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Anly Interview
- SPECIAL -

Anly Interview

沖縄の小島伊江島で父ゆずりのブルースやロックをきいて育った、という地域性と時代性の面で限定された局地的な音楽をルーツとするAnly。 スタート地点の地元伊江島を離れ、沖縄本島、そして東京、日本全国、更には英国など、活動を進めると共に拠点を広げて経験も情報量もどんどん増していき、今は世界に存在する様々な音楽と出会って、自身の音楽観をアップデートしている最中だ。 ルーツと発展。 音楽が豊かに進化する上で必須のこの二つの大切な感覚を、今手に入れて生み出した最新のAnlyの音楽観は、これまでの彼女のスタイルから螺旋の上で1層も2層も上まで駆け上ったような新鮮なものだ。 かつ、その螺旋の中心には小さな頃から育んだ彼女の歌のオリジナリティーがまっすぐに伸びていて、これから先の道筋もバッチリ。 これからも道筋逸れずに新しい自分に生まれ変わり続けていく様をイメージできる展望の第一歩となるような作品が今回リリースされた。 タイトルは『LOOP』。 前半には新天地の音楽性と歌唱スタイルを聴かせ、最後にはいつものAnlyに戻ってくるような楽曲の並びが美しく、リピートしてアルバムを再生すると、最後に原点に戻った後に、また1曲目の新たなチャレンジが始まる仕組み。 アルバム全体のコンセプトが全曲並べて聴いた時に完結する、構成力高い作品だ。 なにより変に曲がった事にならずに、のびやかに成長を続けるAnlyの頭の中の創造性が、こうやって新作を聴く度に伺えるのが愛らしい。 リスナーには是非全編リピートで聴いて、彼女が今捉えている挑戦と原点を同時に体感してほしい。

Interview & Text : 鞘師 至

変化じゃなくて、進化。

— 本作、まずサウンド的にすごい進化っぷりだなぁ、と再生して2秒で思いました(笑)。

 

■ Anly (以下 “A”): そうですね、1曲目をかけた瞬間はきっとびっくりしますね(笑)。 今までの感じとガラッと違う感じの音になってるから。 そこも狙ったんですけどね(笑)。

— 近年の世界で巻き起こってるサウンドのムーブメントと、Anlyさんのオリジナルの歌声が重なるとこう聞こえるのか…という発見が新鮮でした。 でも、実はこういう新しいサウンドへのチャレンジって、リリースの水面下では以前からずっとやってましたよね。 過去にこっそり聞かせてもらったデモのフレーズが今回のアルバムにはたくさん入ってる。

A: そうですね、サウンド面に関しては以前からこうしたい、ああしたい、っていうアイディアが色々あって、そのひとつが今回のアルバムに繋がってるんですけど、デビュー当時はやっぱり自分のルーツの部分をしっかり具体化する事にこだわってたんで、あまりいろんな新しいチャレンジに手を出す時期ではないかな、と思ってたんですけど、今東京でもよく活動するようになって3年位。 もうそろそろチャレンジしてもいいな、って思えたんで、今回はその心にしまってあった想いを生かしてみました。 やっぱり進化してる自分をみてもらいたいんですよね。 今回の『LOOP』っていうアルバムは歌詞やサウンド面でも、人間面でもライブ感があるものにしたくて、細かい部分までこだわった作品です。 “今”の私を知ってもらえるものになったと思います。

— リアルタイムですか、確かに。 でも今回の曲もリリースはこのタイミングですけど、実際はもう少し前からこういう進化をイメージしてAnlyさんの中には存在してたサウンドスタイルですよね。 1年前くらいかな? そういう作った時とリリースされてリスナーの耳に届く時に時間の差があるのは、どういう感じがしますか?

