―前回の「アンモナイト!／黄昏のラプソディ」のインタビューの時は幸子さんお一人だったので、4人でのインタビューは久しぶりですね。よろしくお願いします。
ねごと：よろしくお願いします！
－まずはアルバム完成おめでとうございます。タイトルが「VISION」という将来を感じさせる印象の物となっていますが、それがアルバム制作のコンセプトとなっていた感じでしょうか？
沙田瑞紀（Gt 以下…沙田）：アルバムを制作するタイミングではこのタイトルが既にあったわけではなくて、セルフプロデュースでの制作だったのでまずはとくかく過去の自分に打ち勝つというのが気持ちとしてあって、さらに過去のねごとより今のねごとの方が表現したいことを表現する力や具現化する力が増しているのはプレイヤーとしての演奏力も含めて確実に強まっている状況だったので、ねごと史上最高傑作と自分たちで自信を持って言える1枚を作ろうというところが制作のスタートでしたね。
－今お話に出ましたがセルフプロデュースという部分は今作の根底にあったということでしょうか？
澤村小夜子（Dr 以下…澤村）：なんとなく「自分たちでやってみよう」とそういうところから始まったよね。
藤咲佑（Ba 以下…藤咲）：さっき瑞紀も言っていましたが今のねごとならできるだろうという気持ちが強かったんですよね。
澤村：去年3月に出した『”Z”OOM』というミニアルバムのときもセルフプロデュースに近い感じだったので、出来る自信がありました。『”Z”OOM』の時はそれぞれのメンバーが作詞をして個性を際立たせる感じでしたが、今回はねごとというバンドとしての勝負したかったという部分もありました。
－実は前回のインタビューで幸子さんから、メロディを基軸により明確に1つのビジョンに向かって4人で固めていく形ができつつあって、それがバンド的にしっくりきている感覚があったんです。という言葉があって、「VISION」という単語が既に出てきていたんですよね。
澤村：それ面白いですね。
蒼山幸子（Vo,Key 以下…蒼山）：私が既に言っていたんですね（笑）。
－てっきりその頃から今作のタイトルが決まっているのかと思ってしまいました（笑）。
蒼山：潜在的にこの単語があったのかもしれないですね。
沙田：4人が一つになって、ねごとというバンドを全員で作りあげるという意識ができたというのはあるかもしれないですね。以前がまとまっていなかったという訳ではなく、ねごとという音楽に対して一人一人がそれぞれのアプローチで接していたと思うのですが、今はその一人一人の個性を活かしつつねごとというバンドをどう活かすかということを実行できるようになってきた感覚があります。
－曲ごとのタイトルにもそのコンセプトが反映されている感じでしょうか？1曲目の『未来航路』や13曲目の『憧憬』など「VISION」という単語とリンクするようなイメージがあります。
藤咲：ほとんどの曲は出来上がってからタイトルを付けていて、自然とそういう流れになっていた感じですね。歌詞を見ても未来を感じさせるような物だったりしていて、最終的にぴったりな物が完成したなという感覚はあります。
－これだけボリュームのある曲たちをまとめるタイトルというのは相当悩んだんじゃないですか？
澤村：300個くらい候補あったよね（笑）。
－そんなにですか！？（笑）。
沙田：「VISION～～」とか「～～VISION」とかも候補にでていたり、色々候補がある中で一つの単語で言い切るのがいいんじゃないかという結論になったんです。
藤咲：「VISION」という言葉に強さも感じたんですよね。13曲すべてが強い感じなので、それをまとめるには強さが必要だろうと。
－確かにバンドとして、アルバムとして、この1枚に強さがあるというのは納得できます。僕の中でねごとは無機質だったり少しフワッとなにか固定の雰囲気がないバンドというイメージがあったので今作は違うんだなというのを感じました。
沙田：今までももちろんねごとはバンドだったんですけど、この作品が出来上がった時に「あっ、私たちはバンドなんだな」と改めて実感したんですよね。それが音に表れたのがすごく嬉しいですね。
蒼山：目指しているものに近づくことができている感覚です。
－それはデビューから4年以上の歳月が経ったからこそ辿り着けた場所ですかね？
