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Chaper line interview
- SPECIAL -

Chaper line interview

四つ打ち裏打ちのビートに絡めて競争と情報過密が生んだ現代日本で今を生きる歪みを唄う新星、Chapter lineの1st mini album。 初めて再生したのはいつかのまだ太陽が昇らない夜明け前 5:30AM。 半分眠気の中の脳内に流し込む全編皮肉の言葉とマイナーコードベースで構成された曲は、総じればなぜか至極ポジティブに背中を押すメッセージに昇華された、希望の歌に聴こえる。 暗闇と光の対比が人間そのものを描写するようなVo.小浦の歌詞には同じ世代に暮らす人々の心の声を代名するような求心力が宿っている。

Interview & Text : 鞘師 至

人の持つ翳りを変換させた救いの言葉と攻めの音楽

―今回リリースとなった1st mini album『夜が終わり』、各曲は最近書き上げたもの?

小浦 和樹 (Vo/Gt 以下 “K”): そうですね、このバンドを結成してからまだ2年経ってないんですが、そこから描き始めた曲をまとめました。 それまでは僕は弾き語りメインで独りで歌を歌っていた事が多かったんで、書き溜めてたというよりは本当にここ最近書いたものばかりです。

-シンガーソングライター出身でこの前傾姿勢なバンドサウンドをやるっていうのがいいですね。

K: 親父の影響だったんですよ、元々弾き語りから始めたのは。 自分の親父がフォークデュオをやっていて家にアコースティックギターがあったんで、何となく教えてもらいながらギターを弾き始めたのがきっかけです。 高校になったら軽音部に入って、嫌々ボーカルもやり始めて(笑)、その流れで弾き語りで歌うようになって、そうなってからはすぐに地元の茅ヶ崎から東京に出て、ライブハウスで歌う様になりました。

-その後このバンドはどこで?

宮内 沙弥(Dr 以下 “M”): たまたま私が当時サポートでドラムを叩いていたバンドで小浦とライブハウスで対バンになって、歌を聴いていいなーと思って声をかけた事がきっかけでした。 私、以前やっていたバンドが活動できなくなってからもいろんなバンドでドラムは叩いてたんですけど、どれもサポートとしての参加だったんです。 いつか「こいつだ!」と思うボーカルと出会うまでは絶対自分のバンドをやらないって決めてたから。 でもなかなかそんなボーカルなんて見つかるものじゃなくて、正直諦めかけてたくらいのタイミングで小浦に出会ったんですよね。 もうとにかくすぐ捕まえようとして話しかけて状況を聞いたら小浦も当時これといってメインで活動している名義のものがなかったんで、それじゃあ一緒にやろう、という流れでようやく自分のバンドとしてChapter lineを始める事になりました。

K: あの時声かけられてなかったら、今でも僕はバンドやらずにずっと弾き語りで独りだったと思います。

-初めは宮内さんがグイグイ引っ張っていって成り立ってたんですね(笑)。 藤さんとの出会いは?

藤 教順 (Ba 以下 “F”): 当時Chapter lineにサポートで入っていた前任のベースの方がその先やれなくなった時に僕もちょうど当時やっていた、eggmanにも出ていたバンドが活動休止になるタイミングだったんですよ。 活動休止の次の日には宮内からメールが来て、「今なにやってるの? 今後の予定は?」って(笑)。

-宮内さん、超肉食系女子(笑)。

F: 2通目のメールでいきなりすごい長文が届いて、だー!っと思いが書いてあってね(笑)、ファーストコンタクトがすごかった。 それもあってとりあえずサポートからでも始めようと思って年末にスタジオでジャムして、その後正式メンバーになって今に至ります。
元々こういう人間だから、自分に書ける事を書いてる。

-小浦さんの歌詞は、憤りとか嘆きみたいなものから力を得ている印象がありますが、そこも親父さん譲り?