■ A: なんとも不思議な感じですね、でもファーストアルバム『anly one』の時と比べたら、今回はその時間の差は少ない方だと思います。 ファーストアルバムの時はデビュー前、高校生の時くらいから何年もの間に作ったいろんな時期の私の感覚が詰まってたから、長らく歌いこんでる曲も入ってて、聞いてくれる人の耳に届いた時にはすごい時間差を感じたんですけど、今回はとってもリアルタイム感があります。 マスタリングが終わってすぐに製品にしてリリースされて。 すごくスピーディーにリリースまで進んでいきましたね。 加えてライブでは既に披露してた曲も色々あるんで、そういう意味でも現在進行形の感じのままリリースまでこれた感じがします。 エッグマンでやったLoop night vol.0 (2018/1/19)の時に演奏した曲の中から、評判が良かった曲をいくつか入れてるんですよ。 ループペダルの演奏ってまた独特の楽しさがあって、演奏スタイルが”常に新しく録音してる感じ”なんですよね。 だから毎回新鮮な気持ちで曲と向き合えていて、ライブそれぞれその時の自分のノリとか、お客さんの雰囲気とか、そういう細かい要素で全然グルーヴが変わってくるんで、すごくリアルタイムな感覚で曲と向き合えてます。 

— グルーヴの差、ループのビートはその場で作るから、一度たりとも同じ演奏っていうのは存在しませんもんね。

■ A: そう、ペダルの電源落としちゃえばもう消えちゃうんで(笑)。 

— 楽曲面では、全編通してフューチャー・ソウルとかインディーR&Bみたいなアプローチのフレーズが細かく入ってますが、今回のこういう新しい要素はどんなきっかけで入ってくる事になったんですか?

■ A: 東京での活動が始まってから自分的にいろんな新しい音楽と出会ってるんですけど、そういう音楽ひとつひとつが自分の音楽を変化させていってると思うんですよ。 特に今作の新しい感じ、これは今回コラボをしたMaisy Kayっていうシンガーソングライターのバックでギターを弾いていたJuan Arizaっていう若干23歳の素晴らしいサウンドプロデューサー、この人が引き出してくれた部分が大きいですね。 Maisy Kayのプレゼンライブの打ち上げの食事会でJuan Arizaに初めて会って「ギターすごいね!」とか色々話せて仲良くなっていったんですけど、アレンジもできるってその時に聞いたんで、まだ彼のアレンジ作品も聴いた事なかったんですけど、Maisy Kayのプレゼンライブでの彼のギターの雰囲気がすごく良くてナイスガイだったのと、彼のホームページを覗いてみたら、物凄くジャンルレスに多彩な音楽をやっていたのでとても、未知だけどお願いしてみようかな、と思って依頼したら、それがバッチリはまって最高の曲ができあがってきて。 結果的にすごいたくさんアレンジ頼んじゃいました(笑)。 最初はメールやSkypeでやりとりしていたんですが、私の日本でのプロデューサーのNashの一声で「メールじゃ細かいニュアンスを伝えるのに時間がかかる!」って事で急遽にJuan Arizaに会いにLAに行くことになったんですよ。3泊5日の弾丸ツアーでしたけど笑。

— 「DREAM ON」(M1)、「COFFIE」(M2)、「Moonlight」(M3)、「ENEMY」(M9)がJuan Arizaプロデュースですね。 どれも新鮮でした。

