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the quiet room interview
- SPECIAL -

the quiet room interview

キャッチーでも媚びない音楽、そこが焦点
ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2014出演等を経て、今注目されるニューカマーの中でも一際楽曲の求心力で目を惹く存在のthe quiet room。 今回リリースされる2nd. Mini Album『Circle』で感じるメンバーの音楽背景と独自のセンスは、J-POP/ROCKというジャンルレスなジャンルの中で確かに誰かのポーザーでなく、自分達で音楽を更新していく強さを感じさせる。 ソングライターを兼ねるフロントマンの菊池遼が本作のリリースを起点に捉えるバンドのこれまでとこれからは、一環して自分の歩幅で着実に進んでいくものだと感じた。 今作『Circle』、発想の自由度とこだわりが同居する絶妙なバランスは、このバンドの音楽を彼自身がしっかり見据えている証拠なのだろう。

Interview & text : 鞘師 至

– 今メンバーの平均年齢は21歳、結成して4年という事ですが、バンド結成は高校で?

■菊池 遼 (Vo/Gt 以下”K”): そうですね、受験でバンド活動休止ってよく聞く話しじゃないですか。 高校2年になって進路を皆が考え始めた時に、受験勉強だけやって生活を続けるのなんて嫌だ!と思って必死にメンバー誘って組んだのがこのバンドです。 それまでもコピーバンドみたいなものは組んでいたんですけど、本格的に活動するバンドとしてやったのはこのバンドが初めてですね。

— なるほど。 現レーベルmurffin discsに入るきっかけは何でした?

■ K: 純粋に所属しているバンドが元々好きだったんです。 Czecho No Republicとテスラは泣かない。はmurffin discs に入る前からずっと聴いてましたし。 あと、大人の人達とやり取りするのに慣れてる訳でもないんで、どこかのレーベルの入るとか、スタッフの人とチームでやっていく事とかに未熟なバンドマンなりの不安もあったんですけど、砂川さん(Gt. / Czecho No Republic)に個人的にご飯に連れて行ってもらったりもして、事前に今のレーベルの話しを聞けて安心して話しを進められたっていうのもあります。 入るきっかけは、レーベルヘッドにライブを観てもらったことですね。 レーベルのイベントに一度出させてもらって、テスラは泣かない。、コンテンポラリーな生活、ammoflightの3manライブのオープニングアクトとしてライブしたのを観てもらってたんですよ。 そのきっかけでその後もライブを観てもらう機会があって、満を持してというかたちで入る事になりました。

— レーベルに入る前、このバンドを始めた頃くらいにはバンドの具体的な目標ってありました?

■ K: 具体的には無かったですけど、普通に地元で就職して生活していくことは全然想像できなかったんで、やっぱりバンドでやっていきたい、っていうのは何となく思ってました。

— そういう事で言えば当時の目指すところに今来てる訳ですね。 ちなみに地元ってどんな街?

■ K: 茨城県の水戸なんですよ。そんなに栄えてる場所ではないんですけど、その規模と比べたらバンドマンとかミュージシャンは多い方かもしれませんね。 真空ホロウもme-al artも地元の先輩です。

— COCKROACHも水戸だったかな。。。?

■ K: COCKROACH! もう伝説的なバンドですよね。 もちろん僕らは地元で活動時代被ってないですけど、僕らの世代のバンドマンも皆知ってます。

— 当時地元に居た時から活動を経て、今新たな目標ってできました?

■ K: バンドで食える様になる事ですかね。 最終目標ではなく、あくまで直近の狙いとしてはそれを成立させる事が明確な目標です。

— 今回の2nd Mini Album『Circle』の内容に触れたいんですが、歌詞は今作も全曲通して何か特定の出来事や人を描いたというよりは抽象的な表現が多いと感じました。

■ K: そうですね、それは意識して書いてます。 ”誰が読んでも共感できる様なもの”を念頭に置いて作る様にしてるんですよね。 もちろん100人居て100人全員の共感を得るのは難しいですけど、その可能性を広げていく作業を毎回してます。

— 「Happy End」(M1)はラブソング感があったんですが、これはノンフィクション?

