―2年ぶりのアルバムリリースおめでとうございます!
miwa:ありがとうございます!
エッグマンのフリーペーパー楽しみにしてきました!
―久しぶりで緊張してます!
代々木第一の渋谷物語完から始まり全国の夏フェスや
フランス・パリでの東北復興のイベント参加、紅白歌合戦2年連続出場、映画初出演などかなり多忙な中での制作だったと思いますが、どうでしたか?
miwa:確かに忙しかったですね(笑)。
―これだけやれば大変だよね(笑)。でも前作『Delight』の時より表情にチカラ強さと気力を感じますよ!
miwa:前作はまだ大学生でしたからね。今作は100%で気持ちも時間も力も音楽に向けることができたので、大学を卒業してから今に至るまでの2年間はもうどっぷり音楽漬けでしたね!
―慣れたからの余裕というよりは物理的にも時間ができたということですかね?
miwa:時間と覚悟がですかね。
―覚悟ですか。確かに『Delight』以降は大学卒業して音楽で生きていくと決めたタイミングですもんね。
miwa:大学に入ってからデビューをして音楽を仕事にしてはいましたが、大学卒業のタイミングで行った初の武道館ワンマンの時から、正式に社会人として動き始めた感覚はありましたね。
―本当にそこらへん線引きが真面目だよね。そもそもメジャーデビューで社会人だからね。
miwa:ですよね(笑)。
―そんな2年間を経て完成した今作『ONENESS』の音源聴かせていただいて、めちゃくちゃ良いなと思いました。そしてシンプルな内容に感動しました。
miwa:やった!ありがとうございます!
―実は音源もらってから取材日ぎりぎりまで感動を取っておきたくてヘッドフォンでは聴かないようにして高性能のヘッドフォンで一昨日聴きました!音へのこだわりも以前に比べて強くなったという印象もあります。特に低音部分。シンプルなんだけど凄く力強さを感じました。
miwa:ミックスエンジニアの林さんにも言われましたね。ドラムとベースに対しての要望が多かったって(笑)。そこに特別こだわったという意識はなかったんですけどね(笑)。
―パキッとしたデジタルと温かいアナログとの融合というmiwaさんの新しい音楽性に辿り着いた1枚という気がします。
miwa:『Delight』の時も最高傑作ができたなという感覚がありましたが、今作『ONENESS』が完成して、さらに最高傑作ができたと思えています。
―表題曲である「ONENESS」はみんなで一緒にという気持ちが強い曲かなと思うのですがそこは意識した部分ですか?
miwa:「Delight」ができた時もライブの1曲目でやれる圧倒的な雰囲気を持った良い曲ができたなとは思いましたが、私が曲を演奏してそれを聴いてもらうというどちらかといえば内向的な少し一方的なコミュニケーションだったと思うんです。この「ONENESS」はそうではなく、みんなを巻き込んで共有して一緒に歌える曲で双方向でのコミュニケーションができて、なおかつ「Delight」以上に圧倒的で壮大な楽曲にできたかなと思います。そこはすごくこだわりましたし、タイトルにもその想いが込められています。
―シンプルですごく世界観もあるし立体で壮大だよね。良い音響設備やいいヘッドフォンで聴いてほしいなと思いました。
miwa:そう言ってもらえるとすごく嬉しいです。
―「ONENESS」シンプルな構成で広がりもあるし力強さも感じました!
miwa:すごい気に入ってます。
―丁度レコーディング見学した日が「ONENESS」作業日でコーラスレックにも
参加させてもらっちゃったし本当に記念の曲です。(笑)
miwa:私が録りましたもん(笑)。
―miwa以外の全員で歌ったからミキサー卓はmiwaが動かしてたもんね。
miwa:ですよ。みんなで歌ったってもらって嬉しかったです。
―あと今作を聴いていて感じたのが、前作含め発信する強い思いは変わっていないけど、それを受け取る側の感じ方についてラフになってきたのかなと思いました。メッセージのある曲を作って聴いてもらってもそれは千差万別に受け取られる訳だしある種、miwaの音楽を聞いて好きな感情を持ってくださいね〜というすごく肩の力の抜けた自然体でラフな印象を受けました。
miwa:メッセージ性の強い楽曲は多いですし、学生でもないそしてすごく大人というわけでもない20代ど真ん中の24歳という今の私だから発信できることを素直に表現することができたかなとは思っていますが、聴いてくださる方それぞれの受け取り方やその人なりの解釈があるということは以前に比べたら受け入れられるようになりました。先ほど「ONENESS」の話をしたときにもお話しましたが、一方的ではなく双方向のコミュニケーションになれてきたのかなと思います。
―大きなテーマに挑んだ「希望の環」、国民的アニメドラえもんの映画主題歌「360°」、ライトハンド奏法でも話題になった「Faith」、ギターを持たずに歌う「It’s you!」なども入っていて様々な角度からmiwaというアーティストを網羅しているまさにベストアルバム的な要素もあるかなと思いました。
miwa:タイアップ曲も多いので、この曲聴いたことある!とかこの曲知ってる!って言ってもらえると思いますし、すごくキャッチ-で聴きやすいからベスト盤的な要素はあると思います。ただ、逆にそう言った部分が強いのでアルバムとしての付加価値をどうやって見出すかどうかが今回の制作では戦っていて、今回全体の曲数が多いんですが一切捨て曲のない、すべてがしっかり輝いたすべてが正面を向いたアルバムだと思います。上から下まで並んでいるのではなく360度しっかり円になっているようなイメージです。それは今までのどのアルバムよりも自信を持っています。
―合唱に始まり、合唱に終わる辺りにもその円というイメージが繋がる気がします。
miwa:そうなんです。今回泣く泣く収録しなかった曲たちもあるんですよ。それを入れたら20曲とかになっちゃって(笑)。私の中ではアルバムは12曲くらいが一番良いボリュームかなと思っています。
―とても聴きやすいアルバムでしたよ。
miwa:ありがとうございます!
