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Czecho No Republic interview
- SPECIAL -

Czecho No Republic interview

メンバー脱退などを経て結束が固まったCzecho No Republic。バンドとして良いモードなんだろうなというのはメンバー全員からひしひしと感じる。2020年の結成10周年に向けてのチェコ船の航路は視界良好だ。

インタビュアー:ブッキングマネージャー窪田

―約1年ぶりのCDリリースですね。この1年はメンバーの脱退や今作に関しては久しぶりにmurffin discsからのリリースだったりと激動の一年だったのかなという印象があります。

武井優心(Vo,Ba 写真中央右 以下…武):毎年なんやかんや色々なことが起きるので、特別この1年が激動だったという感覚ではなかったですかね。スムーズでなかったのは事実ですが(笑)。でも全然BADなことだとは捉えてはいないですね。

―そうなんですよね。メンバーから全く悲壮感を感じないのがすごく良いなと。

武:良くも悪くもメンバー四人共タフになってきているのかなと。四人共明るく、楽観的な部分もあって、色々ありながらも前には進めているので。

―今回アー写が独創的だと感じました。テーマを聞かせてもらえますか?

武:アー写をどういうものにしようかという話し合いの中で、様々な案はでたのですがどれもハマっていなくて、こういう写真にしたいというのがふと急に思い浮かんだんです。場所とか衣装とかで受け取り側のイメージって膨らむと思うんです。簡単に言うとそういった前情報を全部取っ払いたかったっていうのが大きなテーマでしたね。本当は顔だけでも良かったかなと思っていたくらい。インパクトもあるし、この写真を見た人が“なんだ!?”って思ってくれたらなって。

―余談かもしれないですが一つ手が多いですね。右上のほうに謎の手が。

武:これはマネージャーの手ですね(笑)。特に深い意味はなくて、なんとなくの違和感を放り込みたかったんです。

―ジャケ写は絵で描かれていて、初期チェコを彷彿とさせるような印象を持ちました。

武:2曲目の『Everything』という曲が出来た時に、ざっくりですが地球というテーマが思い浮かんだんですよね。地球がグワングワンと振動しているようなイメージ。あとは宇宙とか。そんな僕の頭の中のイメージをチェコの初期からアートワークを作ってくれているデザイナー(STOMACHACHE.)さんに話して、描いてもらいました。だから初期チェコという印象を持ったんだと思います。

―ジャケ写を初期の頃からのデザイナーさんに頼んだのにはなにか理由はあったのですか?

武:どんどん切り開いて新しいことに挑戦していて、近年はわりと同じ手法は使わずにというのがバンドとしてジャケ写とかに限らずなんとなくのテーマがあったんですよね。バンドの根底にある精神性みたいなものは一貫しているんですが、常に変化はしていてそこで学べたことがたくさんあったので、初心に帰るというか、自分たちを改めて再度構築した結果という感じですね。

―現体制になって初のCDリリースということもあって、新たなスタートという感覚もあるんですかね?

武:前作は「旅に出る準備」というタイトルで、そうは言いつつも一旦そこで旅が終わっているような感覚もあって、シンプルに立ち返っているモードというのはあるかもしれないですね。

―音源を最初聴いた時も以前のチェコに戻ったようなイメージを持ったんですが、そこも制作のコンセプトとしてあったのでしょうか?

武:“完成しすぎない”というのは意識としてありましたね。隙間がないくらい音もパズルをしてというのが今まで多かったので。今回に関してはギターのアレンジとかもほぼお任せにした曲もありました。多分初じゃないですかね。

―今まではデモの段階で武井くんがガッツリ考えてという感じだったんですかね?

武:そうでないと気が済まないというちょっと潔癖な感じがあったんです。バンド組み立ての頃はそういう技術もなかったのでみんなで作ったりしていたんですが、それが一人でもできるようになってからは自分でやり切ってしまうのが楽しくなっていたんですよね。でも今回はインディーズ時代の1枚目みたいなテンション感というか、そういった感じで制作を進めた曲もありましたね。

―その手法は新鮮だったのではないですか?

