういう時、僕はいつも逃げてしまえばいいのにと思う。わざわざ用意された過酷なストーリーに向き合う必要なんてない。駆け落ちでもなんでもしたらいい。想いあった二人が結ばれないくらいだったらそんな世界に気を使ってやらなくていいわ。

そんな事を思いながらしがないミュージシャンは今日も曲を書く。せめて曲の中の主人公達はみんな幸せであればいいなと、願っている。

Degital single 「グレイトエスケイプ」より