ーよろしくお願いします。まずは1月25日にリリースされた「言いたいことはなくなった」のタイトルについてお聞きしたいのですが、そもそもの言いたいことってなんですか?
畠山:そうなんだよね。そもそも言いたいことって別にないよなって思って。The Mirrazっていうバンドが、すごい言いたいことを言ってる印象とかイメージがあっただけで、俺としてはそこにメインがあった訳じゃなくてそこに対してのアンチっていうのは当然あったし、元々1曲目の「Rock Steady」っていうタイトルにするつもりだったの。それは今回のアルバムのテーマがROCKっぽいことをしたかったからこのタイトルにしたんだけど、レコーディング終わって曲を聴いてたら、実は「言いたいことはなくなった」ってタイトルなんじゃないかなってふと思ってそれで変えたんだけど、The Mirrazじゃないとこのタイトル付けれないし音楽やってる上でも聴く上でもメッセージって大事にされてると思うんだけど、メッセージって言いたいことっていう表面的な物じゃなくて深層心理じゃないけど本当に言いたいことって実はその裏側にあると思うんだよね。だから別に表にそういうものがなくてもって所で、言いたいことっていうのが本当はなんなのか音楽で伝われば良いなという意味合いもありますね。
ーThe Mirrazってコンセプトがあって毎回アルバムを作ってきてるイメージがあったので途中で変えるっていうのは珍しいですね。
畠山:そうだね。元々アルバムを作る上で曲を作るから、アルバムのテーマとかタイトルはわりと先に決めてることが多い。今回は後から急に答えが出てきたみたいな感じだったから、本当のタイトルはこっちだったんだっていうことを時間があったから変えれた感じですね。
ー心境の変化がその期間にあったってことですか?
畠山:そうだね。レコーディングしてからすぐには聴かないんだけど、1ヶ月くらい時間があってその時に聴けましたね。
ーシングルを挟んでいたから時間があったって感じですか?
畠山:それもありますね。アルバムのイメージはシングルの1枚目からあって、自分の手元から1回離れた時にイメージを客観的に見る時間があったって感じですね。
ーそうなんですね。逆にツアー名は「言いたいことはなくなったから言いたいことを探しに行くツアー」ですが、これは次のアルバムのコンセプトを探しに行くっていう意味なんですか?
畠山:いや、それはわりとアルバムタイトルに因んで付けたかな。今まではくだらないツアー名が多かったからアルバムっぽいツアー名にした感じです。最初本当は「怒濤の英語力三沢学園」みたいな塾のタイトルにしてた。
ーあはははは!(笑)ヤマトタケルとかのやつですね。
畠山:そういうのあったじゃん。あれのポスターを作りたくて。ケイゾーが似てるから。
ーやばいですね。(笑)
畠山:で、それのパロディにしようと思ってたんだけど、もうちょっと真面目にした方が良いかなって。(笑)
ーそういうアイデアって何処から出てくるんですか?
畠山:たまたまだよね。電車でその広告があったとかそんな感じ。
ー畠山さんってゲームとか漫画とかそこから持ってくるのが多いですよね。
畠山:ネタじゃないけど常になにか探してるんだよね。
ーお笑い芸人みたいですね。ツアーのスケジュールみたらZEPP TOKYOって書いてあって、遂に来たな!って思ったんですけど、特別な気持ちとかはありますか?
畠山:ライブ見に行ったりしないから、会場の広さとかはあんまり分かんなくて…。昔からクアトロ、リキッドとか大きい所になっていく流れをやって成長してるって言われるんだけど、全然自分は実感なくて、わりと今までは最終的な武道館とか幕張とかでかい所ばかり見てるから、自分にとってはZEPPだ!みたいな実感はないんだけど着実にっていう事ではちゃんとやれてるんだなって思います。自分はバンドやっててトントンって行くのを確信してThe Mirrazを始めたから、バンドをやってて地道な戦いだなって感じてるけどお客さんが増えてくれてるのは良い事だなって思いますね。
ーそうですね。eggmanのマンスリーとして他の紙面では聞けない事ってなんだろうって考えた時に、昔のクアトロファイナルの打ち上げで畠山さんが乾杯する時に「クアトロは通過点で、100万人集めるようなバンドになります」って言った時にすごい感動してそれが今でも印象に残ってるんですよね。
畠山:あはは(笑)
ー今も大きい所でやるっていうのは思ってるんですか?
