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東京カランコロン interview
- SPECIAL -

東京カランコロン interview

東京カランコロンの新作が凄い事になっている!
前作よりソリッドに、そしてよりシンプルに磨きのかかったポップスを奏でる。
カテゴライズすることなく、あくまで自分達のジャンルを「J-POP」と大きく位置づけ、とても間口が広い作品を作り上げた!そんな彼等の本音をキャッチした。

―リリースおめでとうございます!まずお聞きしたいのが、前回は外部の人を入れた作品でしたよね。今作は初セルフプロデュース作となっていますが、それは何故ですか?

いちろー:まず7月に出した「16のbeat」という曲がライブで凄いやってきた曲なので答えが見えてたから、なるべくそれをそのままパッケージングしたいという考えがあったんですね。それを録ろうとした時に、プロデューサーを付けずに自分達で録ってみようかとなったんです。それがことの他、制作スピードも早く、出来上がりの音も上手くいって、そのまま自然の流れでアルバムの制作に進行していった感じですね。「セルフプロデュースでやろうぜ!」って感じではなかったです。
今思うと、一作目の「We are 東京カランコロン」の時には、いわゆるメジャーっぽくやっていくということでavexに行ったんだけど、「メジャーっぽくなっちゃったね」っていう人もいたし、そういう意見を打ち返す為のアルバムでもあったんですよ。こんな滅茶苦茶なこと出来るんだぜって。だからライブの事とかは考えていなかったし、どんだけ一曲単体が濃いか勝負って感じはありましたね。
そのリリース後にワンマンツアーをやったんですけど、どういう人達がCDを買って、どういう気持ちで聴いているのかをツアーに行くと目の当たりにする訳じゃないですか。そんなに深い意味はなかったんですけど、そのツアーは自分達5人でどれだけできるかという目的があって、最終的に赤坂ブリッツの1000人以上のキャパのお客さんとエンターテイメントとして成り立った事が自信にもなったし、その自信が「16のbeat」の音にも出てたと思うし、その感覚でアルバムを作ったという感じですね。

-ワンマンツアーを回ってメンバーのスキルが上がっていたり、自信が付いたのかなと思ったんですけど。そういうところでアルバムの進行のスピードとかに影響はありましたか?

いちろー:ファーストの時の方がつまづいたイメージはありますけどね。

せんせい:ファーストは持ってるものを全部出さないと行けないタイミングで、その持っているものをどう磨きをかけるかというのを練って、どうカラフルにしようかというのに時間を割いたかな。「16のbeat」に関してもこのアルバムに関しても、全部外に吐き出して消化してから作ったものだから、それぞれが自分に素直なものを作ったものなんです。例えば、おいたん(Gt)のギターフレーズには「こういうの出してよ」という感じでは言わなかったし。それぞれが素直にどんどんアイディアを出していった感覚やったから、苦労とかはしなかったです。

-このアルバムの歌詞や資料を見て気づいたのですが、全く「ロック」という言葉が出てこないんですけど、サウンドは「ロック」ですよね?もしかして、「ロック」ではエンターテイメントになり難いというイメージがあったんですかね?

いちろー:個人的な感じなんですけど、「ロックです」っていうのはロックじゃないような気がしてて、

-一曲目で「ビートルズ」や「ピストルズ」というロックアイコンが出てきますが、これで「ロック」って言わないんだって違和感を感じましたね(笑)。

いちろー:まあ、彼等みたいにはなれないですからね (笑)!「ロック」というか「パンク」なのかもしれないですけど、反骨心というか、精神というイメージがあって、言う事よりも身体や行動で示すものだと思うし。
自分は「ロック」好きだし、「ロック」を聴く事の方が多いし。ただ、これはずっと言っているんですけど、最近の世の中的に「ロック」と「ポップス」というのが分離していると思いませんか?レンタルCDショップに行くと「ロック」と「ポップス」は別の棚に分類されてて。でも、そんなのどうでもよくないっすか?昔、例えばTVの音楽番組だとトップ10の中に、ロックバンドが4〜5組みぐらいいて、また4〜5組みがアイドルや、クラブシンガーだったりとか自然に入っていて、そんな区切りは無かったですよね。ミスチルとかチャゲ&飛鳥ていうのは「ロック」と言えば「ロック」だし、「ポップス」といえば「ポップス」だし、関係ないじゃないですか。それって「ポップス」が画一的なものになっているというイメージだと思うんですよ。その感じ分からないわけではないんだけど…。
そういうのがチープな意図で別れているような気がしているし。「メジャーポップスになるとこうなるよね」ってイメージの共通項を求め過ぎて、平たくなっている気もするんですけど。それを是として区切っちゃうのはつまんないことだと思います。それって自由度じゃないですか。どんだけ自分達がやりたいことをやりきっているかだと思うし。なんかやりたい事をメジャーのフィールドで一番体現しているのが自分達だと思うし、それが「J-POP」だったら素晴らしいじゃないですか。それが今の世の中の「J-POP」であればそれほど素晴らしいことはなし。だから「ロック」ってあえて言う必要もないし。つまり日本の音楽がこうであって欲しいということですね。だから最後の曲に「J-POPって素敵ね」って曲を入れたし、「ロック」って言葉を入れなかったのもそういうことだと思うんですね。言えば言うほど区切られてしまうと思うし。「J-ROCK」のコーナーに入れられてしまうし(笑)。

-ちょっと曲についても少し触れたいのですが、「マッハソング」はおいたんのギターソロが気になりますね(笑)。これはフレーズが「マッハ」なのか?歌詞に出てくる「疾走感」なのか?どっちですか??

