―今作『スマイル2』早速聴かせていただきました。まずはタイトルの由来を教えてもらえますか?
わたなべだいすけ(Vo&AG写真中央 以下…わたなべ):今のニコルズには「スマイル」という言葉がぴったりで、前作『スマイル』ができたときにこれが僕らだ!と思ってそのタイトルをつけていて、今作は特にそういったコンセプトで作ったわけではないのですが、まんま今のニコルズでしょという1枚になったので、思い切ってこのタイトルを付けました。この先作っていくミニアルバムはすべて『スマイル○』というタイトルにしていこうかなと思っています。僕らのライフワークとも言えるかなと思いますね。
-それは面白いですね。今お話にもありましたが、まさにD.W.ニコルズを表現したようなアルバムだと感じました。
わたなべ:そう言ってもらえると嬉しいですね。今僕が書いた曲をニコルズっぽいかぽくないかで振り分けていっているんですけど、その精度やメンバーでの共通認識は高くなっていると思うのでそれもあるかもしれないですね。
千葉真奈美(Ba写真左 以下…千葉):だいちゃんが書いてきた曲に対して今のニコルズらしさを一番出せる曲を選んでいった感じです。ただ、だいちゃんが書く曲がどれも良いので6曲に絞るのは大変でした。
-そうやって出来上がった6曲の中でそれぞれ1曲ずつ思い入れが特別強い曲があれば教えてください。
わたなべ:全部に思い入れはあるんですが、2曲目の『あくび』という歌は収録曲の中で一番昔に書いたもので、大学の新入生歓迎会のために書いたのでもう10年以上前ですね。年月を経てこうやってニコルズの曲として作ることができてすごく感慨深いです。歌詞も当時とほとんど変えていなくて、今僕が書くものとほとんど変わらない世界観で違和感もなくできましたね。
-当時と今で歌詞の世界観が変わらなかったというのはすごいですね。
わたなべ:俺成長してないのかな!?って不安になりましたね(笑)。
-今だから振り返れたということじゃないですか?
わたなべ:そうかもしれないですね。少し前だったら恥ずかしかったかもしれない。そう思うと1周巡ってあの時の気持ちに戻っている感じですかね。
千葉:しかも最後の部分に「笑顔」という言葉が入っていて、今のニコルズにぴったりだなとも思います。
わたなべ:そうだね。この曲が入って、より今作のスマイル感は増したよね。
-千葉さんはどうですか?
千葉:私は1曲目の『ローリン ローリン』ですね。私たちの曲では久しぶりにガツンとしたテンポの速い曲で、でもニコルズらしさはしっかりと表現できている曲だと思います。出来上がった時からライブですごい盛り上がるだろーなと思っていて、10月に行ったeggmanでのワンマンでは大盛り上がりでMV撮影もできて、これからの私たちにとって大事な1曲になっていくかなと思います。
-そんな曲から今作は始まりますが曲順のこだわりなどあれば教えてください。
わたなべ:昔から曲順決めは好きな作業ですね。1枚の作品としてどうやって聴いてもらうかどうかを決めるのですごく大事ですし。毎回みんなで話し合って決めています。
-そんな曲順もあってかすごく聴きやすい1枚だなと思いましたが、歌詞の世界観が一般的な目線より少し違った角度から見ている印象があります。正当なポップスソングだけで収まらないというか。
わたなべ:年齢を重ねてきたというのがまず一つあると思います。人を好きな気持ちをただ好きと表現するのではなく、そこにある不安な気持ちや本当は隠しておきたい本音の部分だったりとかは歌詞にでてきているかなと思います。聴きやすいポップな物を作りたいというのは根底にありますが、1回聴いたときになにか心に残るようにしたいという気持ちもありますね。
-『波瀾爆笑』の歌詞などで特に感じたんですよね。
わたなべ:キラキラした表面だけでなくダメな部分とか裏面も表現したいですね。心の底から楽しいと思っている時間もいつしか忘れてしまうことや死を迎えることもあるわけで。でもできれば全部覚えていたいし死にたくないし、そんな気持ちが入っているのでこれを聴いてくれる方々にもなにか感じ取ってもらえたら嬉しいですね。
-冒頭から感じていたのですが10年D.W.ニコルズをやってきたから辿り着いた場所なのかなというイメージです。
わたなべ:それはあるかなと思いますし、そうでありたいなと思っています。人間生きていれば顔が変わっていくように、歌詞も僕の顔みたいな物なので、僕という人間が重ねてきた人生が反映されていたらいいなと思います。
千葉:年相応になってきているんですかね(笑)。歌詞を見てハッとさせられることも多くて本当にだいちゃんはすごいなと思います。
-わたなべさんの歌詞は本当にハッとさせられますよね
わたなべ:30代男性にめちゃくちゃ刺さるようです(笑)。
-僕にもめちゃくちゃ刺さってます(笑)。
わたなべ:制作をする上で昔から変わらずに念頭に置いているのは歌とメロディがすべてという意識で曲を作っています。ギターで弾き語りをして伝わらなければ意味がないし、バンドサウンドは歌とメロディを届けるため、よりよくするためにあるものであって、それはメンバー全員での共通認識ですね。バンドでどんなに大きい音を出したとしても歌が聞こえなければ、歌詞が聞き取れなければ意味がないと思っているので。
-その気持ちがあるから刺さる歌詞になっていくんでしょうね。今作のレコーディングでの特徴的なエピソードなどありますか?