K: いや、親父は全うにハッピーな感じでしたね。 何ででしょうね(笑)、そこは血筋じゃなかったんでしょうね。 どうしてもやっぱり、嫌な事が起こった時に書く事が多いんですよね。 自分だったらどんな言葉をかけられたら救われるか、っていうのを想像して。 どんどん変わっていってはいるんですよ、昔はもっと歌詞が暗かったけど、今は何か救いの言葉に繋がってる感じがする。

-憤りも作品に落とし込めば崇高なものに変わっていきますからね。 報われる感覚ってあるかもしれませんね。

K: うん、それはそれで悲しくもあるんですけどね。 嘆きが報われれば忘れてしまう訳で。 報われて楽になる嬉しさとまた別に、大事だと思う気持ちを忘れていってしまうのが悲しいし怖いって感覚もあるから。 例えば人が死んだ事も、歌にしてしまえば綺麗なものになって解決してしまう様な感じ、あれは悲しい。 まぁでも、そういう仕事なのかな、とも思いますけどね。 音楽家っていうのは。

-ちなみに作曲とレコーディングで今回こだわった部分はありますか?

F: ベースとギターと歌と、メロディーラインの差し引きは細かく調整して元の曲より精度がぐっと上げられたので、その作業には時間もかかったけどこだわってよかったな、と思いました。 あとは今回ゲストギタリストとして”その隙間から”の伊藤康佑くんにレコーディングでギターを入れてもらったので、3ピースの音にもう1つギターが重なって表現を広げてくれてます。 最初は「おぉ!」と感動したのとまた別のところで、やっぱり真新しい要素が入るからリフによっては分離してる感じが入り交じってたんですけど、そこも話し合いながら突き詰めていって、仕上がりはすごくいいものにしてくれました。

-スネアの音はLow pitchに抜けていくのが心地よくて、ビート感が曲の疾走速度と合ってる感じがします。

M: あれホイールは普通に4半とかなんですよ、ドラムテックの方に入ってもらえたんでチューニングは下げ気味にして録りました。

F: スネア、すごい並べてたよね。 楽器屋のドラムステーションみたいに並んでて選び放題みたいだった。

M: あれすごかったね(笑) でも最終的に使ったのは3種類かな。 事前のプリプロをしっかりやったんで、自分の中でドラムの鳴りを録る時にはなんとなくイメージできていたんですよね。 「次の曲、スネアはスチールで、チューニングはこれくらいで…」みたいに自分の意見を持った状態で大枠の音を決められたんで、要望をドラムテックの方に伝えながらかなりスムーズに楽しみながら録れました。
自分で創ったものを世に出したかった。

-これまで音楽を続けてきた動機って何ですか?

K: うーん、何かな。 とにかく弾き語りを始める前から歌詞を書いてたり、昔から自分固有のものを作ってみせるのが好きだったんだと思います。 だから最初は一人で勝手に出来るシンガーソングライターを選んで音楽を始めたんだと思います。 人見知りだったっていうのもあってかもしれませんけどね(笑)。 それからメンバーにも出会って今こうやってバンドやって曲作って歌書いてCD出せて、幸せですね。 携わってくれる関係者の人達とかも現れて、それにも本当に感謝してます。

-2年を経て生み出した個性で創り上げたこのアルバム、どんな作品になりましたか?

K: これまでやってきた中で、過去の音源以上に外へ向けて攻めてる感じを出せたと思うんですよ。 ライブでもやり始めは内に向かってく感じだけだったのが、お客さんへ向けてっていう意識も出せるようになったんですけど、それが今回音源でも具現化できたと思います。 今の段階で感じられてるやり甲斐みたいな前向きな気持ちを込められたと思うんで、できるだけ多くのひとに聴いてもらいたいし、ライブに来て音源とまた違った雰囲気も感じてもらえたら最高です。


【リリース情報】
1st Mini Album 「夜が終わり」2015 3/4発売
RCSP-0057 redrec / sputniklab inc.
¥2,000(本体+税)
【収録曲】
M-1: 夜が終わり M-2:微かな光 M-3:大言壮語の逆襲(100円シングル曲)
M-4:ミライチガイ M-5:虚無感 M-6:easy M-7:不完全 M-8:BELIEVE
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【LIVE 情報】
2/12(木)TSUTAYA O-Crest
2/18(水)新宿レッドクロス
2/27(金)名古屋CLUB ROCK&ROLL
4/15(火)下北沢SHELTER(ワンマンLIVE)