せんせい:とにかく速い曲=マッハみたいな(笑)。

いちろー:そのとおり、とにかく速いという曲ですね。一曲目で自分が言いたいことを唄っているので、この曲に関しては、せんせいが思っていることを全部言っている曲を作って欲しいと言って書いてもらったんですけど、でもそれが凄い違和感があって…。

せんせい:私が唄うと違和感が。

いちろー:言わされてる感あったよね(笑)?ホントゴリゴリだったよね?

せんせい:でも最終的に私の言葉で違和感がなく、誰かが反対しても私はこれが言いたって事が言えてる歌詞になりました。ても気持ちは「マッハ」なんです(笑)。

-「走れ、牧場を」は、これは漫画のパロディですよね?

いちろー:これは「マキバオー」っぽいねって付けました(笑)。

-この曲だけアレンジにCafelonの石崎さんが入っていますが。

いちろー:この曲はリードにしようという事になって、リード曲となると、レコード会社の人とかと相談しながら作らないといけないんですね。それでアレンジを短い期間にやり過ぎるとよく分からなくなっちゃうんですよね。その善し悪しのジャッジを俯瞰で見てくれる人が欲しかったんです。

-「キャラメル」に関しては、せんせいらしい単語が詰まった曲だなと思いました。
いちろー:味の濃い曲が並んでるから、ここに入れて中和する曲です。

せんせい:私のアイディアが詰まった曲です。今回のアルバムの歌詞は、ほとんど実体験に基づいて書いた曲が多いです。

-ちょっと閉じこもった暗い曲だとは思うんですけど。

せんせい:自分もそういう時があって気持ちが分かるから、そういう子を絶対救いたいという思いで書いたので。自分と言えば自分だし、その子といえばその子だし。キャラメルって子供っぽい感じはしますけど、でも、そのしょうもない一言によって救われていることって絶対あるから。そういうのを大切にしたいなと思ってます。

-「キャラメル」=「東京カランコロンの曲」と言い換えることもできると思いますね。

せんせい:そういう存在で有りたいと思いますね。
「てのひら」ですが、個人的にこの曲が一番好きです。

いちろー:あー、これアラサーに人気です(笑)。みんなおっさんだから、こういう響く曲作りたくて。自分でも通して聴けるアルバム作りたいじゃないですか。こういう曲があることによってアルバムも引き締まるし。

-「J-POPって素敵ね」せんせいっぽい歌詞ですよね?

せんせい:タイトルはいちろーさんが付けました。

いちろー:もうそのフレーズだけは頭にあって。せんせいがメインで唄う曲になったから、歌詞は書いてもらって。「J-POP」ってこんなに素敵なものだから、嘘でもいいから書いてみようよって話をしました。せんせいっぽい歌詞になりましたね。

せんせい:ツアー中の車の中とかメンバーとスタッフ含めて、90年代のポップソングばっかり流して盛上がっていて。みんな好きなんですよ(笑)。そのまんまなんですけど、「J-POPって素敵!」つまり、「いいものや」っていう認識なんですね。でも今若い子達の中で「J-POP」に対して、「ダサイ」とか「しょうもない」、「つまんない」って感覚になっているんじゃないかと感じていて。
「POP」ダサい、「ROCK」カッコいいって、なんか狭いところで音楽を聴いているじゃないかなと思ってたんです。
そういう思いへのアンチテーゼだったり、私たちが思っている「日本のポップスって素晴らしいものなんだよ」、という思う気持ちを両方とも思っての歌詞なんです。

いちろー:この曲が出来た時に最後にしようと思いました。それでアルバムが締まる感じです。コンセプトというか、一本テーマが通った感じがしたし。

せんせい:アルバムのタイトルが凄い悩んで、中々決まらなかったんですよね。

いちろー:そうなんですよ。ほんと最後の最後で決まりました。五人でやって、セルフでやって、アルバムの内容的に前作のタイトルの「We are〜」って言えなくもないよねって感じがしたんですよ(笑)。でも、ちょっと違うなと。一曲目が「誰かのエンターテイナー」で、最後の曲が「J-POPって素敵ね」で、このアルバムタイトルでどうですか?って提案して、いいねってなりました。でもそれでバンドが言いたい事が分かったし。

-最後の質問なんですけど、自分にとって「エンターテイメント」とは個々にあるものなんですか?それとも集合体ですか?

いちろー:大事な理由としては一人一人が表現する人間だということがあって、、、「5人はエンターテイナー」というアイディアもあったんですよ。
でも「5人の」表現者であるべきだし、5人でってことがありますね。「エンターテイナー」って言葉は一曲目の「誰かのエンターテイナー」というところからきているんですけど、個人的に言うと、なんで音楽をやっているんだって考えて作った歌詞だったから、でもそこに深い意味があった訳ではないんですよね。スッと出てきたんですけど、それが一番しっくりきて。
我々バンドマンは辛いじゃないですか?時間も金もないし、、、なんで音楽やっているんだろうって考えている時期に、その「なんでやっているんだろう?」と考えたときに、誰かのエンターテイメントの為にやっているんだって事がしっくり来たし。バンドとしてのテーマとしては間違ってないと思ったんです。