窪田:早速今回リリースされる「ありがとう」について聞いていきたいと思うんですが、まずこの曲に込められた率直な想いを聞かせてほしいです。
AIMI(以下A):ニイニイ(仲宗根陽氏) は自分にとってとても大切な存在で、彼にむけた曲をずっと作りたいという気持ちずっと自体はあったんですが、彼の存在が大きすぎて自分の持っている力では1曲にまとめることができなかったんです。言葉選びに悩んでしまったりして。。。映画のお話しをいただいた時に自分の気持ちにやっと向き合うことができたんですよ。なにが言いたかったんだろう。って考えた時に、お礼をちゃんとすることができなくて後悔をしていたので、直接言いたかった想いなどすべてを含めて「ありがとう」という言葉に込めました。私一人で作ったものというより3人全員の気持ちが込められた曲ですね。
窪田:言葉選びに悩んだということでしたが、歌詞が本当に印象的ですよね。
A:ボーカルレコーディングは沖縄でやったんですが、本当に歌入れ直前まで
歌詞を模索してました。曲は先にできていたんですが言葉選びに本当に悩んでしまって。みんなで話し合いながらようやく出来上がった歌詞ですね。
窪田:特に印象的だなと思ったのが「人の痛みの分かる人間になるよ」という
部分だったんですが、これは仲宗根さんが常日頃言っていた言葉なんですよね?
SHIHO(以下S):そうですね。毎日に近いくらい言われ続けてきた言葉です。だからもう一生忘れることはないんじゃないですかね。
窪田:10代の頃にそれを聞いて理解できていましたか?
NOHANA(以下N):最初は全然わからなかったですよね。
A:毎日毎日怒られていたのでなんでこんなに怒られなきゃいけないの?と思って、正直に言えば嫌いになる時期とかもありました。ただ、自分たちのことを怒ってくれる人がいるというのは本当にありがたいことなんだなと今はすごく思います。褒められることと同じくらい怒られることって大切なんですよ。音楽の理論などを教わったことって実はほとんどなくて、音楽を人に伝える立場の人間がそれを聞いてくれる人の気持ちをわからなければその人には伝えることはできないから、人の痛みの分かる人間になりなさいということをそれこそ「おはよう」の挨拶と同じくらい言われ続けましたね。そういうことを教えてくれたニイニイに出会えたことは3人にとってすごく大事だったと思います。
N:本当に大事ですね。私は中学生の頃に『あじさい音楽村』出身のアーティストが好きで、昔から沖縄に住みたかったという気持ちもあったので、沖縄の高校に行こうと決意したんですよ。その時ニイニイが身元引受人になってくれていなければそれは実現できなかったですから。
窪田:その時既にベースを始めていたんですか?
N:いや、その時はやりたいという気持ちはありましたがあじさいに来てから
学びました。
A:私もあじさいに行き始めるまでは楽器の経験は一切ない状態でした。
窪田:AIMIさんはどういったきっかけでギター・ボーカルを始めたんですか?
A:元々人の前に立って歌うことなんて全く想像できないくらいなタイプだったんですが、音楽自体は好きで昔からお遊び的な感じで曲を作ったりはしてたんです。そんな時にニイニイが誘ってくれて自分を変えるチャンスだと思ったのがきっかけですね。
S:私に至ってはAIMIが私にドラムが似合うなと勝手に思ってあじさいに連れていかれたのがきっかけですからね。
窪田:初めからドラムとしてバンドに誘われたんですか?
S:いや、最初はドラムとして誘われたわけではないんですよ。先輩たちが練習しているところを見学した時にドラムに惹かれたのが始まりですね。
窪田:AIMIさんの直感とSHIHOさんの直感がリンクしたんですね。3人の話を伺っているとステレオポニーというバンドは奇跡的・運命的な出会いがいくつも重なって誕生したバンドという印象を受けるのですがそれについてはどう思いますか?
A:本当に自分たちでも奇跡的だなと思います。3人とも出身も性格も育った環境も好みのタイプもまったく違うし、ニイニイという存在がすべてを繋いでくれたんです。だからニイニイがいなければこのバンドは生まれていないですね。しかも楽器を始めた時からこの3人は一緒で、この3人でしかバンドを組んだことがないのでメンバーの代わりになる人は絶対いないと思ってます。
窪田:こうした強い絆が理由でステレオポニーのライブのグルーヴ感が生まれるんでしょうね。
N:そうですね。ステレオポニーはやっぱこの3人だねと言ってもらえるのが多いのもそういった理由だと思います。
窪田:ライブに対しての考え方や向き合い方について聞かせてもらいたいんですが、特に気をつけている事や意識していることなどありますか?
