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Czecho No Republic interview
- SPECIAL -

Czecho No Republic interview

CDセールス、ライブ動員が共に好調、人気アニメのタイアップを獲得するなど快進撃中のバンド、Czecho No Republic(チェコ・ノー・リパブリック)。
そんな彼等の最新シングル「For You」は、バンドの紅一点・タカハシマイがキュートに唄い、サウンドはエレクトロを多様し、これでもかと思うほど「ドPOP」!
しかし、彼等は単なるエレクトロドリーミーポップバンドではない。このバンドはアナーキーイズムを心に秘めている。それはカップリングが「Anarchy In The U.K. 」という事実から導き出される。
そんな筆者の思いで、今作の作詞・作曲を担当している武井優心の真意を探った。

―年末のフェスのCOUNT DOWN JAPANは凄かったですね!あれだけ人が入っている会場をステージから見るのは、かなり絶景だったんじゃないですか?

武井優心(以下、武井):そうですね。でも、あんまり客席は見てなかったですよね。

-照明がまぶしかった?

武井:そういう訳でもないんですが、単純にあんまり見てなかったですね。

-私はPA卓の前でライブを観ていましたけど、会場の後方までお客さんでギッシリでしたよ。二階の客席も全て埋め尽くされていました。
そんな状況をみてバンドの急成長を感じる一日でした。今こうやって盛上がってきているバンドの状況を率直に武井さんはどう思っていますか?

武井:単純に嬉しいですね。でも、もっとお客さんは増えて欲しいです。武道館でライブできるくらいにはなりたいです。

-あの客席にいた人がみんな来てくれれば余裕で武道館もできますよ!

武井:でも、きっとみんなは来てくれないからなぁー(笑)。

-まあ、フェスだけ来るお客さんもいますからね(笑)。
でも、最近のCzecho No Republic(以下、チェコ)はCDのセールスもそうですが、知名度も格段に上がっている状況だと思います。
様々なタイアップも続々と決定している中で、”ドラゴンボール”であったり、今作品の”ポッキー”などの様々なイメージが付いてくる状況をどう感じていますか?

武井:”ドラゴンボール”のエンディングテーマの制作はとても難しかったですね。

-あれはまさに”ドラゴンボール”の為の書き下ろしという状況で、なかなかイメージに合うものを作るのは難しかったと思いますが。制作は結構難産でしたか?

武井:難産でしたし、完成した楽曲も”これで良いのかな”と不安にもなりました。

-すごく好きなアニメのタイアップという事もありましたし、ハードルは相当高かったですよね。
また、今作では”ポッキー”とのタイアップですが、この「For You」はメジャーの1st アルバム『NEVERLAND』の収録候補のデモ楽曲にも入っていましたよね?しかも、その時は武井さんが歌っていましたが。この楽曲をタカハシさんが歌う事になったのはいつ頃からですか?

武井:メジャー2ndアルバムの『MANTLE』のデモ制作合宿の最終日に、タカハシが歌う「For You」を聴いてみたいという事になりました。アレンジまで詰められる時間がなかったこともあり、その時は歌メロだけを弾き語りで入れたものを制作しました。

-確かにタカハシさんバージョンのデモは弾き語りで、その印象が自分的にはすごく強かったので印象に残りました。『NEVERLAND』の時も、このデモを聴いてみんな良い曲だと認識していたのに、何故その時に収録しなかったんでしょうか?

武井:なかなか、アレンジが固まらなくて…。

-そうだったんですね。では『MANTLE』でも収録されなかったのは、何故ですか?

武井:その時もまだアレンジが、間に合わなくて…(笑)。

-相当寝かしましたね(笑)。では、今回やっとアレンジが固まったと。
今作は”ポッキー”のイメージにもすごく合っていると思います。
この楽曲はタカハシさんがリードボーカルのシングルリード曲という事ですが、なにかバンドで決意があったりするのでしょうか?

武井:そういう事でもないですけどね。

-例えば”ユニコーン”の再始動の時のファーストシングル「WAO!」のメインボーカルはABEDONさんだったんですよ。

武井:それすごい!絶対、奥田民生さんだと思っていました。

-ユニコーンというバンドにとって、誰が歌うかって事は別になんだっていいということだったんだと思うんですよ。そして、そんな同じような決意がチェコにはとっくの昔に出来ていたって事なのではないのかなと思いました。

武井:それって普通の事ですよね。服を着て出掛けるぐらい普通。ちなみにこの曲は俺も半分くらい歌っていますけどね。クレジットで”ボーカル”や”コーラス”という言葉が付いているから分かり難くなってしまっていますよね。”コーラス”って書くからややこしい。

-八木さんも歌っているし、もはやチェコはみんなボーカルですよね。

武井:タカハシのパートが”シンセコーラス”って言っているから分かり難いというのもあると思います。みんな”ボーカル”って書いちゃえばいいんですよね。
“THE ALFEE(アルフィー)”みたいにしちゃえば良いんですよ。

-確かにね(笑)!

