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ART-SCHOOL interview
- SPECIAL -

ART-SCHOOL interview

最強のリズム隊を手に入れた新生「ART-SCHOOL」によるNew Mini Album。
重量感のあるビートと浮遊感あるギター。そしてVocal木下理樹の圧倒的な存在感の
ケミストリーで生まれた世界観に引き込まれる。
そんな木下理樹の内面に迫る巻頭インタビュー。

interviewer:森村俊夫

日本オルタナ界最強のリズム隊コンビ

–『The Alchemist』リリースおめでとうございます。前作から7ヶ月とハイペースでのリリースとなりますが、このアルバムを出す事になった経緯を聞かせて下さい。

前作を出して、サポートでやってくれている中尾くん(中尾憲太郎:元NUMBER GIRL/現クリプトシティ・younGSounds)や勇さん(藤田勇:MO’SOME TONEBENDER)と全国ツアーをまわったんですが、たとえ昔の曲だとしてもプレイヤーが違うと良い意味で全然違うものに聴こえて、それがすごく楽しかったんです。この勢いのままこのメンバーで音源をつくりたいなっていうのがありました。

–やはり2人の力は、今の「ART-SCHOOL」にとって大きいですか?

かなりデカいと思いますよ。個人的に「NUMBER GIRL」が大好きだという事もありますし、勇さんの”感覚でプレイする”感じも大好きなので。2人が入って、バンドとして生まれ変わったなというのがあって、意識がすごく変わってきました。

“夢を追いかけている時は、人の心は傷つかない”

–『The Alchemist』とは和訳で”錬金術師”という意味がありますが、このタイトルを付けた意味はどういったものなんでしょうか。

世界中で読まれている”アルケミスト(邦題 夢を旅した少年)”という小説から取りました。その作品は、羊飼いの少年がどんな事があっても夢を目掛けてどんどん旅をする話で、その中に”夢を追いかけている時は、人の心は傷つかない”という言葉があるんですが、それが今の日本にはピッタリだなと。”ロックのロマン”みたいなモノが集約されていると思ったんですよね。

–3曲目に収録されている「The night is young」には”アルケミスト達と 裂かれた聖書”という歌詞もあります。

僕は無神論者なので深くは考えていませんが、”練金術師”というモノと”宗教””聖書”などは調べてみると密接な関係性があるようで、”練金術師”は僕の中で”殉教者”のようなイメージがあって、そこに惹かれるというのはあります。

–前作の『BABY ACID BABY』ではシカゴの”エレクトリカル・オーディオ・スタジオ”でレコーディングされましたが、今回はどのようなレコーディング手段を取ったんでしょうか。

以前にも一緒にアルバムを作ったことのある「ROVO」の益子さん(益子樹)にお願いしました。今回は日本で録ったんですが、立体的に音が聴こえるという意味で”グラスゴー(スコットランド南西部に位置するグラスゴーにあるレコーディングスタジオ)”に近い気もします。前回は”エレクトリカル・オーディオ・スタジオ”で録るというのが決まっていたので、かなり”ゴリゴリとした音作り”を意識して、アナログの質感を生かしていこうというのがあったんですが、今回は益子さんのスタジオで録るという事で”ゴリゴリとしたサウンド”より、どちらかと言えば空間を生かしたり、立体性を求めて制作したので、それをリスナーに楽しんで欲しいなと思いますね。

世の中で一番残酷な事は
“大人が子供の夢を奪っちゃう”事

–確かに”浮遊感”のある音がすごく印象に残る作品でした。その”浮遊感”のあるキレイな音の中で、対照的に歌詞の言葉にはすごく重さを感じました。そこにすごくメッセージ性を感じたんですが。

ジャケットのような、”はぁ”とため息ついているような子達に聴いてもらいたいですね。そういう子達の為にやっているという意識はすごくあります。
世の中で一番残酷な事は”大人が子供の夢を奪っちゃう”事だと思うんですよ。例えば教育であったり、家庭であったり、その中で肉体的でなくても精神的にといいますか、誰かと比べられたりする社会だったりするじゃないですか。はみ出しちゃいけないみたいな。そういう子達の為に音楽をやっているという意識はずっとありますね。ジャケットに象徴されるような少年少女に聴いてもらいたいなというのはあります。もちろん大人にも聴いてもらいたいですけど。
元々僕は「The Cure」や「My Bloody Valentine」「The Jesus and Mary Chain」なんかが好きだったんですが、彼らの曲はすごくメロディーはポップなんだけど、歌っている事は地獄のような事しか歌っていないんですよね。それが一番俺がロックに惹かれた理由でもあります。
例えば、トム・ヨーク(Radioheadのメインボーカル)が世界的には認知されていますけど、日本で言えば中二病みたいな人でしょ?そこまで日本の音楽は成熟していないのかなと思うんですよ。暗い事歌うとやっぱり理解されないですよね。今では「凛として時雨」や「THE NOVEMBERS」がダークな世界観を持って歌ってくれているので、僕がメジャーデビューした当時よりはだいぶ良くなってはいると思うんですけどね。
戦いではありましたね。メロディーはポップに作ってきた自信はあるんですけど、同期でデビューした人達の中でも歌っている事は断トツに暗かったですからね。前向きな歌詞はあんまり好きじゃないんですよ。
例えば”スピッツ”のマサムネさん(草野マサムネ)なんかも、フォーキーな曲であっても、実際に歌詞を見るとかなり変態で、僕はそこに”サイケ”を感じるんですよね。すごく才能を感じます。僕はあえて暗い曲を狙って書いている訳じゃなくて、経験してきた事を歌っているだけで、そこに少しだけフィクションを加えているだけなので。それをどう受け止めてもらっても構わないっていうのはあるんですけど。

秋口にいろいろやろうと思っています。

–今後の活動ですが、3月末に”KINOSHITA NIGHT2013″が開催されますね。

“KINOSHITA NIGHT2013″は自分が好きなメンバーであったり、面白いなと思う人達とやるっていうのが大前提であって、細美君(細美武士:the HIATUS)は好きなので今回もオファーしましたし、バックホーンに関しては同期なので”いつか一緒にやりたいね”って飲み屋で話していて、そこから話が進んで決まりましたね。

–木下さんは「ART-SCHOOL」と平行して「killing Boy」での活動もありますが、そこの両立に関してはどう考えていますか?

日本のロックシーンのトッププレイヤーの人達と一緒にやれているので、そこで得た刺激を「ART-SCHOOL」に生かしたいというのはあります。「ART-SCHOOL」と「killing Boy」の活動が、点と点ではなく線になるように続けていきたいです。

–今後の「ART-SCHOOL」はどう活動していきますか?

秋口にいろいろやろうと思っています。そこでは今までのキャリアを注ぎ切ったような事をやりたいと思っています。