■ K: いや、けっこう妄想入ってます(笑)。 歌詞の流れで最後の最後に主人公が少しだけ前向きになるんですけど、そういう成長していく気持ちの情景をあくまでみんなに感じ取って欲しいが為に用いたストーリーがこの男女のやり取りっていう。 ”ああ、こんな経験自分にもあったな”とか、”自分もしてみたいな”とかっていう気持ちが歌詞とか曲とかにリンクしてくれたらいいな、と思って。

— 「声の鳴る方へ」(M2)や「アイロニー」(M4)は珍しく皮肉っぽい歌詞ですね。

■ K: そうですね、この2曲はコビキ(Dr. コビキユウジ)が正式してから作った曲で、新しい事をやりたかったんですよね。

— 楽曲もこの2曲は攻め感強いけど、フレーズのアンサンブルはスタジオとかでメンバー全員で詰めていったんですか?

■ K: ええ、編曲に関してはけっこうメンバーに頼ってます。 弾き語りで歌と進行、ビートの大枠だけ僕が作ってきて、それをメンバーそれぞれでリフに起こしてもらって作りました。 特にこの2曲はアレンジに凝りましたね。 メンバーそれぞれ音楽的なバックグラウンドが別でしっかりあるんで、毎回発想が新鮮で良いんですよね。 「アイロニー」(M4)のフレーズをみんなに持っていった時も「なんとなくビートはダダダダ、って感じがいいんだよね」くらいのゆるい伝え方でも、しっかり形にして返してくれるっていう。 そういうメンバーそれぞれのセンスの高さは信頼してますね。 自分が基本的にはJ-POPで出来ている人間なんで、メンバーが別の方向に視野があって、そこから取り入れてくれるセンスが自分のJ-POPの感覚と混じると今のバンドのカラーになるんですよね。 メンバーそれぞれ本当に主軸の音楽が違って、ギターの斉藤(Gt. 斉藤弦)はテンションコードでカッティングするようなおしゃれな感じのバンドが好きだったり、前田(Ba. 前田翔平)に関してはゴリゴリのミクスチャーとかも好きなんですけど、そういう自分の持ってる音楽観は例えば大学のバンドサークルで昇華させていて、the quiet roomでやるときはしっかりこのバンドの曲の中での解釈を作ってくれる。 すごく柔軟に捉えてくれてるんですよね。

— サークルでコピーバンドやってる事で得られる音楽的柔軟性ってありますよね(笑)。

■ K: 斉藤と前田に関しては正にそれですね。 しかも結構有名なサークルらしくて、部員も少なくてサークルに入るのに面接とかがあって、ある程度のレベルのミュージシャンしか入れない、っていう掟らしいです(笑)。

— タイトだなー(笑)。

■ K: でも本当そのおかげで、自分の出すJ-POPの世界観が崩れないギリギリのバランスが持ててるんだと思います。

— アルバムタイトルの『Circle』は何の輪を意味したもの?

■ K: このアルバムに入っている曲、最初から最後の曲までの流れで四季をイメージしているところがあって、そういう”巡るもの”みたいなもののアイコンとして『Circle』という名前にしました。 それが季節だけでなくてもなんですけどね、なんとなく感覚で巡っていく流れみたいなものをこの作品に感じたんで名付けたタイトルであって、想いでも人との出会いでも、季節でも色々あると思うんですけど、聴いてくれる人それぞれがその人の感覚で感じたCircleっていうイメージと照合するものを何かしら思い浮かべてくれたら、って思って。 歌詞でもそうですし、とにかく多くのひとが何かを見出してくれるような表現をやりたい、っていうのがタイトルにも反映されてると思います。 シチュエーションとか対象とかを特定してしまうことで、共感できなくなる事ってありますからね。 あくまでシンプルに。 伝わらなかったら意味が無いと思うんですよね。

— ちなみに今、自分なりの感覚として周囲にある音楽をかっこいい音楽、そうではない音楽に別ける基準って何ですか?

■ K: 僕にとって大切なのは圧倒的にメロディーですね。 それらしい楽曲が出来上がってもメロディーが良くないと聴けない。 メロディーの力がなかったら、楽曲のアンサンブルに変に凝ったり、変拍子入れたり、技巧を凝らしても最終的に良いものにならないと思うんですよ。 僕がこんな感じだからけっこう周囲では「the quiet roomは王道」って言われたりもしますけど(笑)。 王道かどうかにあんまりこだわってないと言うか、キャッチーなことと、自分の世界観を曲げないところがあればいいかな、と思います。

— その気概を以って制作された本作発売を記念したリリースツアーも8月から始まりますが、ツアー終わり、本作の一連の作業が終わったらその後は何を目指しますか?

■K: やっぱりライブするのが楽しいんで、ライブで目標立てたいですね。 渋谷クラブクアトロでワンマンやりたい。 あとは今年出れなかったんでやっぱりROCK IN JAPAN FESTIVALに出たいです、地元でやるお祭りなんで。