-まずは、Heavenstamp編成当初の経緯を教えてください。
■Tomoya:みんな4人が別々のバンドをやっていて、僕とベースのShikichinは、僕がベースボーカルで、彼がギターで一緒にバンドをやっていたり、ドラムのMikaのバンドも、互いにお客さんとしてライブを見に行くような関係だったんですが、そんな中、2008年の夏にShikichinやSallyと、他数名の仲のいい仲間と一緒にフジロックに行ったんですよ。その時に見たMy Bloody Valentine のライブがすばらしく良くって、そこで”男女混合のかっこいいロックバンドを作りたい”と思って、そこからいろいろと構想を練って今の各メンバーに声をかけたのがきっかけです。翌年2009年2月から本格的にライブ活動を始めました。
-最初に音楽を始めたきっかけは?
■Sally:私は幼少の頃から音楽があるのが当たり前の生活の中で過ごして来て、父がギターを弾いていて家にはギターがたくさんあったり、あとは吹奏楽をやっていたりして。「いつかバンドやろう!」と思ってたんです(笑)
-Sallyさんの代名詞になっているあのギター(ライブやアーティスト写真で使用)は?
■Sally:あれはHigh Flyerといって、カートコバーンが使ってたギターのレプリカですね。ギターを始めた当初はFenderのギターをいろいろ試してたんですけど、「もっとおもしろいギターないかな」と思って探してたところに、知人から譲り受けて。すごくしっくりきたんで、感覚的に「これがいい!」って。そこから使ってます。
-2009年の活動開始からわずか1年でデビュー、翌年に当たる今年には夏フェスの出演、インディーズ盤を含め3枚の E.Pリリースと短い間にどんどん活動が展開していっていますが、サウンド面も然り、今回の”Waterfall – E.P. + REMIXES”までで一貫したHeavenstamp像は残りつつ、リリースの度にそれぞれ違ったテイストが展開されています。今作はどんな想いで制作されましたか?
■Tomoya:結成当時は「ディスコパンクのバンド」と言われるくらい、そういうノリのいいサウンドが中心だったんですが、元々僕の頭の中にあったオーケストレイションみたいなシンフォニックな構想と、シューゲイザーのテイストなどいろんな要素が活動開始からしばらくして、うまく落とし込めるようになって、そのタイミングで最初に作った曲が今作の表題曲”Waterfall”なんです。この曲は自分たちにとってひとつ核になる表現だと思っていて、”Stand by you (メジャー1st E.P.)”的なディスコティックな音と、シンフォニックな音の2つの武器を両方込められた作品として、1枚目の”Hype(インディーズ E.P)”、2枚目の”Stand by you” リリースを経て次に見せたい世界観だったんで、今回CDの表題曲として1曲目に入れることにしました。
-2曲目の” I don’t wanna die”、この曲もまた前作までとは違った、非常にストレートな新しい感覚の曲ですね。
■Tomoya:そうですね、”Wake up”とか”Stand by you”とか、今ライブでやっている楽曲群がディスコパンク的なものが多い中で、俺はこの曲にニューレイブ的なものを感じていて、だけどニューレイブオンリーではなくて、パンキッシュな要素も、シューゲイザーの要素も感じられるような、新しい試みに踏み込んだ曲ですね。”Waterfall”がシンフォニックな部分に特化してる分、ザクザクした曲も自分たちの持ち味のひとつとして聴かせたいという想いがあって、この曲が2曲目にきました。
-3曲目にくるインタールード”Lost control”からの次曲”Hellfly”への入りは、まさにライブでの曲間を紡ぐTomoyaさんのディレイ掛かったギターのアンビエンスをライブそのままの臨場感でパッケージしたような流れですが、こういったHeavenstampを形成するサウンドスタイルの大きな特長のひとつには、Sallyさんのヴォーカルのメロディーラインが浮上してきます。洋楽的な音を鳴らしつつも、非常にキャッチーな”日本人然とした”とも言える耳に残るフレーズが印象的ですが、Sallyさんの音楽的なバックグラウンドとは?
■Sally:吹奏楽部だったこともあって、ずっとクラシック音楽を聴いて育ちましたね。ただ、それだけではなくて日本のPOPSも聴いたし、UKだったらそれこそRADIO HEADとか。いろんな音楽から刺激を受けました。
-Tomoyaさんは?
