井上:早速ですが今作を聴かせていただいて力強さを感じました。今作のコンセプトを教えていただけますか?
竹森マサユキ(以下…竹):実は去年の1月から制作を始めていたんですけど、3月にあった震災で制作がストップしてしまったんです。自分たちの地元である仙台が被災して、避難所に足を運んでライブを行ったりなどの活動を経て色々な想いをメンバーそれぞれが抱えていたのでその伝えたい想いをすべて詰め込みました。
井上:震災はやはり影響しましたか。
竹:かなり影響していますね。
井上:震災の影響を受けて制作した楽曲は暗い雰囲気の物が多い印象があるのですが、今作の最初の3曲「SHOW」「アゲハ蝶」「トライアゲイン〜何度でも熱くなれ〜」は正にカラーボトルというような勢いのある楽曲ですよね。
竹:それはライブをすごく意識した作品だからだと思います。「ライブの1曲目でこんな曲があったらいいんじゃないか。」「バラードはこの位置がいいんじゃないか。」「そのあとの余韻を残した繋ぎはこんな曲がいいんじゃないか。」など考えて作ったんです。
井上:最初の3曲のカラーボトルらしいストレートで熱いロックにやられました。
3人:ありがとうございます!
竹:1曲目の「SHOW」とかは今後僕たちのライブの定番曲になりそうな予感満載だったりしますね。
井上:8曲目の「もう一度、君に会いたい」が個人的にはすごく好きです。
竹:ありがとうございます!この曲は男性からの支持が多いんですよね。
大川”Z”純司(以下…大):僕も個人的にこの曲すごい好きなんです。
井上:恋愛を描いた曲も多いですよね。
竹:そうですね「残心」とかは歌詞にも注目してほしいです。失恋の歌ってバラードで「今までありがとう」というような言葉を綴ったものが多かったんですが、この曲ではちょっとエグイ恋愛感情というか「君と出会わなきゃよかった」みたいな憎しみの感情も入っているのでこの曲は新しいチャレンジだと思います。
井上:「残心」はオススメですね。
竹:震災後すぐのライブがエッグマンだったんですけど、その時の誰に対しての感情とも言えないんですけど「絶対負けねぇ!」みたいな気持ちを色褪せずに持っていたいなと思ったんですよね。
井上:今話に出た4月のエッグマンのライブがもう本当に圧巻というかやられた!って感じがすごくしたんですよ。だから今作の冒頭もガツンとやられた感じがしましたね。
大:先ほど少し話がでたんですが、自分たちが物資を持っていくことやライブをすることで勇気づけようと思って避難所に行ったんですが、被災していない僕たちより向こうの方々の方がすごく前向きで逆に勇気をもらったんです。だから暗い雰囲気の楽曲ではなくライブを意識した勢いのある感じにしたかったんですよね。
井上:歌詞も前向きというかメッセージ性が強く、後押しされる感じがしますよね。
渡辺アキラ(以下…渡):イメージやキーワードを竹森に伝えて作ってもらっているのでそういったメッセージ性の強さを感じてもらえると嬉しいです。
井上:制作は歌詞が先ですか?メロディが先ですか?
竹:いつもそうという訳ではないんですが、今回のアルバムに関してはメロディが先ですね。
井上:歌詞を書く際にメンバー同士で相談などしますか?
竹:曲によりますね。レコーディングまで一切見せないこともありますし。
井上:地元が一緒というバックボーンがあるから共通の感覚みたいなものがあるんですかね。すごく一体感を感じます。
竹:そうですね。お互い信頼し合っているので。
井上:今作はバンド名がそのままアルバムタイトルになっていますが、これにはどういった想いが込められているのでしょうか?
竹:どこかのタイミングではやってみたいなと思っていたことだったんですけど、去年ベースが脱退して3人での新体制として初の作品だったのもあってこのタイトルにしました。
井上:タイトル付けるのに悩んだりしましたか?
渡:いや、満場一致で逆にこれしかないでしょって感じでした。他に候補が思い浮かばなかったですね。
井上:カラーボトルというタイトル通りすごくジャンルレスなアルバムだなと思いました。サウンド的に対極とも言えるUSAとUKが混ざっていたりとかしてますよね。
竹:カラフルなアルバムにしたかったので様々な要素を入れ込むというのは意識しましたね。ホワイトボードに曲ごとに明るい・暗いとかリフが軽い・重いとかテンポが早い・遅いとか書き出してどの部分が足りないかなという話をメンバーとしたりして制作していったので対極な感じはそこからでているかもしれないですね。
井上:歌をあまり重ねた作りになっていないのも狙いですか?
竹:そうですね。キレイに歌うことがゴールではないと思っているのであまり重ねたりしないですね。ライブの方がその時の雰囲気で魂が乗るので圧倒的に良くなるじゃないですか。ライブ感を大事にしたいのでなるべく重ねないようにしています。
井上:レコーディングの苦労などありましたか?
竹:苦労というか1からスタジオを作りました(笑)
井上:えぇ〜!!!!!インタビュー史上初めて聞く話です!