■ A: 彼のアイディア自体がすごくフレッシュで、沢山いい刺激を受けました。 最初に「Moonlight」のアレンジを頼んだんですけど、彼はラテン系なんで、ああいうセクシーな感じのアレンジになって、これだったら!と思って立て続けに「COFFEE」と「ENEMY」も頼んだんです。 メール以外でもSkypeで詳細を話し合ったりしながら何度も微調整して、データをもらって、っていう作業を繰り返してたんですけど、やっぱり本当に微妙なニュアンスになると伝わりきってなかったり、Juanも一所懸命やって何度も修正して送ってきてくれるんですけど時差があるので進行に時間がかかるのがやむを得なくて。 途中でもうお互いのスケジュールを合わせてLAに行って直接会ってアレンジするしかない!という事で会いに行ったんです。 当日3日前に決めて(笑)。 もう到着して会ったら進行は早かったですね。 細かいニュアンスがばっちり伝わるんで。 で、また楽しかったのが向こうの人たちの作業の仕方で、いくら作業が詰まってても決められた20:00とかの時間になればその日の作業は終わりにするし、作業途中にも毎回ティータイムみたいな休憩時間があって、そういうリラックスした時間にアレンジの事とか、プライベートで最近どう?とか色んな事を話して、気持ちの切り替えがあるから作業中にはすごく集中できるんですよね。 「音楽って楽しい!」って実感できる制作時間でした。 今までのレコーディングとはまた違った経験ができてすごくよかったですね。 それもあって滞在予定の3日間のうち、予定していた作業が2日間で終わってしまったんですよ。 1日余ったんでその時間で別のデモ音源を聴いてもらったり、「今の日本の音楽シーンもかっこいいアーティストが沢山いるんだよ!」って私の好きな日本のアーティストの音源を聴いてもらったりしながら、また次のアルバムの為に何か追加で曲を詰めてこう、っていう話をしてたんですけど、その当一番私がハマってた曲「DREAM ON」のデモを聴いてもらったら、「さっき聴かせてくれたAnlyの好きな音楽っぽいアレンジができそうだよ」っていってその場で作業し始めて、半日でこの今回収録されてるかたちまで完成させちゃったんです。 ベースも鍵盤もなんでもかんでも全部Juanが自分でプレイして音を入れてくんですよ。 おもしろかったのはビートの打ち込み。 作業してる部屋に伏せて置いてあった絵のキャンバスがあって、「これ、せっかく描いたのに何で伏せてあるの?」って訊いたら、「描いたんだけどあんまり気に入ってなくて、叩いてみたらいい音したから、今はそれ叩いてサンプリングする用のキャンバスね。」って(笑)。 それが今回かっこいいバスドラムの音として入ってるんですよ。 他にも机を叩いたり、シンバルの音なんかも既製品のシンセ音じゃなくて、自分で1つのシンバルを叩いてそれだけ録音して、それをサンプリングで使ったり、とにかく全部生の音にこだわったサンプリングだったのが衝撃でした。 彼のアレンジした楽曲全て、初めて聴いた時から「オリジナリティーある音源だな〜」と思ってたら、本当に全部オリジナルの音で編成されてたんですね。 そりゃそう思うや、っていう(笑)。 “その場の生の音で作り上げる音楽”っていうのがArizaブランドなんだな、って思て感動してました。 音の中で生きてる人、って感じがいいですよね。 とにかくかっこいい曲になったので、本当にやり甲斐あって嬉しかったです。 

— その「DREAM ON」、歌に関してはこれまでで一番リラックスし声だな、と。 声を張ってない。 学生の合唱部の頃とは真逆な感じですね。

■ A: この曲、ちゃんとしたレコーディングスタジオで録ってないんですよ。 マネージャー/プロデューサーの家のリビングで録ったテイクをそのまま使ったんです。

— え!…(笑)。

■ A: プライベートな感じしますよね。 ミックスの時も声の聞こえ方の空間を広げるかどうかで悩んだんですけど、歌詞の内容的に、カップルが仲良く未来のことを話してるような場面のものなんで、声の聞こえ方もタオルケットかぶって隣でひっそり歌ってる感じを出したくて、9パターンくらい試して、一番しっくりくるものを選びました。 この9パターンも、エンジニアが南米のコロンビアの人なんで、もうメールでデータやり取り沢山して、大変でした(笑)。 それでも最後までみんな付き合ってくれたお陰で、いい仕上がりになったので本当にスタッフの方々に感謝ですね。 

聴いてくれる人との距離を縮めたかった。

— これまでの歌い方は響きを一番に考える歌い方だったのが、この曲ではもっと自在に声をコントロールできるようにボリュームを抑えて、音符と給付で作っていくビートを一番に捉えているようなものに聞こえました。 フレーズ末尾の息の漏れ方とか、そういう細やかな抑揚の部分も含めて。 これはこれまでのAnlyさんの歌の中で、初めてな気がしたんですよね。

■ A: ループマシンでライブをして、ラップっぽい歌をやるようになったり、そういう経験が確かに歌い方には反映されてるかもしれないですね。 気持ちの部分でもっとお客さんに近づきたいんですよ。 だからより等身大の歌詞と、歌と、演奏、アレンジ、これをやっていってもっとみんなの身近な人になりたくて、今回のアルバムの曲は全体的に、ありのまま、っていう事を意識して作りました。