―miwaの得意な言葉遊びの曲も入っているし、詩人としても成長しているんだなというのも感じますね。英語が日本語に変化していくとか韻を踏むとかどんどん良くなっている感じがします。
miwa:よかったです!
―以前放送された情熱大陸でも歌詞制作に悩むmiwaさんが映っていましたが、完全に素だったよね。
miwa:素でしたね(笑)
―すごく難しい世界とも向き合ったんじゃないですか?
miwa:「月食~winter moon~」は特に大変でしたね。命に関わるテーマだったので、簡単に扱えることではないし、一つ一つの言葉を丁寧に綴りたかったですし、真摯に向き合いました。音もこだわりましたね。シンプルだけどしっかり言葉を伝えたくて。
―歌・音楽の力というものをmiwa本人が以前より信じているような気もしました。
miwa:それはあるかもしれないですね。
―楽曲制作に関してはプロデューサーのNAOKI-Tさんともずっと作ってきていると思いますが、今作は相談を重ねて作っていった感じですか?
miwa:さきほどもお話しましたが様々なスケジュールの中での制作作業だったので、一つ一つの曲に関して一つずつ打ち合わせをして作っていくというよりは色々並行して進めてくいく過程でその都度話したりしてという感じです。歌詞はすごく悩んだりしますけどね。
―毎回制作期間は大変そうだもんね。ちょこちょこレコーディングにもお邪魔しましたが
顔見ればすぐわかるもん。今日はヤバい日だなとか(笑)。
miwa:(笑)。ですかね〜。
―音の方に戻ると4曲目の「フィロソフィー」も新境地でデジタルなサウンドだけど気持ちよくて、そのあとに続く「月食~winter moon~」の音数の少ないところから始まる雰囲気に心を持っていかれました。月食の温かいサウンド中のカースケさんのドラムのキックにしびれましたよ。ベースの根岸さんとのグルーブも最高でしたね。
miwa:本当にさすがですよね(笑)。
―あと13曲目の「super heroine」でのOrianthiのギターもトピックの一つだと思うのですがどうでしたか?
miwa:本当にかっこよかったんですよ。
―レコーディング立ち会ったんだね。
miwa:スターだなと思いました。マイケルジャクソンの「THIS IS IT」で弾いていたポール・リード・スミスを持ってきてくれて。日本語の歌詞の意味はすべて伝わるわけではないけれど、この曲が持っているメッセージ性と雰囲気はすごく伝わると言ってくれて、嬉しかったですね。
―以前のeggmanのインタビューで海外レコーディングをしたいという話をしていたと思うのですが、それも叶いましたね!
miwa:すごく面白かったですし、良い刺激や経験をすることができました。でもこうやって海外でのレコーディングを経験できたからこそ日本でももっと出来ることがあるかもしれないとは思いましたね。やはりやってみないとわからないことや見えない景色があるなと思いました。あとOrianthiとメル友になりました(笑)。日本に来たら一緒にライブしようねって言っていただいて。
―実現したら面白そう。すごい交友関係ですね(笑)。ほかにも今作にはPhil X、RIZEののKen Ken、元東京事変の畑利樹さん、ドラム小田原豊さん、鍵盤には皆川さん、山口寛雄さん、などそうそうたるレコーディングメンバーも非常に面白い人選ですよね。このクレジットが並ぶCDもなかなかないですよ。刺激的だよね。miwaは昔からいろんなアルバムのクレジットチェックしてるもんね。
miwa:私、CDのクレジット見るの好きなんですよ(笑)。
―すごいミュージシャン詳しいもんね。
miwa:そうですね!