蒼山：1stアルバム『ex Negoto』や2ndアルバム『5』など今まで出してきた作品の流れがあって今のねごとが出来上がってきたというのは紛れもない事実でしょうね。デビュー当時には今回の音源を作ることはできなかったです。
－こうやってお話を伺っていると今作に対しての自信を非常に強く感じます。出来上がってみての感想を改めてそれぞれに伺いたいです。
蒼山：胸を張って今のねごととして、最高傑作だと言える1枚が出来上がったという自信がありますね。
藤咲：ライブとは切っても切れないすごく力強いアルバムになったと思います。ライブに対してすごく意欲的に楽しんで向き合っている今の自分たちに引っ張られて完成した1枚かなと思います。
沙田：先ほどもお話しましたが、バンドなんだなという気持ちを改めて実感してしまうくらい自分たちで作り上げた自分たちの意志が詰め込まれていて、ここまでそれを具現化できたのは初めてだったので、この曲たちがどうやってライブで伝わるかすごく楽しみです。
－このアルバムをライブで表現するのは相当難しそうですよね。
藤咲：難易度高いです（笑）。
沙田：スタジオでみんなでヒーヒー言いながらやってます（笑）。
藤咲：今までこんな状況になったことなかったよね。
澤村：レコーディングではパートごとに分けてやることもできますが、ライブでは当然4人で同時ですからね。頑張ります！
－そんな小夜子さんは今作が出来上がってみてどうでしたか？
澤村：メンバーが言っているように最高傑作だなと思います。それで間違いないですね。肉まんになれたかなと思います。中身もしっかり美味しいみたいな。
沙田：聴きごたえあるよね。
－聴きごたえはあるけど、重くない感覚ではあると思いました。あっという間に全曲聴けちゃうような。セルフプロデュースということが良い方向に進んだからこそですかね。
沙田：「ぶれたくないな。」と制作途中ですごく感じました。色々なアドバイスをくれる方もいましたが、自分たちの作り上げたいものに対して真摯にまっすぐ向き合って、突き詰めたからこそ完成した1枚ですね。
－セルフプロデュースだとゴールを見出すことが難しいのかなと言う印象もあります。
澤村：今回に関しては事前のプリプロにもしっかり時間をかけましたし、準備をしっかりしてレコーディングに臨んだので制作スタートの段階である程度しっかりとゴールを見据えて走り出せたかなとは思います。
－レコーディングではどうでしたか？
藤咲：学園祭ツアーと並行してのレコーディングだったので切り替えることは意識的にやりましたね。ライブ感は引き継ぎたかったので完全に針を振り切るわけではなかったですが。
澤村：かなりテクニカルなことをやっているのでそれをしっかりやりつつグルーヴ感を出すという部分は苦労したかなと思います。
沙田：ノリをしっかり合わせるのが大変だったんです。
－相当テクニカルな演奏ですもんね。幸子さんは歌の面でなにか意識したところはありますか？
蒼山：様々な楽曲たちに対してどうやって表情をつけていくかということはもちろん意識しましたが、特に『ドリーミードライバー』はすごく歌うのが難しくて声が全面に出る曲なのでどうやって表現しようかなどは試行錯誤しました。でもそういった一つ一つのことが勉強になりましたし、次にも繋がっていくかなと思います。
－今お話があった10曲目『ドリーミードライバー』は祐さん作詞、瑞紀さん小夜子さん作曲の作品で8曲目『透明な魚」は小夜子さん作詞、瑞紀さん小夜子さん作曲の作品で、今まであまり見ることのなかったペアで多様性が増したような印象もありますがどうですか？
澤村：自然とこういった形になっていったので自分たちとしてはそこに関して特別感はなかったですかね。
沙田：曲を書いた段階でこの曲の歌詞はこの人が書いたら合うかなとかそういったイメージが湧くのでそれで進めていきました。
－難しい質問かとは思いますがそれぞれお気に入りの1曲を挙げてもらえますか？
澤村：私は6曲目の『コーラルブルー』ですね。爽やかでカッコいいし、コーラスも綺麗だし演奏していてすごく楽しいですね。すごく難しいですけど（笑）。初期ねごとが好きな人は絶対好きだと思います。
