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Half time Old interview
- SPECIAL -

Half time Old interview

2014年にはコンテスト優勝でイナズマロックフェス、COUNTDOWN JAPAN等への出演も経験し、結成5年、バンドの準備が整った今、初のフルレンスアルバム『人生の使い方』リリースを発表したHalf time Old。 “来年はもっと忙しくなるんです” ともう既にひとつ先を見てぐんぐん進もうとする前のめりな意思を見せるメンバー3人に、今作とこれまでのバンドの素性について聞いた。 歌いたい事も楽曲の構成スキルも、これまでの経験を土台にして確実に1フェイズ上へ音楽的に更新された今作を聴いて、制作、リリース、ツアー、を都度繰り返す彼らのバンド活動が、平面動作でなく螺旋で少しずつ上へ、登っていく沙汰だと実感する。

Interview & Text : 鞘師 至

ー 今作、活動5年目での初のフルアルバムリリースですが、これまでのリリースと心持ちは違いますか?

■阪西暢 ( Dr 以下“S” ): 未知ですね、フルアルバムは初めてなんで。 これまではミニアルバムとかシングルで細かく出して行ったんですけど、ようやくバンドとして “フルアルバムは今だろう”と思えるタイミングになったんで、今回初めて12曲入りでフルボリュームのアルバムをリリースする事にしました。

ー ちなみに5年前、このバンドを結成したきっかけは?

■鬼頭大晴 ( Vo.&Gt “以下K” ): 最初どっちから誘ったかあまり覚えてないんですけど、一番最初は小鹿がギターを買ってきて、そこからバンドやろう!っていう話しになって始まったと思います。

■小鹿雄一朗 ( Gt 以下 “O” ): 僕と鬼頭が小学校~中学校の同級生で、バンドを始める前からずっと一緒に遊んでたりしてた仲だったんですよ。バンドに興味を持ち始めたのが高校生の時ですね。 高校一年の夏に初めてギターを買って、その時に鬼頭と「コピーバンドとかやりたいね」っていう話しになって、バンドを組んだんです。 元ベーシストともその時既に知り合いで、彼がバンドとか音楽に当時から詳しくて、CDを貸してもらったり、最新のおすすめの音楽を紹介してもらったりしていたのがきっかけでバンドやりたくなっていったんですよね。 最初に見に行ったライブが、名古屋QUATTROでやってたLUNKHEADのライブなんですけど、それを見てバンドやりたい熱が具体的になったかもしれない。

■K: そういう意味では僕もバンドかっこいいな、俺もやりたいって思ったきっかけは一緒で、別の公演でしたけどLUNKHEADのライブを見て、でしたね。 

ー 坂西さんはその後に二人に出会う訳ですね。

■S: そうですね、前に居たベーシストと大学が一緒で誘われてやり始めました。

ー バンドを始めた当時、名古屋では同じシーンに居るような同期のバンドって沢山いました?

■S: タイミング的には俺たち閃光ライオット世代で、そこに出てたバンドで言えば名古屋ではけっこうギターロックっぽい音をやってるバンドは多かったんですよ。 で、その中で活躍してるバンドは同期も、歳下もいたんで、そいつらに負けないように的な何クソ精神でやってましたね(笑)。 それでやっと今当時のそういうバンドと肩並べてやれ始めたかな、っていう時期です。

ー 同期のバンドって例えば?

■K: LUCCIとかは付き合い長いかな。

ー ずっと一緒に対バンしてきた仲?

■O: タイミングが合わず、対バンは意外にあんまりやってないんですよ。

ー バンド結成からずっと拠点は名古屋ですが、上京を考えた事は?

■O: う~ん、まだないですね。 まだ名古屋でちゃんと結果を出せてないので、今の所は拠点名古屋でやっていくつもりです。 移住せざるを得ない程東京での活動が忙しくなったり、何か必然性が出て来ればもちろん考えるんですけど、中途半端な状況でなんとなく東京へ行くっていうのは自分達の活動スタンスではないかな、と。

ー 今作品、過去shibuya eggmanに出演してもらった時にライブを見て感じた出音もデカくて、ライブバンドっぽいロック感があるイメージと比べて、どの曲もロック一筋というよりは細かい部分までこだわって作られたサウンドだなぁと感じました。とてもPOPで耳に残るというか。

■K: 今回のアルバムは編曲を175RのISAKICKさんにやって頂いたんですけど、これまでになかったこのバンドのエッセンスみたいな部分は、ISAKICKさんに引き出してもらった部分が大きいと思います。特に歌を引き立たせてくれる様なアレンジをいろんな形で提案してくれて、経験としてすごく為になりました。

ー 作曲の工程等、いつもと違うアプローチをしたりは?

■K: ありましたね。 これまでは歌詞とメロディーを並行して作っていくのが僕の普段のやり方だったんですけど、今回曲の元となるラフ段階での音源を送る時に、ISAKICKさんからは「歌詞を載せないで、曲に鼻歌だけ入れた状態で曲のデータが欲しい」とオーダーがあって、その通りに送った後にISAKICKさんからメロディーとかのアレンジ案が加わった状態でデータを戻してもらって、そこに初めて歌詞を付けていく、という流れをやったんですよ。そこから歌詞をメロディーにはめていく作業が難しくて大変でした。今回みたいに自分達以外の人のアイディアを入れてもらって仕上げていく作業っていうのは初めてだったんで、歌詞1曲を完成させるのに1~2ヶ月位かかったりして、時間はめいっぱいかけてこだわって作りました。 

ー 収録曲は最近作られた新曲ばかり?