■Tomoya:自分も両親からもらったクラシックのカセットをひたすら聴きまくってましたね(笑)
-おふたりともそっち系なんですね(笑)
■Tomoya:ベートーベンの伝記を小さい頃に読んで、それが生まれて始めて読んだひとの人生の物語だったんで、後々考えれば思い込みだったんですけど「ミュージシャンっていうのはみんな耳が聴こえなくなってまでやるものなのか〜」とすごい衝撃的でした(笑) でもその感動がきっかけで”音楽で生きていこう”と思うようになりましたね。あとはSallyと同じく父親が家でギターを弾いていたので、The Beatles、エリッククラプトン、大体その辺りのものを聴いて育ったんで、始めて買ったCDがCreamのライブ盤っていう(笑)
-激渋ですね(笑)
■Tomoya:でも同時期に買ったシングルはZARDですからね。ちゃんとクラスの友達と共有できる感覚も持ち合わせてたというか(笑)
■Sally:それはいいね(笑)
-でもそのジャンルでなく自分のセンスで好みの音を選んでいく感覚は今のHeavenstampの音楽性を形成するに至る過程として精通しているのかもしれませんね。
-さて、今作では前作に引き続きラッセル(Block Party)とのレコーディングや、PV、ジャケットデザインでは映像クリエイター集団のtomatoとのコラボが実現しましたが、彼らとの作業は順調に進みましたか?
■Tomoya:そうですね、ラッセルに関しては前回もその前も共同作業してきていたんで、もうメンバーの一員の様な感覚でリラックスして制作できました。レコーディングの時はラッセル含めての5人で一緒にブースに入るんですね、それで一発で「せ〜の、」で録るんですよ。エフェクターもその場で踏んで、そのセッションの空気感をそのまま録るというか。ここまでバンドのことを委ねられるような人は、日本人、外国人という括りを抜きにしてもなかなか出会えないと思うんですよ。すごくいい関係性を築けています。
■Sally:tomatoに関しては、みなさんすごく紳士でしたね。気さくで、そしてプロフェッショナルで。すごくいい感じでした。判断に戸惑うような場面が一度もなかったというか。とにかく”Waterfall”の世界感を膨らませようとしてくれていて、その熱意が伝わって来たので全てにおいて信頼して作業できました。
■Tomoya:PVもけっこうヤバいと思います。もうミュージックビデオという概念に留まっていないというか。いち映像作品として成立してますね。 youtubeに上がっているので是非見てみてください。
-今作品リリース後の、バンドの展望を教えてください。
■Tomoya:今作まででインディーズ盤含め3枚のE.Pを出して来たんですが、やはり僕らの音楽は1方面からだけの切り口では体現できないと思ってるんですね、だからもっといろんな角度から自分たちの表現を切り取って作品にしてみて、その先で集大成のフルアルバムを、部屋に飾っておきたくなるくらいの質の高い内容で作りたいですね。
■Sally:そうですね、私達やっぱりフェスで生まれてフェスで育ったバンドなんで、どんどんいろんな場所でフェスに出て行っていろんなひとたちと出会いたいですね。あとはつい最近までPVの撮影で滞在していたロンドンでライブもしたんですけど、すごくよかったんですよ。音楽好きの若者から、お年を召した方とかも見てくれて、「すごくいい!」って言ってくれて。そういったものが自信にも繋がったし、将来的には日本、海外関係なくいろんなところでライブをやっていきたいです。それを大きな野望として持ちながら、ひとつずつ今目の前にある目標をクリアしていこうと思ってます。今年の12月には私達初のワンマンライブツアーもあるので。
【誤字のお詫びと訂正】@フリーペーパー”eggman” 10月号
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shibuya eggman発行マンスリーフリーペーパー”eggman”10月号掲載の
以下のコーナーにて、Heavenstampの新譜情報に一部表記の誤りが
ございました。深くお詫び申し上げますと共に、以下の内容に訂正
させていただきます。
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■「ニューカマー紹介コーナー”NEWIE” file.01」
・リリース情報欄 CDタイトル
【誤】WATERFALL → 【訂】Waterfall – E.P. + REMIXES
■「DISC REVIEW」ページ
・Heavenstamp CDタイトル
【誤】Waterfall → 【訂】Waterfall – E.P. + REMIXES