―あとホーンセクションが入っている楽曲も多いですよね。
miwa:確かにそうですね。特にそういう曲を多くしようという意図があったわけではなかったんですけど、今回はホーンセクションが入った楽曲も多いですね。時代ですかね(笑)。
―時代だなんてmiwaもカッコイイこというようになりましたね(笑)。
miwa:えへへ(笑)。
―10曲目の「恋の予感」は今までにないmiwaの世界観かなと感じました。すごい素敵です。
miwa:一番新しい楽曲ですかね。
―やはりそうなんですね。この曲はmiwaちゃんではなく、miwaさんだなと(笑)。
miwa:それ面白いですね(笑)。
―8曲目の「ストレスフリー」ではまさにmiwaちゃん!というロックサウンドでしたね。やりたい放題でしたね。
miwa:ですね。本当に好き勝手な感じでした!
―ライブで盛り上がりそうですね。さらにフェス向きな楽曲もありましたよね。
miwa:そうですね。「君に出会えたから」などは夏を意識して、タオルを回してみんなで楽しめる曲が作りたかったのでフェス向きかなと思います。私自身すごく夏がすきなので、今年の夏も楽しみです。
―世界観が変わったと言えばジャケ写のアートワークも今ままでにない感じだなと
思ったのですが。
miwa:アートディレクターの森本千絵さんが素晴らしい物を作ってくれました。イメージを伝えてはいたのですが、私の想像をはるかに超える作品ができあがったのですごく嬉しいです。
―どんなイメージを伝えていたのですか?
miwa:『ONENESS』に込めた、私もあなたも居て一つだし、喜びも悲しみも含めて一つなんだというメッセージとタンポポのイメージを伝えました。
―ステキなジャケ写ですよね。前作『Delight』も本当に良いなと思っていました、それを超えるかなと。
miwa:それすごく覚えています。ジャケット大賞をいただけましたし!
―メイクも普段と違いますよね?
miwa:そうなんです!いつものメイクさんではなくて、森本さん指定のメイクさんに今回はやっていただいたんです。
―だからいつもと雰囲気が違うのですね。今回のインタビューにあたって、今までのアルバムジャケを見直してみたんですが、だいぶ顔つきが大人になりましたね。
miwa:変わりましたよね(笑)。少し大人になったmiwaを見ていただけたらと思います。
―5年前にeggmanでデビューライブを行ったときに今の規模や仕事量は想像できていた?
miwa:そういう自分になっていたいとは思っていましたね。
―すごい向上心!肉食発言ですね(笑)。
miwa:いやー私は草食ですよ(笑)。
―自分がこうなりたい!という理想や夢をしっかりと持っているというのはやはり強いですね。
miwa:小学生の時から歌手になりたくて、それが少し具体的に曲を書き始めたらシンガーソングライターになりたいと思うようになったし、ギターを始めるようになって、ギターと歌で表現したいと思うようになって少しずつ形が出来上がっていって、その夢が今叶っている状況ではあると思います。今の環境にいられるということはすごく恵まれていることだとは思いますが、全部が望み通りすべての夢が叶えられたわけではないし、自分にはまだまだ足りない部分があるし、突き詰めていくことは限りないですね。
―ストイックですね。miwaさんの裏方チーム自体もストイックだなと感じますけどね。
miwa:力強いですよ(笑)。
―休みたいと思うことはないのですか?
miwa:体力的にどうしてもしんどい時とかにもう少し寝たいなとか思うことはありますが、本当の意味で休養したいという気持ちはないですね。アーティストとして誰かに必要とされることってすごくありがたいことですから、必要とされている以上は休んでなんかいられないです。
―大人になったね(笑)。
miwa:(笑)。
―以前より必要とされていると感じますか?
miwa:それは感じますね。5年前とはライブ会場の規模なども違うし、私を知ってくれている方々が増えたことを実感しています。
―ライブのアンケートや書き込みも必ず見てるもんね。
miwa:本当にありがたいですよ。全部見てエネルギーに変えてます。
―そういえば先日3/7、3/8に行われた武道館での気迫の籠った弾き語り2days凄かったですね。miwaはライブで披露する曲の再現性をすごく意識してこだわっていると思うのですが、この前の武道館を見てバンドでの再現性を突き詰めたmiwaではない、弾き語りでのmiwaも非常に魅力的だなと思いました。
miwa:私の中では弾き語りライブでも再現性はテーマにあるんです。もちろんバンドでのライブではないのですべてを再現することは無理ですが、アコギ1本でできる最大限の再現性は出したつもりです。この曲のこのリフとか、このコードだけは絶対ないとダメという部分に関してはアコギ1本でもこだわっています。
―アコギ1本でも相当な力強さがありました。
miwa:1人だったので大きなプレッシャーがありましたね。ギターは相当練習しました(笑)。今回は数年ぶりにギターを始めた頃に習っていた先生にもついてもらって。でも1~10まで教えてもらうわけではなく、要所要所でアドバイスをもらう感じでした。
―武道館の後、先生とも会場で話しましたがmiwaというアーティストに対してのリスペクトや尊重を感じましたよ。簡単なアドバイスだけだよ〜と言ってました!スタッフさん1人1人のチカラも会場に籠ってましたよね。
miwa:それは私も感じますね。私がやりやすい環境を色々な方面で作ってくれています。
本当に感謝してます!
