― 「七色のインサイドストーリー」リリースおめでとうございます!このタイトルにはどんな意味が込められているんでしょうか?
ハキイ。(Vo. Gt.):今作はライブ活動をしている中で出会った、大切な先輩や仲間たちと一緒に作った曲たちなんです。桃色ドロシーの私たち2人と、以前サポートしてくれていた加納くんと今サポートしてくれてるYUくん。広島のRED IN BLUEというバンドのグッチ(田口悟)くんと、ROTTENGRAFFTYのMASAHIKOさんとNOBUYAさん。今作に関わってくれた7人のアーティストを色に例えて、”七色”、大切な人たちと絆を深めていく中での私たちの心情の変化を”インサイドストーリー”と表現して、このタイトルになりました。
― ジャケットはご自身でデザインされたんですか?
ハキイ。:はい、自分たちでやりました!ライブ翌日で、朝5時に打ち上げが終わって帰ったのにまた昼過ぎに集合して(笑)手作りで何回も失敗しながら作ったものを写真に撮って、それがそのままジャケットになった感じですね。こだわって完成させたのでかなり気に入ってます。七色だと大体みんな虹の色を想像するだろうし、黒とか「なんでその色なの?」みたいになると思うんですけど、どうしてもそこにはこだわりたくて。この七色、この作品に関わってくれたみんなそれぞれをイメージしたカラーにしたんです。
キシベ (Dr. Cho):せっかくの手作りなんで、ツアーには持ち歩いて物販に置いておいておこうかなとか思ってます。
― 今回は共作というところにスポットを当てた作品かと思うのですが、そうなった経緯は何かあるんでしょうか?
ハキイ。:これまで桃色ドロシーって全部私が作詞作曲して、ドラムこうしてほしいとか、こういう展開どう?みたいなのを二人で悩みながら作ってきたたんですけど、ふと”私たちって友達がいるように見えて、意外といないかも?”みたいに思ってしまったタイミングがあって(笑)そもそも音楽的な仲間や友達ってどんな関係性なんだろうって考えたら、対バンはもちろんそうなんですけど、一緒に曲を作ったりセッションしたり、改めて”友達と一緒に曲を作る”ってやったことないなって思ったんですよね。ちょうどそんなタイミングで、先輩であるロットン(ROTTENGRAFFTY)のお二人が一緒に曲作ろうって言ってくれて「ミナトミライ」という曲が出来て、その時に先輩たちが持っている感性と私たちの感性の違いって面白いなと思ったんですよね。じゃあもっといろんな人たちと作ってみよう!と思って、今作の曲が出来ていきました。
キシベ:今作をちゃんと形にしようと思えた最初のキッカケは、やっぱりROTTENGRAFFTYなんですよね。北海道で対バンした時に「桃色ドロシー良いバンドだしライブもかっこいいし、あとはキラーチューンが欲しいよね。よかったら一緒に作らへん?」みたいに言ってくれて。1つのターニングポイントだったと思います。
― 今作でかなり世界観が広がった印象です。
ハキイ。:リリースしてからいろんな人が感想をくれるんですけど、それぞれいいって言ってくれる曲がバラバラなんですよね。それって桃ドロという軸からはブレていなくて、その先のステップアップした桃色ドロシーをちゃんと表現できているってことなんじゃないかなと。”新しいけどやっぱ桃色ドロシーらしさもあるわ”みたいな感想が多いので、一緒に作った旨味も出てるけど、私たちらしさもしっかりある曲にできたんじゃないかと思ってます。
キシベ:ぶっちゃけハキイ。が歌えばどんな曲も桃色ドロシーになるんだなっていうのも、今回改めて思いました。
― M-1「スターライト」はサポートベースのYUさんとの共作ですね。
ハキイ。:普段からライブをイメージして曲を作ることが多いので、みんなで一緒にシンガロングできる曲を増やしていきたいってことをYUくんに相談して、じゃあちょうど考えてた曲があるって言ってくれたのが、この曲なんです。こんなに同期を入れるのは初めてだし、ラップをやるのも初めてだったので、聴くのとやるのとは全然違うから難しかったです。でもファンの方から”あの曲めっちゃ楽しいです!”って言われて。苦手なこともたくさんあったけどチャレンジして良かったし、そういうリアクションもあって嬉しかったですね。良い意味で”一発目から全然違うじゃん”みたいな部分を見せつけられる曲になったと思います。
キシベ:サビで自然にジャンプできるような、ライブの光景を想像しながらドラムも考えたので、ライブでお客さんの体が勝手に動いてるみたいな状況を見て、やっぱり間違ってなかったなと思えました。
― M-2「ミナトミライ」M-3「朝凪の彼方」はROTTENGRAFFTYのNOBUYAさん、MASAHIKOさんとの共作。大先輩との制作はいかがでしたか?