砂川一黄(Gt 写真左端 以下…砂):良い意味ですごく遊べたなと思っています。自由度が高かったですね。あくまで主軸は武井さんというチェコのとしての一貫性はありつつも、今までとは違う部分もあって、それがすごく良い方向に進んだ作品になったかなと思います。
山崎正太郎(Dr 写真右端 以下…山):武井が作り込みすぎないということで、よりバンドらしさが増したかなと思っています。四人になってそれぞれの責任感が増す中で、音源でもそれぞれの意見やアイディア、ニュアンスなども強まったので、バンド感が強い作品になったのかなと。そういう部分で以前のチェコに戻ったような印象を持ったのかなと思いますね。
タカハシマイ(Gt/Syn/Vo 写真中央左 以下…タ):砂川さんのギターフレーズとか好きだなと思ったし、メンバーそれぞれが輝ける場所が今までより多くなったかなとは思います。武井さんがメンバーにそういった部分を任せようと思ってくれたことが嬉しかったですね。団結力が増したというか、四人でチェコというのが強まったと思います。

―今作はEPという形式が非常に珍しいなと感じました。初ですよね。

武:アルバムを出すにはまだちょっと早いかなって。
山:曲のストックはたくさんあって、それこそアルバムを出せるくらいにはあるんですが、今はとにかくパワー感の強い曲だけをまとめたCDをリリースしたかったというのがありましたね。厳選に厳選を重ねた結果、4曲でもEPという形にたどり着いたという感じですね。バラエティーに富みつつ濃度は濃いままで、ドンっとより強いインパクトの作品にしたかったんです。

―なるほど。今作の「Odyssey」は“長い旅・冒険”を意味する言葉ですが、前作もそうでしたし、旅とか冒険とかはチェコというバンドにおいての一個のテーマになっているのですか?

武:ここ最近はタイトルにしているからそう思われがちですが、実はきっと最初からそのテーマはあったんじゃないかなと思います。

―チェコというバンドを始めた武井くんの頭の中にずっとある言葉なんですかね。

武:きっとそうだと思います。人生を旅と捉えているニュアンスですかね。

―今作は武井くんがメインボーカルの曲、タカハシさんがメインボーカルの曲と二分割になっているなと感じたのですが、そこは作品作りにおいて意識をした部分ですか?

武:そういう構成にしたいというのはちょっとありましたね。タカハシが舞台の出演があったりして、タカハシマイというアーティストを初めて知るであろう人がいるだろうなって思ったので、タカハシマイは歌もめちゃくちゃ良いんですよっていうのを音源として提示するのは必要かなと思いました。でもそこはそこまで重要ではなくて、良い曲は良いということが大きいですね。今良いと思える4曲がたまたまそういう形だったという側面もあります。

―では今作の収録曲についても聞いていきたいと思います。まずは1曲目「STAR」。

武:この曲は一番最後に出来ましたね。キラキラしたポジティブなパワーを持った曲を作りたいなと思っていたので、最後のワンピースを埋める良い曲になりました。実は曲作りにちょっと悩んでいて、一人でディズニーに行ったんですよ。

―えっ一人でですか!?曲を作るイマジネーションのためにですか?

武:そうですね。その時にエッグマンのスタッフさんに渋谷駅で遭遇して(笑)。

―まさかの展開ですね(笑)。

武:そのあと出来たのがこの曲です。一人でのディズニーの楽しさと切なさというのがこの曲には反映されているかなと思います。あとはこの曲に関してはエレキギターはほとんど入れずで砂川君に任せました。
砂:曲が持っているにぎやかさ、華やかさ、楽しさみたいなところと、バンジョーの音色によってカントリーな雰囲気もあったのでそこに寄り添うようにと考えたのと、曲の壮大さに負けないようなスケール感の大きさを感じるようなフレーズは意識しました。

―そんな曲に続くのは先ほど話にもでた今作のジャケ写のイメージのきっかけになった「Everything」。

武:ジャケ写だけでなく、今作のスタートになった曲です。先ほども話しましたが地球のイメージ。大きな世界観をもった曲ですね。去年の今頃に作り始めました。まだほかの曲は仕上がっていない段階でしたが、この曲があればきっと作品全体も大丈夫だなって思える安心感がありましたね。

―この曲みたいにタカハシさんがメインで歌う曲はあらかじめタカハシさんが歌うと決めているものなのですか?