畠山:今は音源を売るってことの方に執着してて…今ってライブの時代だったりするじゃん?CDが売れなくなってきててメジャーとかでも100万枚って難しくなってるとは思うんだけど、そこに日本人がみんな良い曲って言える曲は出来ると思ってるから、俺は曲を作るってことに個人的には執着してる。でも、音楽やるからにはそういうでかい所は目指さなきゃ面白くないなって思います。
ー畠山さんってどういう時に曲を作ってるんですか?ツアー中とかは忙しいですもんね。
畠山:そうだね。ツアー中に曲作るって人いるじゃん。俺は結構それがダメで。たまにホテルにいて曲出来た事もあるけどめったに出来ないかな。ほとんど毎日曲は作ってるんだけど「この1曲だ!」って思う曲って出来なくて、観覧車が出来た時はそう思ったんだけど、そう思える何かって自分でも分かってなくて。でも勢いとかも当然あると思う。最近すごい変わってきてて、それこそ「言いたいことはなくなった」じゃないけど自分が本当に言いたいことってなんなんだろうなみたいな所を引き出すとか、そういう事の方が曲作りでメインに思ってきてる。今まではわりと思いついた事を書いてて「言いたいことはなくなった」っていう気持ちも一瞬あったからそういうフレーズが出来た。CAN(「canのジャケットのモンスターみたいのが現れて世界壊しちゃえばいい」)とかcheck it out!(「Check it out! Check it out! Check it out! Check it out!」)とかはカウンターカルチャー的な音楽で、なんでそういう曲を書いたかっていうと、自分の作ってる音楽が認められたいとか、自分の音楽の方がかっこいいんだって気持ちがあるから、カウンターカルチャーをしたいって思ってたんだよね。本当の意味では自分が認められたいっていう気持ちの方がCANとかcheck it out!の中にはあるんだけど、聞いてるとそうじゃないじゃん?世の中ムカつくみたいな歌詞だから。でもなんでムカつくのかって、自分が認められないからとか自分の本音が出てるだけで…。音楽やってると難しいんだけど、言いたいこととかは本当はなかったりするし、音楽やりたいだけだったりするから、例えばインタビューとかで今回はなんで明るい音楽なんですかとか聞かれても正直やりたかっただけだったりするし。
ーあははは(笑)
畠山:もちろん理由はあるんだけど結論的にはやりたかったからっていうのだけで、世の中に響く曲だったり人に届くなにかだったりっていうのは自分の深層心理とかに答えがあるんじゃないかなって思う。自分の中の分からない部分っていうのはみんなが持ってて、そこに答えがあるんじゃないかなって最近は思ってる。
ーそうなんですね。今年はカウントダウンのライブで1年をスタートしましたがどんな気持ちでしたか?
畠山:ライブやってて去年とか今年とか分からなくなってた…。
ー(笑)
畠山:年越し終わってるのに今年は本当に大変だったよねみたいにMCしてたからよく分からなくなってたんだけど、わりと今回のアルバムが区切りになってる気がしてるから、まだ1年が終わってないような感覚の方が多いかな。カウントダウンは1回やっておきたかったから良かったです。
ーカウントダウンって1つのステータスですもんね。どんなライブだったんですか?
畠山:生中継みたいな映像使ってライブしてって感じかな。年越すっていう大事な時に、あれだけの人が集まってくれるっていうのはすごい嬉しかった。俺が普通に生活してて「おめでとう」って言う人があんなにいる事ははあんまりないし、いつもはコタツに入ってシーン…ってしてるから。
ーあはは(笑)年越しライブってカウントダウンのギリギリまでやる事が多くてプロだなぁって思いますね。
畠山:そうだね。俺も昔サザンオールスターズのライブ見てて、小さい時はミスしたらやばいとか考えてなくて、年越し10秒前に止まるなんて出来るのかなって思ってた。うちは塁が天然だからさぁ。(笑)
ーあはは(笑)
畠山:ライブ直前まで確認してたからね。あそこってやるんですよね?って。そうだって言ってんじゃねーかって。
ーやばいですね(笑)じゃあ最後に今年1年の目標を教えて下さい。
畠山:俺的にはどんどん曲を出したい。バンドのペースもあるけど、とりあえずは今回のアルバムを出してしっかりツアーしたいです。今までみたいにこのアルバムでどかんと行くぜって気持ちはあんまりなくて、自分の中で今回作ったからこそ見えてるものがあって、そういうものを作りたいっていう気持ちがある。今はこういう曲を作るって事に考えが向いてるかな。
ーTwitterで話題になってた解散っていうのは?
畠山:アルバムタイトルがね。そういう事は全くないです。今年もいつもと変わらないかなぁと思います。去年と比べたらプロモーションとかにもっと力を入れていきたいです。
ー「言いたいことはなくなった」けどやりたい事はまだまだあるって事ですね。
畠山:やりたい事だけはめちゃくちゃあるんだけどね。今年も頑張ります!
ー本当にありがとうございました!
畠山:ありがとうございました!