このサイトはJavaScriptがオンになっていないと正常に表示されません

しなまゆ interview
- SPECIAL -

しなまゆ interview

前回しなまゆのボーカル”モリユイ”を天才と称したが、それは間違いではなかった。そう改めて実感させられるアルバム『まえならえ』が完成した。メジャーデビューを経て一回り成長したと感じさせる彼女が話す一言一言は二十歳の女の子から出てくるとは思えないほど非常に興味深いものであった。やはり彼女は天才である。

interviewer:ブッキングマネージャー窪田

―メジャー1stアルバムリリースおめでとうございます。メジャーデビューしてなにか変化などありましたか?

モリユイ:メジャーデビューというのがバンドとしての再スタートという感覚があったので、まだまだスタートしてから最初の一歩を踏み出したくらいのところなので自分たちの感覚としては特に大きな変化はないですかね。ただ、ラジオをやらせてもらうようになったりしてまだライブなどで直接お会いしたことのない方に知っていただいたり曲の感想をいただくようになったので、そこは以前に比べて変化したことですしすごく嬉しいですね。

-そんなしなまゆが今回リリースするアルバム『まえならえ」を早速聴かせていただいて、1枚通じて遊園地のような印象を受けたのですが、モリユイ的には今作を一言で表すとどんな言葉で表しますか?

モリユイ:遊園地はまさにそうだと思いますね。あとはおもちゃ箱とか。今作は1つのテーマに通じて曲を作ったりとかではなく、作りたい曲を作ってそれを1枚のCDに詰め込んだ感じなので、遊園地とかおもちゃ箱とかワクワクするような雰囲気を感じてもらえてよかったです。

-今作のタイトルがかなり意外というか、予想していない角度からの視点だったのですが由来は?

モリユイ:今やっているアメブロを始めるとなったときに、そのブログタイトルを色々考えていて、過去の作品などでもそうなのですが、電車に乗っているときや自転車漕いでるときなどにパッと思いつくことが多くて、「まえならえ」という言葉が浮かんで、まずはブログのタイトルにそれを使ったのが始まりなんです。これも昔からなんですがこうやってパッと思い浮かんだ言葉に対して後から曲やタイトルが生まれてくることがあって、以前自分たちで『子供のうちに」というタイトルの2曲入りデモCDを作ったんですけど、その後『子供のうちに』というタイトルの曲ができたりとか、自分の頭で生まれたことを元にそこから連鎖的に次のなにかが生まれるんです。アルバムタイトルを考えるとなったタイミングでもう私の中では「まえならえ」という言葉で決まってましたね。先ほども話したように色々なタイプの曲が詰め込まれているのでそれを整頓するためにも『まえならえ』というタイトルいいなって思いました。

-そうしたら次は『まえならえ』という曲が生まれてきそうですね。

モリユイ:実は私の中では生まれているんです(笑)。

-えっ!?既に!?

モリユイ:まだメンバーとイメージ共有して形にするところまではできていないので、生まれる手前くらいですけどね(笑)。

-先ほど作りたい曲を作ってそれを1枚のCDに詰め込んだと話していましたが、元々アルバム全体のコンセプトとしてはそういったことを掲げていたのですか?

モリユイ:いや、今作に関してはアルバム全体をどう構築するかというコンセプトより、3人のプロデューサーさんを迎えてそれぞれの曲をどうやって制作していくかどうかが中心だったと思います。最初にNAOKI-Tさんと『Goo-Cyoki-Paa』、『イエティ』の2曲を作った際は本当に右も左もわからなくて、ましてやしなまゆ以外の誰かと曲を作ったことすらなかったので試行錯誤の繰り返しで、どのコードが好きとかどんなイメージとか最近興味あるものとかそうったものを伝えての制作だったので1から作り上げていく感覚でした。その中で怪物っぽいキャラクターの曲を作りたいという話から『イエティ』は生まれていきましたね。

-ほかのお二方との制作の経緯についても教えてください。

モリユイ:tasukuさんとは、~っぽい曲とかこういう雰囲気の曲というのを共有するところから始めました。チャイニーカンフーセンセーションという曲はそのまんまなんですけど、チャイナっぽい曲を作りたいというところから始まってますね。tasukuさんとはNAOKI-Tさんの時とはまた違った感覚でお互いの物を投げ合ってそれを吟味してからまた投げ合うみたいな感じでしたね。NAOKI-Tさんとtasukuさんとはすごく自由に好きなように制作をやらせてもらった結果、かなりノンジャンルでバラエティーに富んだ曲ができてきたので、守尾さんとはいわゆるJ-POPの王道だったりとか、しなまゆのそういった部分をフューチャーするような楽曲の制作を進めましたね。

-しなまゆ以外の誰かと曲作りをするのが初めてだったということですが、それはかなり違う感覚だったでしょうか?