武:そういう時もありますけど、この曲に関してはタカハシくらいの歌唱技術がないとこの曲は表現できないと思います。めちゃくちゃ難しいんですね。歌が下手だとこの曲は成り立たないなと思って。
タ:嬉しい信頼感ですよね。
武:きっと俺がメインで歌う曲だったらきっと徐々にライブでやらなくなるもん(笑)。
タ:それは困るな(笑)。

―今回のメインの曲ですもんね。そしてそんな曲に続くのは「Wake Up!!!」。今作の中では今までの僕の中でのチェコのイメージに近い印象でした。

武:夏の時期に出来た曲で、すごく自然にできた曲ですね。だからチェコっぽいのかもしれないです。

―なるほど。

砂:この曲は今までにないくらいギターは遊びましたね。遊びすぎたかなと思うくらい。楽し気な曲だし、ノリに任せてという感じでした。

―ライブ映えしそうな曲ですよね。早くライブで聴きたいです。そして今作のラストを飾るのは「オデッセイ」。

武:イントロは結構昔からあって、良いイントロだからいつか曲にしたいなとは思っていたんです。イントロ以外の部分が出来てきたときにイントロと合わせたらハマるかなと思ったらもうピッタリで。だからイントロだけはかなり昔で本編部分は最近できたという不思議な曲です。この曲ができて作品タイトルにも繋がっていったので、今作の締めとして良いポジションの曲になりました。

―この曲は女性言葉がでてきますがタカハシさんが歌う想定で歌詞を書いたんですか?

武:もしかしたら潜在的にそういった意識はあったかもしれないですが、そういう風に決めて作ったわけではないですね。仮に僕がメインボーカルだとして違和感のない世界観の歌詞だとは思います。

―今作を引っ提げてのツアーが決まっていますね。意気込みを聞かせてもらいたいです。

砂:四人で今すごく良い状態なので今のチェコを見てほしいなと思います。四人になってからのチェコをまだ見たことがないという人もたくさんいると思うんですよね。良いライブを見せることができる自信がありますし、楽しんでもらえたら嬉しいです。
山:物理的にそこまで時間が空いたというわけではないはずなんですが、ツアーがものすごく久しぶりな感じがするんですよね。久々にワンマンで行ける土地もありますし、すごく楽しみです。
タ:今年の初め二か月くらい舞台をやっていて、その二か月はライブも少なかったし、久しぶりにスタジオに入った時に私はやっぱりチェコが大好きなんだなって思ったんです。この曲ってこんなに楽しかったっけとか。少し離れてみてわかったことで。ライブが少なかった分の溜まったパワーを一気に開放したツアーにしたいと思います。
武:さっき正太郎が言ったように僕も久々のツアーだなという感覚がありますね。前回のツアーはメンバーが脱退して、コンセプトがガラッと変わってしまったので。もちろん全力でやりきったけど、自分たちがやりたかったものは形にできなくて、修復作業みたいなものに力を割かざるをえなくなってしまったので。今回はしっかりとこのツアーのために準備をして、このツアーのためのライブができるからすごく楽しみですね。どうやったらより良いライブができるかなっていうポジティブな悩みとぶつかっていけるツアーになると思うので、来ていただける方々にも楽しんでもらえたらと思います。

―今号がでるのが4/1で新年度にもなるし、新作リリースもあって現体制チェコの新たなスタートでもあるので、メンバーそれぞれの2019年度の目標を聞いて終わりたいなと思います。

砂:自由にやれているので、その自由度を高めていきたいなというのと、でも自由にやれればそれでいいというわけでもないので、しっかりとお客さんを満足させるバンドでありたいなと思います。やっぱチェコいいねって改めて思ってもらえるような活動をしていきたいですね。
山:バンドの状態がすごく良いので、ナチュラルな感じで活動ができていますが、ナチュラルすぎず尖がる部分は尖がって、しっかりと1年を駆け抜けたいなと思っています。
タ:色々なことを経験して、良い意味でお客さんを裏切るようなチェコにしかできない活動をしていきたいと思うし、それができる状態になっているんじゃないかなと思います。
武:妥協とか諦めたりとかはしたくないし、ビビっちゃったりとか疲れたりとかするタイミングもあるとは思いますが、それに飲み込まれずに2020年・未来に向けてしっかり種まきをして先が楽しくなるような1年にしていきたいと思っています。大きな花を咲かせるために。2020年で結成10年になるのでそこに向けてやっていきたいですね。
山:最高な形で10周年にいきたいですね。

―期待しています。