A:ライブは来てくれるお客さんはもちろんですが周りのスタッフさん、ハコのスタッフさん、イベンターさんなど様々な方々がその1日に向かって気持ちを集めるものだと思うので、その日が最高で特別な1日だったと思ってもらえるようなライブをしたいですね。個人的になのですが震災以後、いつ明日が来なくなってもおかしくないということを考えるようになったんです。だからこれが最後のライブになるというくらいの気持ちを持ってライブに臨んでます。
あとはやっぱりライブは楽しむことですかね!
S:私もとにかくライブ当日を楽しむということを意識してますね。その為には練習を重ねて少しでも自分に余裕を作って当日を迎えるように準備してます。
N:私はお客さん全員と目を合わせられたらと思ってそれを意識しています。
ライブってお客さんと接することのできる最高の機会なので少しでも多くのお客さんとアイコンタクトしたいんです。
窪田:ステレオポニーは今年の5月にエッグマンでツアーファイナルを行いましたが、なにか思い出などありますか?
N:ワンマン2デイズというのが初めてでしたし、ツアーファイナルということですごく印象に残ってます!!
A:広さもあるのにすごくお客さんとの距離がすごく近くていいなと思いました。対バンツアーを経てのファイナルだったんですが、対バンツアーがお客さんとの距離感が近いハコでのライブばかりだったのでファイナルでもその距離感でライブができたのがすごく嬉しかったです。
N:私は横に広いライブハウスが好きなのでエッグマンはそこが好きなポイントでもありますね。多分それが距離感の近さに繋がってるんだと思います。ただ、私側に関係者席があったのでそことの距離感は緊張しましたが。。(笑)あとは楽屋の階段が急すぎて怖かったです(笑)
S:私はあの楽屋すごく落ち来ましたね。落書きの多さが逆に心地よかったです。
A:ステージが低いのでその日モヒカン的な髪形してたんですが、そこしか見えなかったって言われました(笑)
S:2デイズやったからこそ1日目がこうだったから2日目はこうしようとか学べたこともあってすごく勉強になりましたね。
窪田:今後バンドとしての目標などありますか?
S:一つのことに縛られるのではなくそれぞれの個性を生かしていろいろなことにチャレンジしたいです。ちゃんとした芯は1本保ちつつ変化していきたいです。
A:私はステレオポニーが好きという部分は私たちメンバーもお客さんもスタッフさんも全部一緒だと思っているので、みんなでステレオポニーを大きくしていきたいです。
N:それでバンドが大きくなっていったら地元でのワンマンライブしたいですね。私の地元長崎とバンドの故郷である沖縄の2ヶ所でやりたいです。
窪田:音楽という夢を持つことで人生が変わった3人から今夢を持っている方々にメッセージyアドバイスなどもらえますか?
N:私たちはデビューするという夢を持った瞬間からそれは絶対出来るものだと思い込んでたんですよ。
A:デビューできないかもと思ったことがないんです。
S:その分色々なものを犠牲にして夢に向かって本気で努力しましたね。
A:欲しいものも我慢したし、遊ぶことも我慢しました。ニイニイも言っていたのですが努力は人を裏切らないです。だから夢を持って努力することはすごく大事ですね。ただ、自分たちの努力だけでなくその夢を見守ってくれる人たちがいて支えてくれたのもすごく大きかったです。正直運が良かったと思う部分もありますが、やはり夢は叶うのを待つのではなく自分から掴み取りに行かないとダメだと思うんです。その為には同じ夢を共有して同じ夢を目指す仲間を見つけるのはすごく大切ですね。
S:私たちもメンバー3人とあじさいの仲間たちがいたからデビューするという思いこみができたように仲間の存在はすごく大切です。そんな仲間たちに感謝の気持ちは忘れてはいけないなと思います。
N:あと私たちはONとOFFのメリハリはつけてましたね。やる時はやる!みたいな。
S:それもすごく大事ですね!私たちも年1回くらいは本当に思いっきり息抜きしました。
窪田:実体験に基づいたアドバイスありがとうございます。
A:私たちは夢を持ったことによって本当に人生が変わりました。なのでこのインタビューを呼んで夢を持つ人が一人でも増えたら嬉しいなと思います。
窪田:今日は本当にありがとうございました!
A&N&S:ありがとうございました!!