–まず、『テスラは泣かない。』(以下、テスラ)を結成するキッカケは何だったんですか？

村上：昔、自分が別で３ピースのバンドをやってて、そのバンドが終わったときにもうライブとかしんどいし、普通に音楽を楽しんで、スタジオとかに入って遊んでられたらいいやって思って、吉牟田と遊んでたんです。そしたら思いのほか楽しくなっちゃって、こうなってしまいました。

吉牟田：元々僕と村上はサークルが一緒だったんですよ。で、村上は１個上の先輩だったんですけど、当時は映画や音楽の話とかよくしてて、ずっとこの先輩と組みたいなーと思ってたんです。そしたらちょうど村上が前のバンドを辞めて、じゃあ一緒にやろうかって。

–テスラではいきなりオリジナルの曲を作り始めたのでしょうか？

村上：そうですね。前のバンドからオリジナルだったので。で、３ピースだったので、ピアノを入れたいなーと思って、ピアノが入ってからはけっこう自由にみんなで楽しい曲を作る感じですね。

–では、今まではそういった活動も全て鹿児島だったわけですが、今回初の全国流通盤が発売されることに対してどう思いますか？

村上：素直に嬉しいです。すごく月並みな意見ですけど、やっぱり多くの人に聴いてもらいたいっていう思いがあるので。自分が作ったものに対して愛情を持ってるから。

–その全国流通盤が「High noble march」というタイトルなんですが、直訳すると「高貴な、気高い行進曲」といった意味になりますよね。そのタイトルを付けた理由とは？

吉牟田：僕けっこう読書が好きで、いつか小説家になりたいと思ってるんですけど(笑)ある日、テストの合間か何かに、都築恭平さんの”夜露死苦現代詩”を読んでて「HIPHOPの歌詞は、もう”文学”の新しい形じゃない？」って書いてあったんです。そう思って考えてみたら「確かに、古文もHIPHOPもダジャレじゃん！　キャッチーだし、みんな好きだしヤベエ！」みたいになっちゃって。それで、そうやって遊んでるうちに「High noble march」と「灰の降る街」を掛けた言葉が出来て……。

–おー、それは知るとなんだか感動しますね。

吉牟田：けっこうピッタリなんじゃないかな。高貴な行進は、初の全国流通で全国に進んで行きたいっていうのもあるし、灰の降る街から風に乗ってってという感じも出るかなって。

–全曲村上さんが作詞されているということなんですが、作詞する上で大切にしていることは？

村上：自主制作の３枚目までは雰囲気だけっていう感じだったんです。あえてメッセージ性を出さないというか、僕がAということを言いたくて、受け取った人はBだと思ってくれるという、それぞれの解釈で受け取れる面白さを求めて。でも、バンドマンってけっこうメッセージを発信できる立場に居るっていうことに徐々に気付き始めて、ある程度自分の考えてることを歌詞に入れてもいいんじゃないかなーと思って、４枚目からは少しずつそういう風にしていきました。

–そこの変化って何がキッカケだったんですか？

村上：がんばろうぜ！とかって励ます曲ってたくさんあるじゃないですか。そういうのって今までは、そんなん知ってるよ、みたいな。言われなくてもがんばるよ、みたいな(笑)でもどこかでそういうのを聴いて、あ、がんばろうって思えた瞬間があったんですよ。3.11とかあって、バンドマンがえらいメディアに出ていろいろ訴えてて、真剣に言ったら伝わるんだ！って。僕が素直になっただけかも知れないですけど(笑)

–歌詞を通して聴く人に伝えたいことは？

村上：今日も１日がんばろうって思ってもらえたら良いですね。朝起きてすごく憂鬱で、早く今日が終われって思っていても、曲聴いて、まあ今日も何とかなるだろうって思ってもらえたら最高なんですよ。

–作曲は皆さんでされているということですが、どういった感じで作ってるんですか？

村上：各自で持ち寄って、探り探りっていう感じですね。良いとこ取りするので、めちゃくちゃ時間かかりますね。

吉牟田：違和感があるんですよ。仮の状態で、こういう構成で出来ましたっていうときに、１人でも２人でも違和感を感じているということは、それはまだ違うんだろうっていう。

–全体的に、けっこうアップテンポな曲なのに、どこかネガティブな要素を感じるんですが。ずっと上がりっ放しじゃないというか。『ノーマライゼーション』とか特に。

村上：『ノーマライゼーション』は最初に「あぁあぁあぁあぁ」の部分を作ったんですよ。そこからそういう感じになっていった。

吉牟田：村上は「あぁあぁあぁあぁ」をやりたかったんです。メンバーが順番に歌って、スポットライトが順番に当たって行くようにやりたかったんですよ。
それをイメージして作ったら、暗くしようと思ったっていうよりは、なんか明るくなった。

–では意図していたわけではないんですね。これからいろんな人に見たり聴いたりされる機会が増えると思うんですけど、こういうところに注目してほしい！みたいなことはありますか？

吉牟田：曲の構成と、あとライブは観に来てほしいですね。あと、ジャケットとかも「人が関わって出来ているんだよ」って言うところを漏らさず見てほしい。

–最後に、読者の皆さんにひと言お願いします！

村上：不安にならないでって。今の若い人たちってすぐ不安になっちゃう部分があると思うんです。でも案外間違いも正解も無いから、自分が結果に対してどう対処するかが答えになってくるんだよって。

–人生相談みたいになっちゃいましたね(笑)

吉牟田：愛してるよ。

村上：どこかで会いましょう。あと是非、鹿児島に来てください！

◉cold girl lost fiction