藤咲：思い入れが強いのは歌詞を書いた『ドリーミードライバー』ですね。『”Z”OOM』の時に歌詞を書いた『風惹かれ』は恋と夢どちらの側面からでも捉えることができる歌詞を書いたんですけど、今回は恋をテーマにまっすぐ書いてみようと思って書いたので。正直ちょっと恥ずかしさはありますが、女の子にぜひ聴いてもらって伝わったら嬉しいなと思います。
沙田：そうなんだねー。
－インタビューで知るメンバーの気持ちですね（笑）。幸子さんはどうでしょうか？
蒼山：いやー、全部好きなんですよね（笑）。
－そこの中でも1曲お願いします！（笑）。
蒼山：あえて1曲選ぶとしたら4曲目の『エイリアンエステート』ですかね。今回の曲たちの中でも彩りが強くて、濃くて、異質な感じもしつつ、ねごとらしさも新しさも詰まっているかなと思いますね。この曲が作れたことは自分たち自身のステップアップになったと感じます。
－では3人の意見を受けて瑞紀さんどうでしょうか？
沙田：全曲アレンジをしたので全部大変ではあったし、すごく時間もかけたし、思い入れはそれぞれすごくあるんですが、バンド感をギュッと詰め込むことができたなと思うのは7曲目の『GREAT CITY KIDS』ですね。スタジオでの4人の感覚をそのままパッケージしてカッコよく作ることができたと思います。今のねごとを一番新鮮に感じてもらえるんじゃないかと。
－アレンジを考えていく段階で曲順とか考えていくんですか？
沙田：なんとなくイメージはしていますよ。
－これだけ強者揃いになると曲順決めるのはかなり難航したんじゃないですか？
藤咲：チーム全員でそれぞれ意見を出してという感じでしたね。
蒼山：最初の3曲の流れをどうするかというのが大きな論点の一つでしたね。そこが固まって2曲目に『黄昏のラプソディ』を持ってくるのが決まってからはかなり早かったですね。ここに新しいねごとサウンドのこの曲を聴かせるってことはそういうモードだよね。という意志統一はありました。2年ぶりのフルアルバムリリースですし、最高傑作だからこそ曲順にもとことんこだわりました。
－今お話があったようにフルアルバムとしては約2年ぶりですし、大学を卒業して約2年経ってみての変化はいろいろありましたか？
藤咲：自分たち主導になったのは大きい変化ですかね。
沙田：バンドとして強くなりましたね。ライブに対してもすごく気持ちが変わりましたし。
藤咲：ぶれずにどんな場所でも芯を持ってライブできるようになりましたね。
－小夜子さんは変化感じる部分はありますか？
澤村：佑が泣き虫になったかな。
藤咲：元々だよ（笑）。
澤村：熱い気持ちをそれぞれしっかり話せるようになったってこと（笑）。
蒼山：良い意味でどんどん枠組みというものから外れるようになってきたかもしれないですね。大学に通っていた時は学業もバンドもしっかりやらなきゃ、しっかりしなきゃと変に真面目すぎたかなと思うんです。
藤咲：こういった取材などでもこれは言っちゃいけないのかなとかね（笑）。
蒼山：それってロックじゃないなと（笑）。
－確かにそれは感じますね。以前の取材に比べてすごくはっきりと応えている印象があります。
沙田：音楽に対してだったりいろいろな物事に対して正面から向き合えるようになったかもしれないです。あとは大学を卒業して物理的に時間ができたというのもありますね。
－そんなねごとが自身初となる全国ワンマンツアーを春には控えていますが、どんな意気込みでしょうか？
藤咲：このツアーでライブを観たらまた次にライブを観たくなるようなツアーにしたいなと思っています。熱いライブにしたいですね。
沙田：ワンマンという長尺のライブで全国を回ることができるので、たっぷりとねごとワールドを楽しんでほしいなと思います。
蒼山：この最高傑作を引っ提げてあとは来てくれる方々に伝えるだけなので、そこに集中したいですね。しかも今作の曲たちはライブでの出来栄えが良ければ良いほど伝わる曲たちばかりだと思うのでそこは私たちとしても勝負どころだと感じています。ライブバンドでありたいという気持ちと共に全力で放ちます。
藤咲：本当に勝負だよね。
沙田：ツアーで曲たちがどんな成長するか楽しみだよね。
澤村：私自身もすごく成長できるツアーになるんじゃないかなとも思います。あとはありがたいことに最近コピバンやってますという声を聞くことも多くなってきたので今作の曲たちもライブを観てぜひコピーしてくれたらすごく嬉しいですね。