武井:”SMAP”ってボーカルとかって書いてないですもんね。そういうのでもいいんじゃないですか?書かずに内緒にしちゃえばいい。

-確かにそうですね(笑)。チェコにはそういう決意があって、細かいところを気にしないバンドだと思うんですよね。
話はまた楽曲の事に戻りますが、前作からエレクトロを多用して打ち込みの部分が多いですが、武井さん的に今自分の中で良く聴いていて、影響を受けている音楽なのでしょうか?

武井:単純にそうですね。それに、バンドサウンドを長年やってきて、耳が飽きちゃった部分もあると思います。

-過去をたどると、現存しているバンドもまさにそういうところがあって、”くるり”や”スーパーカー”も2作目3作目辺りで急に打ち込みを導入しています。ちょっとバンドサウンドに飽きてしまって、実験したくなっちゃう時期なんでしょうか。そして、絶対4作目5作目で生楽器がメインのバンドサウンドに戻ってきますよね。

武井:それも理解した上で、今の音楽をやっています。

-チェコもそういう時期なのかなと感じているんですが、エレクトロなサウンドはこれからも取り入れていくつもりですか?

武井:どこまでエレクトロと言い切るかにも寄りますね。

-実際、ドラムの山崎さんは電子パッドを叩いてエレクトロな音を出していて、いわゆるヒューマンビートですが、聴いている人からすると打ち込みのエレクトロポップだと思って、その違いに気付けない気がするので、そこの誤解は取っておきたいですよね?チェコの音楽は、音色はエレクトロだけれども、ちゃんと人が演奏しているいわゆるアコースティックなやり方でレコーディングしていると。

武井:そうですね。ちゃんと自分達で叩いていますよ。でも、そういった音を流しているだけの音楽も、やってみたい気持ちもありますね。

-『MANTLE』に収録されている「Clap Your Hands
」なんかは、まさにエレクトロなサウンドをダイナミックに使っていて、すごく良い作品が完成しましたが、そういったサウンド成功したので、発展形がこの後に続いていくのでしょうか?

武井:この音楽には、まだまだ知らない事があって、どんどん発見があるので、まだまだ続けていければと思います。

-武井さんはツアー中の合間のちょっとの時間でも、PCをいじってデモやトラックを作成していますもんね。
そういういろいろな試行錯誤を経て、いつかアナログに戻ってくると思います。ピアノも、生ピアノじゃないと嫌になってきたり。そういったところも、次作に繋がっていくのかなと思っています。

武井:そうなっていくととても面倒になりそうですね。
でも確かに、最近やっとアナログの音の良さがわかってきました。やっぱり、生の音の方が良いなと思う時もありますね。

-今後の制作に関してどうしていきたいとか興味があるものはありますか?
今までは余分な物を省いてコンパクトに曲を作る事を意識してきましたが、
次作ではそういった物も全ては省かずにある程度残して、少しラフに作ってみたいですね。
あまり整理をし過ぎると、セッション性というか遊びの部分が無くなってしまうような気もしています。
綺麗な部屋より、少し散らかっているぐらいの部屋の方が落ち着くみたいな。次作ではそんな曲もつくっていきたいですね。
他にも、今まで使った事がないコードを使ったりと、新しい事にも挑戦していきたいです。

-今まで使った事が無いような、新しい楽器に挑戦とかしてみるのもどうですか?シタールとか。

武井:良いですね。取り入れてみたいです。いろいろ挑戦したい事があるので、もっと練っていきたいですね。

-わざとチープにしているシンセの音のストリングスが入っていたり、ラッパの音が入っていたりと、アレンジ面でもこだわりはありましたか?

武井:ラッパの音は生で録っていたりしていますね。
始めはシンセの音を使って録っていたのですが、スタジオで急にこだわりたくなって、急遽生音をレコーディングする事にしました。
小難しいアレンジはせずに、楽しい感じが出せるようにシンプルなアレンジにしています。

-ここで歌詞のことにも触れたいと思います。「For You」もそうなんですが、武井さんの書く歌詞は、短文や特徴的な単語を並べながら曲を構成していますが、歌詞の書き方で意識している事はありますか?