モリユイ:だいぶ違いましたね。自分たちだけじゃない別世界からの視点とか意見ってすごく勉強になりましたね。特に歌詞に関してはすごく苦労しました。今まで自分の好きなように書かせてもらっていて客観的に伝わりにくいという意見を言われたんですね。もっとわかりやすい言葉、わかりやすい表現をしたほうがいいんじゃないかとか。実はそれが最初嫌で(笑)。自分で書いてるから自分の中ではわかりやすいし伝わると思って書いてますからね(笑)。でも、そうやってもらった意見を反映できないのも悔しいし、それはそれですごく嫌なので歌詞は何回も何回も話し合ったりなど吟味して構成していきました。

-そういった経験の中で、出来上がった11曲で特に歌詞に苦労した曲はどれですか?

モリユイ:最後まで書くのが大変だったのは『バイバイの時間』ですね。これは本当に書くの大変でした。今まで主人公の女の子を書くときに私の頭の中にある私の思う女の子じゃないと書けなかったんですよね。ちょっと男っぽい感じの女の子。だからこの曲に出てくる女の子らしい女の子を書くのが本当に難しくて、、、。元々夕方に散歩する二人というイメージだけが思い浮かんでいたんですが、さすがにそれだけじゃストーリーにならないよね。という話になって、プロデューサーさんとあーでもないこーでもないと色々話しながら、音の子がどこかに行ってしまうという情景を描こうということに決まったんですけど、夕方だけでそのストーリーを完結させるのがまた難しくて、実際夕方から夜になるまでって2時間くらいしかないので、その中での感情の動きだったりをつけるのに苦労しましたね。

-そうやって出来上がった11曲ですが、これって曲順は相当悩みませんでしたか?

モリユイ:もちろんめちゃくちゃ悩みましたよ(笑)。だってこれだけいろんな曲があるとどうやっても1本の筋にはならないんですもん(笑)。

-最終的にどうやって決めたんですか?

モリユイ:曲の意味とかを深く考えるのではなく感覚で決めましたね。あっ、でも『夢みたいだな』を最後の曲にするっていうのはずっと決めてましたね。

-その理由は?

モリユイ:この曲は今までは違った曲作りをしてみようと思ったところがスタートで、私なにも楽器ができないんですけど、初めてピアノで作ったんです。白鍵のみを使って出来た曲で、その瞬間自分の中でこれはイイ!という感覚になって、タイトルもすぐ思い浮かんだんです。ただ、初めてピアノで作ったのでコードはなに?って聞かれても答えられなくて(笑)。そういったこともあって自分の中のこの曲のイメージをみんなと共有するのがすごく難しくて時間がかかりましたね。私はこの歌を子守唄みたいな感覚で捉えていて、普段普通に生きていて全く気にしないことだと思うんですが、なんで匂いを感じるんだろうとかなんで水ってあるんだろうとか実は気にしたらキリがないことってたくさんあるじゃないですか。そしたら普段生きている世界が現実だと思っているけど実はそれが夢なんじゃないかと考えたら色々ループしてきて、この曲を聴きながら渋谷を歩いていると人も建物もいろいろな物が溢れていて、本当にどれが現実でどれが夢かわからなくなってくるんです。そんな私の頭の中でぐるぐると回っている曖昧な世界観を表現するのはすごく難しかったですね。

-アルバム発売後には12/26には原宿ASTRO HALLでワンマンがありますね。この日はどんな1日にしたいですか?

モリユイ:リベンジですかね。いや、でもその言葉を使ってしまうと去年のワンマンが失敗したみたいな感じになってしまうので嫌ですね(笑)。成長した姿で挑む再チャレンジというほうが合ってますかね。年末なので今年1年の集大成をみなさんに披露したいなと思います。その時のしなまゆが到達できる最高地点にしっかり到達したいですね。あとはアルバムを出してから初のワンマンなのでセットリストも今までと違う形になると思うので、今までの私たちを知っている方もこのアルバムで知った方にも是非一緒に最高の年末を過ごしたいと思っています。

-今、年末という話がありましたが、今年を振り返ってみてどうでしょう?

モリユイ:めちゃくちゃ早かったですね。1年あっという間でした。毎月なにかしら大きい動きがあって、舞台やラジオ、アルバムレコーディングなど初めての経験をたくさんさせてもらってすごく濃密でしたね。あとは1月に成人式があって2月で二十歳になったのも大きかったですね。

-来年はどんな1年にしたいですか?

モリユイ:今年は今までの人生の中で一番色々な方に知ってもらう機会が多かったと思うので、来年も引き続きもっと色々な方にしなまゆを知ってもらいたいというのもありますし、知ってもらった方には今作のアルバムやライブなどで楽しい気持ちをお届けできるようなバンドになっていきたいです。私の中でしなまゆの音楽を届けたい人数って途方もない数字で、まだまだまだまだ届かないんですけど、焦らずしっかりとステップアップしていきたいです。前のインタビューでも答えさせてもらいましたがミュージックニューヒロイン目指せるように頑張ります!