— リアルなものが一番説得力ありますからね。

■ A: 本当、そういう事だと思うんですよね。

— 自分に正直に、って事ですね。 正直な作品、となると気になるのが、なんだか随分と怒っていらっしゃる歌詞もあった事ですかね(笑)。

■ A: あ〜…ありましたね(笑)。 「MANUAL」(M5)ですよね(笑)? これは今だとよくブラック校則って言われてる理不尽な校則に当時学生の頃、物申したい時があって、その時に作った曲です。 学校に地毛点検っていう髪の色をチェックするルールがあって、毎月後頭部を見られて、校則に違反して髪の毛を染めてないかとか、色を抜いてないかを見るんですけど、私はクォーターで1/4が外国人っていうのもあって生まれつき髪が少し茶色いんですよ。 ライブの時、照明の当たり方によってはすごく茶色に見える時があるくらい。 地毛点検カードっていうのがあって、毎月点検に行くとそこにスタンプが押される制度なんですけど、入学してしばらくしてから「これってなんかおかしくない?」って思い始めて、一度先生に話した時もあるんです。 おかしくないですか?って。 でも「決まりだから」、って。 それでもやっぱり、染めてもない人が、なぜか罪悪感を持ちながら頭のてっぺんを毎月じろじろ見られに行くって、いい気持ちしないし、頭を見たくらいでその人の何がわかるの?って、やっぱり納得行かなかったんで、正面から抗議するんじゃなく歌詞にして歌いました(笑)。 そのくらいの時期に初めてラップミュージックを聴き始めてたんで、このふつふつと煮えたぎる思いを歌にするのはこれだ!と思って、ことばを詰め込むようなスタイルの、ラップっぽい歌でこの曲を作ったんですよ。 インディーズ最後の沖縄でやるライブに間に合わせて。 こういう誰かが悲しい思いをするようなルールが社会から少しでもなくなればいいな、と思って今までインストアライブでも、ライブハウスでのライブでも、いろんなところで歌い続けてきてる曲です。 このアルバムの中でも一番メッセージ性の強い曲になったな、って思いますね。

— メッセージ性もですし、その怒りのパワーが燃えてる感じがライブでガンガン伝わってくるので、今回初収録なのにもうライブで曲覚えちゃってるんですよね(笑)。 

■ A: (笑)、うれしいですね。

— 他にも初収録なのに曲覚えちゃってるシリーズで言えば「COFFEE」ですね。

■ A: この曲は働く人達の応援歌にしたいな、と思って作り始めた曲で、めずらしくピアノのリフから作った曲なんですけど、ちょっとジャズっぽくしたいな、とか色々とArizaに相談したら、今のアレンジが上がってきて。 途中でHo!みたいな声が入ってて「これかっこいいねー!」ってArizaに言ったら「あ、これ僕の声ね」って。 またその自家発電?!っていう(笑)。 あとはコーヒーの缶を実際に開ける音とか、パソコンのキーボードを打つ音とか、いろんな遊び心を詰め込めた曲ですね。 作っていて特に楽しかった曲のひとつかな。  

— 「Moonlight」はDTMミュージックなのにフレーズの素材がギターの音っていうのが新鮮だなーと思いました。 アナログの象徴の様な音を使ってデジタルミュージックを作ってる感じ。 ライブで聴いていた雰囲気とは別物でこれもすごくかっこいいですね。 アレンジに心の余裕からくるアイディアの豊かさを感じる部分が多々ありました。

■ A: そういう遊びの要素でいえば、「エトランゼ」(M4)も色々レコーディングのスタジオでアイディア出して遊べて部分が沢山ありましたね。 

— この曲、Anlyさん「ハッ!」って言ってません?

■ A: …言ってます(笑)。 ちょっと恥ずかしかったんですけど、この曲のプロデューサーのJeffさん(Jeff Miyahara)にちょっとハッ!って言ってみない?って言われてやってみたらノリで実際入れる事になって(笑)。 

— 曲調も相まって相当アフリカンですね。

■ A: そうなんです、この曲は民族的な雰囲気を出したくて、Jeffさんにお願いしてこういう壮大な感じのアレンジにしてもらいました。 最後のDo what you wanna〜っていうフレーズ、あれJeffさんも歌ってるんですよ。 あれでまたさらに民族感増せたなぁ、と満足でした。 この曲、歌詞も気に入ってるんですよ。 明日が来るかどうか分からないから、好きな事をやっていこう!っていう前向きな歌詞。 

— 曲名はどんな意味?

■ A: 見知らぬ人、とか旅人とか、異国人みたいな意味です。 これからツアーも始まるし、いろんな土地に行ってまだ見ぬ人たちと出会って、一緒に歌って踊れたらいいな、って思って今からライブでやるのが楽しみな曲です。 

— 「Distance」では初めて女性アーティストとのツインボーカルのコラボですね。 お相手がLA拠点の18歳のシンガーソングライターMaisy Kayさん。 声の成分がAnlyさんとリンクする部分があってシンクロ率半端ないと思いました。 出会いはどんな事から?