―ライブや各地フェスでも色々感じますか?
miwa:ホームがあるのでアウェイも楽しめるようになりましたね。フェスなどで私のライブを今まで観たことない人たちに観てもらえる楽しみや喜びは以前より強く感じます。
―さらに新しい挑戦として映画にも出演しましたがどうでしたか?
miwa:難しかったですけど、映画に出演させてもらったことによって新しく感じたことや見えた物はありますね。
―具体的には?
miwa:カメラへの意識ですかね。ライブでもカメラがあって、それがモニターに映し出されたりライブDVDになったりするんですけど、そこに映る表情などは以前より意識するようになりました。歌手なのでもちろん歌や演奏で伝えるものなんですけど、DVDでしか私のライブを観ることができない方などもいるわけで、表情など含めた映像でも音楽を伝えることができたらと思うようになったんです。そこは映画に出演したことで感じることができたことですね。
―先日3/3にeggmanで行ったデビュー5周年記念配信も盛り上がってよかったよね。
miwa:ありがとうございました!!
―デビュー前はMCすら上手く出来なくてリハで泣いてたもんね。(笑)
miwa:そうですね。あとはエレキに初挑戦したときもちゃんと弾けなくて悔しくて泣いてました(笑)。
―そういう悔し涙でがんばってきたんだよね。あの子がデビュー5周年ですもんね。おめでとうございます!
miwa:ありがとうございます。5年経ってデビューしたeggmanに戻って来れて嬉しかったです!
―これだけ多忙な中でもしっかり音楽と向き合っていますよね。
miwa:体調を崩すこともあまりないですしね。
―本当にストイックだし、成長しましたね。
この充実の2年間が詰まったアルバムだと思うので絶対聴いた方がいいよね。
miwa:絶対聴いた方がいいです!(笑)。色々な人がどのシチュエーションでも聴けるアルバムだと思うんですよね。楽しいときにも悲しいときにも聴けるし、恋愛面でも出会いの部分や別れの部分でも聴けると思うし、そういった意味でも先ほど言ってもらったベスト盤的な要素というのはあるかもしれないですね。
―最後にmiwaさんの次の目標はなんですか?
miwa:10代から20代になるタイミングでの変化や揺らぎもすごかったですけど、今の20代中盤から20代後半、そして30代になっていく過程でもっともっと変化があると思っていて、その時の価値観や気持ちで曲を作れるということが本当に楽しみですね。今は結婚願望も薄いですが、周りの友人が結婚して結婚式に参加したら気持ちに変化が生まれるかもしれないし、変化しないかもしれないし、それが楽しみで、しかもそれを体感したあとの私はきっとなにか生みだすことができるかもしれないということにワクワクしますね。私が生み出す楽曲はすべてがノンフィクション、という訳ではなくて外部からの情報でなにかが生まれるきっかけになることが多いんですよ。なのでその時その時の私自身の変化とその時その時で作ることができる音楽を楽しみたいです。ガチっと私はこれ!って決まっていない時の方が人間って面白いと思うんですよね。ブレているときこそ楽しめるというか。そういう時こそいろんな物が出せますから。デビューしたての10代の頃とかはすごく堅かったかなと。
―堅かったよね(笑)。
miwa:勉強が大事!って思ってましたから(笑)。今は色々な人とコミュニケーションをとってその人の考え方や生き方に触れることができていて、それが曲を生み出すきっかけになっています。
―だいぶ変わりましたね。でも根本はせっかちで頑固ですよね(笑)。
miwa:(笑)ですね。いろいろなことや情報を受け入れることができるようになりましたね。以前より自然体ですね。喜びも苦しみも楽しめる世界になってきました。大人になったんですかね。
―先ほども軽く話しましたがもうmiwaちゃんではなく、miwaさんですね
~一同爆笑~
―これからはみんなmiwaさんと呼びましょう(笑)。
miwa:(笑)。
―ありがとうございます!引き続きがんばってくださいね!