ハキイ。:先輩の偉大さを見せつけられましたね。曲ごとに合宿に入って制作していたんですけど、「朝凪の彼方」を作る時に、今までにないぐらい壮大で世界観重視の聴かせる曲を作りたい、っていうイメージを伝えて。MASAHIKOさんがすぐギター弾き始めてくれて、曲が早めの段階で出来たんですけど、歌詞がなかなか書けなくて。どうしよう…ってなった時に、近くに海があって、”海、ちょっと眺めてきたら?”みたいに言ってくれたので、とりあえず海に行って波打ち際のベンチに座って音楽聴きながら考えてたんです。その時になんとなく見わたした周りの景色が見事な快晴で。子供たちも遊んでいて、静かでいいなあって。その時に光った水面が綺麗すぎて、この景色を書きたいと思ったら、急に歌詞が書けてきたんです。挫折してる時間と、でも何かがきっかけで急に吹っ切れるみたいなところを表現したいなと思って。そこから戻ってすぐ歌入れして、ほぼ一発OKで完成っていう、すごい体験でした。これまでは結構抽象的な題材で歌詞を書くことが多かったので、具体的に景色が浮かぶように歌詞を書いたのは、久々の感覚でした。
キシベ:その時の感情や場面が現れてる歌詞って説得力がありますよね。ハキイ。自身が経験していることだからこそ私にもスッと入ってきたし。桃ドロでこれだけ一緒に活動してるからこそ、考え方も似てきているし、生活も一緒だし、苦しさとかも一緒なんですよね。だからこそグッときました。
― 環境の変化やインプットって大事ですね。
ハキイ。:これだけ現場主義でやってきたからこそ、ツアー終わったら制作、制作終わったらまたツアーの繰り返しだから何もしないでいると同じ環境の中でのインプットしかなくて。行き詰まって何も書けなくなっちゃった時があったんです。でも今回”海を見る”っていう音楽とは別の1つのアクションで歌詞が書けたから、やっぱりそういうことなんだなと思って。それこそ”海外行ってみなよ”とかもよく言われるんですけど、環境を変えてインプットしてみるのも大事だなって、改めて思わせてくれた作品になりました。
― M-4「エンドロール」はどういった経緯で生まれた楽曲なんでしょうか?
ハキイ。:私の周りで不幸なことが立て続けに起こった時期があって。大切な人たちが悲しむ姿を見てとにかくしんどかったんです。でも、その人たちに対してただ”大丈夫だよ”みたいに慰めるのって苦手で。それでも何かは伝えたいから、曲にしようと思って作ったんです。それこそ「死」を題材にして作った曲で、身近な人の死に直面した時って簡単に立ち直れるものではないと思うんですよね。時が解決するとか言うけど、そんなことたやすく言えないし、その人によってきっとその期間も全然違う。すぐ立ち直る人もいれば、きっと50年ぐらいかかる人もいる。だからこそ人それぞれ、悲しみに浸るのも大事な時間なんじゃないかと思って。思い出に浸ってそのまま過ごすのもいい。乗り越えられた時に笑えられたらいい。笑えたらまた自分が前に進めるようになれたらいい。そんな思いで書いた曲です。
キシベ:去年飼っていた猫が死んでしまって。私は無理やり忘れて考えないようにしよう、みたいな考え方だったんですけど、この曲を聴いて、別に無理やり忘れる必要もないかって思えたんですよね。忘れてしまうなんて逆に悲しいことなんじゃないかって。悲しみを乗り越えるのは忘れることじゃなくて、どうやって乗り越えていくかっていうことだって思わせてくれて、ちょっと心が軽くなったんです。ストレートだからこそ受け止められるというか。この曲は私自身の考え方も変えてくれました。
― アレンジも今までにないテイストで様々な挑戦を感じる楽曲ですね。
ハキイ。:今までの桃ドロにはなかったローファイな感じを出しつつ、最後にガッツリバンドサウンドがくるような二面性というか、”やっぱり桃ドロだな”みたいな部分を出したくて、アレンジは意識しました。ライブだとちょっと音源とは違うアレンジでやる予定なので、そこも楽しみにしていてほしいです。
― M-5「灯火アンビション」はRED in BLUEの田口さんをアレンジに迎え制作された、ライブでの景色が浮かぶような曲ですね。
ハキイ。:ライブのセットリストを考えてる時に、もっと疾走感ある曲がほしいなと思って、デモの状態で以前からあったこの曲を、グッチくんにアレンジャーとして入ってもらって完成しました。それこそもう、テンポが一気に上がってびっくりしました(笑)とにかくグッチくんが知識豊富なので、元々あったものからメロディはそこまで変わってないんですけど、コード感とかアレンジでここまで変わるんだなと思って、本当にいい経験になりました。アルバムの流れ的にも、前曲「エンドロール」でしっとり終わって、アンコールみたいなイメージで一番最後に入れた曲です。勢いもあるし、明るくアルバムを締めくくりたかったんですよね。
キシベ:ちなみにこの曲、私が作成したアニメーションMVも公開されてるのでぜひチェックしてみてください!
