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そこに鳴る interview
- SPECIAL -

そこに鳴る interview

全く異なる物質を大胆に混ぜ合わせ”そこに鳴る”流に調理した、まさに『YAMINABE』の今作を2ヶ月に渡りたっぷり吟味してまいります!
食べ過ぎてお腹を壊さないように注意して下さい!

L→R 藤原美咲(Ba.Vo)/鈴木重厚(Gt.Vo.)/たけむらともひろ(Dr.)

interviewer: 森村俊夫

-前作「I’m NOT a pirolian」でも壮絶なイントロから幕をあけましたが、今作もかなり強烈ですね!作品冒頭で、既にやれることは全部詰め込んだかのような、もはやイントロで1曲分のボリュームはありました。前作のイントロでは、作品を象徴する強烈な”ピロリアン”フレーズが印象的でしたが、今作のイントロではどういった意図があったんでしょうか。

鈴木重厚(Gt.Vo. 以下、重厚):若気の至りですね(笑)。この楽曲は結構昔に制作した楽曲なんですが、今作では昔の楽曲を3曲再録しました。

–何故、この楽曲をこのタイミングで収録しようと思ったのでしょうか?

たけむらともひろ(Dr. 以下、ともひろ):最近制作した楽曲が結構POPな楽曲が増えたんですが、そこにパンチ力を入れたかったというのがありました。
昔制作した楽曲の方が尖っていた部分があるので、それを今作の合間合間に入れる事で全体的に見るとバランスが良い作品になったかなと思います。
藤原美咲(Ba.Vo. 以下、美咲):パンチ要因。初期衝動的な部分ですね。

–前回のインタビューの際に”イントロを聴くだけで楽曲の違いがわかるようなつくりにしたい”とおっしゃっていましたが、今回でもそういう部分は意識しましたか?

重厚:制作する時は、いつも曲同士が被らないようにしようと意識しています。
でも、今作のアルバムの制作を終えて、改めて聴き直した時に”全然被ってるな”と感じました。”歌始まりからの単音のイントロ・・・あぁ、一緒だなーって”。

–聴いているこちらからすると、むしろ全く違うというか、1曲の中ですら全く違う曲に聴こえるくらいの変化があるなと感じています。曲の始めと最後でも全く違っているし、途中の部分も全く違うので、1曲で5曲分くらい楽しめるというか。8曲入りなんですが、実は40曲入りなんじゃないだろうかって(笑)。

美咲:ははは(笑)。映画のサントラみたいな感じですね(笑)。

–そうです(笑)。それぐらいに様々な要素がこの作品には詰め込まれているなと。

重厚:クラップの効果音とか(笑)。
美咲:家を出る扉の音とか(笑)。

–言い方を変えると、”恐れることなく”どんどんアイデアを入れているなと感じました。”もしかしたら、いつかアイデアが枯渇してしまうんじゃないか”って考えてしまいそうな気がするんですが、そういう気持ちを全く感じないです。

美咲:出し惜しみなくやってますね。
重厚:もちろんそういう不安はありますよ。でも、常に”飽きさせないように”というのは考えています。小さい頃、”ELT(Every Little Thing)”しか聴いていない時期があって、ずっとJ-POPを聴いて育ってきたんですが、”9ミリ(9mm Parabellum Bullet)”や”時雨(凛として時雨)”を知った事がキッカケでバンドを聴くようになりました。”9ミリ”や”時雨”はすごくサウンドが凝っていて、そこから自分自身の根底にもそういうこだわりが芽生えました。

–そういうこだわりやアイデアはデモの制作のタイミングから、かなり練って制作しているんでしょうか。

重厚:制作方法に関しては、各楽器と声を入れたデモを僕が制作して、それをスタジオで全員で合わせて修正していくという感じです。「6月の戦争」に関しては、デモの段階からほぼこの状態でした。
ともひろ:この楽曲で言うと、イントロの部分がこだわりの部分だと思うんですが、そういうどうしても外せない部分に関してはデモの段階で既に入っていて、そこからみんなで考えて、アイデアを重ねていくのが多いですね。
美咲:実はこの楽曲、制作途中で一回サビが変わっています。
重厚:あぁ、そうだったね(笑)。音感が無さ過ぎて、曲のコード進行に合っていないキーの音を入れていて、なんか変だなと思いながら制作を進めていたら、レコーディング段階でエンジニアさんから”これおかしいよ”って言われて、その場で直すという(笑)。
美咲:一番始めは、サビのボーカルのメロディーも全く違うものが入っていましたね。
重厚:この曲は、サビ以外がめちゃくちゃな中、あえてサビだけがすごくポップな構成になっているんですが、僕達の今の形の一つである”和メロ”であったり、”アニソン”っぽい要素の始まりがこの楽曲です。

–すごく激しく攻めている”鋭角な”サウンドと、和メロやアニソンのように”優しい”メロディーという、別々のベクトルのものが存在しているという。

重厚:塩と砂糖みたいな(笑)。

–そうです、そうです。その一見、混ざる事のなさそうな二つのものが、すごく絶妙に混ざって気持ち良いというか、”塩っぱ甘い(しょっぱあまい)”みたいなものができているんじゃないかなと感じました。

重厚:それは美味しいですね。
美咲:”チョコの柿の種”みたいな(笑)。

–スイカに塩を掛けるような。

美咲:甘さが引き立つ。

–まさにそんな作用が起きているなと感じています。J-POPという”砂糖”と、バンドサウンドという”塩”が混ざって、”そこに鳴る”の音楽が生まれているような感覚がしました。

ともひろ:”好きな事ができている”というのはあります。それに加えて、今作では世間的にこういうモノが好まれるのではないかという部分も考えて、折り合いも考えて制作した楽曲も増えました。

–なるほど。そういう意味でも、昔の楽曲を入れてバランスを保っているんですね。来月はそんな今作『YAMINABE』の未知の味に関して、たっぷり話せればと思います!

全員:宜しくお願い致します!
『YAMINABE』のリリースと共に、次回フリーマガジン”eggman 3月号”での掲載もお楽しみに!