2023年5月14日、横浜スタジアムにて”sumika 10th Anniversary Live 『Ten to Ten to 10』”が開催された。
黒田隼之介(Gt,Cho)の急逝というショッキングなニュースも記憶に新しく、そこに集まったオーディエンスはもちろん、メンバーやスタッフ陣も複雑な心境であることは拭いきれない中、本公演はバンド結成10周年の節目に、これまでの活動の集大成のひとつとして開催された。
降りしきる雨の中「雨天決行」からライブがスタート。ライブ序盤からキラーチューンを立て続けに畳み掛ける中、「ふっかつのじゅもん」では片岡が黒田のギターでギターソロを弾くサプライズが起こり、会場はひときわ大きな歓声に包まれた。
MCでは、片岡(Vo,Gt)が「想像もしなかった悲しいことが起きてしまった」「黒田の代わりなどいない」と胸の内をストレートに伝えた。その上で「悲しい空白じゃなくてポシティブなクエスチョンに変えて、これからもグッと来る音楽を作る」と強く放った言葉は、会場に集まった人々のやり切れない気持ちを一気に払拭し包み込み、奇跡のような1日の幕開けを感じさせた。
「あなたの拍手・歓声・歌声も大事な音楽」と伝え、「33,000人で作るsumikaです!」の片岡の言葉で大歓声に包まれた会場の中、10年の歴史の中で生まれたさまざまなナンバーを、センターステージでのsumika[camp session]編成での演奏や、メドレーを織り交ぜ披露した。
ライブ終盤、片岡はこの日を「奇跡みたいな夜」と表し、自身がsumikaの音楽のファンであり、まだまだsumikaの音楽を聴き続けたいと伝え、「俺たちはまだ、まだまだ、sumikaを続けます!」と、この日集まった誰もが一番聞きたかった言葉を聞かせてくれた。続けて小川(key,Cho)は「まだまだやりたいことがある」「これからも何があっても続ける選択をしていく」と言葉にし、荒井(Dr,Cho)は「どんなことがあってもsimikaとして生きていきたい」「ここに帰って来てくれればいつでも笑顔にする」とこれからへの決意を言葉にした。
アンコールで披露された「伝言歌」では「どでかい音聴かせてくれ!」と空を指した片岡に呼応し、おそらくこの会場にいる誰もが胸に同じ顔を思い浮かべる中、大会場から空へ向けシンガロングが大きく響き渡った。
ますます雨足が強くなる中、最後にセンターステージの3人の演奏から「雨天決行-第二楽章-」が披露された。〈やめない やめないんだよ まだ〉とリフレインされるフレーズに強い決意を感じずにはいられない、このライブの締めくくりに相応しい1曲だった。
「バンド組んでよかった!sumikaでよかった!本当にありがとうございました!」
片岡の偽りないこの言葉と笑顔は、シンプルだからこそ胸に響き、心からの感動を覚えた。
誰もが目の前で起こる様々な出来事に、時に喜び、時に悲しみ日々を生きているその中で、10年の活動を経たsumikaという存在は多くの人々にとって、その全てを分かちあえるあたたかな居場所になっていたのだ。また一つ試練を乗り越え、この優しい熱はまだまだどこまでも拡がっていくだろう。これから3人の新たなsumikaを、いつまでも見続けていきたいと感じずにはいられない、まさしく奇跡みたいな夜だった。
sumika「sumika 10th Anniversary Live『Ten to Ten to 10』」
2023年5月14日 横浜スタジアム セットリスト
01. 雨天決行
02. Lovers
03. フィクション
04. ふっかつのじゅもん
05. 1.2.3..4.5.6
06. ソーダ
07. Porter
08. 惰星のマーチ
09. イコール
10. enn
11. わすれもの
12. New World
13. Strawberry Fields
14. No.5
15. 秘密
16. 透明
17. 知らない誰か / sumika[camp session]
18. ユートピア / sumika[camp session]
19. Travelling / sumika[camp session]
20. IN THE FLIGHT / sumika[camp session]
21. 溶けた体温、蕩けた魔法
22. 絶叫セレナーデ
23. Flower
24. マイリッチサマーブルース
25. メドレー(The Flag Song~チェスターコパーポット~KOKYU~ライラ~Jasmine~Late Show~Lamp)
26. ファンファーレ
27. 明日晴れるさ
28. Shake & Shake
29. オレンジ
<アンコール>
30. Starting Over
31. 願い
32. 「伝言歌」
33. 雨天決行 全楽章