■ A: JeffさんがMaisy Kayさんのプロデュースをしていたんですよ。 私はちょうどJeffさんプロデュースで「Venus」を制作してた時で。 Maisy Kayさんが来日するタイミングで日本のシンガーとコラボがしたい、っていうことになって提案を頂いて実現した曲です。 以前に私、野球の公式戦で国歌斉唱した事があって、その映像を見て頂いたようで、その時の雰囲気がMaisy Kayさんのエアリーでクラシカルな雰囲気と合いそうだ、っていう話になったんだそうです。 

— 歌はどうやって作っていったんですか? 

■ A: 曲を頂いた時にはメロディーラインはJeffさんのほうで作った状態で頂いて、日本語の部分の歌詞を私が書いて組み込んでいきました。 

— 今回は海外の人たちとのやり取りがめちゃくちゃ多いですね、大変そう!

■ A: 確かにそう言われてみれば海外の方ばかりでしたね。 時差とか細かいニュアンスのやり取りはやっぱり大変でしたけど、でもいろんな人がいろんなアイディアを持ってたから、やり甲斐のほうが勝ってて楽しみながらやれました。

波の音と、兄妹の存在。

— 「OKINAWA SUMMER STYLE」(M8)は唯一、100%のハッピチューンですね。

■ A: これはもう純粋に沖縄のビーチでパーリー!みたいな楽しい曲ですね。 これ、事務所のリビングでピザパーティーやりながら録った歌なんです(笑)。

— ゆ、ゆるい!すごい(笑)。

■ A: ですよね(笑)。 ライブのバンドメンバーが用事終わって夜遅くに集まってくれたんですけど、「お腹すいたからピザ頼もう!」ってピザパーティーが始まって、そんな中でリラックスして録った歌なんで、その時のハッピー感が出せてると思います。 あと、大事なポイントとしては、途中で入ってる波の音、これ伊江島の海の音なんですよ。 

— 出た! Arizaスタイル自家発電サンプリング(笑)!

■A: ほんとそれです(笑)。 きっと今回のアルバム、伊江島の人が聴いたらびっくりすると思うんですよ。 「あらぁ、Anly変わったね」って。 でもここで伊江島の音が入ってるんだよ!私は変わってないよ、進化してるだけだよ、って。 思いを伝えるパートですね、私のルーツはいつだって伊江島っていう。 この音が今回のアルバムに入れられて本当によかったなぁ、と思います。

— 素敵ですね。 事実色々と新しいチャレンジが詰まったアルバムですからね。 でも最後には原点回帰のような歌「北斗七星」で締めくくってる、っていうのもいいですね。

■ A: この曲は今回の『LOOP』っていうアルバムの中でも特別な曲なんです。 自分が生まれる前に亡くなってたお兄ちゃんのことを書いた曲で、会ったことはないけど確かにいた私のお兄ちゃん、いつも心の中と空にいて見守っててね、っていう内容の歌詞。 私にとってすごくパーソナルな思いが詰まった曲だから、いろんな音楽的な旅と実際のツアーでいろんな土地に行く生活を続けてる今、自分の気持ちの帰ってくる居場所みたいな曲になってるんですよね。 変わらない自分、っていうのをかたちにしたような曲、っていうか。 このアルバム、マスタリングが完了したのがお兄ちゃんの誕生日で、この「北斗七星」を聴いて終わる、っていうレコーディングだったんですよ。 なおさらお兄ちゃんが今もそばにいてくれてるような気持ちになって、私の今回のアルバムのチャレンジも間違ってなかったんだよ、ってお兄ちゃんが言ってくれてるのかな、って思ってホッとしました。 最後の最後、あったかい気持ちで完成したアルバムです。 シンガーソングライターとして、いつもはみんなへ向けて、想いを届けるけど、「北斗七星」だけはいつでも私自身の為にある曲。 大切な曲です。 この曲で終わって、またループして1曲目に戻ると、新しい私のチャレンジの音楽が始まる、っていう仕組み、この流れまで作ってようやくこのアルバム『LOOP』の完成です。 今の私をちゃんと表現できたものになったと思うし、変わらない部分も、新しい人たちにも聴いてもらえるような新しい音楽性も、入れられたと思うんで、ぜひいろんな土地のいろんな人たちに聴いてもらいたいな、と思います。