わたなべ:3曲目の『ニコルズのドンマイマイのマイ』という曲でメンバー全員が入れ替わり立ち替わりで歌っているのですが、こういう曲を以前からやってみたくて、メンバーそれぞれのパートの歌詞はそれぞれをイメージして書いて、レコーディングブースにマイクを4本立ててみんなで一斉に歌ったんです。しかもワンテイクで。それがすごく楽しかったですし、この曲をそうやって作ることができて良かったなと思います。
-だからこその4人で作り上げたこの温かい雰囲気なんですね。ちなみに千葉さんは自分をイメージしてわたなべさんが書いた歌詞を見てどうでしたか?
千葉:やりそうだなーって思いました(笑)。だいちゃんが書いてくれた歌詞の主人公になったつもりで歌いましたね。コーラスをやることはありましたが、こうやってメインで歌うことは今までなかったですし、みんなで一斉に同じブースで歌ったこともなかったので面白い経験ができました。
-来年結成10周年ということですがここまで続けてこれた理由はありますか?
わたなべ:うーん。気づいたら10年ですね。
千葉:私もそうですね。辞めたい!もう無理!って思ったこともないし、本当に気づいたら10年です。
わたなべ:「なんで生きているんですか?」と聞かれるのと同じかもしれないですね。生きている理由に答えなんてなくて。バンドが続いてきたことに理由があったとしたらその理由がなくなった時にバンドがなくなるということになってしまうので、それがないから続いてきたんだと思います。楽しんでやってこれたのでこれから先もそうだったらいいなと思います。
-その精神性がニコルズのライブにも表れているような気がしますね。ライブのときに心がけていることなどありますか?
わたなべ:なにも心がけないようにすることですかね。以前はあれやろうこれやろうとかこういうMCしようとか考えていたんですけど、今はなるべく自然体で臨むようにしています。歌って演奏することって自然と呼吸するのとかと違って、不自然な行動だと思うんですよ。だからそれをできるだけ自然にやれるようになりたいと思っています。
千葉:最近は決まり事を少なくしていて、ライブ始まりのSEとかも使わなくなってきてますね。いわゆるみなさんが想像する一般的なライブの始まり方ではないと思います。11月のeggmanワンマンではMV放映からのトークショーでそのままライブ始めましたからね(笑)。
-7年くらいライブハウスで働いてますが、こういう始まり方は初めて見ました(笑)。
千葉:それがニコルズなんですよね。だいちゃんのMCも自由だし、その時感じたまま、思ったままのライブをやろうという意識です。自分たちが笑顔で楽しめたらそれは伝染すると思うので。
わたなべ:ライブに対してリラックスしてほしいんですよね。ファンの方にも自然体でライブを楽しんでほしいから気構えてほしくないんです。そういった状態で聴いてもらうのが僕らの音楽かなと。
-1月に控えるニューイヤーコンサートはどんなライブにしたいですか?
わたなべ:大きい会場ではありますが、いつも通りの僕らでやりたいなと思っています。2015年も一緒に楽しみましょう!と言える日にしたいですね。
千葉:新年の挨拶をね。そういう場を作りたくて今年から始めた企画なので毎年恒例にしていけたらいいなと思います。
-新年を迎える前に2014年を振り返ってもらいたいのですが、どんな1年でしたか?
わたなべ:毎年1年早かったなと思っていますが、それが当たり前になってきていますね。逆に今年長かったと感じる時があったらそれは濃密な1年ではなかったことになってしまうような気もしますし。
千葉:確かにそうだね。今年もあっという間だった。しっかり楽しめたね。
-10周年になる2015年はどんな1年になると思いますか?
わたなべ:現段階で言えることはファンクラブが設立されることですね。今までよりファンの方々と親密になれるかなと思います。そしてその輪を大きくしていきたい。
千葉:ファンクラブはかなり楽しみですね。私たちはライブやCDで自分たちの気持ちを発信しているけど、ファンの方がどういう方なのか知る機会は少なくて、それが今まで不公平だなと思っていたので、ファンクラブ設立のタイミングで知っていきたいなと思います。
-それを知ることでバンドとしてのパワーが増しそうですね。
わたなべ:確実にそうなると思います。そこで生まれる曲もあるかもしれないし、10周年というこのタイミングでやれることは全部やっていきたいですね。
-バンドとして10周年を迎えられるというのはすごく幸せなことですもんね。
わたなべ:そうですね。ファンの方々も期待してくれていると思うので、それに応えたいです。そしてこれがもっともっと続いていったら嬉しいなと思います。