― 今回こうして様々な人と制作をして、これからの作品も楽しみですね。
ハキイ。:そうなんですよね、次はこれを超えていくものを作らないといけない。今までこの2つの脳みそしかなかったものが、私たちも含めて7個の脳みそでできたアルバムなので。今回のインプットを次にどう生かせるかは自分たち次第なので、超えていきたいですね。
― そして11月からは全国25都市を巡るツアーが始まります!
ハキイ。:もちろん大前提として、今作は先輩や仲間と作った曲だからこそ、その思いも持ってツアーを回りたいと思ってます。さらに明確な目標を言うと、全箇所とは言わずとも今回こそソールドアウトというものを目指したいなと思ってます。しっかり結果を出して、次のステップに行けるようなツアーにしたいですね。もっと言うならば、私たちって歌やメッセージ性を大事にしていたり、でもサウンドは激しかったり、今までにはないジャンルで、いろんなシーンのそれぞれのライブの楽しみ方をするお客さんが1つの空間にいれるようなライブをするバンドになりたいと思ってるんです。今回このアルバムの5曲で改めて桃色ドロシーのシーンを確立させるというか、見つけ出せるような、そんなツアーにしたいと思ってます。
キシベ:確かに、どんなお客さんでも受け入れたいし、嫌な思いはしてほしくないし、いろんな人がいろんな楽しみ方をしてくれるようなバンドになりたいんですよね。将来は自分たちでフェスをやりたいって言ってるぐらいなんで、桃色ドロシーの音楽シーンでの在り方みたいなものを、このツアーで見つけていきたいと思ってます。
― 最後に読者のみなさんにメッセージをお願いします!
ハキイ。:音楽って喜びを倍増させることもできるし、悲しみを分かち合うこともできるし、それを全身で感じられるのがライブハウスだと思ってます。音源ももちろん良いなって思ってもらえるように作ってるけど、やっぱり私たちはライブが、ライブハウスがそれを一番受け取れる場所だと思ってるから、ぜひライブハウスに足を運んでほしいです!
キシベ:今の自分たちの曲を、今が一番伝えられる状態になれている実感があって、バンドとしても個人としてもどんどん成長できている時期だと思ってるので、今の桃色ドロシーをぜひ見てほしいです!
◼️リリース情報

Digital Mini Album「七色のインサイドストーリー」
1.スターライト
2.ミナトミライ
3.朝凪の彼方
4.エンドロール
5.灯火アンビション
2025年9月26日(金) Release
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◼️ライブ情報
桃色ドロシー“七色のインサイドストーリー”Tour
■11/4(火)F.A.D YOKOHAMA
■11/26(水)the five morioka
■11/27(木)秋田Club SWINDLE
■12/5(金)福岡OP’s
■12/18(木)岡山CRAZY MAMA 2nd Room
■12/19(金)出雲APOLLO
■12/21(日)松山Double-u Studio
■1/12(月・祝)仙台ROCKATERIA
■1/13(火)新潟CLUB RIVERST
■1/16(金)札幌SPIRITUAL LOUNGE
■1/17(土)苫小牧ELLCUBE
■1/18(日)函館ARARA
■2/4(水)水戸LIGHT HOUSE
■2/5(木)千葉LOOK
■2/7(土)岐阜ants
■2/10(火)大分club SPOT
■2/11(水・祝)小倉FUSE
■2/13(金)広島CAVE-BE
■2/14(土)周南rise
■2/15(日)高松TOONICE
■2/17(火)京都MUSE
■2/18(水)music ZOO KOBE 太陽と虎
■2/26(木)名古屋CLUB UPSET
■2/27(金)大阪BRONZE
【TOUR FINAL】
■3/5(木)下北沢SHELTER
〜ONE MAN SHOW〜
OPEN 18:30 / START 19:15
チケット ¥3,000