武井:風景を思い浮かべながら歌詞を書いています。場所だったり、シチュエーションだったりを思い浮かべながら書いていますね。
また、日記のように実際ある出来事を書いていたり、その出来事を想像しながら書いていたりもします。

-八木さんの作詞は非常に具体的なものをモチーフにしていると思いますが、それに比べて、武井さんの作風は空想的な要素も多いかなと思ったのですが、そこに関してはどう思われますか?

武井:特に意識はしてなかったです。俺の書く曲は実際の事と、空想の事は半々くらいですかね。
ちなみにこの曲は歌詞がすごく難産でした。4日間ぐらいなんにも出て来ないなんて事もありました。
タカハシと2人で歌いながらも、デュエットソングのように2人で会話するような曲じゃなく、2人で1つの事を歌いたいというところを書きたくて、いろいろと苦労して書きましたね。

-一方、カップリング曲「Anarchy In The U.K. 」はセックスピストルズの名曲のカバーですが、この楽曲を収録したキッカケはなんだったんでしょうか?

武井:ラジオの企画でカバーしたのがキッカケですね。ラジオで洋楽のカバーのリクエストがあって、洋楽は今まで個人的に聴く専門だったという事もあり、カバーする楽曲をどうしようかな。と悩みました。
俺が昔からこういったパンクシーンの楽曲も好きで、何度かリハーサルの合間で弾いたりしていたのもあって、八木がこの曲はどうって提案してくれました。
普通、洋楽の楽曲は英詞の歌い方も難しいですが、この楽曲はパンク独特の歌い方に味があるので、そういう面でも取り入れやすいかなと思いましたね。

-偶然、移動中の車でそのラジオを聴いていたのですが、とても面白い事するなと思いましたよ。アレンジの完成度も高いですよね。
あのパンクサウンドを、アレンジしたら面白いものができるんじゃないかなと思って制作しました。昔からずっとこの曲を聴いてきていた事もあって、案外すんなりアレンジも固まりました。
シンセのアレンジが、タカハシと八木が取っ組み合いのケンカをしているかのように攻められたものが取り入れられていて、とても面白いものができたと思います。

-本当にそうですね。個人的な感想ですが、今作は2曲入りのシングルの中、「For You」と「Anarchy In The U.K.」という全くの正反対のイメージを持った2曲を入れてきたところに、”チェコ”の気持ちを感じられました。
今、”チェコ”は日本のJポップシーンの中にいますが、「Anarchy In The U.K.」という楽曲を選択したことによって、”チェコ”の心情というか、アンチテーゼ的な部分もリスナーに伝える事ができているのではないかと思います。

武井:こういう楽曲なので、そういう事も考えては制作していましたね。

-武井さんの持っているパンクイズムを感じる事のできる部分でもありますが、そこに関してはどうでしょうか。

武井:そういう気持ちもありますけど、そこまで意識していなくて、たまたまの部分も大きいですね。

-この楽曲は、ライブでも演奏する予定ですか?

武井:せっかくリリースされるので、ライブでもできればと思っています。
まだ全然練習できていないですけど(笑)。

-このシングルをリリースして、その後の活動もとても興味がありますが、イメージはありますか?

武井:今後は、もっと耳当たりの良い楽曲を制作していきたいですね。歌とオケの溶け込み具合をもっと極めていきたいなと思っています。元気いっぱい歌う訳ではなく、いろいろな要素を足して聴きやすい音楽を作っていきたいです。
夏に向けて、夏をイメージさせる楽曲だったり、野外にも合うようなイメージの楽曲も作っています。
最近アコースティックのライブでは、俺とタカハシがユニゾンで歌うスタイルを取り入れているのですが、そういった要素も今後もっと取り入れていきたくて、そこのパートの割り振りに関してもいろいろ試行錯誤していければと思います。

-更にその先の将来はどう考えていますかを具体的に教えてもらえますか?

武井:納得のいく曲をもっと作っていきたいですね。曲を書き続けていきます。
あと、本当に武道館でライブやりたいです。

-”チェコ”は洋楽アプローチの音楽を、ちゃんと日本で鳴らせる数少ないバンドだと思います。最近頭角を表している次世代バンドにも引き継いでいけるバンドだと思うので、これからの活動も期待しています。
ありがとうございました。

武井:ありがとうございました。