大:カラーボトルの制作面で非常にお世話になっているプロデューサー兼ベーシストの赤堀さんという方がいるのですが、その知り合いのエンジニアさんがスタジオを移転するということでスタジオ作りに参加させていただいたんです。
竹:僕が歌詞を書いている間二人は板を打ち付けていましたね(笑)
一同爆笑
井上:かなり貴重な体験ですね。
竹:そういった部分に参加させてもらえたので音の響きとかには特にこだわることができました。マイクなどをチョイスすることも入念にできたので今作は声を楽器として活かすことができたと思います。
井上:どんなマイクを使用したんですか?
竹:様々なマイクやコンプを試して勉強できました。ちなみに最近気になっているマイクはAUDIO TECHNICAのAT4060です。
井上:ノイマンに似てる形で黒いやつですよね?
竹:それです!ストレスがなくストーンっと抜ける感じが非常に好きです。
渡:他にレコーディングの苦労と言えば前半は群馬県の別のスタジオで行ったんですが、電気トラブルがひどかったですね。ギターを持ったままドアを触ると感電しましたからね(笑)
大:トイレの電気も付かなくなりましたしね(笑)
井上:それは相当な苦労してますね(笑)
竹:あとはご飯を食べに行った場所でご飯が品切れになってしまって赤堀さんがキレたことくらいですかね(笑)
井上:偉い人ほどそういう目に合いやすいですよね(笑)今作はどんな人に聴いてもらいたいですか?
竹:とにかく沢山の人に聴いてもらいたいという想いはもちろんなんですが、希望を持って人生を突き進む人たちに少しでも届いてもらえたら嬉しいですね。
ジャケットが段ボールと光の三原色で構成されているんですが、三原色は僕らカラーボトル3人という意味もありますし、愛・希望・勇気の3つを表現していて、段ボールは物資を届けるために必要な物なので僕たち3人の想いと愛・希望・勇気が届いてほしいという意味が込められているんです。
井上:応援歌的な部分もあったりしますもんね。
竹:希望を持って人生を突き進む人たちに向かって「それは間違ってないよ!」
「諦めないで!」という言葉を胸を張ってこのアルバムの曲たちを歌っていくのは責任だと思ってます。そういった方々に届けたいです。
竹:震災後のライブで感じたことなんですが、普段明るい人ほど実はすごく暗い過去や悲しみを抱えていることも多くて、表面で感じ取れない裏側の部分を引っ張り出してその魂を浄化するために僕らの音楽があって、僕はその音楽を伝えるために歌っているんだなと思うようになったんです。
井上:それがカラーボトルの意義ということになりますか?
竹:そうですね。
大:気仙沼でライブをやることになった時に、「こんな時に音楽なんてやらないで」と言われてしまうかなと不安だったのですが、ライブ後におばあちゃんが「物資を届けてくれるのはもちろん嬉しいけどこうやって音楽を届けてくれるのはもっと嬉しいよ」って言ってくれたんです。すごく胸を打たれましたね。ライブやってよかったと思いました。
井上:それは本当に嬉しいですね。
大:音楽は生きていく中で絶対必要なものではないし命を救うことはできなくても気持ちは救えるんだなと実感しました。
竹:去年1年は本当に色々なことがあって「絆」という言葉が注目されましたけど、そんなことなんて当たり前だろとかキレイごと言うなよとか思う人たちもいると思うので、だからその絆とか繋がりを音にしてそれをライブ演奏して気持ちを込めて説得力を持たせて届けることが僕たちが負わなきゃいけない責任だと思いますし、それができなきゃダメだと思います。その説得力を強くするために練習をして上手くならなきゃいけないし、より伝わりやすくするために響く言葉を追求しなきゃいけないんです。
井上:では最後にそれぞれ今後の目標を聞かせてもらいたいと思います。
渡:音楽で地元の復興をしたいという気持ちは強いですね。バンドとして成長してもっと大きくなって仙台にあるグランディ21という大きい場所で凱旋ライブをしたいですね。それで地元に恩返しをしたいです。
竹:僕も被っている部分はあるんですけど、バンドとしてもっと大きくなりたいです。僕たち自身がみんなの希望・みんなのテーマソングになりたいんですよ。
そんな音楽を残したいです。今作を色々な人に届けて次回作そのまた次回作と良い作品を作り続けてライブを届けて燃え尽きるくらいの気持ちで走り続けたいです。
大:全国ツアーもありますし僕は今まで届かなかった場所に今作を届けたいですね。リキッドルームでのワンマンを人でいっぱいにして次のステップにいきたいです。
竹:4度目のリキッドルームなんですが今までソールドアウトしたことがないので今回は絶対にソールドアウトさせたいです。ツアーのタイトルでもある「トライアゲイン何度でも熱くなれ!」を自分たちで体視したいですね。トライしていくことは決して無駄じゃないんだと思わせたいです。
井上:本日はありがとうございました!
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人:ありがとうございました!!