■K: 実は、「幸福病」(M3)、この曲だけは高校生くらいに作った曲を編曲して今バージョンで収録したものです。 この曲を作った時期、僕も若かったのかもしれないんですけど、けっこう文句ばっかり歌詞にしてたんですよ。 文句ばかりだったので歌いたくなくなっちゃって、ライブでもやってなかったし、音源にもしてなかったんですけど、今回フルアルバムようやく出すってタイミングなんで、ちょうどいい頃かなと思って歌詞も書き直して、アレンジも見直して収録しました。けっこうガラッと変えました。歌いたいことって少しずつ変わっていくんですよね。

ー 高校生の頃から比べて、歌いたいことがアンチテーゼから変わっていったのはなぜ?

■K: 文句ばっかりの歌詞もかっこよくなったりするとは思うんですけど、今の自分としてはそれって聴いた後にモヤモヤした気持ちしか残らないから、今の自分のやりたい事と違うな、って思ってきちゃったんですよね。

 

ー 今は、何を?

■K: いまだに文句は言っていいと思ってるんですよ、ロックンロールってそういうものだと思ってるし。 でもどこかに微かでもいいから希望が見えて来るものを今は歌いたいと思ってます。 そうすればその少しの希望の部分がその曲の一番強いパーツになって心に入ってくると思うんですよ。 だから、今回の曲にも絶対にそういう1部分は入れるようにしました。

ー それぞれの歌詞にあるストーリーはどれも、アルバムタイトルに集約されたような、ひとりの少年の暮らしの中に湧く細やかな気持ちを綴っているものに思えますが、これは鬼頭さん自身の実体験の物語ばかり?

■K: ノンフィクションもありますし、例えば「a.o (Album Ver.)」(M4)とかもそうですけど、周りにいる友達とかと話していてその人の経験を題材にして書いた曲もけっこうありますね。 友達と飲みに行くと愚痴を聞いたりして、それはそれで自分の人生にはない興味深い部分だったりして。 それを自分の感覚で膨らませていって歌詞にしたりもよくします。

ー 「シューティングスター」(M1)、「雨上がりの空に」(M11)の2曲は、亡くなった人への歌?

■K: そうです、去年の12月に自分の父親が亡くなって、一時期もうその事しか書けなくなっちゃったんですよ、その時に書いた2曲です。 当時は自分の大切な身内が亡くなったからって、それを全部さらけ出すのって果たしていい事なのか?とも考えて悩んだんですけど、ただそれしか書けなくなったくらいにその時の本当の気持ちではあったんで、これはこれでちゃんと作品にする事にして、その代わりにそれをそのまま自分の父親へ向けただけの歌詞にするんじゃなくて、いろんな人がそれぞれの解釈でいろんな物語に解釈できるように変換して仕上げていきました。

ー 確かに「シューティングスター」のMVでは、歌詞を別の切り口から汲み取って逆に未来へ託す希望みたいな前向きな部分を感じる作品になってました。

■K: そう、あれもやっぱりどこかで希望へ向いた表現にしたくて。

 

ー お芝居までいかないですけど、走ったり、アンティークな部屋で歌ったり、車整備したり、MV上の役をこなしている鬼頭さんは必見ですよね。

■K: 自分こういうのは慣れてないんで、恥ずかしかったし、難しかったです(笑) でも監督の指導が良かったお陰で良いもの撮れてると思うし、精一杯撮ったんで是非見て欲しいです。

 

ー A写には過去リリースしたE.Pジャケと一緒の犬が登場してますね。

■K: これ、僕の実家のエースっていう名前の愛犬なんです。 僕エースの事が大好きで、これまでずっと一緒にいるし、歌詞で書いてるような僕の生活の一部分の傍にずっといるやつでもあるんで、前に出したE.Pの時は、もう一人のメンバーみたいな意味合いで『and ACE』っていうタイトルにして一度登場させたんですけど、今回は電車の中っていう人生の比喩にしやすい色んな人の現実が混ざってる空間に、普通じゃそこに在り得ないものを置いてみたくて、再び登場させたんです。

■S: ライブ会場で売ってるグッズにもエースのモチーフのものもあるんで、お客さんの中で少しずつ知名度が上がってきてるんですよ。 だから今回のジャケは前からのお客さんだったらエースだ!ってすぐ分かるかもしれないですね。

ー ライブといえば、前作のシングルリリースツアーが終わったばかりですが、またすぐアルバムレコ発ツアー開始ですね。

■S: そうですね、今まだ数本しか解禁されてないですけど、これから発表のスケジュール含めるとここからガンガンライブ増えます。 ツアーとしては春頃までかけて色んな所を廻るんで、ライブひとつひとつ今から楽しみです。

ー この先の目標って今、どんな事ですか?

■K: COUNTDOWN JAPANとか、イナズマロックフェスとかに出た経験がやっぱり自分の中ではすごくデカくて、いつか自分達の力でああいう大舞台に戻る事が夢というか、目標ですね。その時初めて「俺達、大舞台でやったんだ」って堂々と言えるようになると思ってて。まずそこまで行きたいですね。