－この曲たちをコピーするのはかなりハードル高いとは思いますが（笑）。
沙田：自分たちでもヒーヒーですからね（笑）。ワンマンツアーなので自分たちとの戦いにも勝たなければですね。
－今作のタイトルにもあるように、今描いている自分自身のビジョンを教えてもらえますか？
澤村：将来はお母さんになりたいですね（笑）。
沙田：急な回答だね（笑）。
－瑞紀さんどうでしょう？
沙田：ステージに立つ以上しっかりと芯を持って音楽を発信したいなと思いますし、もっともっと良い曲を作って多くの人に聴いてもらえるようになりたいですね。
藤咲：ねごとが発信している音楽をキャッチしてくれている方々から元気をもらっていますと言ってもらえて嬉しいのですが、もっともっとそう言ってもらうことに対してふさわしいバンド、プレイヤーになりたいなと思います。
蒼山：私はライブを通じて生きる希望を与えることができるアーティストになりたいなと思います。10代の私には恥ずかしさもあって言うことができなかったけど今なら言えます。曲のクオリティを高めたいとか世界観を大事にしたいというのはもちろんずっと思っていますが、それ以上のものを与えることができなければステージに立つ意味がないとも思うようになったので。
－バンドとしてのビジョンも聴かせてもらえたらと思うのですが、9月でデビュー5年になりますがなにか企画などは考えているのですか？
沙田：まだ言えないんですよ（笑）。
藤咲：すごく色々考えていて、チーム全体で練っているところです。
蒼山：なにかしらやります！（笑）。
沙田：おそらくライブかな？
－ぜひライブはやってもらいたいですね。実はデビュー5周年でした。みたいなブログで終わりとかは悲しすぎます（笑）。
澤村：それは寂しいですよね（笑）。
藤咲：ツアーが6月に終わったらすぐにデビュー5周年の9月を迎えますし、あっという間の1年になってしまいそうですね。
－そんな今年1年はどんな年にしたいですか？
澤村：25歳になりますね。早いなー。
沙田：アラサーだね（笑）。
澤村：それぞれが新しいことに挑戦していきたいね。プレイヤーとしてしっかり成長していきたい。
沙田：プレイヤーとして成長してそれをバンドとしての底力に繋げたいね。
蒼山：バンドしてのテーマは進撃のねごとですかね。今作『VISION』を出すねごとというバンド、ねごとという音楽を世の中にもっと知ってもらいたいって強く思います。
藤咲：今のねごとを聴いてほしい。
沙田：ヤバいと思ってほしいし、ヤバいと思ってもらえるだけの1枚が出来たからね。そう思えてツアーを回って5周年を迎えられることが本当に幸せです。
－今年1年のねごとの成功を願っています！
ねごとpresents「お口ポカーン?!初の全国ワンマンツアー2015〜VISIONは続くよどこまでも♪〜」
3月24日（火）【千葉】 千葉LOOK
3月26日（木）【栃木】 HEAVEN’S ROCK UTSUNOMIYA VJ-2
3月28日（土）【兵庫】 神戸 太陽と虎
3月30日（月）【岡山】 岡山 CRAZY MAMA 2nd Room
4月04日（土）【岩手】 the five morioka
4月05日（日）【宮城】 仙台 enn 2nd
4月12日（日）【北海道】 札幌cube garden
4月17日（金）【石川】 金沢 vanvanV4
4月18日（土）【新潟】 新潟 GOLDEN PIGS BLACK
4月25日（土）【高知】 高知 X-pt.
4月26日（日）【香川】 高松 DIME
4月29日（水・祝）【愛知】 NAGOYA CLUB QUATTRO
5月16日（土）【広島】 広島Cave-Be
5月17日（日）【福岡】 FUKUOKA BEAT STATION
6月06日（土）【大阪】 UMEDA CLUB QUATTRO
-TOUR FINAL-
6月07日（日）【東京】 Zepp DiverCity(Tokyo)
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VISION 3/4発売
【初回生産限定盤】
¥3,700＋税
KSCL-2546 〜 KSCL-2547
【通常盤】
¥2,870＋税
KSCL-2548